『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年10月14日の放送に俳句コーナーがありました。
お題は「弁当の店頭販売」。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2021年10月14日の放送でも扱われました。
今回のお題は「弁当の店頭販売」です。
お店のテーブルの上に段積みされているプラスチック容器のお弁当の画像が映されていました。
「弁当の店頭販売」は季語ではないでしょう。
今回は作り手が自分で俳句に合った季語を探す必要があります。
この回は、俳優の「高島礼子」さん、同じく「星野真里」さん、お笑い芸人の「くっきー!」さん、コラムニスト・エッセイストの「犬山紙子」さんが出演していました。
レギュラー陣では「東国原英夫」さんと「村上健志」さん、「馬場典子」さんが出演していました。
順位戦
まずは今回行われた俳句カテゴリの、順位戦の結果です。
4位がくっきー!さん(才能ナシ、5点)、3位が高島礼子さん(凡人、50点)、2位が犬山紙子さん(才能アリ、70点)、1位が星野真里さん(才能アリ、72点)でした。
2位 犬山紙子さん
順位戦で個人的に気になった方は2位になった堀さんです。
2021年の夏のタイトル戦でしたっけ、そこで犬山さんは名人どころか特待生でもないのに優勝をしていました。
その後通常の放送にも一度出演されていて、そのときは評価が低かったので、あの優勝はまぐれだとの認識が世間にも広がっているみたいです。
しかし私は犬山さんがタイトル戦の句がとても好きで、才能を感じています。
才能はあるけど、技術がしっかりと根づいていないために良いときと悪いときがはっきりしているだけだと、技術がついてくれば安定した俳句を詠めるのではないかと、今は技術を定着させている段階であろうと考えています。
句は、寒い朝に唐揚げ弁当を手渡してくれたその手には火傷の痕があった、そういうことを詠んでいました。
季語は「朝寒」。
秋、朝が冬のように寒いけど、日中になるとそこまで寒くない頃のことでしょうか。
冬が近い感じですね。
夏井先生の解説です。
映像を持たない季語を持ってきて、中七下五でワンフレーズで詠まれた、型と季語の力を信じている俳句である。
唐揚げという具体的な物と、渡すという動作が、熱の印象をもつ火傷、そしての手としたことで人物も出てくる。
前回の才能ナシからよく才能アリまで持ち直したと仰っていました。
タイトル戦で優勝したときの型に戻してきたと東国原さんは言っていました。
以前から彼は犬山さんを目の敵にしています。
ルール上、夏の大会は特待生でなくても参加できたので、特待生でない人に優勝をかっさわれたことが気に食わないみたいです。
自分が勝てなかったのは自分が優勝に値する句を詠めなかったせいなのに、ルールに納得がいかないなら自分が参加しなければいいだけの話なのですけどね。
トークも全然面白くないので、あまり引っ張らないでもらいたい話題でした。
先生も東さんの言葉に影響を受けたのか、次は別の型を見せてくれと言っていました。
特待生などの称号は今回も持ち越し、もう少し実力を見たいそうです。
別の型でなくても、一つの型で良い句を何度か詠めているなら特待生でよいと思うのですが、何だかよくわからない話です。
志らくさんなんて破調しか詠めないのに。
1位 星野真里さん
1位になった星野さんも気になりました。
句は、鯖雲と無人の弁当の販売所があることを詠まれていました。
ほとんどそのままです。
季語は「鯖雲」。
読みは「さばぐも」。
鰯雲などもそうですけど、秋に見られる雲のことですね。
巻積雲。
シンプルにお弁当が売られている光景を詠まれています。
空には鯖雲が広がっていて、そこにはお店の人が立っていないお弁当の販売所があったと。
コロナ渦であることもあって、接触を避ける意味があったのでしょう。
先生は、上五「鯖雲と」の助詞「と」がわかるかわからないかで、この句の評価は変わる。
2つのパーツをくっつけた俳句、「鯖雲と」と漢字ばかりの12音。
この12音のフレーズに対して季語が動くか動かないかがポイント。
上五「鯖雲」の言葉と出てくると、魚のサバを一瞬思い浮かべるが、すぐに雲が出てくるから脳内の映像が修正される。
その一瞬が中七下五によ影響を及ぼす。
うろこ雲ひつじ雲だとそうはいかない。
鰯雲ならよいかもしれないが、それだと5音だから助詞「と」を入れない判断が出てくる。
「と」を入れないと、鰯雲のつぎにパンッと「無人弁当」の映像へと切り替わる、2カットの映像になる。
「と」が入ると、空の鯖雲を映したカメラがぐっと引いて、光景が広がっていくとその端に無人弁当販売所が見えてくるという1カットのゆっくりした光景になって、最後まで鯖雲は映像に映っている。
「と」はそういう効果を持っている。
私は句が紹介された瞬間に「や」がよいと思いました。
先生の説明は理解できました。
説明を受けてもなお「や」ですね、私は。
「や」でも先生が仰った効果を持たせられると思えるので。
そう思うということは、私の俳句の力なり助詞の理解なりが足りていないのでしょう。
特待生昇格試験
今回は馬場さんの特待生昇格試験がありました。
馬場さんは試験を迎えて「特待生4級」でした。
1ランク昇格なさったら特待生3級になるようです。
が、馬場さんの句は説明を省略します。
あまり心に引っかからなかったので。
少し書きますと、私は中七にあった「鹹く(から・く)」より「鹹し」の方がよいと思いました。
ちなみに「鹹い」は塩っぱい意味での「からい」だそう。
塩辛的な?
今回初めて知りました。
フルポン村上さんの永世名人への道
フルーツポンチ「村上健志」さんの永世名人への道です。
村上さんは試験を迎えて「名人10段☆2」です。
1ランク昇格なさったら名人10段☆3になるようです。
句は、ふりかけに詳しいナースがいることを詠まれていました。
病院食が味気なくて物足りない入院患者に対して、看護師さんが「ふりかけ」で少しグレードアップすることを教えてあげている光景です。
患者さんの看護の他にも、彼ら彼女らの仕事の美しさはあるのではないかということだそうです。
季語は「黄落期」。
よくわかっていないですが、黄落期は黄落の傍題でしょうか。
意味は木々の葉が黄化してくる頃のことと思います。
結果は「現状維持」。
理由は「意図は分かるが…」。
先生の解説です。
村上さんはフレーズの作り方が上手い。
「ふりかけに詳しきナース」の言葉だけで場面を切り取れている、さすが。
上五中七のフレーズに対して、「黄落期」の取り合わせがよいかどうか、その問題しかない。
黄落が黄色い「のりたま」みたいで、ミスマッチがちょっと面白いかなと、私自身は思った。
でも黄落期という季語がどこまで主役に立っているか、と疑問を投げかける人も結構な割合でいらっしゃるかもしれない。
これで星を1つつけたら「村上に甘い」と言われる。
逆に駄目って言ったら、「面白いところもあるんだけど」というところにさわる。
それなら現状維持にしとこうかくらいの感覚。
そういうことだそうです。
以前も書いた気がしますけど、先生のこの言い方は「逃げ」です。
番組には先生しか選者はいないのですから、先生がよいと思えば昇格でよいでしょう。
収録時にはまだ誰かから何かを言われた訳ではないはずです。
誰も言っていないことを、放送を観た人から言われるかもしれないなどという理由で、評価・査定に影響を与えてはいけないと思います。
『プレバト!!』の出演者も視聴者も、夏井いつきの評価・査定を観ているのであって、他の名前も顔もわからない誰かの評価を観ているのではないのですから。
居もしない人を持ち出して、だから星をあげないなんて、それではさすがに村上さんが可哀相すぎます。
もう一度言いますけどそれは逃げですし、ご自身の仕事を放棄していますし、卑怯です。
個人的には黄落期の「季語が動く」感を受けました。
異なる季節の言葉でもいけそうです。
なので私が査定するにしても現状維持にするかと思います。
東国原さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である東国原さんの句です。
句集に入れる50の俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
句は、リンゴのうさぎを見て、雲梯を2段飛ばしをしたことが詠まれていました。
子どもの頃に、女の子のお弁当にうさぎの形に飾り切りされたリンゴが入っているのを観て、衝撃的だったそうです。
興奮をした英夫少年は、そのままの勢いで雲梯を2段飛ばししたという、子供の頃の思い出を詠まれたそうです。
よい光景ですね。
季語は「林檎」。
読みは「りんご」ですね。
晩秋の季語ですか。
判定は「掲載決定」。
先生からの一言は「展開がうまい!」です。
先生の解説です。
「林檎のうさぎ」の入りがよい。
飾り切りだとわかる効果的な書き方。
「うさぎ」も季語だけど、季重なりは何の問題にもならない。
うさぎは比喩だから。
前半だけで子どものイメージとお弁当のイメージがついているから、そこから「雲梯」へいくのは無理のない展開。
うさぎから雲梯に行くことは子どもの可愛らしさにイメージをつないでいる。
私もよい句と思いました。
リンゴのうさぎがお弁当に入っていて嬉しかったから、雲梯を2段飛ばしをしたというのは明るい爽やかな秋を思わせて。
ただ、番組を観ている私たちは、東さんの説明なり映像なりで情報を補完されていることで、映像化しやすいかったかなとも思っています。
説明がないまま句を読むと訳がわからないと言う人も一定数いらっしゃるでしょう。
説明がなく読んだ場合、リンゴの飾り切りから雲梯に行く場面転換が唐突すぎて。
また、リンゴをうさぎのように飾り切りにすることは、私たちにとってごくごく一般的なことです。
私の世代でもありふれたものであったので、おそらく一般的な感覚のはずです。
多くの人にとってそれが、東さんのように興奮する出来事になり得ない、全く珍しくないことであるなら、原句を作者の狙い通りには想像させにくいでしょうね。
つまり説明ありきでの評価になっている気もしますから、句集に掲載するほどではないかもしれません。
この句は7・5・6音の、18音の破調です。
違和感がある場合は指で音数を数えるからかもしれませんね。
声に出して詠むと「雲梯を」の「い」がはっきりとは発音しないため、そこまで気にならないです。
俳句は詩歌ですから、声に出したときのリズムが大事です。
指で数えるばかりでは気づけないこともありますね。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「弁当の店頭販売」回を視聴しての感想を書いた記事でした。
私の読解や解釈が正しいとは限りません。
むしろ間違えていることの方が多いでしょう。
おかしなことを書いていたら申し訳ありません。