『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年7月22日木曜日の放送に俳句コーナーがありました。
「夏の3時間スペシャル」です。
夏のタイトル戦「炎帝戦」が行われました。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
2021年「炎帝戦」
2021年7月22日の「夏の3時間スペシャル」では、夏のタイトル戦「炎帝戦」が開催されました。
読みは「えんていせん」です。
出場者と組み合わせ結果
今回は出場者が少々特殊でした。
過去に一度でも番組で夏井先生から「才能アリ」と評価された方ならどなたでも出場資格があります。
皆さんから俳句を募って、先生が集まった全ての俳句に順位をつけて、上位20名を発表していました。
スタジオで階段状の席につけるのは上位10名のみ。
予選もなくいきなり本戦ということですね。
タイトル戦にもかかわらず1時間ほどしか放送がなかったです。
東京オリンピックなどで放送枠を取れなかったことが理由かなと想像しています。
2021年「炎帝戦」の出場者です。
上位10名のみご紹介します。
- 梅沢富美男(永世名人)
- 東国原英夫(永世名人)
- 村上健志(名人10段★2)
- 藤本敏史(名人10段)
- 横尾渉(名人6段)
- 千原ジュニア(名人6段)
- 千賀健永(名人4段)
- ミッツ・マングローブ(名人2段)
- 北山宏光(特待生3級)
- 犬山紙子(才能アリ1回)
敬称略で失礼します。
決勝に勝ち進んだ10人は上記のとおりです。
段位等に間違いがあったら申し訳ありません。
三遊亭円楽さんや中田喜子さん、立川志らくさん、筒井真理子さん、森口瑤子さん、的場浩司さん、松岡充さん、岩永徹也さんといった実力者たちが10位以内に入れず、出場することができませんでした。
お題「Tシャツ」
今回のお題は「Tシャツ」でした。
テレビ画面には白いTシャツ1枚の画像が表示されていました。
Tシャツは季語ではないでしょう。
他に季語を添える必要があります。
Tシャツから発想を飛ばしてもよし。
炎帝戦の結果
2021年「炎帝戦」の結果です。
優勝者は「犬山紙子」さんでした。
- 犬山紙子(才能アリ1回)
- 東国原英夫(永世名人)
- 村上健志(名人10段★2)
- 千賀健永(名人4段)
- ミッツ・マングローブ(名人2段)
- 梅沢富美男(永世名人)
- 北山宏光(特待生3級)
- 横尾渉(名人6段)
- 藤本敏史(名人10段)
- 千原ジュニア(名人6段)
敬称略で失礼します。
名人や特待生どころか才能アリを1回もらっただけの犬山さんが、タイトル戦初出場で初優勝を成し遂げています。
犬山さんが特大ホームランを放ちましたね。
予選なしの一発勝負ならではの結果と言えるかもしれません。
そういえば次回のシード権がどうのという話はなかったでしょうか。
なかったとすれば、秋の大会も予選なしで開催される可能性が高そうです。
感想
『プレバト!!』2021年「炎帝戦」の放送を視聴しての感想です。
犬山さん優勝
ここから触れないわけにはいかないでしょう。
先ほども書きましたとおり、犬山紙子さんが初出場で初優勝を成し遂げました。
#プレバト 炎帝戦ありがとうございました😭
— 犬山紙子 (@inuningen) 2021年7月22日
まさか優勝できるとは思っておらず、正直出演できるとも思っておらず😭
ただ、私は本当にひよっこ中のひよっこ、これから精進します🙇♀️
しかし東国原さんの句、本当に素晴らしく「実力」という意味では雲の上の方です。
わーーーーい😭ビール飲んじゃお pic.twitter.com/pAdrrSQgBU
犬山さんのTwitterアカウント (@inuningen) にも炎帝戦優勝の報告があります。
実は私は今回の放送で初めて犬山紙子を拝見したと思います。
『プレバト!!』は2019年末頃から本格的に視聴し始めていることもあり、『プレバト!!』でも初めて拝見したはずです。
犬山さんはコラムニストやエッセイストなのですね。
プロフィールすら知りませんでした。
お名前だけはどこかで見たことがありましたが、お顔を拝見したことも今回初めてです。
介護に明け暮れた20代、自分の時間もなかなか取れずお金も稼がない自分を責めに責めていた。友人がキャリアを積んでいる姿が眩しくて辛かった。
— 犬山紙子 (@inuningen) 2021年7月22日
あの時ケアする側への支援があったならと今も思いつつ、今日はあの時の自分を誇れる気がします。今も母は静謐な二の腕で生命を燃やしています。#プレバト pic.twitter.com/6twFw3Milh
Twitterでは、俳句の内容と、どういう想いで詠まれた句だったかを説明されていました。
句は、20代の頃に母親の介護をしていて、炎天下の中、暑いと思いながら実家の扉を開けて寝ているお母様の部屋に入る、するとシャツの下からお母様の二の腕が出ていてひんやりとしていた、外の灼熱の世界の全く違う、安らかな感じがするなと思ったことを詠まれたそうです。
Tシャツから母の二の腕へと発想を飛ばしています。
季語は「日盛り」、日差しの最も強い正午からしばらくの時間帯のことでしょう。
5・8・4の破調の句。
「季語+や」で5音、中八と下四で足して12音、トータルでは17音にバランスを取っています。
そして、下五ではなく4音でしたけど最後に「静謐」の言葉を使っていました。
読みは「せいひつ」。
意味は「静かで安らかなこと」ですか。
夏井先生は驚きましたと一声目。
Tシャツの言葉を使っていないのに、「母の二の腕は」としたことで、腕がシャツからを出ていることを感じさせる。
その二の腕がひんやりと白く見えてくる、それがよく企んでいて見事だったと。
母をどのくらいの年齢と受け取るか見え方も変わってくる。
先生は、ある程度のご年配で、人生の安らぎ、諦観を含んだ安らぎとも思ったけど、詠んでいくうちに、子を突き放しているような母の冷たい表情とか静けさとか、読めば読むほど奥行きが深くなる俳句だと仰りました。
この一句で短編が書けるんじゃないかという気すらしましたとのことでした。
犬山さんが作者と知って先生は驚かれたそう。
ただ俳句は17音しかない詩ですから、振ったら当たったということは大いにあり得ること。
狙ったものではなく、うっかりホームランだとしたらよく飛んだとも評価なさっていました。
なので、特大ホームランではあったものの、今回の特待生に昇格は見送り。
自分は疑り深いからもう1作品は様子を見させて欲しいとのことでした。
いや、私は犬山さんの俳句に衝撃を受けました。
結果はもちろんのこと、俳句そのものにとても驚きました。
犬山さんご本人の説明と先生の解説を聞いているうちに鳥肌が立ってきました。
感動で。
俳句に対して感動して鳥肌が立つのは今回が初めての経験です。
「二の腕は静謐」の語を選べるセンス、破調をまとめるセンスが素晴らしいです。
助詞「は」を選ぶことによって、季語の日盛りと静謐の対比が明確になり、季語が活かされています。
そういうテクニック云々よりも驚き、また感動したことは、ベースにある物語がわずか17音でここまで伝わるものかという点です。
誰とは申しませんけど、テクニックにばかり走っている俳句が『プレバト!!』でも散見されます。
そういったテクニック句が空虚なものに感じられるほど、犬山さんの句には存在感と実感があります。
リアリティがありすぎて重いのですよ、ずっしり重い。
ただあえて意地の悪い見方をしますと、これが前提にあっての炎帝戦のルールなのかなという気も観ていて感じました。
犬山さんの優勝が予め台本で決められていたとまで言ってしまうのは、さすがに言い過ぎでしょう。
証拠はどこにもありません。
しかし、一方である程度のことが無かったとも言い切れない。
そういう疑念を払拭させるには、タイトル戦は一発勝負ではない方がよいと今回観ていて感じました。
やはり予選は必要かと。
理想は番組を生放送にして、テーマを事前に出演者に伝えず放送中に伝え、その場で詠んでもらうことです。
それは現行の『プレバト!!』では無理でしょう。
スケジュール調整も難しいでしょうし。
東国原さんが2位
惜しくも優勝を逃して、2位となったのは永世名人「東国原英夫」さんでした。
句は、消防署の2階にTシャツが干されていた、消防士の方々のTシャツは汚れていて一日の激務を思わせる、西日がそれらを照らしている様が、労ったり称賛するかのようだった、そんな様子を詠まれたものでした。
先生はこれも本当に良い句だと切り出していらっしゃいます。
句の冒頭「Tシャツの干され」とまでは類想の鉄板フレーズだそう。
しかし東さんが違うのは、鉄板の類想を「共感」という土台に据えた点です。
わかってやっていると。
前半、家庭の日常を描いたと思わせて、実は消防署という過酷な労働の現場のものだったと、わかったときのハッとする感動がある。
さらに、西日の語が干してあるTシャツ1枚1枚に照り張っている映像まで、しっかりと季語が主役に押し出すこともできている。
完璧です、とのことでした。
完璧でも2位、これがタイトル戦の凄さ・面白さですね。
私には普段のタイトル戦なら1位で全くおかしくない句に見えました。
映像がしっかりと脳内に浮かび上がる素晴らしい句です。
しかし、犬山さんが詠んだ句の圧倒的な実感と比べてしまうと、東さんの句はやや物足りず、若干ながら物語を作ってる感がします。
村上さんが3位
3位が村上健志さんでした。
最近は大会の上位には食い込むけれど、あと一歩二歩届かないことが多い印象です。
句は、人が家に来たときにTシャツを貸すことになり、貸そうと思うのだけれどしわくちゃだったり汚れていたりとかろくなTシャツがないから、中でもまだマシなものを貸した、夜、外は雷が鳴っている、そんな様子が詠まれていました。
夏井先生は上五中七に非常にリアリティがあると評価なさっていました。
とりわけ上五の「まだマシな」の言葉をさらっと持ってくるところは、自信がないと言えないとのことです。
自信とは俳句の力のことでしょうか。
中七の「貸す」の言葉の選択も上手いそうです。
「貸す」としたことで、借りる人と貸す人の2人の登場人物がいることがわかります。
最後の下五は「夜の雷(らい)」としています。
ここは判断の分かれ目で、下五が上五中七の原因説明をしていると判断されると評価が下がる、2人は恋人同士なり物語の起点になっていると判断されれば評価は上がるところだそう。
夜の雷が、人がびしょ濡れになって家にやって来たという物語の起点になっている、そのように先生は評価されたのだと思います。
添削なしで3位と好成績でしたから。
私は普段から村上さんへの評価が高いです。
出演回数がもっと多ければ既に永世名人になっているであろうと思っているほど。
今回の句も、この切り取り方は他の誰にもできないことだなと感心しました。
無二です、この視点と感性は。
順位は3位でしたから良い成績です。
しかしながら優勝にするには至らず。
今回は相手が悪かったですね、1位と2位が強すぎました。
私は、今回の句は下五がよくなかったように思っています。
東さんと同様に物語を作っている感がわずかに出ていると受け取れるので。
その他
その他の方です。
気になったお一人は「ミッツ・マングローブ」さんです。
ミッツさんは5位でしたか。
順位は中位ですけど、段位でご自身より上位の方を何人も食っています。
志らくさんを始め出場者の評価もすこぶるよかったです。
私もミッツさんの句はよいと思っていて、順位はもっと上、低くても4位だろうと感じました。
村上さんと勝負ができたのではないかと。
もうお一人は「藤本敏史」さんです。
順位は9位と今回振るいませんでした。
夏井先生から添削が入って、語順を入れ替えられています。
しかし私には原句の方が音にしたときにリズムがよく感じられ、添削にモヤモヤしました。
俳句など詩歌では、声に出してどうかという点も重要です。
先生は原句が七五調でも、添削で破調にすることが多い印象です。
句またがりなどお好きですよね。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の2021年「炎帝戦」を視聴した感想を書いた記事でした。