『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2022年1月13日に俳句の2022年冬のタイトル戦「冬麗戦」が行われました。
視聴した感想を書いています。
大会の結果などネタバレ要素がありますので、バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
2022年「冬麗戦」
『プレバト!!』の2022年1月13日の放送は3時間スペシャルでした。
俳句では冬のタイトル戦「冬麗戦」が開催されています。
【俳句★冬麗戦】 四季ごとに芸能界の俳句王を決定するタイトル戦。 今夜の「冬麗戦」は、昨年詠まれた全364句の中から夏井先生が選んだ年間優秀句14人によるグランドチャンピオン大会。 名人・特待生からは永世名人の梅沢富美男、東国原英夫、キスマイ横尾、千賀、北山ら10人が選出され、残り4人は意外な顔ぶれが…! 「人生ゲーム」をお題に、歓喜と絶望が交錯する大混戦を制して王座に輝いたのは一体誰なのか…!?
TBSの公式webサイトには上記引用部のように書かれています。
今回のお題は「人生ゲーム」です。
「人生ゲーム」は季語ではないでしょう。
今回は作り手が自分で俳句に合った季語を探す必要があります。
一発勝負
上の引用部にあるように、2022年冬麗戦は2021年の冬麗戦と同様、予選なしの一発勝負でした。
夏井先生が選出した14名による一発勝負です。
10位までが番組で取り上げられ、11位から14位までになった方は句を披露されないルールになっていました。
追記:
11位から14位の俳句は『TVer』では観られるようです。
TVer(ティーバー) - 民放公式テレビポータル - 無料で動画見放題
出演者
2022年「冬麗戦」の出場者。
言い換えると夏井先生が選出した2021年のベスト14句を詠んだ方々です。
- 梅沢富美男(永世名人)
- 東国原英夫(永世名人)
- 藤本敏史(名人10段)
- 村上健志(名人10段)
- 千原ジュニア(名人8段)
- 横尾渉(名人7段)
- 千賀健永(名人4段)
- 立川志らく(名人4段)
- 森口瑤子(名人初段)
- 北山宏光(特待生3級)
- IKKO(段位なし)
- 小倉優子(段位なし)
- 犬山紙子(段位なし)
- 堀未央奈(段位なし)
敬称略で失礼します。
選出された14名は上記のとおりです。
段位順、同じ段位の場合は五十音順です。
段位等間違えていたら申し訳ありません。
IKKOさん、小倉さん、犬山さん、堀さんの4名は特待生ですらないことが特徴的です。
結果
結果は「東国原英夫」さんが優勝。
東さんは今回で7回目のタイトル戦制覇です。
最多ですかね。
- 東国原英夫
- 千賀健永
- 森口瑤子
- 千原ジュニア
- 梅沢富美男
- 横尾渉
- 小倉優子
- 藤本敏史
- 村上健志
- 犬山紙子
- 北山宏光
- 立川志らく
- IKKO
- 堀未央奈
敬称略。
順位は上記のとおりです。
小倉さんと犬山さんが大健闘を見せました。
名人や特待生を下位に追いやっています。
感想
2022年「冬麗戦」を視聴した感想です。
観て気になった俳句をピックしていきます。
10位 犬山紙子さん
まずお一人目は、10位となった犬山紙子さんです。
句は、箱の角に昔飼っていた犬の毛があったことが詠まれていました。
季語は「垂り雪」。
読みは「しずりゆき」。
木などから積もった雪が滑り落ちることでしょうか。
人生ゲームの箱を開けたところ、昔飼っていた犬の毛が箱の隅にあったことに気が付いて、悲しみが溢れてきたことを季語に託された俳句だそうです。
夏井先生は、要素が多いと言われていました。
発想はとてもよいけどと。
2句に分けてもどちらもよい句を詠めたでしょうというようなことを仰っていましたね。
また、先生は「分量を覚えたら、あなたは本物になれる」と断言していました。
高い評価ですね。
分量とは要素を詰め込みすぎない、バランス感覚ですね。
こちらは俳句の場数を踏めば覚えられそうですから、句会などにどんどん参加されればそう遠くないタイミングでその時は来そうな気がします。
私は犬山さんを以前から高く評価してきました。
下剋上を成した2021年「炎帝戦」でも、その後も通常回に出場されたときも、当ブログでは書いてきたはずです。
なので犬山さんが先生に本物になれると先生から評価されたとき、まるで自分のことのように嬉しかったです。
今回犬山さんは10位でしたけれども、今回もやはり発想なり着眼なり切り取り方なりに、他の人には無いものがありました。
これから犬山さんが、俳句ならではのバランス感覚を身につけられたときに、どのような句を詠まれるかが今から楽しみです。
4位 千原ジュニアさん
4位千原ジュニアさんの句も気になりました。
句は、登校拒否をしている自分と祖母とで雪吊りを観ている様子が詠まれていました。
季語は「雪吊」。
読みは「ゆきづり」ですね。
登校拒否をしていたときの自分に祖母が旅行に誘ってくれて、2人で兼六園の雪吊りを観たときのことだそうです。
兼六園には修学旅行生たちもたくさんいたけど、同じ年代の自分だけは私服で祖母と2人で来ていること。
雪吊りのように縛られたくない気持ちと、でも雪吊りをしないと枝が折れてしまうといった複雑な想いがあったという。
これはとてもよい句でした。
個人的にはジュニアさんが優勝をしてもまったくおかしくないと感じています。
むしろ3位だった森口さんが私の中ではもう少し順位が下がり、ジュニアさんと千賀さん、東さんがほぼ横一線の印象でした。
先生は奥行きが深い、読めば読むほど魅かれていくと評価していらっしゃいます。
学校へ行っていない孫を見守るように祖母がいる読み方と、祖母が登校拒否をしている孫に見守られている読み方、二通りの読み方ができる。
そのどちらの読みでも成立しているところに奥行きを感じていらっしゃるようでした。
説明を聞かないと兼六園云々の話はわからないですから、確かにこの二通りの読みができる句なのでしょう。
また、先生はこの句の季語が動くか動かないかの議論が生まれるのではないかと指摘していました。
ジュニアさんの説明を聞かない状態では、季語が雪吊でなくても通じてしまう可能性を感じる人がいるかもしれません。
ただ、先生は作者にとって雪吊は抜き差しならない記憶の鍵なのだから、この句の場合は季語が動くかどうかの議論をすべきではないと仰っています。
これもジュニアさんの説明を聞くと雪吊りじゃないと駄目な気がしますので、大いに納得できる話でした。
話を聞かない状態で句だけを見たときに、季語が動く議論が生じてしまうこともまた仕方のないこととも思いますけれども。
3位 森口瑤子さん
3位の森口瑤子さんです。
句は、くしゃみをしたらスペードの位置を忘れたことを詠まれていました。
季語は「嚔」。
読みは「くさめ」、つまり「くしゃみ」。
嚔をしたことで、スペードの位置を忘れたのですから、トランプの「神経衰弱」ゲームをしている様子だとわかるようになっていました。
具体的に神経衰弱とは書かずにわかるように詠まれています。
破綻のない定型に収まった安定感のある句ではありました。
ただ、私はこの句は類想があるだろうなと感じています。
タイトル戦で優勝争いに顔を出すには、もう一ひねり二ひねりないと厳しいのではと。
面白みに欠ける句にも見えたので個人的には4位以下の句でしたね。
もちろん悪い句ではないので中位以上には来ると思います。
はっきり覚えていないのであれですけど、6位以下の方々は先生による添削が入っていたかと思いますから、それらより上でよいとは思っています。
がしかし、という。
森口さんは地に足をつけた俳句を詠まれることの多い印象です。
アバンギャルドな句を詠まれる志らくさんや、ロマンティックな句を詠まれる村上さんやフジモンさん、ジュニアさんとは対局にあるような。
それは彼女の大きな特長になっています。
しかし、ともすれば平凡な句・類想の多い句になりがちな欠点も、同時に持ち合わせていらっしゃるかと思います。
今回はそのネガティブな面が出たかなと個人的には感じています。
はっきり言うとつまらない句でしたね。
そういえば村上さんだったと思いますが、くしゃみをした「から」カードの位置を忘れてしまったという、原因と結果が詠まれている点が気になる句だとの指摘がありました。
その因果関係について、先生は邪魔になっていないからよしとなさったようです。
邪魔にならない「さじ加減」がお上手とすら評価していました。
この辺は個人の裁量に入ってくるところですので難しいものの、私にはその点に引っかかりがあります。
因果が邪魔になっていると感じられます。
私に俳句の力が足りていないから、解釈も足りていないことも大きいのでしょうけど。
2位 千賀健永さん
2位の千賀健永さんです。
句は、地球史では遠い昔に恐竜のいた時代があったことを、炬燵に入っている夜に思いを馳せていたことを詠まれていました。
季語は「炬燵」。
読みは「こたつ」。
子どもの頃に、夜、炬燵に入って恐竜図鑑を眺めている様子でしたか。
これは素晴らしい内容でしたね。
上五・中七で地球史や恐竜という大きな物を持ってきて、最後はごく身近なアイテム・炬燵へと着地をさせる。
巧みな句でした。
先生は、これまでの千賀さんなら、下五に炬燵ではなく「冬銀河」など壮大なものをぶつけてきただろうと仰ります。
しかし「炬燵」としたことによって、知的で豊かな夜というリアリティが出ていると評価なさっていました。
さらに「炬燵」を思いついても、かつての千賀さんなら「炬燵かな」などと安易に詠嘆をしていたけど、「炬燵の夜(よ)」と時間をしっかり置くことができた。
この点についても評価なさっています。
なるほど、私なら間違いなく「炬燵かな」にしてしまったことでしょう。
いやそもそも炬燵にすら到達できなかったことでしょう。
この句は素晴らしい。
優勝 東国原英夫さん
1位、優勝を果たした方は東国原英夫さんでした。
句は、1月4日に硬い片襷に身を通したことを詠まれていました。
季語は「四日」。
読みは「よっか」。
四日で1月4日のことを意味しています。
新年の季語。
ご自身の宮崎県の県知事になるための選挙のことを詠まれたようですね。
自分の名前の書かれた襷をかけるときの、緊張やら高揚感やらの色々な想いが湧いてきたと。
選挙に用いる襷はビニール製のため、寒い正月にはとりわけ冷たく硬かったそうです。
村上さんが仰っていましたが、「片襷硬し」、この上五の凄さがあります。
選挙とわからなくてもそれだけで緊張感が伝わってくると。
そして「選挙に出馬する」人生経験、これがまず他にはなかなかないオリジナリティがありますよね。
こちらも村上さんが少し触れていました。
県政の舵取りを担った経験をお持ちの東さんに、人生経験で叶う人はそうそういらっしゃらないでしょう。
そこに東さんの最大の強みがある、それを痛感した今回の冬麗戦でした。
先生は説明を聞く前、料理人たちの「まな板初め」である可能性も考えたそうです。
まな板初であるなら、着物の袖を留める襷を指しますね。
まな板初めと選挙、晴れの行事と俗な行事、一句の中に2つの解釈があり、そしてどちらにしても句が成立している、そこに奥行きがあると評価されています。
いや、これは凄みを覚える句でした。
私は俳句の力が足りていないため、正直言うとジュニアさんと千賀さんと東さんの3句は甲乙つけ難いです。
わからないですね。
私の好みで言えば千賀さんが少し上回るかなくらい。
それでも東さんの凄みはずんときます。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の2022年冬のタイトル戦「冬麗戦」を視聴しての感想を書いた記事でした。
私の読解や解釈が正しいとは限りません。
むしろ間違えていることの方が多いでしょう。
おかしなことを書いていたら申し訳ありません。