『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2022年7月28日の放送に俳句コーナーがありました。
お題は「水族館」。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時00分から20時00分までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「清水麻椰」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「中田喜子」さん、「立川志らく」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2022年7月28日の放送でも扱われました。
今回のお題は「水族館」です。
「水族館」は季語ではないでしょう。
この回は「武田真治」さんと「平野ノラ」さん、アインシュタイン「河井ゆずる」さん、「ゆうちゃみ」さんが出演していました。
レギュラー陣では永世名人のフルーツポンチ「村上健志」さんと、名人6段の「立川志らく」さん、Kis-My-Ft2「千賀健永」さんが出演していました。
順位戦
まずは今回行われた俳句カテゴリの順位戦の結果です。
4位が武田真治さん(才能なし、30点)、3位が平野ノラさん(凡人、50点)、2位がゆうちゃみさん(才能あり、70点)、1位が河井ゆずるさん(才能あり、73点)でした。
気になった句
順位戦で個人的に気になった句は2位のゆうちゃみさんと1位の河井ゆずるさんです。
ゆうちゃみさんは型通りの、どっしりした俳句を詠まれて驚きました。
2021年12月にも一度出演していらっしゃるようです。
そのときは60点で凡人査定だったようですけど、今度は70点で才能あり、勉強してきたのかもしれませんね。
初参戦の河井さんもよい句でした。
耳骨と音にフォーカスしたところに着想の良さを感じさせます。
夏井先生も「本物がきた」と評価されていましたね。
次のご出演時にどのような句を詠まれるか、今から楽しみです。
名人10段を目指す試験
今回は立川志らくさんと千賀健永さんの名人10段を目指す試験がありました。
お二人とも試験を迎えて「名人6段」でした。
千賀健永さん
まずは千賀さんから。
句は、夏の盛りの頃に水槽のグッピーが揺れている様子が詠まれていました。
暑い時期に水槽のグッピーがゆっくり揺れることで寂しさを表現したとおっしゃっていたでしょうか。
季語は「旱星」。
読みは「ひでりぼし」。
7〜8月の暑い時期に南の空に赤く煌く星のこと。
結果は「1ランク昇格!」。
一言は「対比の工夫が見事!」。
水槽が出てくるから旱星との、熱い冷たいの対比がある。
グッピーと旱星とが、あたかも密かに交信しているかのような光景を描きたかったのではないか。
それが最後の「揺れる」の描写として効いてくる。
千賀さんはこれまで、色々詰め込みたがっていたけれど、やっと17音に盛れる分量と言葉の質量がわかってきたのではないかと感心します。
そうもおっしゃっていました。
こちらの句はとても良かったです。
私も以前、千賀さんは物語を作りすぎる傾向にあると書いています。
上にリンクを張った記事に。
それは先生がおっしゃったことと似たことで、私も今回その千賀さんのよくない傾向が直っている印象を持ちました。
それもあって、こちらは千賀さんがこれまで詠んだ中でも一番好きかもしれません。
詰め込むクセが本当に解消されたのか、それとも今回だけの偶然か、それを見極めるために次の出演回が待ち遠しいです。
立川志らくさん
次に志らくさん。
句は、ナポレオンフィッシュと油照りを取り合わせて詠まれていました。
水族館に入ってナポレオンフィッシュの雄大な泳ぎを見たら、何だか涼やかで、金持ちの旦那が「よっ!」と来たような、そんなイメージが湧いたのだそう。
季語は「油照り」。
読みは「あぶらでり」。
風がなく汗ばむような日和のこと。
結果は「現状維持!」。
一言は「外?中?どっちなの?」。
油照りという季語から始まると、炎天下、自分がそこに立っていると思う。
千賀さんの句と作りとしては一緒だが、千賀さんのは旱星の直後に「水槽」とワンクッションある。
ところがこちらは油照りの直後にナポレオンフィッシュがいきなりドーンと出てくる。
生身で魚が投げ出されているかのような印象を受けてしまう。
しかも「ナポレオンフィシュの旦那」とくるから、全体で誰かの比喩になっているかもしれないと受け取れ、不親切。
「ナポレオンフィシュの旦那」は俳諧味・滑稽味があり面白い。
ただこれを活かすための季語選びはすごく難しい。
先生は志らくさんの話を聞いた上で、一応の添削はありましたけど、作者の狙いから外れたものになっているので、志らくさんご自身で季語を探して欲しいということをおっしゃっていました。
千賀さんと同じような発想の句になっていました。
なっていただけに、優劣がはっきり出てしまい、志らくさんは余計に厳しかったですね。
私もこちらは評価できませんでした。
説明がないと映像が出てこないからです。
現状維持で済んでよかったなと思うくらい。
ご本人は「冒険をした」などとおっしゃっていました。
冒険をしすぎて句の景が見えなくなっては身も蓋もという。
つまりは自らの句を客観視できていないのでしょうね。
いや、客観視することはとても難しいと、俳句歴2年弱の私は痛感しているのですが。
俳句史に残る句集作り
永世名人である村上健志さんの句です。
句集に入れる50の俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
村上さんは50句まで残り28句です。
句は、アシカのミリアが吠えたけることと夏の空との取り合わせを詠まれていました。
実際に水族館に足を運ばれたそう。
アシカショーにミリアと名づけられたアシカが出ていた。
ミリアと詠んだことで、アシカが野生の個体ではない=水族館とわかる。
吠えたけると夏の雲の生命力は合うんじゃないかなと、村上さんはおっしゃっています。
季語は「夏の雲」。
結果は「掲載決定!」。
一言は「カメラワークが巧み」。
「吠えたける」の声から始まる。
何が何のために吠えたけているのかと思うと、アシカが出てきた。
その瞬間、どんな声かは、アシカの声を聞いたことのある人にはリアルに脳内に再生される。
さらに、ミリアと続き、名前のあるアシカであることで、そこで飼育されているのだとわかる。
ここまでで、アシカショーの光景がありありと出てくる。
そして、そこからの遠近感・奥行きとして、季語の夏の雲を持ってくることで、アシカから夏の雲へと焦点がドーンと移される。
季語を最後に据えたことで、夏の雲が主役になった。
これが永世名人の句です。
そういう先生の鑑賞でした。
よい句でした。
水族館飼育に縛られているアシカの、広い海に還りたい、束縛から逃れて自由になりたい、そういう叫びまでも描いているようで。
村上さんにとっては今回が永世名人になって初めての掲載決定でした。
ボツは2連続でしたか。
先日開催された「炎帝戦」でも結果がよくなかったですよね。
気負いすぎていらっしゃるのかもしれません。
今回の掲載決定がよいきっかけになるとよいです。
これで50句まで残り27句、まだ先は長そうです。
個人的には村上さんの俳句をできるだけ長く楽しみたいので、先が長くても何ら問題はありません。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の2022年7月28日放送の俳句コーナーのお題「水族館」回を視聴しての感想を書いた記事でした。
私の俳句の読解や解釈が正しいとは限りません。
むしろ間違えていることの方が多いでしょう。
おかしなことを書いていたら申し訳ありません。