漫画『魔女天使』を偶然古本屋に見つけ購入しました。
買うまで存在すら知らなかった作品なのでジャケ買いレベルです。
色々と感想を書きました。
目次
漫画『魔女天使』
漫画『魔女天使』についてです。
顔はブサイク、短身ガニマタの少年・物野けじめは、未来の大物を夢見て生きる少年・・・ではあるが、勉強もスポーツも苦手なけじめは、級友からはバカにされ、思いを寄せる美少女からは袖にされ、鏡を見ながら歯を食いしばって悔し涙を流す日々。ある日、そんなけじめの前に絶世の美女が現れた。「けじめが好き」という彼女は、けじめにつきまとって離れない。以来、けじめの周囲では魔女の仕業としか思えないちょっとした怪事件が続発する。
魔女天使のWikipediaには上記引用部のように書かれています。
全1巻。
売れなかったのか、当初から短編の契約で描き始めたのかはわかりません。
表紙の星野鉄郎のような男の子の両脇にいるのが魔女天使です。
表紙絵の魔女天使はポップと言いますか、エロを想像させるものがありますけど、内容的にはそんな要素はまったくありません。
表紙サギとまでは言いませんけど、ミスリード的なものを誘っているようでもあります。
知らなかった
『魔女天使』なる漫画作品を知りませんでした。
私は「松本零士」さんの漫画作品というと『銀河鉄道999』を1巻から10巻ほどまでだったでしょうか、そこまで読んだくらいです。
今でも最終巻まで読んでいないため、物語の結末を詳しくは知りません。
まぁ鉄郎は機械化せずに戻らないと物語の意味がないと思っていますが。
私の読んだ松本零士作品はそのくらいです。
他の作品、例えば『キャプテン・ハーロック』や『クイーン・エメラルダス』、『男おいどん』などは一切触れていません。
ハーロックやエメラルダスはアニメを少し観たかもしれませんけど、記憶にはないですね。
999はアニメも部分部分にしか観てきませんでした。
2020年の夏頃からtvk(テレビ神奈川)で999の再放送が流れています。
現在はそれを観ている段階です。
劇場版は子どもの頃に観たかもしれませんが、やはり内容を覚えていません。
書いていて、子どもの頃に『1000年女王』の劇場版がテレビで放送されたときに観た思い出が蘇りました。
が、こちらも内容はほぼ全て覚えていないですね。
退屈でつまらないと思った記憶が微かに残っているくらい。
なので『魔女天使』は当然読んだことがありませんでした。
冒頭にも書いたように、作品の存在すら購入時に知ったくらいですから。
何も知らなかったからこそジャケ買いができたとも言えます。
漫画『魔女天使』
前置きが長くなりました。
今回紹介するのは『魔女天使』です。
購入価格は100円です。
税込み110円ですね。
100円の割に状態は悪くありませんでした。
大きな破れや染みなどはありませんでした。
紙は茶ばんでいましたけど、これは流石に仕方がないかと。
昭和54初版、購入したのは同年の第4刷ですからね。
西暦に直すと1979年ですか、2022年からすると43年前の漫画です。
先ほど書いたように全1巻と思います。
上に貼った画像にも巻数表示がありません。
感想
『魔女天使』を読んだ感想です。
ネタバレが含まれますので大丈夫な方のみ下方スクロールをお願いします。
パラレルか?
まずこの時代の感覚なのでしょうか、あるいは松本零士先生の手癖なのでしょうか。
物語の設定がよくわからないです。
魔女天使は名前を「時野輪レイ(ときのわ・れい)」といいます。
物語序盤で自己紹介しています。
しかし時野輪レイの名前が出てくるのは序盤のみで、他では一切名前が出てきません。
自分で自分を魔女としか言いませんし、主人公の「物野けじめ」も「魔女」や「魔女天使」としか呼ばないのです。
また、上の「けじめ」の髪の色も、回によって白髪だったり黒髪だったりと異なります。
なのでこの物語は設定のいい加減さ、感覚の緩さみたいなものに溢れているように思います。
が、その一方で各話の「時野輪レイ」と「けじめ」は果たして同一人物なのかどうか、そこからして怪しいです。
私は各話がそれぞれ別の世界線、パラレルを描かれている可能性は十分あるだろうと感じています。
「けじめ」の髪色のこともそうですし、時野輪レイという名前からして時間だけでなく時空すら跳躍しそうですし、「けじめ」の惚れる女生徒の名字もしばしば変わっているようですし。
全1巻で1話完結なこともあり、その点の言及は物語内に一切ありませんから、正解は松本先生や当時の編集者のみぞ知ることでしょう。
絵が好き
私は松本零士さんの絵が好きです。
メカデザインもカッコイイですけど、先生の描く絵からは1960年代や1970年代の時代感がにじみ出てくるところが特に好きです。
『魔女天使』でも好きなカットがあります。
例えば上の画像。
自分の部屋に敷かれた布団にうずくまる「けじめ」のこのカット。
時代が詰まっているようです。
例えば、西陽が照りつける塀に「けじめ」がよりかかっている、このカット。
太陽が照りつける線と、柵の影が伸びている様子がたまりません。
小さなカットなのですけどね、とても雰囲気がある。
「松本零士の太陽」って感じ。
例えば、「けじめ」がいびきをかいて寝ている家の屋根の上に魔女天使が座っている、その陰が家全体を覆うように伸びているこのカット。
屋根の左側の瓦が明るいことから月が出ていると思われます。
しかし何故か魔女天使には光が当たっていない不思議。
よくよく考えると怖い絵です。
破滅の魔女
魔女天使はある夜、「けじめ」を破滅させに突然、彼の前に現れます。
人によってはお化けのようにも見える魔女天使。
メーテルに通ずる外見をしている魔女天使は、あくまで「けじめ」の目に見えている、あるいは脳が認識している魔女天使なのですね。
「けじめ」は外見が悪くコンプレックスを持ち、勉強も運動も苦手、クラスメイトの男子からも女子からも馬鹿にされたり相手にされなかったり、散々な男の子です。
魔女天使はどういう理由かわかりませんが、そんな「けじめ」の前に現れて不幸にしようとします。
が、「けじめ」が世の中に多くある理不尽に対して、鏡に映る自分を睨みながらぐっと歯を食いしばって堪えている様子を見ます。
魔女天使はそんな「けじめ」に自らの負けを認め、彼に強い興味を覚えるようになっていきます。
彼に惚れたのでしょう。
この「けじめ」の堪えているところ、そこに惚れて負けを認めるところ。
とても好きです。
ぼくの心の中とは関係ない
本作で私がとりわけ気に入っているエピソードがあります。
「魔法がとどかぬ世界」という回です。
空を飛べ、宇宙でさえも自在に移動できる、おそらく時空すら超えられる能力を持つ魔女天使です。
しかし、人の心の中に広がる宇宙へは入り込めないことを、「けじめ」から突きつけられる回があります。
この回が一番好きです。
私は気分変調症を患って久しいです。
気分変調性は大うつより症状が軽いみたいなのですよね。
しかし大うつより軽いか重いかなんて、私には知ったことではないのです。
他と比べて軽かろうと、私自身が辛さから解放される訳ではないのですから。
こういった「○○よりマシ」理論が私は大の苦手です。
宇宙がいくらひろくたって
星がいくらあったって
ぼくの心の中とは関係ないやい!!
その理由を、貼った画像の「けじめ」のセリフが代弁してくれているように思います。
などと言ってはいるものの、私自身それを使ってしまうことがあります。
後でそれに気づいて強い自己嫌悪に陥る。
矛盾していますけれども、人間そんなものかもしれません。
おわりに
ということで漫画『魔女天使』が古本屋に売られていたので購入し、読んだ感想を書いた記事でした。