『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年10月21日の放送に俳句コーナーがありました。
お題は「ランキング」。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2021年10月21日の放送でも扱われました。
今回のお題は「ランキング席」です。
『プレバト!!』でお馴染みの出演者の順位や才能のありなしを決める、あの段差のついた座席のことですね。
当然ながら「ランキング席」は季語ではないでしょう。
今回は作り手が自分で俳句に合った季語を探す必要があります。
この回は通常の順位戦がありませんでした。
レギュラー陣では「東国原英夫」さんと「立川志らく」さん、「A.B.C-Z」の「河合郁人」さんが出演していました。
順位戦
まずは今回行われた俳句カテゴリの、順位戦の結果です。
今回は順位戦がありませんでした。
特待生を一斉査定
今回は河合さんの特待生昇格試験がありました。
志らくさんの昇段試験もありました。
河合郁人さん
河合さんは試験を迎えて「特待生5級」でした。
1ランク昇格なさったら特待生4級になるようです。
句は、デビュー曲が1位になって行きつけの蕎麦屋に行き新蕎麦を食したことを詠んでいました。
季語は「新蕎麦」。
晩秋の季語のようですね。
新暦ですと10月くらいの話になるでしょうか。
結果は「1ランク昇格」。
晴れて特待生4級になりました。
おめでとうございます。
理由は「実感が1番」とのことでした。
夏井先生による解説です。
破調が上手くいった。
上五、実際には8音だったのですが、ここで状況が一読でわかるし勢いがある。
上五の最後「一位(いちい)」と中七、実際には5音だったのですが、「行きつけの」の「い」、この「い」の音が韻を踏んでいて「い」のリズムで展開している。
下五が季語の新蕎麦。
デビュー曲が1位だから派手なところへいくのかと思ったら蕎麦屋、苦労しながらデビュー曲がという、落ち着きの部分が案外味になっている。
常に自分の実感を詠んでいってくださいね、とのことでした。
添削はもちろんなし。
立川志らくさん
次に立川志らくさんの昇段試験です。
志らくさんは試験を迎えて「名人4段」でした。
1ランク昇格なさったら名人5級になるようです。
句は、秋に歯車の音が聞こえることを詠まれていました。
と書くと意味がわからないですよね。
歯車の音が聞こえるというのは、夏から秋になると頭痛がすることをいうそうです。
芥川龍之介が『歯車』で、片頭痛の前兆の症状を「歯車」に例えたことから使われるようになっているとか何とか仰っていました。
『プレバト!!』のランキング席を見ると常に頭が痛くなることとも重なっているようです。
私は芥川をそこそこ読んだつもりなのですが、『歯車』は読んでいないかもしれません。
そんな話ありましたっけ。
私のことですから読んだのに忘れてしまった可能性も高いです。
季語は「秋の空」。
そのまま、澄んでいて爽やかな秋の空のことでしょう。
結果は「現状維持」。
理由は「読者に寄り添って!」。
先生の解説です。
歯車が何を比喩しているかをちょっとだけ読者にヒントを与えて欲しい。
中七「音が聞こゆる」の歯車の音というと、軋んだ(きし・んだ)音。
だから「軋む」という動詞を核にして、主役の季語「秋の空」を主役にもっと立てた方がよい。
添削です。
「歯車の」だった原句の上五を「歯車や」と詠嘆。
中七「音が聞こゆる」をすべて削除。
「秋の空」を「秋空」に、「軋むほど青し」へと続けていました。
自分の頭の歯車が軋むほどだ、この秋空の青さは一体なんだ、そういう句になっていました。
こちらならまだ芥川がの『歯車』へと想像をつなげられる人はいることでしょう。
それでもまだ厳しい気はしますけど。
添削というより改作のようになっていました。
原句が何を言っているのか伝わらない句でしたから、仕方のないことでしょう。
皆が皆、芥川の『歯車』を読んでいる訳ではないですし、読んでいたとしてもこの句から頭痛に想像をつなげられるかは別問題として残ります。
そのくらいに頭痛的な要素が原句には少ない、もっと言えば無いです。
よく降格しなかったなと思うほど、私にとってはよくない句でした。
今回、志らくさんは珍しく5・7・5の定型に挑まれました。
たいていは破調なのですけれども。
タイトル戦でないところで定型を試したかったのでしょう。
結果、今回はうまくいかなかったですけど、こういうことは繰り返した方がよいと私は思います。
避けていると力がつかないですから。
今回、志らくさんは河合さんに対して、特待生ならば破調より定型をしっかり身に染み込ませるべきだというような、少々説教じみた発言をしていました。
原文ママではありません。
しかし、結果として河合さんは破調をうまく詠み、志らくさんは定型をうまく詠めませんでした。
どの口が言うのか的なオチもついていましたね。
この辺りも志らくさんらしいような。
追記:
『歯車』をざっと読んでみました。
歯車は頭痛の前兆として見える半透明の歯車のことなのですね。
歯車の「音が聞こえる」訳ではなく歯車が「見える」みたいです。
それなら原句から芥川の作品を想起させることはもっと難しいでしょう。
駄目ですね、私にとっては降格の句です。
東国原さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である東国原さんの句です。
句集に入れる50の俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
句は、最下位を怖れるな、夜長を怖れるなと詠まれていました。
ほとんど原句そのままですが。
夜、俳句を考えていると最下位になることが頭に浮かんでくる恐怖がある。
助詞をどうするかなどを考えているとまた夜が長いと、そういう俳句だそうです。
季語は「夜長」。
秋の夜が長いことですか。
判定は「ボツ!」。
先生からの一言は「気持ちは分かるが…」です。
先生の評価です。
最下位という言葉が東さんにとって重要だとはわかる。
一句として見たときに最下位という言葉が詩の純度を落としている。
そういう評価でした。
添削です。
何の分野の「最下位」なのかをちょっとだけ明確にしたいとのこと。
原句「最下位」のところを「詩を」とし、「夜長」を「長き夜を」としました。
「怖れるるな○○を」でリフレインさせる俳句に直していらっしゃいました。
恐れないで詩にぶつかっていきましょう、そしてこの長き夜を一緒に格闘していきましょう。
そういう俳句になっていました。
さすが、素晴らしいですね。
東さんも添削句をご自身の句集に載せたいと仰っていたくらい。
東さんは句集作りに入ってから、詠んだ俳句が一度もボツになっていませんでした。
今回が初のボツです。
5回連続掲載決定を勝ち得ているだけですごいことと思います。
ただ今回の俳句はよくなかったですね。
私たちは映像や東さんからの説明があるので何を言っているかわかります。
しかし知らない人がこの句を読んでも何を言っているかわからないと思います。
添削句はよかったので、発想が悪いということではないのでしょう。
添削が見事すぎたとも言えますが。
今回はお題がお題名なこともあって、東さんも志らくさんも低調でした。
俳句にしづらいお題はあるでしょう、今回はそれだったと。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「ランキング席」回を視聴しての感想を書いた記事でした。
私の読解や解釈が正しいとは限りません。
むしろ間違えていることの方が多いでしょう。
おかしなことを書いていたら申し訳ありません。