2019年1月13日日曜日22:30から『tvk(テレビ神奈川)』にて放送されている音楽トーク番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』、
2019年5月19日の放送は第15回「松任谷由実」特集でした。
特集の中で「歌が上手い」ことについての言及があり、個人的に興味深かったです。
目次
tvk『ザ・カセットテープ・ミュージック』
2019年1月13日日曜日22:30より『tvk(テレビ神奈川)』にて音楽番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』の放送が始まりました。
「カセットテープ」のリバイバルブームがきている昨今。
昔懐かしのカセットテープが流れる、珠玉の『80年代歌謡曲』を聴きながら、夜な夜なトークを繰り広げていく、夜更かし好きなオトナたちのための音楽トーク
録画データの番組説明にはこのように書かれていました。
元々は2017年に『BS12 トゥエルビ』で放送されていた番組で、tvkが放送の権利を買って2019年から放送している、ということになるのでしょうか。
『ザ・カセットテープ・ミュージック』の番組MCは、俳優でありミュージシャンの「マキタスポーツ」さんと、音楽評論家・野球評論家の「スージー鈴木」さんのお二人です。
第3回からでしたか、「カセットガール」と名付けられた番組アシスタントの女性タレントさんも1名加わっています。
カセットガールは1回の収録ごとに人が替わるようです。
放送時間の変更
2019年度から、tvkで放送されている『ザ・カセットテープ・ミュージック』は放送時間が変わりました。
2018年度は毎週日曜日22:30から23:00まで放送されていました。
2019年4月28日日曜日に放送された、第12回「春の名曲フェア~マキタの春~」からは23:30から24:00までの放送に変更されています。
ご注意を。
第15回「松任谷由実」特集
2019年5月19日の放送は第15回「松任谷由実」特集でした。
ユーミンですね。
今回は、歌詞を紹介すると泣いてしまう(スージーさん談)ので、ユーミンが行った革新的な「音づくり」にフォーカスを当てて曲を紹介していました。
曲はスージーさんチョイス。
今回は「松任谷由実特集」と言いつつも「荒井由実」期の曲が多めです。
それほど……
私は、松任谷由実さんの曲はそれほど得意ではないのですね。
番組でも紹介されていた「卒業写真」などは名曲と思いますし、他にも良い曲はたくさんあると思いますし、天才の類いなのだろうとも思うのですが……。
良い曲とは思うけれど、好きかどうかでいうと……という。
嫌いということはないですけどね。
A面3曲
A面は3曲紹介されていました。
A面は、ユーミンが使ったことで我々が初めて聴いたであろうコード、スージーさんが言うには「ユーミンコード」が使われている曲3曲です。
1曲目が「卒業写真」で、2曲目が「中央フリーウェイ」、3曲目が「A HAPPY NEW YEAR」。
特に3曲目の「A HAPPY NEW YEAR」のコードの話が、個人的にはなるほどと納得できるものでした。
「凍る街路樹」の歌詞のところで、木が凍るほど寒い街路を一人称の女性がせっせと走っている様子が思い浮かぶ、マキタさん曰く、その「樹氷感」が「B7(ビー・セブン)」のコードを使うことで見事に表現されている、という評価です。
あそこで「E♭m7(イー・フラット・マイナー・セブン)」からの「B7」へ行くことに、ユーミンの明確な意思を感じると言っていたでしょうか。
確かに、スージーさんの解説を受けた後に曲を聴くと、外気が冷たく張り詰めていたり、走る女性の吐く息まで白くなっていたりする様子が目に浮かんでくるようでした。
マキタさんが言った「樹氷」までいってしまうと、言いすぎかなと思いますが。
私にとっては、この曲の舞台が東京など都会のイメージなので。
B面3曲
B面も3曲です。
B面はユーミンの革新的なメロディーが紹介されていました。
B面1曲目が「ロッヂで待つクリスマス」、2曲目が「メトロポリスの片隅で」、3曲目が「瞳を閉じて」。
サビの部分でメロディーが「奇想天外」に跳躍する様子が取り上げられていました。
特に「メトロポリスの片隅で」では、機械的にメロディーが急上昇・急降下上下動している、ということでした。
あれほど突飛なメロディやコードを使っていても曲として破綻をしない理由の一つはアレンジにある、という指摘をスージーさんがしています。
ユーミンがメロディやコードで冒険をしても、松任谷正隆さんがアレンジまで冒険しないことでバランスが保たれているのではないかとか何とか。
これもなるほどでした。
歌が上手いは貧乏くさい?
B面2曲目「メトロポリスの片隅で」のときに、マキタさんが興味深いことを言っていました。
彼の発言を少し書き出してみましょう。
ユーミンと言えば清水ミチコさん(笑)
ミチコさんと対談していて面白かったのは、ミチコさんは歌が上手いってこと自体に「貧乏臭さ」を感じるっていう名言を残していて。
例えば歌が上手いとかそうじゃなくて、もっと超然とした人たちがいるでしょ、そういう人たちの「味」が好きです。
なんだったら、ピッチとか不正確かもしれないけど、「芸」みたいな感じで歌が上手いみたいなものじゃない方が私は好みですって言ってて、その範疇にどっちかって言うとユーミンはいるわけ。
だから好きなんです、って。
あの人(ユーミン)が歌うメロディとかっていうのは、誰が歌っても良いような感じにはなっていないですよね。
引用部のようにマキタさんは仰っていました。
別の仕事、これはラジオでしょうかね、マキタさんが清水ミチコさんと対談をしたことがあって、そのときの会話についてマキタさんが紹介をしていたパートです。
ユーミンがたまに使う言葉で「私の才能ってのは私の能力を超えている」って言うんですね。
だから自分が歌えるメロディを超えてメロディができちゃうから、ってね。
マキタさんの言葉を受けて、スージーさんは上記引用部のように言っています。
私が興味を抱いた点は、ミチコさんは歌が上手いってこと自体に「貧乏臭さ」を感じる、という点ですね。
逆を言えば、味わいのある歌唄いの方からは豊かな印象を受ける、ということでもあるのでしょう。
昨今、素人の方がカラオケで曲を歌って100点近い高得点を連発してスゲーーーとなるテレビ番組がありますよね。
一時に比べれば最近は人気がやや下火になったでしょうか?
トレーニングを積めば、カラオケで高得点を狙えるように上手く歌を歌うことができる、あるいは音域が広く、特に高音域を綺麗に出せる(それができるかどうかも人によるでしょうけど)。
でも、清水ミチコさんの仰る「上手い」はそういう意味ではないですね。
機械的に判定できる上手い下手の範疇を超えたところに存在している歌唄いこそ、「リッチ」な歌手なのでしょう。
仰っていることは何となくわかります。
ユーミンとか忌野清志郎さんとかは、清水さんが言っている上手い人に入るかもしれません。
井上陽水さんや桑田佳祐さんもそうでしょうか。
最近の音楽はほぼ聴かないため、今売れている方で上手い方の名前を挙げられません……。
そう言えば、先日Eテレのある番組で漫画家の「安彦良和」さんが、最近の人はデジタルでとても綺麗に絵を描けるから、手描きの僕の絵は汚くて見るたびに落ち込む的なことを仰っていました。
細部は異なるかもしれませんけど概ねこのような発言でした。
この点についても清水さんの仰っていることと共通なものを感じます。
私には安彦さんの絵は唯一無二に見えますし、魅力的に感じられますから。
こういう感覚的なものは主観が多分に入ることなので、絶対にこうだ!とはいかないでしょうから、難しいですね。
おわりに
ということで、『ザ・カセットテープ・ミュージック』の第15回「松任谷由実特集」と、歌が上手いことは「貧乏くさい」と感じるについて書いた感想記事でした。
ユーミンの曲で個人的なベスト1は「リフレインが叫んでる」です。
当時の記憶とセットになっていて、曲を聴くと必ずその時のその場所の記憶が蘇ってきます。

- 作者: ザ・カセットテープ・ミュージック,マキタスポーツ,スージー鈴木
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