「原田真二」さんのベストアルバム『GOLDEN☆BEST OUR SONG~彼の歌は君の歌~』を購入しました。
名曲ばかりで驚きました。
CDジャケットの紹介や曲を聴いた感想を書いています。
目次
『ザ・カセットテープ・ミュージック』
今回、原田真二さんのCDを聴くきっかけは、tvk(テレビ神奈川)で再放送されているBSトゥエルビの音楽番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』です。
影響を受けやすい性格のため、『ザ・カセットテープ・ミュージック』で扱われた曲を聴きたくなります。
tvkでは2019年9月8日に第32回「やっぱり、ビートルズ特集」が放送されました。
そこで紹介された1曲が原田真二さんの「OUR SONG」だったのですね。
「OUR SONG」を聴いて影響を受けて、このたびCDを購入するところまで行きました。
実はよく知らない
私は原田真二さんのことはほぼ知りません。
私の中で最も古い原田真二さんの記憶は、TBSで放送されていた『ザ・ベストテン』です。
言わずもがなの伝説的な音楽ランキング番組。
目が大きくクリっとし、頭もクリクリカールしている男性がピアノの前に座って、Elton John(エルトン・ジョン)、あるいはBilly Joel(ビリー・ジョエル)よろしく、ピアノを弾きながら歌を歌っている姿が印象に残っています。
曲は確か「キャンディ」だったと思います。
「キャンディ」は1977年11月25日リリースのセカンドシングルで、『ザ・ベストテン』は1978年1月19日スタートです。
年代から、私はリアルタイムでは原田さんを観ていないと思います。
おそらくベストテン内で過去の出演者の特集を組んだり、ベストテンを特集した番組だったりで、原田さんが歌っている姿を観たのでしょう。
それが最も古い記憶であり、それ以降も原田さんをテレビでお見かけしたことはありませんでした。
記憶していないだけで観たことはあるかもしれませんけど。
でも記憶にある限りでは、あれが最初で最後だったような。
要するに、私は原田さんのことはほぼ知りません。
あれから何十年と経ち、忘却の彼方にいた原田さんでしたが、先述した『ザ・カセットテープ・ミュージック』が私に原田さんを思い出させてくれました。
『ザ・カセットテープ・ミュージック』の第32回「やっぱり、ビートルズ特集」で扱われた曲の1つが、原田さんの「OUR SONG」という曲でした。
私は「OUR SONG」をこのとき初めて聴きました。
初めてのはずなのにメロディがスッと耳に入ってくる耳馴染みの良い曲で、歌詞も大きなことを歌っているのに決して大味になっていない。
これは名曲ではないかと思い、このとき原田真二というミュージシャンを改めて意識することになりました。
『GOLDEN☆BEST OUR SONG~彼の歌は君の歌~』
今回紹介するCDは『GOLDEN☆BEST OUR SONG~彼の歌は君の歌~』です。
ベスト盤ですね。
画像がブックレットの表紙とジャケットの裏。
原田さんは画像のような可愛らしさから、アイドル的な扱いを受けていたミュージシャンのようです。
彼の本意ではなかったそう。
ブックレットの裏表紙とCD。
今回は『ブックオフ』で購入しました。
価格は1,200円ほどでした。
説明
簡単な説明です。
本作はベストアルバムです。
原田さんはベストアルバムをたくさんリリースされているようですが、本作は2002年11月20日リリースのバージョンということになりそうですね。
所属するレーベル『フォーライフ・レコード』が『フォーライフミュージックエンタテイメント』に社名を改めてからは初のベスト盤になるでしょうか。
収録曲はデビューの1977年から1979年までの最初期の作品をチョイスしているようです。
曲リスト
『GOLDEN☆BEST 原田真二 OUR SONG〜彼の歌は君の歌〜』の曲リストです。
- OUR SONG
- タイム・トラベル
- サゥザンド・ナイツ
- シャドー・ボクサー
- グッド・ラック
- キャンディ
- A DAY
- RANDY BROWN
- スウィート・ベイビー
- MUSIC BOX
- 黙示録 (The Revelation)
- 風をつかまえて
- てぃーんず ぶるーす
- ジョイ
- サン・ライズ
- 恋をブレンドドレッシング
- MARCH
- NATURAL STREAM
曲のリストは上記のようになっています。
全18曲、トータル70分。
作詞作曲、それに編曲も原田さんが多いです。
デビュー時は「松本隆」さんが作詞を担当しているみたいですね。
4曲目「シャドー・ボクサー」は「後藤次利」さんが編曲を担当しています。
他にも編曲を中心に何人かの方が参加していらっしゃいます。
聴いた感想
原田真二さんのベストアルバム『GOLDEN☆BEST 原田真二 OUR SONG〜彼の歌は君の歌〜』を聴いた感想です。
これから書くことは、あくまでも私の個人的な感想です。
絶対的な評価ではないことをご了承ください。
見当違いなことを書いていたり、認識に誤りがあったりしたら申し訳ありません。
感想は「極めて良い」です。
とんでもないレベルだ、これは。
極めて優れたポップ・ロック
先ほど書いたように、私は「キャンディ」と「OUR SONG」の一部しか知らないような人間でしたから、他の曲はほぼ知らない状態で聴きました。
全曲を聴いて、全体的なクオリティが非常に高いことに驚きました。
デビューした1970年代後半というと、日本の音楽がフォークからニューミュージックへの移行期、あるいはJ-POPが芽生えつつある頃と思います。
そんな時代において、これだけポップなロックを世に展開していた事実に驚きを禁じ得ません。
時代を先んじていた、それも相当に先を行っていたでしょうね。
ギターの演奏もそうですし合いの手もそうですけど、日本人離れしているようです。
めっちゃ日本語が上手な外国のミュージシャンが歌っている・弾いていると言われても違和感がないほどの声や演奏のグルーブ感。
ビートルズの雰囲気
作品全体から「THE BEATLES(ザ・ビートルズ)」の曲の雰囲気が漂っています。
例えば、1曲目「OUR SONG」は「Let It Be(レット・イット・ビー)」を、6曲目「キャンディ」は「Michelle(ミッシェル)」を想起させます。
影響を受けたことは間違いのないところと思います。
しかし、ただのパクりや真似にはなっていない、咀嚼して自分のものにしている感じがあり、良質な日本のポップ・ロックになっていると私には思えます。
これは『ザ・カセットテープ・ミュージック』でも言われていたことですね。
本作を聴いて、番組で言われていたことを納得することができました。
デビュー3部作
先ほどから書いているとおり「キャンディ」は既知の曲でした。
今改めて聴いても相変わらず良曲です。
原田さんは1977年10月25日に「てぃーんず ぶるーす」でデビューして、その翌月25日にリリースされたのが「キャンディ」でした。
さらに翌々月20日にサードシングル「シャドー・ボクサー」をリリースしています。
つまり、デビューからサードシングルまではほとんど間がなく、毎月立て続けにリリースされたようです。
3曲ひっくるめてデビュー曲と言って良いくらい。
レーベル側の企画として、戦略的に「原田真二」を売ろうとしてる意図を見て取れます。
「キャンディ」は暗さや陰湿さすら感じさせるバラードです。
単体でリリースされていれば目立たずに売れなかったかも知れません。
ところが3曲のパッケージとして考えた場合には事情が異なります。
デビューシングルの「てぃーんず ぶるーす」がポップソングでしたから、立て続けに出すセカンドは1曲目からの落差を出すべく、戦略的にバラードを採用したのでしょう。
見方を変えると、「キャンディ」はトリロジーの真ん中あった曲だから通用した・売れたのかな、と思ったり思わなかったり。
原田真二はこれだけ幅のあるミュージシャンなのだと自ら示した格好です。
「キャンディ」だけでなく、デビューシングルの「てぃーんず ぶるーす」も、サードシングルの「シャドー・ボクサー」もまた良い曲なんですよね。
デビュー当時の原田さんの年齢は18歳だったそう。
「シャドー・ボクサー」なんて、18歳が歌う曲としてはメロディが大人っぽすぎます。
編曲は後藤次利さんなのであれですけど、作曲は原田さんご本人ですからねぇ。
まさに早熟の天才です。
「キャンディ」「A DAY」「RANDY BROWN」
本作はベストアルバムなこともあって、全体的に良い曲ばかりです。
とりわけ6曲目「キャディ」、7曲目「A DAY」、8曲目「RANDY BROWN」の3曲の流れが好きです。
また「キャンディ」、どんだけ好きなのかと。
私はコードのことが全くわからないので見当違いなことを書くかも知れませんが、この3曲はいずれも切ない、マイナー調の曲です。
私は元からマイナーな曲が好きということもあって、3曲とも好みですね。
しかも、6、7、8曲目と続く3曲の流れがとても好きで、構成の妙味を感じさせます。
もっと言わせていただくと、特に6「キャンディ」から7「A DAY」に続くところは、まるで1曲の続きかのように、曲から曲へスムースに移行しているようです。
「A DAY」はイントロがほぼなく、唐突にAメロが入ることが理由としてはあるでしょう。
一番は「キャンディ」ではない!
キャンディキャンディと書いていますけど、実は本作で一番好きな曲は「キャンディ」ではありません。
「A DAY」と「RANDY BROWN」が好きです。
この2曲は甲乙がつけがたい。
「キャンディ」もすごく好きですよ。
「A DAY」も「RANDY BROWN」も原田さんが作詞作曲編曲を全て行っています。
そのためか歌詞からは松本隆さんが書いていた、淡く切ない、繊細な男の子像は失われているように思います。
デビュー時の原田さんから受ける印象は、言い換えれば「松本隆というフィルターのかかった原田真二」でもあったでしょう。
しかし、この2曲などから感じられる詞の印象こそが、実は本物の原田真二なのですよね。
そして、私がこの2曲を好きな理由もそこにあるのかもしれません。
この2曲は詞の内容がとても良いと感じています。
「A DAY」からはアイドル的に売れている現在の自らの状況を、客観的に捉えている・捕らえている様子をうかがえます。
今は刹那の盛り上がりに過ぎないと、極めて冷静な自己分析がそこにはありました。
「RANDY BROWN」は何とかして現状を打破したい、そのためには今のファンを置き去りにしてしまうかも知れないけど、それでも自分は世界に向けて羽ばたきたいのだ、という青さもありますが、切実な想い・決意が伝わってくるようです。
何もフィルターがかかっていない、剥き出しの原田真二がそこにはいます。
時代が追いつけなかった
しかし残念ながら、私が記憶している限りにおいて原田さんは、初期に売れた以降なかなか業界の表舞台に上がって来られなかったと思います。
音楽業界に詳しくないので、私が知らないだけかも知れません。
本作を聴いて不思議に思います。
このような突出した才能が、どうして井上陽水さんや山下達郎さん、小田和正さん、松任谷由実さんのように、息が長く売れなかったのかと。
理由は、これもよく言われていることと思いますが、生まれた時代が早すぎたからなのかもしれません。
または時代が原田真二について行けなかったのかもしれません。
世間が、あるいは当時の日本の音楽業界が、原田真二という才能に気づけなかったのかもしれないし、気づけたけど僻みや妬みなどから気づかないフリをしたのかもしれない。
一方で、原田さんが正直すぎたのかも知れないし、日本の芸能や音楽業界を正面突破しようとしすぎた、そうとも言えるのかもしれません。
出る杭は打たれてしまったのかと想像してしまいますね。
「しれない」ばかり書き、失礼しました。
『ザ・カセットテープ・ミュージック』では、レギュラー出演している「スージー鈴木」さんが仰っていたことがあります。
それは原田真二さんは、ジョン・レノン (John Lennon) のプロデュースを受ける予定であったということです。
ソースは原田さんのインタビューだそう。
ジョン・レノンにも企画の話は行っていて、計画を進めようとしていたそうですが、その最中にジョン・レノンがアメリカのニューヨークで凶弾に倒れました。
当然ながら計画は立ち消えになり……というようなことを、スージーさんは言っていたかと思います。
しかし、このことで原田さんの潮目も決定的に変わったしまったことは、想像に難くないですね。
当時のジョン・レノン、あるいはビートルズは絶対的な存在だったでしょうし、そんなジョン・レノンから認められていた原田真二って……という。
何だか色々ともったいない感じがしてしまいます。
その他
本作は全体的に良いので、これまで挙げた曲の他も良い曲ばかりです。
「恋をブレンドドレッシング」と「MARCH」なんてとても好きです。
「恋をブレンドドレッシング」は7thシングルの「スウィート・ベイビー」のB面、「MARCH」は9thシングルだそう。
「恋をブレンドドレッシング」はアコースティックギターとハーモニカが軽やか・爽やかで、サビなどは日本人離れしたグルーブ感を出しています。
「MARCH」は、夢破れつつある現状を感じ取っているであろう歌詞が悲しいです。
でも、それでも俺は生きてるんだ、前に進んでいくぞ! という強烈な意志を感じて、ポジティブなメロディとアレンジが悲しいけど心地良い、絶妙な曲です。
おわりに
ということで、原田真二さんの『GOLDEN☆BEST OUR SONG~彼の歌は君の歌~』を購入したので、聴いた感想を書いた記事でした。
名曲ばかりです。
2019年現在、原田真二さんのことを語られることが少ないですけど、もっと評価されて然るべきアーティストだと感じました。
オリジナルアルバムも聴いてみたいですね。
- アーティスト: 原田真二
- 出版社/メーカー: FOR LIFE MUSIC ENTERTAINMENT,INC.
- 発売日: 2016/11/16
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