音楽の「レゲエ」が「ユネスコ (UNESCO) 」の「無形文化遺産」に登録されました。めでたい。
レゲエというかスカやロックステディ、レゲエ、タブなどジャマイカの音楽が好きな私が、お気に入りのジャマイカン・レゲエ・ミュージックを紹介します。
予め言っておきますと、ジャマイカの音楽は好きですけど詳しい訳ではありません。逃げ道。
目次
- レゲエの無形文化遺産登録
- レゲエとは?
- お気に入りのレゲエミュージック10選
- 1. THE SKATALITES『Ska Authentic Vol.1』
- 2. THE WAILERS『The Wailing Wailers』
- 3. AUGUSTUS PABLO『This is AUGUSTUS PABLO』
- 4. DON DRUMMOND『100 Years After』
- 5. KEN BOOTHE『Mr. Rock Steady』
- 6. THE SKATALITES『From Paris With Love』
- 7. SUSAN CADOGAN『Hurt So Good』
- 8. LEE PERRY & THE UPSETTERS 「Super Ape」
- 9. PHYLLIS DILLON『One Life To Live』
- 10. PRINCE BUSTER『Ska-Lip-Soul』
- おわりに
レゲエの無形文化遺産登録
レゲエ・ミュージックが2018年11月29日、『UNESCO』こと国連教育科学文化機関の「無形文化遺産 (Intangible Cultural Heritage of Humanity) に登録されました。
http://www.afpbb.com/articles/-/3199783
リンク先にもレゲエの無形文化遺産登録のニュースが紹介されています。
「不平等や抵抗、愛、人間性の問題に関する国際的な議論に貢献している事実には、知性に訴えるものであると同時に、社会政治的、感覚的、精神的な要素が持つ原動力がはっきりと表れている」
……だそうです。
確かにレゲエミュージックには「不平等や抵抗、愛、人間性の問題に関する国際的な議論に貢献している事実」があるのかもしれませんが、一方であちらはアルビノだったり同性愛だったり、そういう人たちには非常に厳しい側面もある気がします。
いや、これは私の認識不足かもしれないのでうかつなことは書けないです。
レゲエとは?
そもそもレゲエとは何? ということになります。
レゲエ(Reggae 英語発音: [ˈrɛɡeɪ])は、狭義においては1960年代後半ジャマイカで発祥し、1980年代前半まで流行したポピュラー音楽である[1]。広義においてはジャマイカで成立したポピュラー音楽全般のことをいう[1]。
レゲエのWikipediaにはこのように書かれています。
狭義では1960年代後半にジャマイカで発祥したポピュラーミュージック、広義においてはジャマイカのポピュラーミュージック全般を指すようです。
今回私が紹介する音楽は広義としてのレゲエになります。
スカやロックステディ、レゲエ、ダブといったところ。無形文化遺産に登録されたレゲエも広義としてのそれを指していると受け取れますので、今回はそれに倣った記事にさせていただきます。
狭義のレゲエは直接的には同じくジャマイカのポピュラー音楽であるスカやロックステディから発展したが、ジャマイカのフォーク音楽であるメント[注釈 2]や、アメリカ合衆国のリズム・アンド・ブルース、トリニダード・トバゴ発祥のカリプソ、ラスタファリアンの音楽であるナイヤビンギ、コンゴ発祥のクミナ (Kumina) や西アフリカ発祥のジョンカヌー (Jonkanoo)、さらにはマーチなど多様な音楽の影響を受け成立した[2][3][4]。
このようにも書かれています。カリプソやメント、スカ、ロックステディ、そしてレゲエと繋がってて、成立にはアメリカの音楽やアフリカの音楽も大きく関係しています。
この辺りのことを知らない方には、スカをスカとして知っている、レゲエをレゲエとして知っているけど、スカとレゲエが繋がっていることを知らない、そういう方が多い印象があります。スカがジャマイカ発祥の音楽と知らないからでしょうか。
1959年にはイギリスから自治権を獲得し、1962年にイギリス連邦加盟国として独立(ジャマイカの独立(英語版))。
ジャマイカのWikipediaにはこのように書かれています。
1960年代の中期以降ジャマイカの音楽が急激に盛り上がった背景には、このジャマイカのイギリス連邦加盟国として独立したことがあるでしょう。
1962年には英連邦王国として独立を果たした。これを機にジャマイカのミュージシャンが自らのアイデンティティを象徴する音を模索し始めたことや、サウンドシステムやプロデューサー間の競争が激化したことによって生まれた音楽がスカであった。
前出のレゲエのWikipediaにも書かれていました。
お気に入りのレゲエミュージック10選
私が気に入っているレゲエ・ミュージック10選を紹介します。
この場合のレゲエとは広義のレゲエで、スカもロックステディもアーリーレゲエもダブも含まれます。
紹介する順番は思い出した順です。特に意味はありません。
1. THE SKATALITES『Ska Authentic Vol.1』
1作品目は、「ザ・スカタライツ (The Skatalites) 」の『Ska Authentic Vol.1』です。
この作品を聴かなければレゲエは始まらないのです。
レゲエの隆盛は彼らの存在あってこそ、ということは無形文化遺産登録も彼らあってこそ、と私は思っています。
1963年に結成、翌64年にスカタライツとして本格的な活動を開始したと記憶していますが、本作『Ska Authentic』は活動開始をした頃に収録した作品だったはずです。
本作の中では、メンバーのうちテナーサクソフォンを担当していた「ローランド・アルフォンソ (Roland Alphonso) 」が主導する「Ball Of Fire」が好きですね。
レコード版には収録されていなかったと思いますが、テナーサクソフォンやフルートを担当していた「トミー・マクック (Tommy McCook) 」が主導する「Ska Ba」、あるいは「Heaven Declare」といったところもかなり好き。
いや、でも本作は全ての曲が素晴らしく、全て通して聴いていただきたいです。
2. THE WAILERS『The Wailing Wailers』
2作目は「ボブ・マーリー(Bob Marley)」ら「ザ・ウェイラーズ (The Wailers) 」の「The Wailing Wailers」です。
The Wailing Wailersという名称は、ウェイラーズがウェイラーズに定着する前のバンド名であったはず、落ち着くまで幾つかバンド名を変えていましたよね。The Teenagersとか。
ジャケットは画像とは別バージョンもあった気がしますが……どうだったでしょうか。シングルの『One Love』と勘違いしているかも。
1965年リリース。
ボブ・マーリー=レゲエのイメージが強いと思います。本作はレゲエでなくスカですね。ボブさんがトレードマークのドレッドヘアではありません。
本作には既に、あの有名な「One Love」が収録されていますし、「Ska Jerk」はウェイラーズ好きには人気の曲ではないでしょうか。かっこいい。
個人的には「Simmer Down」が一番好きで、踊りたくなります。踊らないし踊れないですけど。
3. AUGUSTUS PABLO『This is AUGUSTUS PABLO』
3作品目が「オーガスタス・パブロ (Augustus Pablo) 」の「This is AUGUSTUS PABLO」です。タイトルで自己紹介していますね。
画像を見てお分かりいただけるかと思いますが、オーガスタス・パブロはピアニカ……というのは商標でしたっけ、「メロディカ」、「鍵盤ハーモニカ」を操る人です。だけではなかったでしょうけど。
鍵盤ハーモニカは「小学校で使う楽器」だとか「子どもが使う楽器」だとか、そういうイメージがお持ちの方が多いと思います。私もそうでした。
でもパブロの音楽を聴くとそういう固定概念が吹っ飛びます。
ちなみに「ホレス・スワビー (Horace Swaby) 」がパブロの本名です。
1974年にリリースされたパブロのファーストで、ジャンルとしては「ダブ」になるのでしょうか。
優しくゆったりとした時間が流れる、大自然を感じさせるスケールの大きな作品でありミュージシャンです。
4. DON DRUMMOND『100 Years After』
「ドン・ドラモンド (Don Drummond) 」の『100 Years After』です。
残念ながら日本のAmazonには販売ページがないようです。
ドン・ドラモンドは最初に紹介したスカタライツのオリジナルメンバー。
トロンボーン奏者として、アメリカの女性ジャズヴォーカリスト「サラ・ヴォーン (Sarah Vaughan) 」からも高い評価を受けていた人だそう。
しかし、マルガリータという当時の恋人の死に関わった犯人として逮捕され、精神病患者が入る牢獄に入れられ、そこから出ることなく1969年に自殺したと記憶しています。
彼の死には陰謀説などあるようですが……。
『100 Years After』はジャケットのデザインからして素晴らしいのですね。かっこよすぎ。
黒の地色に、トロンボーンを吹くドン・ドラモンドのシルエットが白抜きされています。左側には「don」の文字が縦一列にずらっと並び、そのうち一箇所にのみ右側に「drummond」表記、中央上部には「100 years after」と中央下部に「STUDIO ONE」の文字がそれぞれ白抜きで書かれているデザインです。
奏でられている音楽もジャケット同様、いやそれ以上にカッコイイ。
ドン・ドラモンドの荒々しさを感じさせる演奏で、ジャンルもスカではなくジャズと表現した方が良いと思うくらいです。
1曲目の「Last Call」からして、後に流行るロックステディの緩めの印象からは程遠いものになっています。
同じ国の、ほんの何年かの違いでこれ程にも音楽のあり方が変わるのか、と驚きます。
といっても、当時のジャマイカには色々なミュージシャンがいたでしょうから、ロックステディが流行っていたからといって皆が一様にロックステディを作っていたか・演奏していたかはわからないですけど。
下のリンクは「100 Years After」ではありませんけど一応貼っておきます。どのような演奏をするか、気になる方はぜひ。
リリースは何年でしたか。1965年頃でしょうか。
Jazz Ska Attack By Don Drummond
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5. KEN BOOTHE『Mr. Rock Steady』
次は「ケン・ブース (Ken Boothe) 」の『Mr. Rock Steady』です。1968年リリース。
アルバムタイトルどおり「ミスター・ロックステディ」ことケン・ブースの、ファーストアルバムです。
中でも「When I Fall in Love」は、広義のレゲエの中でも個人的に一番好きな曲かもしれません。
この頃には既にケン・ブースはレゲエのような歌い方をしていますから、ロックステディをスカとレゲエの過渡期と捉えるならば、まさに両方の要素を兼ね備えている作品のように思います。
スカタライツのピアニスト「ジャッキー・ミットゥ (Jackie Mittoo) 」が本作の制作に絡んでいます。
6. THE SKATALITES『From Paris With Love』
1番目に紹介したスカタライツ、それと1つ前に紹介したケン・ブースに関連した作品として、スカタライツの『From Paris With Love』を紹介します。
本作は2001年か2002年かにリリースされた比較的新しい作品だったと思います。
その5曲目が、1つ上で紹介した曲と同じ「When I Fall In Love」なのですね。
歌っているのはケン・ブースではなく「ドリーン・シェイファー (Doreen Shaffer) 」という女性ヴォーカルです。シェイファーさんはスカの女王。
男性のケン・ブースとはまた違った、女性ならではの艶感のある曲に仕上がっていて、比較して聴くと面白いかもしれません。
7. SUSAN CADOGAN『Hurt So Good』
「スーザン・カドガン (Susan Cadogan) 」の『Hurt So Good』です。
60-70年代の女性のレゲエシンガーは、日本の一般にはあまり知られていないかもしれません。
スーザン・カドガン名義のアルバムはそれほど多くないと記憶していますけど、これがまぁ良いヴォーカルなんですよね。
本作は「ミリー・ジャクソン (Millie Jackson) 」の「It Hurts So Good」のカバーですよね? 違うかも。
彼女のコケティッシュで暖かな歌声はミリーさんとはまた一味違って、一聴の価値ありです。
本作のプロデューサーはあの「リー・スクラッチ・ペリー (Lee "Scratch" Perry) 」。
私の手元にある海外でリリースされたアルバムと思われる(値段表示が$でした)『Reggae Reggae Reggae Vol1』に収録されているスーザン・カドガンが歌う「Love Me」もまた可愛らしい。
こちらは日本のAmazonには販売ページがなさそうです。
8. LEE PERRY & THE UPSETTERS 「Super Ape」
「リー・ペリー&ジ・アップセッターズ (Lee Perry & The Upsetters)」の「Super Ape」です。
レゲエを語る上でボブ・マーリーを避けて通れないのと同様(という割にはあまり本記事で語っていませんが)に、リー・ペリーも避けては通れない存在です。
最重要人物の一人と言って決して過言ではないでしょう。
リー・ペリーは、ボブ・マーリーや先ほど紹介したスーザン・カドガン等をプロデュースしたプロデューサーとしての活動の方がある意味で重要かもしれません。
でも彼自身の作品も、プロデュース業に引けを取らないくらいレゲエにおいて重要な立ち位置にあり、本作『スーパーエイプ』はレゲエの歴史に燦然と輝く名盤中の名盤です。
アップセッターズは彼のスタジオバンドの認識で良いでしょうか。
本作はジャンル分けをするならばダブなのでしょうけど、レゲエとかダブとかというジャンルに括り付けることが適当かと言うとそうではないように感じられます。
ボブ・マーリーがボブ・マーリーというジャンルであるように、リー・ペリーもまたリー・ペリーというジャンルなのです。
上手い下手などという評価や概念も彼の前では意味を成しません。そういったものは陳腐化するほどに超越した存在なのです。
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9. PHYLLIS DILLON『One Life To Live』
「フィリス・ディロン (Phyllis Dillon)」の『One Life To Live』です。「トレジャー・アイル (Treasure Isle)」の歌姫。
7曲目「Nice Time」が好きです。ボブ・マーリーの曲ですよね、確か。
ここまで読んでいただけるとおわかりかと思いますが、ジャマイカの音楽はカバーをしている曲が結構あるのですね。
なのでこの曲がオリジナルか、カバーならオリジナルは誰かを探すのが大変なこともあります。今はネット情報で比較的すぐにわかるのでありがたい。
それと日本のスカバンド「デタミネーションズ (DETERMINATIONS) 」のアルバム『This is DETERMINATIONS』では、本作にある「Perfidia」をカバーしています。浮気の歌と思うのですが小さな女の子に歌わせているのですよね……。
ONE LIFE TO LIVE: EXPANDED EDITION
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10. PRINCE BUSTER『Ska-Lip-Soul』
最後、「プリンス・バスター (Prince Buster) 」の『Ska-Lip-Soul』です。
プリンス・バスターは「スカの帝王」と言われている人。
スカやレゲエについてあまり知らない方にとっては、ボブ・マーリーやリー・ペリーほど有名ではないかもしれませんけど、ジャマイカの音楽を語る上で2人に負けないくらいの重要人物でしょう。
先ほど「スカの帝王」と書きましたが、本作を聴いているとスカではなく「カリプソ」の要素が強く出ています。
カリプソ (Calypso) とは簡単に言えばトリニダード・トバゴ発のカリブ海の音楽ですね。レゲエにもメントにも大きな影響を及ぼしています。
メント (Mento) とはジャマイカのフォークミュージックとでも言えば良いでしょうか。フォークとは……と永遠に続けられそうな。
あとは申し訳ありません、ご自身でお調べ下さい。
プリンス・バスターの楽曲は、特に60年から60年代半ば過ぎくらいまで、プリンス・バスターのプロダクションから海を渡って、イギリスの『ブルービート (Blue Beat) 』からリリースされている作品が多かったと記憶しています。
本作もブルービートのライセンスです。
そのブルービートの意向もあって、本作がカリプソっぽく仕上がっているのかもしれません。真相はわからず。
プリンス・バスター自身、メントの時代から活動していた人ですし、カリプソ感を出すこと自体はそれほど難しいことではなかったのではないでしょうか。
あくまで想像ですけど。
本作にカリプソ感が一番出ていることは、かの有名な「Dayo」が収録されていることからも窺えます。
Dayoは「バナナボート (Banana Boat Song) 」のこと。
アメリカでは「ハリー・ベラフォンテ (Harry Belafonte) 」が歌って有名になりましたね。ベラフォンテはテレビ番組のプロデューサーでもありました。
また、プリンス・バスターは元々、レコーディングスタジオ「スタジオ・ワン (Studio One) 」のボス「コクソン・ドッド (Coxsone Dodd) 」のところの用心棒として活動をしていた人で、そこから音楽の道に移って行きました。
武勇伝にも枚挙に暇がないほどらしいので、破天荒さ・波乱万丈さという意味では一番凄い人かも。
プリンス・バスターはたくさんの作品があります。彼だけを追っても面白いでしょうね。
おわりに
ということで、私が大好きな広義のレゲエの中から、中でも大好きなオススメ名盤たちを紹介した記事でした。
本文中にも書いているように、私はレゲエが好きではありますが詳しい訳ではありませんので、書かれていることが間違えていたら申し訳ありません。
紹介した10作品は順不同で、思い出した順番に書いています。なのでどれもオススメできますし、レゲエをあまり聴いたことのない方でもいける……かどうかはわかりませんけど、気になった方は1作品でも十分なので聴いてみてくださいね。