Eテレにて『100分de水木しげる』という番組が2022年8月27日土曜日に放送されました。
個人的に楽しみにしてた番組で、観て非常に楽しめましたし勉強になりました。
視聴した感想を書いています。
目次
Eテレ『100分de水木しげる』
Eテレ『100分de水木しげる』についてです。
番組説明
番組の説明です。
「100分 de 名著」の番組公式サイトです。誰もが一度は読みたいと思いながらも、なかなか手に取ることができない古今東西の「名著」を、25分×4回、つまり100分で読み解く新番組です。
番組の録画データに上記引用部のように書かれていました。
8月27日(土)14時~ #100分de名著 スペシャル版として「#100分de水木しげる」が放送されることになりました。100分まるまるかけて、#釈徹宗 さん #中条省平 さん #ヤマザキマリ さん #佐野史郎 さんが #水木しげる 作品の奥深さを掘り下げるべく徹底トークします。お楽しみに!https://t.co/x2NR7AKCWk
— 100分de名著 (@nhk_meicho) 2022年8月12日
100分de名著公式Twitterアカウント (@nhk_meicho) による告知です。
放送時間
放送時間です。
2022年8月27日土曜日14時00分から15時40分まで。
放送局は『Eテレ』。
先日再放送もありました。
9月2日00時30分から再々放送があったようです。
出演者
出演者です。
メインのMCは「伊集院光」さん。
アシスタントはNHK「安部みちこ」アナウンサー。
講師の方は宗教学者「釈徹宗」さんとフランス文学者「中条省平」さん、漫画家・文筆家「ヤマザキマリ」さん、俳優「佐野史郎」さん。
私の水木しげる作品歴
私の水木しげるさんの作品を観たり読んだりした経歴です。
昔のことですので記憶違いもままるかと思います。
私の水木作品との出会いはアニメの『ゲゲゲの鬼太郎』です。
どのバージョンかは覚えていません。
夢子ちゃんでしたっけ、女の子が出てくるあのシリーズより前のものだと思います。
一番熱心に観てきたのはその夢子ちゃんが登場したシリーズと思うのですが、今考えるとあまり好きではないですね。
当時『悪魔くん』もアニメ化されていました。
悪魔くんのアニメは、私の周辺では鬼太郎ほど話題になっておらず、実際に比較的短い期間で放送が終了してしまい、残念に思った記憶があります。
「エロイムエッサイム我は求め訴えたり!」
好きだったのですけどね。
小学校の教室だったか図書室だったかに、水木さんの描いた絵の載っている『妖怪大辞典』的な本があり、それも愛読していました。
海外の妖怪や悪魔が載っている辞典もあってそちらも読んでいました。
その後月刊誌の『コミックボンボン』で鬼太郎が連載されているのを読みました。
単行本を買うほどではなかったですけど好きでした。
その後は水木作品にほとんど触れることがなく大人になっています。
どこのタイミングか覚えていませんけど、大人になってからと思いますが、『ゲゲゲの鬼太郎』にはその元となる『墓場鬼太郎』があると知ります。
インターネットが普及する前の話です。
それまでまったく知らなかったのでとても驚きましたし、とても興奮しました。
これは私の求めている鬼太郎だと直感したのです。
そのときは墓場鬼太郎の存在を知っただけで、作品を読むところまではいきませんでした。
後にフジテレビ『ノイタミナ』枠で『墓場鬼太郎』がアニメ化され、そちらは興味深く拝見しました。
あのおどろおどろしさ、求めていた鬼太郎と思ったことは間違いではありませんでした。
また観たいですね、あのシリーズは。
再放送をしてくれないでしょうか。
さらに後に、『ブックオフ』にも文庫版だったと思いますが『墓場鬼太郎』が置かれていたので、立ち読みをしたことがあります。
また、戦記物は地元の図書館で読みました。
『ああ玉砕 水木しげる戦記選集』です。
太平洋戦争を、それも激烈だった南方での戦闘を体験した水木さんにしか描くことができない作品で、こちらもたいへん興味深く拝読しました。
毎年夏になると読み返したくなります。
そのくらいでしょうか。
逆を言えば、その他の『のんのんばあ』とか『河童の三平』とか、そういうものを見たことがありません。
特に南方熊楠の伝記ものを読みたいです。
感想
Eテレ『100分de水木しげる』を視聴しての感想です。
熱量が
釈徹宗さんも中条省平さんもヤマザキマリさんも佐野史郎さんも、講師の皆さんの「水木しげる愛」がすさまじかったです。
彼らの熱い語りを聞いているだけで楽しかったです。
本当にお好きなんだなと伝わってきました。
またトークの内容も、私たちにわかりやすくかみ砕いてくださっていて、私のような人間でもすんなり理解できました。
扱う対象が漫画であることから通常の『100分de名著』よりも難解ではないことと、しかも私自身比較的身近な水木作品ということで想像がしやすかったことも、理解しやすかった理由としてはあるでしょう。
生きるということ
番組でとりわけ印象に残ったことは、水木しげるという人間の「生」への執着です。
境港で生まれ育ったこと、「のんのんばあ」のモデルとなったお婆さんとのこと、戦争に参加したこと、南方での暮らし、片腕を失いはしたものの生還できたこと、おならとうんちのこと。
すべてのお話から「生」を強く感じました。
のんのんばあも鬼太郎も戦記も、水木さんの描く漫画には「死」がすぐ隣りにある。
死が隣りにあると感じられるということは、即ち生を感じることなのだということ。
それを今回番組から教えてもらいました。
番組では特に触れられていなかったかと思いますけど、確か水木さんは「ぼた餅」が大好きですよね。
大福もお好きだったかと思いますので、餡こなど甘いものがお好きだったのでしょう。
そう言えばハンバーガーもお好きだったと聞いたことがあります。
甘いものばかりででなく「食」全般に貪欲だったと言い換えてよさそうです。
食への貪欲さも「生」に対する貪欲さに通じますものね。
番組とは別に、エピソードとして水木さんはよく寝ていたとも聞いたことがあります。
永く健康でいられる秘訣は「よく食べよく寝る」ことだと、水木さんは教えてくださっているようです。
「寝ること」もやはり「生」へとつながります。
それらは誰もがわかっている生命活動のベースとなる行動と思うのですが、とかく現代の日本は忘れている感覚かもしれません。
頭でわかっていても行動できていない意味で。
鬼太郎が描かれた当時は高度成長期。
中条さん曰く「日本中が『プロジェクトX』」状態。
全員が勤勉であることを求められた時代と言えばよいでしょうか。
漫画でもアニメでもスポ根が人気でした。
人より努力を重ねれば、長屋に住む子だってジャイアンツのエースになれる!
そんな時代に、「学校も試験もなんにもない」なんてことを言ってしまえる水木しげる(あの歌詞は水木さんが手がけたそう)ってという。
原文ママではないですけど、その鬼太郎のOPの歌詞が番組内で言及されていました。
今回の放送は生きることを考え直すよい機会になりました。
絶対的な正義
番組内の過去のインタビューで、水木さんが鬼太郎を格闘させることや敵をやっつけることへの「違和感」を語っている様子がありました。
編集さんたちにそういうことをさせろと言われたみたいです。
構図を単純化させすぎることへの危惧と言い換えるとよいでしょうか。
世の中そんな単純なものじゃない、「絶対的な正義」なんて存在しないと水木さんはおっしゃりたかったのかもしれません。
「それを笑う『ねずみ男』がいないとやっぱりうまくいかない」
そうとも仰っていました。
鬼太郎に格闘させること敵を登場させて倒すことを、ある程度受け入れて描いたけど、ということでしょうか。
それをどこか冷めた目で観ている水木さんや読者の役割を、あのねずみ男が担っていたみたいです。
なるほど。
このインタビューを読んで、子どもの頃に観ていた夢子ちゃんが出てきたアニメシリーズを、今あまり好ましく思えない理由がわかりました。
今思うと、あのシリーズは鬼太郎やその仲間たちをヒーロー化、ヒロイン化させすぎている感があります。
水木さんは鬼太郎でそういうことを描きたい訳じゃなかっただろうと、今なら何となくわかります。
おわりに
ということでEテレ『100分de水木しげる』を視聴した感想などを書いた記事でした。
Amazonでは『100分de水木しげる』の視聴を、NHKオンデマンドの契約ができるみたいです。
興味のある方はぜひ。