ディスディスブログ

気分変調症の男がテレビ番組の感想やカメラ、ファッションのことなどを書きます

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愛知・瀬戸編は「曽野珈琲店」。農家でもあり数寄屋造りでもある不思議な建物でした - Eテレ『ふるカフェ系 ハルさんの休日』

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2018年4月4日水曜日23:00より、Eテレにて『ふるカフェ系ハルさんの休日』の新シリーズの放送が始まりました。

2018年8月15日放送の2018年度シリーズ第19回(再放送を除けば第15回?)は「愛知・瀬戸~茶の湯の精神を感じる元農家カフェ」でした。

 

目次

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ふるカフェ系 ハルさんの休日 

www4.nhk.or.jp

 

今、地方では過疎化が進み、何代も受け継がれてきた古民家が廃屋として次々と取り壊されつつある。そんな古民家を惜しみ次世代に残そうとする試みが、リフォームカフェ。
一歩足を踏み入れば、懐かしい空間が広がる古民家カフェは、女性や若者達に新鮮なおしゃれスポットとして大人気。京都、奈良の町屋カフェや下北沢の古民家喫茶など全国的にブームとなっている。そんな古民家カフェを舞台に、記憶から失われつつあるかつての町の姿と記憶をドラマ形式で甦らせていく番組。カフェを訪れる住民たちとの出会いを通して、全国各地の意外な歴史を明らかにしていく。

こちらは以前のシリーズのイントロダクションです。

ドラマの冒頭に「古い建物を活かしたレトロなカフェがあると聞けば、全国どこへでも訪ねる」という、俳優の「渡部豪太(わたべ・ごうた)」さんが演じる、本作の主人公「真田ハル(さなだ・はる)」のセリフが入っています。

台詞の通り、ハルさんは古くから営業を続けている純喫茶的な喫茶店ではなく、古民家など古い建物をリフォームしたカフェを対象にしています。

ハルさんは一部に熱狂的なファンを持つブロガーで、古カフェを取材する体で番組が進行します。

当番組は、カフェのオーナーさんがご本人で、お客さんも現地の方を起用しているため、渡部さんの他の出演者は演技の素人さんです。

基本的に台詞が棒読みですし演技も上手ではありません。渡部さんの演技もほぼ全編に渡って滑っています。

ただこれは渡部さんが滑っているというより、脚本や演出が滑っていると捉えた方が良いでしょう。

古カフェ好きかつ演技面が気にならない方であるならば、大いに楽しめる番組になっていると思います。

  

愛知・瀬戸編のカフェは「曽野珈琲店」さん

sonocoffee.jimdo.com

 

2018年8月15日放送された『ふるカフェ系 ハルさんの休日』の愛知・瀬戸編で、ハルさんが足を運んだカフェは「曽野珈琲店」さんです。

曽野は「その」と読むようです。

 

番組内では「築100年! 茶の湯の精神を持つ元農家カフェ」と紹介されていました。

前回も確か築100年と言っていたと思いますので、同年代ですね。

一見するとオーソドックスの農家住宅ですが……という建物でした。

茶の湯の精神がそこにはある。

 

「曽野珈琲店」の場所と営業時間・定休日

今回ハルさんが訪れたカフェ「曽野珈琲店」さんのある場所は中部地方の愛知県は瀬戸市(せと・し)です。

曽野さんのWebサイトによると、住所は「愛知県瀬戸市曽野町1235」とあります。

 

最寄り駅は劇中ではわかりませんでした。

Webで地図を見ると、愛知環状鉄道・愛知環状鉄道線の「中水野駅(なかみずの・えき)」が最寄り駅になるようです。

名古屋から電車でおよそ40分と言っていたでしょうか。

 

 

駅から県道210号線を東へ進み、上水野交差点を左折して207号線へ、北上して曽野口交差点を右折して208号線へ、水野川を渡った直後に左折するとすぐ左手に曽野珈琲店さんがあるようです。

ハルさんは駅からカフェまで徒歩でしたから、歩いて行けない距離ではないのでしょう。

 

営業時間は、09:00-17:00で、定休日が火曜日とのこと。

予約を受け付けているかはWebサイトには書かれていませんでした。

放送後のお昼前後は特に混雑が予想されますので、来店前にお店と連絡を取っておくと良いかもしれないですね。

 

「曽野珈琲店」はおもてなしの心

ハルさんが今回訪れた「曽野珈琲店」さんの建物は、一見するとオーソドックスな農家住宅でしたが、細部には茶の湯の精神が潜んでいました。

 

まず外観です。

オーソドックスな農家な古民家。

ところが、屋根瓦には隣り合う瓦をきっちり組み合わせて作るため高い技術が必要な「一文字瓦(いちもんじがわら)」を使っています。

しかも、曽野珈琲店で使われていた一文字瓦には装飾まで施されていて、かなり凝った造りになっていました。

一文字瓦は「数寄屋造り(すきやづくり)」の建物に多く用いられていて、数寄屋造りは安土桃山時代に「茶室」から始まった建築様式になります。

 

桂離宮

数寄屋造りの代表的な建物というと京都の「桂離宮(かつらりきゅう)」です。

 

「その簡素ながらも細部にまで芸術性の高い造りは、世界的建築家『ブルーノ・タウト』を魅了した」とはハルさん。

 

農家住宅に見えるのに数寄屋造り、という。

洒落ています。

 

曽野珈琲店さんの建物は庇(ひさし)が長くなっています。

こちらも数寄屋造りの特長です。

庇を長くすることで、屋内に自然と美しい陰影が生まれるそう。

 

内部は入り口が土間、その辺はやはり農家住居です。

幾つかあった部屋の敷居を取り払って、広く見せています。

床はフローリング。

テーブル席が幾つかとカウンター席もありました。

奥には一段高いところに床の間と仏間が。

 

カフェスペースは田の字で部屋があったと想像されます。

これは、尾張地方の農家で多く建てられた「四つ建て工法(よつだて・こうほう)」だそうです。

一般的な日本家屋では家の中心に大黒柱を設置しそれで屋根を支えますが、四つ建て工法では大黒柱を使わずに内部に数本の柱、外側にも柱を使って屋根を支えるのが特徴です。

大黒柱に使う立派な木材が手に入らなくても建てられる合理的な造りだと。

なるほど。

四つ建て工法は本来、茅葺き屋根の「合掌造り(がっしょう・づくり)」の建物に用いられた工法です。

しかし、曽野珈琲店さんの建物は瓦屋根。

 

また、入り口に近い部屋の天井は、農家の建物に多く見られる2階の床がそのまま1階の天井になっています。

一般農家では天井を造るという文化がなかったとのこと。

 

一転、奥の、床の間や仏間のある部屋には、数寄屋造りの影響が色濃く出ています。

例えば、仏間の丸太がそのまま床柱として使われていました。

数寄屋造りは余計な加工をせず、素材の良さを活かします。

これは「磨き丸太」と呼ぶそう。

床柱の下の方は一部カットされていて、格好良い。

 

農家住宅の部分と数寄屋造りの部分とを併せ持つ、特殊な建物です。

大正5年に製麺所で財を成した方が建てました。

その方がどうして数寄屋造りなどに精通していたかは、お孫さんもわからないそうです。

現在は建てた方のお孫さんのお孫さん、玄孫(やしゃご)ですか、その方がカフェを経営しているということ。

代々受け継がれた貴重な農家住宅+数寄屋造りの建物で、素敵です。

 

曽野珈琲店さんのWebサイトを拝見すると、2階はかつて蚕を飼っていたそうです。

養蚕もしていたのでしょうか。

 

「曽野珈琲店」のモーニング

ハルさんは「曽野珈琲店」さんで「ホット(コーヒー)」を頼んでいました。

ネットを見るとブレンドコーヒーは400円だそう。

あとは出会った方に抹茶を点ててもらってもいましたね。

 

そして、コーヒーを頼むと愛知ならではのあれがついてきます。

愛知県の喫茶店・カフェは飲み物を頼むとサービスで軽食がついてくる、私は一度も行ったことがないですが(コ○ダ珈琲もないです)、あれです。

モーニング

 

曽野珈琲店では「トースト」と「ゆで卵」と「サラダ」がついてきました。

トーストはハルさんは小倉を頼んでいました。

他にジャムやマーマレード、ハチミツなどがあるようです。

 

テーブルに出された小倉トーストは、私のようにあまり量を食べない人間にとっては十分な量で、他のものを頼まなくても良さそうな気すらしてきます……。

でもかえって申し訳ない気持ちが働いて、デザートなどを頼んでしまうでしょう。私は。

 

「パンが香ばすぃ〜!」

「そして小倉の甘さとマーガリンのしょっぱさのマリアージュ!」

「これ考えた人、天才!!」

 

と、ハルさんは小倉トーストの感想を述べていました。

美味しいですよね、小倉トースト。

 

大正時代に、男子学生がトーストに善哉(ぜんざい)をつけて食べているのを見た喫茶店のマスターが、トーストに餡を乗せることを思いついたそうですよ。

と曽野珈琲店の店長さんが教えてくれました。

へぇ〜。

 

おわりに

瀬戸というと「瀬戸焼」、私は子供の頃「瀬戸物」と呼んでいましたが、そのことにも番組では触れていました。

「天目茶碗(てんもくぢゃわん)」のこと、瀬戸には良質の土が豊富に採れた土地だったこと、最盛期は名古屋に次ぐ賑わいを見せていたことなど。

 

今回の曽野珈琲店さんは、一見質素ながらも細部にこだわり、見るほどに品の良さが伝わってくる、良い建物でした。

リノベーションのやり方も良い塩梅に感じられます。

店長さんのお人柄も、あくまで番組で見た限りではありますが、良かったです。

いかに良い建物かとか、どれくらい美味しいコーヒーや料理を出すかとか、オーナーや店長がどれだけ壮絶な人生を歩んできたかとか、

そういうのを得意げに見せつけるタイプを、この番組でもたまに見かけるので、そういうのでなくて良かったなと。

等身大な雰囲気が好印象でした。

 

いや、仮に私がカフェを開いて、ハルさんの休日に登場することになったら、ひけらかすと思うんですけど。

でも人からひけらかされると嫌、人間が捻じ曲がっています。

 

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