日本時間の2018年6月28日23:00より、サッカー日本代表が『FIFAワールドカップ2018ロシア』の、ポーランド代表とのグループステージ第3節を戦いました。
試合の感想と西野監督の決断について書きます。
目次
西野ジャパンのメンバー
『FIFAワールドカップ2018』ロシア大会に向けた、「西野朗(にしの・あきら)」監督が選出したサッカー日本代表のメンバーは以下のとおりです。
- GK:「川島永嗣」「東口順昭」「中村航輔」
- DF:「遠藤航 」「昌子源」「長友佑都」「酒井宏樹」「槙野智章」「酒井高徳」「吉田麻也」「植田直通」
- MF:「本田圭佑」「柴崎岳」「原口元気」「香川真司」「宇佐美貴史」「乾貴士」「山口蛍」「長谷部誠」「大島僚太」
- FW:「岡崎慎司」「武藤嘉紀」「大迫勇也」
以上の23名です。
第2節終了時点で日本が首位
日本代表はワールドカップ本戦のグループステージでは「グループH」に入っています。
ポーランドとセネガルとコロンビアが同組です。
日本は日本時間の2018年6月19日21:00から行われたグループステージ第1節コロンビアとの試合をスコア2 - 1で勝利しています。
2018年6月25日00:00から行われたグループステージ第2節セネガルとの試合をスコア2 - 2のドローで終えています。
グループステージ第2節を終えた段階で、日本は勝ち点4で首位に立ちました。
セネガルとは同じ勝ち点で並んでいますが、反則ポイントで日本が首位ということのようです。
コロンビアが勝ち点3で続いていて、ポーランドは勝ち点0で4位、この時点でポーランドは既にグループステージ敗退が決まっています。
第3節の相手は2節終了時点で最下位のポーランド代表です。
ポーランド戦の日本のスタメン
ワールドカップ2018ロシア、グループステージ第3節ポーランド戦の日本のスターティングメンバーです。
------岡崎------武藤------
宇佐美------------- 酒井高
------山口------柴崎------
長友--槙野--吉田--酒井宏
-----------川島-----------
フォーメーションは「4-4-2」です。
GKは川島選手(以下選手略)、DFは4バックで右から酒井宏樹、吉田、槙野、長友、MFはディフェンシブハーフ (DH) が柴崎と山口、右オフェンシブハーフ (OH) が酒井高徳、左OHが宇佐美、FWは右が武藤で左が岡崎でした。
交代出場は、47分岡崎→大迫、65分宇佐美→乾、82分武藤→長谷部です。
ポーランドのスタメン
ポーランドのスタメンです。
フォーメーションは「4-2-3-1」に見えました。
GKがファビアンスキ、DFが右からベレシンスキ、グリク、ベドナレク、イェンドジェイチク、MFはDHがクリホヴィアク、ゴラルスキ、右サイドハーフ (SH) がグロシツキ、トップ下がジエリンスキ、左SHがクルザワ、FWはレヴァンドフスキです。
交代出場は、79分ジエリンスキ→テオドルチュク、80分クルザワ→ペシュコです。
試合結果は日本0 - 1ポーランド
試合の結果は0 - 1でポーランドが勝利しました。
59分に、左サイド(日本の右サイド)のゴール手前約35mのところでポーランドがフリーキックを獲得し、クルザワがファーへ上げると、ベドナレクがフリーで右足ボレーを決めました。
マークを外したのは酒井高徳でしたか?
日本は敗戦して勝ち点4のまま、コロンビアに0 -1で敗れたセネガルと並びました。
得失点差や総得点、当該試合もドロー、最終的に警告数などで算出されるフェアプレーポイントの差で日本が2位となり、決勝トーナメント進出が決まりました。
西野監督の采配について
ポーランド戦では西野監督が大きな決断を幾つかしていました。
ターンオーバーについて
それは一つが「ターンオーバー」で、コロンビア戦とセネガル戦から6人ものメンバーを入れ替えてポーランドとの試合に臨みました。
上記の日本のスタメンを参照のこと。
岡崎と武藤の2トップを採用、本来フルバック (FB) の酒井高徳を中盤に、宇佐美も攻撃的な位置で、左のセンターバック (CB) に槙野を使いました。
温存された選手は大迫と香川、乾、原口、長谷部、昌子で、その多くが攻撃的な選手です。
3試合とも先発出場した選手は、柴崎と酒井宏樹、吉田、長友、川島です。
ギャンブルとも思えるこの新布陣は予想どおりに機能しませんでした。
が、このターンオーバーは日本がベスト16へ進出し、目標としていた(ですよね?)ベスト8まで行くためには、必要なことだと西野監督は判断し実行したのでしょう。
かなり大胆だとは思いますけど、ここまでの戦いぶりを見ていると、特に攻撃的な選手の消耗は激しいことは想像に難くないため、理解できました。
終盤の戦い方について
西野監督は、終盤に長谷部を投入してから、ディフェンスラインでパスを回して時間稼ぎをし、ポーランドと戦うことを拒否する選択をしました。
ポーランドはその時点でスコアで勝っていて、これ以上点を取る必要もない立場のため、日本側の意思に合わせるように積極的なプレイを止めています。
並行して行われていたセネガルvs.コロンビアでセネガルが同点ゴールを奪えばその時点で日本のベスト16行きは無くなりますから、危険もありました。
試合はそのまま終わって、先ほど書いたように日本がフェアプレーポイントの差でセネガルを上回って、ベスト16進出を果たしました。
パス回しをしている間、会場では大ブーイングが発生していましたし、試合後は日本だけでなく世界のメディアからもその姿勢に対して非難を浴びていました。
茶番だとか応援を止めるとかベルギーにボロボロに負ければいいなどと、特にイギリスのメディアからの攻撃が激しい印象です。
イングランドは最終節でベルギーに破れたことで、ベスト16でグループH首位のコロンビアを対戦せねばならず、仮にコロンビアに勝利したとしても、その次にブラジルと対戦する可能性があるため、厳しいブロックに組み込まれました。
おそらくその恨み節も大いに含まれての「日本バッシング」なのだろうと想像します。
彼らのバッシングの底には、日本や日本サッカーへの偏見や差別があるのだろうな、と私は思っています。私は。
それに、自分たちだって日本と当たりたいがための算段をしたでしょうに、とツッコミたくもなります。
それとセネガルが点を取れば自力で突破できた訳で、点を取れなかったセネガルがいけないのでは?とも思います。
日本は何もルール違反をしていないのですからバッシングはお門違いかなと。
西野さんがあの選択をした理由は、彼が監督に就任した理由が関係していると思います。
ハリルホジッチ監督が解任され、当時技術委員長だった自分が監督に就任して指揮を執ることになった。
日本代表の目標はベスト8でしたか、それに少しでも近づける、最低でもベスト16に進まなければ、グループステージを敗退した前回大会の日本代表から数パーセントでも前進させたとは言えないのではないか。
結果が全て。
そういう思いが西野さんをあの決定に導いたのではないか、と考えています。
私の心情としては、やはり終盤も攻撃をしてポーランドから点を奪い、引き分けるか勝利するかしてスッキリとベスト16行きを決めて欲しかったです。
しかし、この決断をするために西野監督は相当な覚悟と勇気が要ったとも思います。
日本が点を奪われないこととイエロー&レッドカードをもらわないことだけでなく、セネガルが点を入れない必要もあったため、ベスト16行きを自分たちの力だけでなくコロンビアにも頼ることになったから。
セネガルが点を入れて、あるいは日本が失点やカードを受けるなどして、日本がベスト16行きを逃したら、それこそ世界の笑いものですし、日本国内の非難も相当なものになったことでしょう。
世界の笑いものという点では既にそうかも知れませんが……。
そういうことも全てわかった上で、西野監督はあの行動を選手たちに取らせた、選手たちも西野監督の指示を遂行したのですよね。
そんな彼らの決断と実行の力は評価したいです。
でも支持はできないです。
複雑な心境ですけど、今の私はそう思っています。
ここまでやったからにはベルギー戦は絶対に勝利しなければならないですね。
ベルギーめちゃくちゃ強いですけど。
試合の感想
試合の感想を書きます。
ただ、上記のターンオーバーのことがあるので、チームとしての感想はあまりないですね。
なので個人に向けた感想を書きますが、如何せん負けた試合ですから、ポジティブな要素はほぼないです。
読み飛ばして頂いて全く問題なし。
宇佐美は駄目だった
宇佐美はやはり駄目でした。
以前から私は彼のことを評価していませんでしたが、ポーランド戦でも以前のままの彼でした。
ポジショニングが悪くて周囲、特にDHとの距離が離れすぎてしまったこと、運動量が少ないこと、ボールが来ても球離れが悪くボールをこねている間にシュートやパスのチャンスを逸すること、足元にボールを欲しがるから守備側が守りやすいこと、ドリブルで抜けないこと、守備のポジショニングが悪くかつ守備力がないため左サイドが穴になっていたこと……ありすぎ。
プレイの選択もそのときの最適とは思えないことも多かったです。
そこはパスではないのか?とか、逆にそこはシュートではないのか?とか。
もう彼は使わない方が良いかなというのが個人的な印象です。
本田のように、プレイが遅くてもロストが多くても得点やアシストを決められるのなら、状況によっては使いたいですけど……それもないですから。
使わない理由はたくさん出てきても使う理由が見当たらないという。
武藤のフォワード起用は?
武藤のフォワード起用は失敗でした。
武藤は終始暴走していたように私には見えます。
味方とのバランスとか距離感とかそういうことを考えないで、自分のことだけを考えてポジションを取り、動いているように。
端的に言えば戦術レベルが低い。
また、ボールを持ったときの視野の狭さ、思考の柔軟性のなさも見られました。
ボールを持ったら自分がシュートして点を決めてやろうという気持ちが強すぎるのですね。
宇佐美同様、この人も球離れが悪い。
何分でしたっけ、ポーランドディフェンスのパスを武藤がカット、ペナルティエリア近くでゴールに向かってボールを持った武藤、彼のすぐ脇を宇佐美がフリーで走り込んだのに、武藤はパスを出さずにゴールを並行に左方向へドリブル……というプレイがありましたね。
あそこで素直に宇佐美にパスを出していれば、シュートの上手い宇佐美が点を奪えた確率は高かったです。
FWにはそういうエゴイスティックな部分が必要なのは理解しています。
しかしながら現日本代表のサッカーではそういう部分は仇になることの方が多いかもしれません。
それと、彼はボールスキルが高くありませんから、小さなミスが多いです。
彼が得た決定機は前半だけでも数回あったと思いますがことごとくチャンスを潰していました。
書いてみると武藤と宇佐美とで弱点が似ていますね……。
個人戦術レベルが低いのでしょう。
今のチームで武藤を使うならパラグアイ戦のようにサイド、これしかないと思います。
山口が消えていた
山口蛍は試合の多くの時間で消えていました。
彼は真ん中にいるのではなく左サイドへいることが多く、ビルドアップ時など中央にいて欲しいときにもいないため、柴崎に大きな負担がかかっていたように見えました。
柴崎が2人分動いていた感。
柴崎はただでさえ2試合とも先発出場しているのですから、先発出場していない山口が消えていてはいけないのですが……。
山口が左サイドに寄っていた原因は宇佐美にあったと考えています。
先ほど少し書きましたが、ポーランド戦の日本の左サイドは宇佐美がいたことで穴になっていましたから、ケアしないと相手に突かれて危険だったのですね。
ボール保持時でも、山口は前に運ぶ技術が低いため、結局は前へのパス出しを柴崎に頼る他なく、チームの柴崎への依存がより強まっていました。
柴崎へのパスが増えることで余計に時間がかかってしまいます。
これもポジショニングの良い乾だったり香川だったりがいれば、山口であってもパスの選択肢は増えるのですが、ポジションの悪い宇佐美と武藤、不慣れな酒井高徳が前にいては、山口では出せないのですね。
山口自身のボールスキルのなさと宇佐美と武藤の戦術的なスキルのなさで、山口のボールを出す選択肢が限られ、攻撃が停滞していました。
岡崎が本来の調子であれば、彼が下がって中盤のバランスを取ってくれたと思うのですが、彼の運動量が前半から少なかったことも攻撃が停滞した遠因としてはありそうです。
だったら武藤なり宇佐美なりがそれに気づいてもっと動いてくれよとなるんですけどね……ならなかったです。
そして失点のきっかけになったファウルも確か山口が原因だったはず。
不要なファウルでした。
槙野はポーランド代表か?
槙野はあわやオウンゴールというプレイがありました。
その他にもディフェンダーのプレイの選択としてそれが正しいのかというものが幾つかありましたね。
落ち着いていればサイドにクリアできるときにも、ゴールラインにボールを出してしまって相手にコーナーキックを与えるなどしていました。
レヴァンドフスキを倒してイエローカードを受けたシーンも、首振りをして周囲をしっかり確認していれば起こらなかったことでしょう。
まるでポーランドを手助けしているのではないかと。
ボール保持時も、槙野は効果的な縦パスを出せないので、横パスやバックパスばかりになってしまいました。
無意味なパスが多かった印象。
過去2試合、槙野と同じポジションで昌子がプレイをしていました。
昌子は積極的に縦パスを入れスイッチを入れていましたし、ドリブルで持ち上がるなど攻撃面での貢献も大きかったです。
その昌子との比較で明らかに見劣りするプレイ内容でした。
そういう意味では槙野の相棒・吉田も満足の行く出来ではありませんでしたが。
私は槙野の実力が代表レベルにないというイメージを以前から持っていて、それを再認識できた試合になりました。
酒井高徳は仕方がない
酒井高徳は、不慣れなポジションでのプレイを強いられたのですから、低調ぶりも仕方がないでしょう。
どちらかと言うと起用した監督さんがいけない。
守備面については左サイドより安定していましたし、エクスキューズを含め一定の評価はあげたいです。
しかし、そういう弁解を抜きにしても、彼の基本的なボールを止める・蹴る技術はあまり高くないかもしれません。
さすがにロストが多すぎるかなと。
柴崎が山口と高徳にはパスを出したがっていない、そういう風にも見えました。
信頼されていない感。
ポジショニングについては不慣れなポジションでも宇佐美よりはマシに見えました……宇佐美どんだけ。
おわりに
ということで、ロシアワールドカップ、ポーランド戦の感想・評価でした。
私はサッカー素人ですから見当違いのことを書いている可能性があります。
そのときは申し訳ありません。
兎にも角にもロシア大会での日本は、2010年南アフリカ大会以来のグループステージ突破、ノックアウトステージ進出を決めました。
アジアでは唯一ですか、素晴らしい成果です。
次はベスト16、ベルギー戦です。
ベルギー戦の試合日時は7月3日火曜日03:00。
勝ってもらわなければ報われないですし、笑われるでしょうね。
勝って欲しい。
でも強いですからね……。