先日、漫画『よろしくメカドック』の文庫版の4巻を購入しました。
どうして4巻なのかとか読んだ感想とか当時の思い出とかを書いています。
目次
『よろしくメカドック』
『よろしくメカドック』についてです。
『よろしくメカドック』は、次原隆二による日本の漫画及びテレビアニメ作品。
(略)
読み切りとして2本発表後、『週刊少年ジャンプ』(集英社)1982年44号から1985年13号に連載された。ただし人気の低迷から1984年31号でいったん連載が中断し、テレビアニメ化決定後、PART2として同年39号より再開された(単行本などには「PART2」は表記されていない)。単行本は全12巻(文庫版全7巻)。連載前の読み切りは短編集『F-1倶楽部』に掲載された。
(略)
東京にある[注 1]チューニングショップ「メカドック」(名前の由来は「Mechanical Doctor」の略で、車の医者という意味)に勤める主人公・風見潤。当初は店に出入りする常連客の求めに応じ様々なチューニングを行っていたが、自分が手がけた車を走らせているうちに他のチューニングショップとの関わりが生まれ、多くのレースに参戦することになる。
よろしくメカドックのWikipediaには上記引用部のように書かれています。
今回ご紹介するのは文庫版の4巻。
メカドックの思い出
『よろしくメカドック』は『週刊少年ジャンプ』に連載されていました。
私は連載が始まった頃を覚えていないので、その頃はまだジャンプを読んでいなかったのか、読んでいたけど忘れたのかはわかりません。
キャノンボール編と表現すれば良いでしょうか、そのシリーズの途中からは読んでいた覚えがあります。
風見の乗っている「セリカXX(ダブルエックス)」のエンジンルームから煙、蒸気でしたっけ、それが出た辺りから。
当時はチョロQが好き、漫画も『おれのサーキット』が大好き、ラジコンは好きだけどお金がなくて買えなかった子供でしたから、メカドックにハマるのはごく自然なことでした。
時代が前後しますけど、村上もとかさんの『風を抜け!』も大好きでした。
今見るとハチャメチャなことばかりをやっている漫画なのですが、当時はチューニング人たちってすごい! 、レーシングドライバーってすごい! と毎回興奮していました。
本作は自動車のチューニングと、それでレースをする漫画です。
ですから当時のジャンプ漫画にしては対象年齢が上の作品に思っていました。
お兄さんが読む漫画を子供の自分が読んでいる、ある種の優越感が当時の私にはあったのです。
いえ、クラスの友だちも読んでいたのですけど。
メカドックの連載が始まった1982年にジャンプで連載されていた漫画というと、『キン肉マン』とか『キャプテン翼』とか『Dr.スランプ』とかですからね。
いや、でも『ブラック・エンジェルズ』が連載されていたので、そこまで対象年齢が上ということもないですか。
連載が終わる1985年は『ドラゴンボール』や『北斗の拳』、『ウイングマン』、『きまぐれオレンジ☆ロード』、『銀河 -流れ星銀- 』などが連載されています。
82年と比べると対象年齢が下がっている感もあり、連載が始まった頃はその転換期にあったのかもしれません。
メカドックの連載開始と終了当時のジャンプの連載漫画をそれぞれ思い返すと、劇画タッチの漫画が少しずつ減っている感覚を覚えます。
丸みのある、線の少ない1980年代半ばの雰囲気に移行している感じ。
それは鳥山明さんや『ストップ!! ひばりくん』の江口寿史さんの出現が大きかったのでしょうか。
他誌になりますが『さすがの猿飛』の細野不二彦さんも、その流れに大きく寄与している気がします。
個人的な感覚なので、皆さんと共有できるものかわからないのですが。
そういえばメカドックの絵柄は劇画が少し入っているでしょうか。
当時は劇画という単語すら知らないので何とも思っていませんでしたが。
今読むと軽く劇画感を覚えますね。
当時、単行本も全巻持っていたはずです。
しかしいつのことか忘れましたが全巻手放したみたいです。
いつ手放したかを覚えていないくらい昔に。
それ以来もう何十年と読んでいません。
アニメ版もあったみたいです。
私はアニメ版をまったく観ていません。
「よろしくメカドック COMPLETE DVD BOOK」vol.1 (<DVD>)
思い出を語っているつもりが色々と脱線している気がしますけど、そういった思い出があります。
好きな「次原隆二」作品
メカドックを描いている漫画家さんは「次原隆二」さんです。
次原さんの作品で一番好きな作品はやはりメカドック。
メカドックの後、ジャンプで連載していたバイク漫画『ROAD RUNNER』も好きでしたね。
さらにその次の『特別交通機動隊 SUPER PATROL』はそこそこ。
バイクと自動車で、違反者や違反車と公道バトルをするを取り締まる漫画でしたっけ。
その後、次原さんは自動車やオートバイではなくゴルフや野球などのスポーツものを描くようになっていきます。
そうなるとともに私の次原熱は冷めていきました。
今、この記事を書きながら次原隆二 - Wikipediaを読んでいて、『レストアガレージ251車屋夢次郎』なる漫画を初めて知りました。
自動車の修理の漫画ですか、どこかメカドックを想起させるタイトルで気になります。
画像左の老齢の男性が「車屋夢次郎」さんでしょうか。
それならメカドックのようにレースをすることはないのかもしれません。
文庫版『よろしくメカドック』4巻
今回紹介するのは『よろしくメカドック』の文庫本4巻です。
つい先日『ブックオフ』で購入しました。
337円。
画像はありませんけど1999年10月の初版でした。
文庫版で初版かどうかはあまり意味がない気がしますけれども。
20年以上前に刷られた本にしては状態がとても良かったです。
どうして4巻?
どうして4巻なのか。
それは4巻が好きだからです。
ストーリーは大きく分けて4つの大きなイベントと、その間をつなぐ細かいエピソードから成り立っている。
前出のWikipediaには上記引用部のように書かれています。
4つの大きなイベントとは「キャノンボール・トライアル編」と「ゼロヨングランプリ編」、「東日本サーキットGP編」、「MITO NEO編」のようです。
お爺さんと低燃費競技もしていた記憶。
ゼロヨンのマシンがかっこいい
購入した4巻は、4大イベントのうち「ゼロヨングランプリ編」が描かれています。
ゼロヨン編は登場するマシンたちのデザインが他シリーズより好きです。
中でも「チューナーの神様」、「ナベさん」こと「渡辺俊光」の所属する「レーシングワタナベ」のフェアレディZが好きです。
ライトを取り外してカバーしているところとか、かっこいい。
ちなみに画像でナベさんのZの横にいるZは今まで1コマも登場していない車です。
唐突に真横に並んでいる不思議。
一番好きなのはこのカット。
ナベさんのZのリアセクションが超かっこいいです。
余分なものを排除したドラッグレーサーっぽさが一番出ている車に思えます。
1960年代から70年代のドラッグレースのマシンが大好きなのですよね。
ぜひ画像で「1960s drag racers」「1970s drag racers」などの文言で検索をかけてみてください。
やばい画像がたんまり出てきますから。
私も定期的に検索をかけ画像を貪ってはテンションを上げています。
主人公「風見潤」の永遠のライバル「那智渡」の代名詞、マツダ「RX-7」もかっこいいです。
こちらもリアのテールランプがめっちゃ好き。
画像のように、必要最低限の機能だけなデザインが。
どうやら私はリアのデザインが良いクルマを気に入る傾向にあるみたいです。
「ドッ」
このコマの迫力たるや。
風見たちメカドックのマシンはあまり
翻って、主人公・風見たちのCR-Xは、個人的にはあまり好きではないです。
と言いますか、風見たちのマシンは作品を通して好みではないことが多かったです。
特に「東日本サーキットGP編」で、主人公の風見が選んだ車は日産「フェアレディZ」だったことが、個人的にどうも解せなかったです。
「Z31・300ZX」だそう、当時の「ニューZ」。
3代目のZでしたっけ。
解せない理由、それはフェアレディZといえばナベさんだから。
ゼロヨン大会でもZで参戦したことに触れられ、自分で「なんとかの一つ覚え」と言っていたくらい。
なので、主人公であってもフェアレディZに乗ることは不可分な領域に思えたのですね、子どもながらに。
ていうか画像のような顔をしていましたっけ、ナベさん?
もっと穏やかな表情だったような。
同シリーズで、風見のライバルの1人「東條誠」がこのとき乗っていたトヨタ「MR2」の方が、よほど風見のキャラクターに合っている自動車と思っていました。
余談ですけど当時、MR2のチョロQが私の愛車でした。
ブラックモーターに載せ替えて。
マイナスドライバーなどを差し込んで車体からモーターを外すんですよね、懐かしい。
今ならキャノンボール編でトヨタ「セリカXX(ダブルエックス)」、ゼロヨン編でホンダ「バラードスポーツCR-X」と乗ってきたから、次の東日本サーキットGP編では自動車業界に配慮して日産車にしたのだろうなとわかるのですが。
いや、それでもZではなく「パルサー」とか「サニー」とか、日産車は当時から何種かあったでしょうに、とも思います。
何でしょうね、Z31・300ZXは素の状態からしてスポーツカーとして完成度が高すぎると感じたのでしょうか。
と言ったら、セリカXXもスポーツカーっぽくてスペックの高そうなマシンですけどね。
当時は排気量などよくわかっていないですから感覚的なものです。
今もわかっていないですけど。
メカドックチューンのニューZ「グレーサーZ」が、外見上どこをチューニングしたかわかりにくいこともあったでしょう。
実際にはフルタイム4WDに改造しているのですけど、見た目ではわからない。
また「柔よく剛を制す」的に、メカドックが比較的小排気量のCR-Xで戦う姿を子どもながらに好んでいたのかもしれません。
XXやグレーサーZはそれとは逆「剛よく柔を制す」的なマシン選択に思えて、私の中にあるメカドック像、風見潤像とはかけ離れていました。
排気量やエンジンパワーを上げるマシン選択やチューニングよりも、ドライバビリティの高さ=運転のしやすさに重点を置いたそれの方が、私にとっては風見潤らしい・メカドックらしいのです。
小町たちの車に乗りやすさを重視したチューニングを施した回がありましたよね、確か。
ルームミラーを横一列にずらっと配置したり通常よりブレーキの効きを上げたり。
ああいう考え方をするのが風見。
シルエットフォーミュラはゼロヨン向きか?
ゼロヨンでの風見たちの車の話に戻します。
先ほどの画像の、CR-Xのシルエットフォーミュラ仕様のカウルデザインも、子どものときからあまりでした。
シルエットフォーミュラそのものは当時好きでしたけど、ゼロヨンに向いているように見えなかったのです。
シルエットフォーミュラとは何ぞや。
それは特殊プロダクションカー - Wikipediaをご覧になってください。
画像を見ても、フロントのライトは外しているけれどカバーをせず穴が空いたままですし、リアタイヤをカバーするカウルもそんなに大きな穴が空いてたら邪魔になるのでは、と子どもながらに思っていました。
作中にナベさんの先生「露崎」から指摘されていましたが、リアウィングが大きすぎることを含め、ゼロヨンっぽくない感じがしたのでしょう。
ナベさんや那智のマシンの方がスッキリしていて速そうだと当時思っていましたね。
今でもその思いは大きく変わらず。
シルエットフォーミュラのマシンは、サーキットを速く走るために開発されているはずです。
つまり、ストレートだけでなくブレーキングやコーナリングの安定、エンジンなどの冷却も考えてのデザインであるはず。
一方ゼロヨンは直線スピードを競う競技ですので、ブレーキングやコーナリング時の挙動など考える必要がないはず。
しかしエアダクトに関しては、冷却だけでなく揚力を抑えるエア抜きの意味もあるでしょうから、まったく意味がないことはないでしょうか。
いずれにしても素人の想像でしかありません。
物語ではゼロヨン大会の直前に、風見たちはチューニングを終えたマシンを盗まれます。
その盗まれたCR-Xが画像左のマシンです。
盗んだマシンのカラーリングを塗り替えて出場していやがるのです、左は。
盗まれた風見たちはもう1台のCR-Xを改めてチューニングし、まったく同じチューニングではなくより強力なマシンを造りあげました。
私は左の盗まれた方のマシンデザインが好きです。
昔も今も、変わらず好き。
こちらの方が素人目に抵抗が低そうで、ゼロヨンに向いていると思えるからです。
ご都合とんでも設定
4巻を数十年ぶりに読んでいます。
読んでいると、まぁご都合主義な作品で驚きます。
先ほどゼロヨン大会直前にマシンが盗まれたと書きました。
盗まれたシーンが画像です。
ヘリコプターで盗んでいます。
ヘリコプターの底を観音開きで開いて、開いたパーツで車の両脇を挟んで持ち上げ、連れ去っています。
いやいやと、そんなヘリコプターを用意するお金と人員と時間があるのなら、ゼロヨンカーを造るお金と人を揃えられるでしょうよと。
ヘリコプターだって改造をした可能性がありますし。
風見たちのCR-Xはターボラグがないようです。
「なんらかの方法でターボラグを克服している」のです。
そのため1500ccのCR-Xでも大会で優勝できました。
ターボラグがないことで、よりスムースにより早く最高速に車を乗せられるということかと思います。
どのようにしてターボラグを克服したのか?
それは作中では語られません。
ターボラグの克服こそが勝因と思えるので、そこはとても重要なポイントと思うのですが、まったく触れられず。
子どものときにもその点にモヤモヤしたなぁと懐かしくなりました。
それだけでなく、大会中に何度も、それこそ対戦相手が変わるたびに、思いつきの改造をマシンにどんどん施していきます。
例えば大会中に雨が降ってきて、手違いでレインタイヤを持って来なかった風見たち。
風見はドライバーの先を削ってノミを手作りし、それを使ってスリックタイヤを削ってレインタイヤを作ります。
どうやら他のタイヤで試すことなく、ぶっつけでやっているようです。
これはまだマシな方で、レインタイヤを作った直後には、おそらくフロントタイヤをロックする装置「ラインロック」もマシンにつけています。
雨のレースで、スタートまで後輪をホイルスピンさせて路面を乾かす狙いがあったみたいです。
スリックにドライバーで溝を入れたタイヤで、です。
那智渡戦では、風見たちはデファレンシャルギアを低速重視のものに替えて、代わりにタイヤ後輪を13インチから14インチにサイズアップすることで高速域を殺さない対処をしていましたか。
対戦相手の那智も、当初乗っているRX-7のエンジンはトリプルローターと言っていたのに、風見と対戦するときになってトリプルローター+トリプルターボだと明かしています。
「このRX-7もパワーアップしたんだ!」
那智のセリフにはこうあるので、おそらく彼も大会中にターボを加えたと捉えて良いでしょう。
大会中にそんな改造が可能なのか、私は改造をしたことがないでわかりません。
常識的に考えれば、大会中に行うことなんてタイヤを替えたり、マシンのセッティングを調整したり、そのくらいしか行える時間的余裕がないと思います。
ごく短時間でそんなことができるスペースも人手も部品もないでしょう。
しかしそれらが嫌かというとそうではありません。
むしろこのハチャメチャさは80年代の少年漫画っぽくて好きです。
ターボラグ解消法が描かれていた!
と、ここまで書いて再び4巻を読み返したところ、ターボラグの解消法が描かれていました。
失礼いたしました。
こういうことみたいです(わかってない)。
ターボラグの解消ではなく軽減法に読みとれます。
連載時や単行本に書かれていたかものかは覚えていません。
今回と同じく理解できずにスルーしていたのかも。
5巻以降も読みたくなってきた
さて、ここまで『よろしくメカドック』の文庫版4巻を購入したことと、購入した理由などを色々と書いてきました。
書いているうちに色々と思い出してきて、他の巻を読みたくなりました。
特に5巻以降の「東日本サーキットGP編」を読みたいです。
富士スピードウェイなど東日本にある有名なサーキットと、それをつなぐ高速道路でしたっけ、一般道を含めたかもしれませんけど、それらすべてを使ってレースをするシリーズだったかと思います。
要するにこちらもほぼキャノンボールです。
確か、東日本サーキットGP編ではゼロヨンで風見に敗れた那智が、「メカドック」チームに入っていました。
普段はレースに参加しないメカドックの経理担当、「いっつぁん」こと「中村一路」もホンダ「シティターボII」に乗っていました。
あの「ブルドッグ」が好きだったことを、書いていて思い出しました。
やはり柔よく剛を制す的な活躍を見ると面白く感じているみたいですね、私は。
ナベさんはゼロヨン編で風見に敗れたときにレーサーを引退しました。
そのはずなのに東日本サーキットGP編では夢幻チームの一員として参加しています。
ナベさんが引退を撤回したことは嬉しかったですけど、ナベさんがZに乗っていなかったことが当時ショックだった記憶があります。
確かグループCカーのようなマシンでしたよね。
あれも市販車のチューニング漫画から離れた気がして、当時から好きではないマシンでした。
ペガサスでしたっけ、あれもそうです。
終盤に向かうに連れて市販車が少なくなった記憶。
おわりに
ということで漫画『よろしくメカドック』の文庫版4巻を購入したので、3巻が好きな理由をあれこれ書いた記事でした。
記事タイトルに書いた「チェンジセコ! 」とは、風見が2速にギアチェンジをするときにしばしば発するセリフです。
2速と書いて「セコ」と読みます。