2018年6月12日、サッカー日本代表が『ワールドカップ2018ロシア大会』に向けた、パラグアイとの国際親善試合を行いました。
久しぶりに観ていて楽しい試合でした。
試合の雑感です。
目次
西野ジャパン最終メンバー
『FIFAワールドカップ2018』ロシア大会に向けた、「西野朗(にしの・あきら)」監督が選出したサッカー日本代表のメンバーは以下のとおりです。
- GK「川島永嗣」「東口順昭」「中村航輔」
- DF「遠藤航 」「昌子源」「長友佑都」「酒井宏樹」「槙野智章」「酒井高徳」「吉田麻也」「植田直通」
- MF「本田圭佑」「柴崎岳」「原口元気」「香川真司」「宇佐美貴史」「乾貴士」「山口蛍」「長谷部誠」「大島僚太」
- FW「岡崎慎司」「武藤嘉紀」「大迫勇也」
以上の23名です。
「井手口陽介」と「浅野拓磨」の2名がサポートメンバーとしてチームに帯同していましたが、2018年6月13日の報道によると井手口がチーム事情により離脱したようです。
パラグアイ戦の日本代表スタメン
パラグアイとのフレンドリーマッチにおける日本代表のスターティングイレブンは下記のようになりました。
-----------岡崎-----------
乾--------香川-------武藤
------山口-----柴崎------
酒井高-昌子--植田---遠藤
-----------川島-----------
フォーメーションは「4-2-3-1」です。
GKは東口順昭選手(以下選手略)、DFは4バックで右から遠藤航、植田直通、昌子源、酒井高徳、MFはディフェンシブハーフ (DH) が柴崎岳、山口蛍、右サイドハーフ (SH) が武藤嘉紀、トップ下が香川真司、左SHが乾貴士、FWは岡崎慎司でした。
交代は46分東口→中村航輔、46分遠藤→酒井宏樹、64分武藤→大迫勇也、74分岡崎→原口元気、79分乾→宇佐美貴史です。
西野監督はスイス戦の0-2の敗戦の後、パラグアイ戦では「バックアッパー」を多く使う的なことを言ってしまっていました。
口を滑らせて。
上記パラグアイ戦にスタメンで出場していた選手たちの多くが、試合まで西野さんから控え扱いを受けている選手ということです。
日本vs.パラグアイの結果スコア
日本vs.パラグアイの試合の結果は「4-2」、日本の勝利でした。
やっほい!
得点者は32分オスカル・ロメロ (0-1) 、51分乾(1-1) 、63分乾 (2-1)、77分OG(フェデリコ・サンタンデル) (3-1)、90分リチャル・オルティス (3-2) 、91分香川 (4-2) 。
乾が2得点、香川が1得点2アシストです。
バックアッパーたちのパフォーマンスの高さを受けて、西野監督の中で選手の序列が変わった可能性は決して低くないでしょう。
日本対パラグアイの感想
パラグアイ戦における日本代表のサッカーを象徴するシーンは、乾の2点目です。
積極的に高い位置から相手へプレスをかけて行き、ハーフウェイライン手前でボールを奪うと、そこから強い縦パス、相手の陣形が整う前に右サイドを駆け上がり、最後に乾がゴールを決めています。
この縦に速いプレイは先日のガーナ戦とスイス戦では観られなかった光景で、日本の光明となったように思います。
私は以前、アンカーを置いた「4-1-4-1」のフォーメーションを採用していただきたいと書きました。
このアイデア自体、今でも個人的に捨てがたいです。
しかし、パラグアイ戦の、特に後半に見られたプレイ内容は、ほとんど文句のつけようのない素晴らしいものでした。
ですから、本大会もパラグアイ戦後半開始時の布陣で良いのではないかと今は思っています。
上手くいっているときは下手にいじらない方が良いのではと。
今回戦ったパラグアイは正直申し上げてスイスより強くありませんでした。
パラグアイはワールドカップ出場を逃していて、新世代への移行期にあたるチームのようで、完成度は壮行試合時のガーナよりも少し低いレベルかもしれません。
ですから今回パラグアイに勝ったからといって、今回のメンバーがスイスと対戦したメンバーより全てにおいて上回っていたかはわからないです。
しかしそれでも私は今回のメンバーで行った方が良い結果を得られるように思います。
理由は一つではなく、以下に書いたこと全てです。
香川と乾
パラグアイ戦で一番目立ったのは香川と乾のコンビでした。
代表で今回ほど長い時間一緒にプレイしていたことはなかったと記憶していますが、セレッソ大阪で一緒にプレイしていた2人ですから、その連携はまさに阿吽の呼吸でしたね。
近づきすぎず離れすぎず、良い距離感・バランスを保っていて、本田がいるときに発生していた「渋滞」は起こりませんでした。
これは特に乾の戦術眼のおかげかなと私は考えています。
彼は中へ中へと行こうとせず、ある程度サイドに張ることを意識していたおかげで、後述する酒井高徳との左サイドの活性化と、香川のスペース創出を演出できていました。
1点目2点目のシュートシーンでは中にいたように、彼は外に張り付くばかりでもなく、隙を見て中に入ってもいましたから、外と中の見極めの点でも素晴らしい戦術眼を見せていました。
試合後のインタビューで、乾は香川とはやりやすいと話していたようで、ワールドカップ本番でもこの2人を入れない手はないかな、というくらい非常に高いレベルのパフォーマンスを披露していましたね。
大空翼と岬太郎みたいな「黄金コンビ」になり得るか?と。
岡崎と酒井高徳
個人的に、もしかしたら乾&香川以上の好印象を持った選手が2人いました。
それは岡崎と酒井高徳です。
岡崎は以前から賢さ・サッカーIQの高さを感じさせる選手でしたが、今回そのIQの高さが顕著に現れていたように思います。
得点こそなかったものの、精力的なダッシュを繰り返して、香川や武藤のためのスペースを創出したり、柴崎のパスを引き出したり、攻撃面の活性化を生み出していました。
守備面でも、香川や乾たちとバランスの良い距離感を保ちつつ相手にチェイスをしていて、日本の中盤から後ろが試合中決定的にバランスを欠くようなことがなかったことは、岡崎ら前線の組織だったチェイスがあったからに私には見えました。
FWですから得点は一番に要求したいところではあります。
しかし、今の日本代表にはディフェンシブなFWというかディフェンスが上手いFWが必要なのではないかと思わせる今回の岡崎のプレイ内容でした。
FWからプレスがはまらないとゾーンは厳しいですからねぇ……コロンビア相手にもはまると良いですが。
酒井高徳について、彼はそもそも代表に呼ぶレベルにない、と私は考えていました。
これまでのパフォーマンスは不安定というか低調で、特に守備面での危うさは致命的だと思っていたのです。
ところが、パラグアイ戦では中に違う人が入ってプレイしているのではないかと疑うレベルで攻守にわたって躍動していて、左サイドの活性化につながっていたように思います。
試合中、解説だったかピッチ解説だったかは忘れましたが、乾が守備について支持を出しているという報告がなされていたので、酒井高徳の守備の安定の影には乾の力があったかもしれません。
今回の23人では試合に通用する「長友の控え」がいないのではないか、という懸案が私の中にありましたし、同じように考えていた人は私だけではないと思います。
その懸案が払拭された意味でも、今回の酒井高徳のプレイ内容は日本を大きく助けたのではないでしょうか。
私は今回のパフォーマンスが継続されるなら、長友ではなく酒井高徳が左FBのレギュラーで良いとすら思っています。
香川を使うなら乾は外せない、その乾と良い連携を見せた高徳も外せない、という思考のリンク。
ウイイレ的な、能力を数値化すれば長友が左FBの最有力であることは間違いないでしょうけど、長友と乾が酒井高徳以上の連携を見せられるかは未知数です。
それを試す時間的余裕はもはやありませんから、私は酒井高徳を推します。
柴崎
柴崎岳もパラグアイ戦で良いプレイをした選手の一人ですね。
彼のプレイメイカーとしての資質の高さは際立っていて、低いボランチの位置からも香川や岡崎の動きをいち早く察知して鋭いパスを供給していました。
単に、前線に強く速い縦パスを出せるだけでなく、ショートパスもサイドチェンジも自在でまさにマエストロです。
加えてプレースキックのキッカーとしても質の高さを示していました。
今回、彼のキックから相手のオウンゴールを誘発していましたね。
大島も良い選手なので個人的には2人が同時にピッチに立っていて欲しいのですが、今回のような良いバランスでプレイするためには下手にいじらない方が良いかもしれません。
柴崎をトップ下という意見が散見されますけど私はあまり賛成できないです。
というのも彼はドリブルが少ない選手だからです。
トップ下はドリブルでの相手陣地への侵入、あるいは裏への飛び出しという役割が必要になり、その点で彼は足りないと思います。
これらの点は今の本田にも足りてないですが。
トップ下は香川という適任者がいることもありますし、報道を読む限り柴崎自身DHが本来のポジションと考えているようですし。
低い位置からのオーガナイザーとしてプレイしてもらった方が、彼もチームも上手く機能すると思います。
後述するCBとのブロックを考えてもその方が良いかなと。
植田と昌子のCBコンビ
以前、急造チームなら、攻撃なら攻撃、守備なら守備で、同じクラブチームの選手を集めてブロックを作れば良いということは書いた気がします。
ただ、三竿は展開力に乏しい印象はあるので、柴崎と鹿島アントラーズ系でDHコンビを組ませることで三竿も柴崎も生きる、これもまた「手」ではないかと思います。
(略)
DHと同様に、昌子と植田をセットで使うことで守備の中央を鹿島でブロックを作れば、それぞれ単体で起用するより安定感はずっと増す可能性が高そうです。
『サッカー2018、日本代表ウクライナ戦の雑感。ハリルホジッチ監督の解任があって良いと思います』という2ヶ月以上前に私が当ブログに書いた記事の抜粋です。
こういうことは普通にアリだと私は思っています。
今回も同じクラブでの連携は効果を発揮していて、例えば先ほど書いたように香川と乾の元セレッソ大阪コンビに攻撃を牽引させたことで、良い循環が生まれていましたね。
そこに山口も含めた方が良いかもしれない。
守備も、センターバック (CB) が植田と昌子の鹿島コンビ、それとDH柴崎を含めれば、トライアングルで(元)鹿島のブロックを形成していて、こちらもある程度成功したと私は捉えられます。
失点シーンで柴崎と昌子の甘さは出ていたものの。
CBコンビはとても良い関係で守備をしていて、特に植田は守備面で効いていたように思いますし、ボールを繋ぐの力・展開力が足りなくても柴崎がいてくれることでビルドアップでの大きな破綻はなかったように見えました。
昌子は守備面で植田ほど効いてはおらずチェックの甘さもありましたが、1点目の起点になる縦パスを入れていたはずで、地味に攻撃面での貢献が見られました。
代表のCBは「吉田麻也」の1枚は確定で、彼の相棒は誰が適切かの議論ばかりが起こっていたように感じられます。
しかし、パラグアイ戦の植田&昌子の高パフォーマンスを受けて、そもそものところでCBは吉田じゃなくてもいいんじゃないか、という今までとは異なる角度の考えが生まれたことは大きな意味のある出来事です。
「『吉田麻也』後」はそう遠くない時期に考えなければいけない事案ですから。
マイナス面
チームでいうとマイナス面はほとんどありませんでした。
完全になかったというと、失点はしているので、ないことはないですけど。
選手でいえば、試合前半に出場していた遠藤航はスタメンで使うには厳しいと思いました。
基本的なボールを止める・蹴るの部分から、素人目にわかるレベルで周りから見劣りするように感じられたからです。
緊急事態の他で彼を使わない方が良いかな、大きな穴になり得るかなと思います。
それもあって先ほど、本番も「パラグアイ戦後半開始のメンバー」で行って欲しいと書きました。
パラグアイ戦後半は、遠藤に代わって酒井宏樹が入っています。
後半開始から変更された選手というと、GKの東口→中村がありました。
東口に関してはそれほど悪くはなかったです。
ただ若い中村に経験を積ませた方が日本代表にとってはプラスかなとは感じます。
パラグアイ戦後半開始のメンバーから変えるとしたら、右SHが武藤か原口か、柴崎の相棒のDHは山口か長谷部か大島か、この2点しか私にはないですね。
おわりに
ということで、久々に90分通して観ていて楽しい試合の雑感でした。
私はサッカー素人なので見当違いなことを書いていたら申し訳ありません。
パラグアイ戦を最後に本大会までは試合は組まれていないはずです。
もうすぐ、2018年6月14日に開幕します。
2018年6月19日火曜日に本大会予選グループステージ第1戦となるコロンビア戦、25日に第2戦セネガル戦、28日に第3戦ポーランド戦が予定されています。
7月15日が閉幕の予定です。