平日の16:50から18:10まで、NHK総合で放送されている報道・生活情報番組『ニュース シブ5時』の、2018年1月29日の放送で「女子会で“安息” 居場所を求める女性たち」という特集が組まれていました。
目次
- NHK『ニュース シブ5時』
- シブ5時「女子会で“安息” 居場所を求める女性たち」
- 「ひきこもり女子会」の主催者の言葉
- 「ひきこもり女子会」の内容・ルール
- 社会に居場所を失うきっかけは何か?
- 安心な人と危険な人がいる
- 「こうでなければならない」なんてことはない
- 「今はこれでいい」で良い
- おわりに
NHK『ニュース シブ5時』
平日の16:50からNHK総合で放送されている『ニュース シブ5時』は、報道メインで生活情報も伝えている番組です。
司会は「松尾剛(まつお・つよし)」NHKアナウンサーと「寺門亜衣子(てらかど・あいこ)」NHKアナウンサーです。
2018年1月29日の放送の後半部分では、「女子会で“安息” 居場所を求める女性たち」というタイトルの特集が組まれていました。
女性の引きこもりについてです。
シブ5時「女子会で“安息” 居場所を求める女性たち」
入り口に「ひきこもり女子会」と書かれた看板が掲げられた会議室的な広いスペースに、たくさんの女性が集まっていました。
参加者は、ひきこもり経験者や社会との接点がない、あるいは少なく居場所がないと悩んでいる女性たちです。
会場を訪れる年齢層は30〜40代を中心に、10代〜60代まで幅広い年代の方々です。
「引きこもり状態だったり、そうでなくても人間関係や家族関係などで生きづらさや悩みを抱えている方たちがたくさんいらっしゃっている」と主催者の方は言っていました。主婦の方も全体の3割ほどいると。
このひきこもり女子会では、参加者は自分の悩みや状況を打ち明けます。
「1年くらい前から“自分は空っぽ”ということに気がついた。内気な性格でここにいるときは話せるけど(外へ)出ていけない」
「焦るばかりで動けない。何していいかわからない」
「考え方の癖で、うつになりやすい。書いたりして自分の考え方のパターンに気づいて、“思い込みで落ち込んでいる”と気付けば、そうじゃない考え方もできる」
といった悩みです。
自分の悩みに「共感」してもらうことが居心地の良さに繋がるのだと言います。
「ひきこもり女子会」の主催者の言葉
「ひきこもり女子会」を主催しているのは「林恭子」さん。
林さんが仰るには「この世界に私が生きていく場所はどこにもないから、もう終わりにしないといけないと思った」ということです。
VTRには発言の主語が入っていなかったのですが、おそらく林さんご本人が、だと思います。
林さんを中心に、引きこもりの経験者だけで立ち上げられた団体が「ひきこもりUX会議」で、一昨年6月からひきこもり女子会の活動をしているそうです。
これまで東京や関西を中心に38回開かれ、延べ1,400人以上が参加しています。
どうして「女子会」なのかについては……
「引きこもりの自助会とか集まりは今までもあったんですけど、9割9分男性しか来ない現状があって、であるならば女性だけで集まる場を作ればそういう人たちも来られるんじゃないか」
……という理由からでした。
確かに、私は参加したことがないですけど、そういう場所は男性が多いイメージは強いかもしれません。ほぼ男性なら女性は行きにくいかもなぁと。
参加する女性の中には、男性に苦手意識を持っていたり男性が怖いと感じている方もいらっしゃるから、女性だけで集まれる場所を作ったとも仰っています。
男性に苦手意識を持つようになったきっかけは、学生時代に男子生徒からイジメられたとか、DV(ドメスティック・ヴァイオレンス)に遭ったとか、父親から虐待を受けていたとか、そういう経験をしたからです。
引きこもりや生きづらさを抱えた方への支援はこれまでにも色々ありましたが、それは就労支援がほとんどでした。
当事者にとっては(いきなり)就労支援というものはハードルが高くて、もっと手前のところで、まずは自分の気持ちをわかってくれる人と出会って、自分の話を伝える、それを否定されずに受け止めてもらえる、安心していられる場が必要だと林さんは感じています。
就労の手前の支援が必要で、それがひきこもり女子会です。
「『生きていて良いと思えない』と皆さんおっしゃいますので、まずもちろん生きていていいし、あなたはここにいてもいいだってことを、とてもたくさんメッセージとして伝えないことには、一歩前に行くということはなかなか難しいと思います」とのこと。
「ひきこもり女子会」の内容・ルール
内容は先ほども書いたように、参加者それぞれが自分の抱えている悩みや状況を打ち明けるものです。
「自立について」「主催者に聞いてみよう」などテーマごとにテーブルが用意されていて、テーマに沿った話をしたい方がテーブルに集まり皆で話をします。
女子会のルールは「否定をしない・批判をしない」「聞くだけでもOK」です。聞くだけでも良いのです。
社会に居場所を失うきっかけは何か?
女性たちはなぜ社会に居場所を失うのでしょうか?
そのきっかけは身近なところにあって、そして様々です。
不登校からだったり、夫の転勤先であったり、一旦仕事を辞めたあと再就職できずに……だったり、親の介護をしていてだったり。
きっかけ自体ちょっとしたことであっても、外に出るのが何となく長くなっていってしまうケースもとても多いそうです。これは私もそうなので実感があります。
「こういう人は引きこもりになりやすい」ということは特にないから、どんな人でも条件さえ揃ってしまえば引きこもり状態になる可能性は十分にある、と林さんは言います。
安心な人と危険な人がいる
スタジオには林さんと、精神科医の「水島広子」さんも出演していらっしゃいました。
人間には「安心な人」と「危険な人」がいて、危険な人というのは「すぐにアドバイスをしたがる」とか「すぐに話をまとめたがる」とか、そういう人だそう。
危険な人のアドバイスやまとめ、そういった言葉を聞いた人は傷いてしまって、今の自分を否定されてしまうと感じてしまいます。
ひきこもり女子会のような安全な場で、まずは今のままでも良いのだとか、人それぞれ普通の顔をしていても苦労はあるんだよとか、人間として生きていて良いんだってところからだと仰っています。
説明しなくても良い同じものを共有している場やグループというもの(ひきこもり女子会)は良いみたいです。
「こうでなければならない」なんてことはない
林さんはスタジオでこういうことを仰っていました。
「“こうでなければならない”という気持ちがとても強い」「皆さん“きちんとする”と言う」と。
「きちんとする」とは「正社員でなければならない」「きちんと恋愛をする」「きちんと結婚をする」「きちんと主婦をやる」といったことです。
「そうではなくて、もっと色々な生き方が実はあるし、こうでなければならないということは必ずしもそんなことはないんだよ、ってことは伝えていかなければならないかなと思っています」
と仰っていました。
「今はこれでいい」で良い
水島さんはこう仰っています。
「自分にダメ出しを続けることになっちゃうんですよね」
「まずは自分を肯定するところからしか進歩はない」
「“今はこれで良い”“明日もうちょっとやってみよう”(で良い)」
支援する方はぜひ先を行かないで欲しい、とも水島さんは言っていました。
「(支援者は)次は就労、次は何とか……って行きたくなるけれど、ずっと本人と一緒か本人を後ろから支えるくらい(で良い)。先に行くとそれが「〜べき」になってしまうから」
「(目的を持つよりも)まず人間として肯定されること」が必要だということでした。
おわりに
林さん主催の「ひきこもり女子会」は2018年1月30日に練馬区で行われていたみたいです。
2月6日には表参道でも開催され、今後関西でも行われる予定みたいですから、もしこのブログを読んで心に止まった方で近くにお住まいの方は一度立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
詳しい情報は上記ブログをご覧いただくと良いですが、参加費は100円で、引きこもりの当事者でなくても参加可能とのこと。
ということはご家族の方も参加できそうですから、家族に引きこもっている人がご家庭は参加してみて、似た境遇の方の話を聞いてみるのも良いかもしれません。