毎週水曜日23:00よりEテレにて放送されている『ふるカフェ系ハルさんの休日』、2018年9月26日の放送は「埼玉・深谷~最後の伝統日本家屋カフェ」でした。
2018年シーズンは今回で最終回のようです。
目次
ふるカフェ系 ハルさんの休日
今、地方では過疎化が進み、何代も受け継がれてきた古民家が廃屋として次々と取り壊されつつある。そんな古民家を惜しみ次世代に残そうとする試みが、リフォームカフェ。
一歩足を踏み入れば、懐かしい空間が広がる古民家カフェは、女性や若者達に新鮮なおしゃれスポットとして大人気。京都、奈良の町屋カフェや下北沢の古民家喫茶など全国的にブームとなっている。そんな古民家カフェを舞台に、記憶から失われつつあるかつての町の姿と記憶をドラマ形式で甦らせていく番組。カフェを訪れる住民たちとの出会いを通して、全国各地の意外な歴史を明らかにしていく。
こちらは以前のシリーズのイントロダクションです。
ドラマの冒頭に「古い建物を活かしたレトロなカフェがあると聞けば、全国どこへでも訪ねる」という、俳優の「渡部豪太(わたべ・ごうた)」さんが演じる、本作の主人公「真田ハル(さなだ・はる)」のセリフが入っています。
台詞の通り、ハルさんは古くから営業を続けている純喫茶的な喫茶店ではなく、古民家など古い建物をリフォームしたカフェを対象にしています。
ハルさんは一部に熱狂的なファンを持つブロガーで、古カフェを取材する体で番組が進行します。
当番組は、カフェのオーナーさんがご本人で、お客さんも現地の方を起用しているため、渡部さんの他の出演者は演技の素人さんです。
基本的に台詞が棒読みですし演技も上手ではありません。渡部さんの演技もほぼ全編に渡って滑っています。
ただこれは渡部さんが滑っているというより、脚本や演出が滑っていると捉えた方が良いでしょう。
古カフェ好きかつ演技面が気にならない方であるならば、大いに楽しめる番組になっていると思います。
埼玉・深谷編のカフェは「Omoya」さん
2018年9月26日放送された『ふるカフェ系 ハルさんの休日』の埼玉・深谷編で、ハルさんが足を運んだカフェは「Omoya」さんです。
母屋、母家さん。
番組内では「築70年! 時代を先取り 時代を受け継ぐカフェ」と紹介されていました。
宮大工が建てた伝統的な日本家屋でした。
「Omoya」の場所と営業時間・定休日
今回ハルさんが訪れたカフェ「Omoya」さんのある場所は、前回に引き続き埼玉県の、今回は越谷ではなく県北部にある「深谷市(ふかや・し)」です。
住所は「埼玉県深谷市原郷464-3」とWebサイトにはあります。
最寄り駅は「深谷駅」のようです。JR高崎線。
駅からは中山道に出て、深谷商業高校のある稲荷町の交差点から県道127号線に入って北上していくようです。
Webの地図を見る限り、周りに目立った建物などはなさそうです。
営業時間は11:00-15:00と短いです。定休日が毎週土曜日と日曜日と月曜日とのこと。
放送後は混雑が予想されます。店主1人で買出し、仕込みをしているのでご飯の数に限りがございます。
ご予約は営業日の午前中、8時半から3時半までの受け付けとなります。
留守電でのご予約は申し訳ございませんが、暫くお断りさせていただきます。
時間帯どは多忙でお電話に出れない場合もございますのでご了承下さいませ。
駐車場はお庭になり、8台位になります。
Webサイトの店主さんの言葉です。
店主一人で買い出しと仕込みをしているために、営業日が少なく営業時間が短いのかもしれません。
Webサイトを拝見すると毎月の休日も告知していることから、不定休と考えた方が良さそうで、事前予約は必須レベルに感じられます。
放送後のお昼前後は特に混雑が予想されますので余計に。
「Omoya」は宮大工が建てた日本家屋
ハルさんが今回訪れた「Omoya」さんの建物は、宮大工が建てた立派な日本家屋でした。
建てられたのが昭和23年ということですから、西暦1948年、つまり放送された2018年のちょうど70年前です。築70年。
戦後間もなくこのような立派な日本家屋が建てられたことの意義、大きそうです。
まず外観です。
庭付きの立派な日本家屋です。
屋根は特に関東地方で多く見られる「切妻屋根(きりつまやね)」です。
屋根瓦には、窯焼きの最後の工程で松などをくべて燻し炭素を浸透させることで独特な銀色になり、強度も増すと言われる地元・深谷の「深谷瓦」を用いています。
端には、強風などで瓦が飛ぶのを防ぐ役割を持つ丸瓦「風切丸(かざきりまる)」が配されていて、銅線でしっかりと瓦を抑えています。
これは深谷が群馬県との県境にあり、冬になると群馬県の「赤城山(あかぎさん)」から「赤城おろし」の強い北風が深谷にまで吹き下ろすためのようです。
もちろん深谷ですから立派な鬼瓦もありました。
雲を模したクルリンとした造形をしていて、これは恵みの雨を願ってのものみたいです。ということは農家?
内装は大きく手を加えられていることはなさそうでした。
大きな大黒柱で、長年磨き込まれたことで表面がツヤツヤです。
何でも「人の油が艶を出す」ということで、カフェ店主のお父様が子供の頃はお風呂の残り湯でよく磨かされたそう。
建具をはめるための溝が掘られた鴨居と、柱と柱の間をつなぐ梁の役割を兼ねる構造材、「差鴨居(さしがもい)」もとても立派な木材を使っています。
差鴨居は伝統的な日本家屋でよく見かけるものだそう。
柱と差鴨居や梁などは堅木材「込栓(こみせん)」で、日本伝統の木組みの工法を用いて固定されていました。
接合部に釘は一切使われていないのですね。
窓辺の柱には住人が付けたと思われる背を測った跡の「柱の傷は一昨年の」の柱の傷がありました。
今回は店内の写真撮影はNGだったので、ハルさんは撮影できませんでしたが、こういう人が暮らしていた証が家に刻まれている様子って良いですよね。
「Omoya」さんの建物が建てられた2年後の昭和25年んい建築基準法が制定されました。
戦後、420万戸の住宅不足を解消するために、簡単に早く建てられるようにと建築基準が設けられました。
ですから、法律制定後に造られた建物は、その寿命が約30年と言われ、何世代も暮らせる木組みの家は造られなくなってしまいます。
造られなくなったのは核家族化も一因としてあるようです。
しかし、2009年に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が制定され、長く住める家を建てると税やローン金利の優遇を受けられるようになりました。
これもあって何世代にもわたって暮らせる住宅が再び注目されるようになったと。
また面白いことに、この家屋には「電話ボックス」が入っていました。
家の一角に電話スペースがあり、ガラス戸で仕切られています。ガラス戸の中央のガラスには「電話三二六番」と家の電話番号と思われる番号が。
電話ボックスはカフェのために新たに造られたのではなく、住まいとして利用していた時代から存在していたものです。
「Omoya」店主のお祖父様が家で商売をしていたため早くから電話が必要で電話を引いていて、ご近所さんも利用していたことから通話スペースとしての小部屋を設けたようです。
家の商売は「家畜商」とのこと。
家畜商とは農耕牛の繁殖を行うことで、当時牛は貴重な労働力でしたから繁盛したみたいです。
昭和22年、店主のお父様が生まれたことで、喜んだお祖父様が孫の代まで100年保つ立派な家を、ということで建てたのが「Omoya」の建物ということでした。
カフェの店主は次女と言っていましたか。家を継いだみたいです。
「Omoya」の深谷野菜ランチ
ハルさんは「Omoya」さんでランチメニューを頼んでいました。
深谷の野菜を中心にした田舎料理。
接客をしてた店主さんはランチメニューは1種類しかないと言っていたように聞こえました。
前述したように店主さん一人で買い出しや仕込みをしているとのことですから、メニューそのものが少ない可能性もあるでしょう。
玄米と思われるご飯に、お味噌汁、おかずは大きめのお皿一つに盛り付けられていました。魚(?)とサラダと金平ごぼうと卵焼きなどが見えました。
特に目立つのが真っ直ぐなエビフライ……ではなく「ニンジンフライ」です。大きな人参のフライ。
ハルさんはニンジンが嫌いだそうですけど……
「甘い! 美味しい……何、このニンジン、ホクホクして味が凝縮している!」
「ニンジンってこんなに美味しかったんだ!」
……と完食していました。
ニンジンフライは、フライにする前にニンジンを20分間蒸しています。
蒸すことでニンジン本来の旨味が逃げずに甘く感じられると。
揚げるのは「菜種油(なたねあぶら)」で油の温度は180度。
店主さんが言うにはニンジン嫌いの子も食べられるように考えたメニューとのことで、32歳のハルさんもおかげでニンジンを克服できました。
メニューは店主さんのお母様から受け継いだ家庭料理がメイン。
おわりに
ということで久しぶりのハルさんの2018年シーズンの最終回でした。
2019年にも放送されるのかは放送内では何も言っていませんでした。
おそらくまた年度が変わったら放送が始まるのではないかと思っていますが……年末年始にスペシャルを放送して。