2018年4月4日水曜日23:00より、Eテレにて『ふるカフェ系ハルさんの休日』の新シリーズの放送が始まりました。
2018年7月4日放送の2018年度シリーズ第13回(再放送を除けば第11回)は「埼玉・伊奈町 ~築200年超豪農住宅のカフェ」でした。
目次
- ふるカフェ系 ハルさんの休日
- 埼玉・伊奈町編のカフェは「紡ぎの家 大島」さん
- 「紡ぎの家 大島」の場所と営業時間・定休日
- 「紡ぎの家 大島」は超豪農の古民家
- 「紡ぎの家 大島」のバラのソーダ
- バラのまち伊奈町
- のらぼう菜と伊奈
- おわりに
ふるカフェ系 ハルさんの休日
今、地方では過疎化が進み、何代も受け継がれてきた古民家が廃屋として次々と取り壊されつつある。そんな古民家を惜しみ次世代に残そうとする試みが、リフォームカフェ。
一歩足を踏み入れば、懐かしい空間が広がる古民家カフェは、女性や若者達に新鮮なおしゃれスポットとして大人気。京都、奈良の町屋カフェや下北沢の古民家喫茶など全国的にブームとなっている。そんな古民家カフェを舞台に、記憶から失われつつあるかつての町の姿と記憶をドラマ形式で甦らせていく番組。カフェを訪れる住民たちとの出会いを通して、全国各地の意外な歴史を明らかにしていく。
こちらは以前のシリーズのイントロダクションです。
ドラマの冒頭に「古い建物を活かしたレトロなカフェがあると聞けば、全国どこへでも訪ねる」という、俳優の「渡部豪太(わたべ・ごうた)」さんが演じる、本作の主人公「真田ハル(さなだ・はる)」のセリフが入っています。
台詞の通り、ハルさんは古くから営業を続けている純喫茶的な喫茶店ではなく、古民家など古い建物をリフォームしたカフェを対象にしています。ハルさんは一部に熱狂的なファンを持つブロガーで、古カフェを取材する体で番組が進行します。
当番組は、カフェのオーナーさんがご本人で、お客さんも現地の方を起用しているため、渡部さんの他の出演者は演技の素人さんです。基本的に台詞が棒読みですし演技も上手ではありません。渡部さんの演技もほぼ全編に渡って滑っています。
ただこれは渡部さんが滑っているというより、脚本や演出が滑っていると捉えた方が良いでしょう。古カフェ好きかつ演技面が気にならない方であるならば、大いに楽しめる番組になっていると思います。
埼玉・伊奈町編のカフェは「紡ぎの家 大島」さん
2018年7月4日放送された『ふるカフェ系 ハルさんの休日』の埼玉・伊奈町編で、ハルさんが足を運んだカフェは「紡ぎの家 大島」さんです。
Webサイトを拝見すると「cafe BLANCO」とも書かれています。
白いカフェですか?
番組内では「築200年 緑の中にあるチョーゴーノーカフェ」と紹介されていました。
今回のカフェは、かつて「超豪農」だった豪華な古民家でした。
「紡ぎの家 大島」の場所と営業時間・定休日
https://www.facebook.com/tumuginoie/
今回ハルさんが訪れたカフェ「紡ぎの家 大島」さんのある場所は埼玉県北足立郡伊奈町です。
大島さんのWebサイトによると、住所は「埼玉県北足立郡伊奈町小室11064」とあります。
劇中でハルさんが降りていた駅は「伊奈中央駅」でした。
埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)ですね。
Webサイトのアクセスページによると、伊奈中央駅から徒歩17分、同「羽貫駅」から徒歩15分、JR高崎線「上尾駅」から自動車で15分、伊奈町循環バス「中萩(なかおぎ?)」下車1分とのこと。
液から循環バスが出ていればそれを利用するのが一番確実そうですね。
営業時間は日曜日・月曜日・火曜日・水曜日の10:00-18:00、定休日は木〜土曜日のようです。
放送後のお昼前後は特に混雑が予想されますので、来店前にお店と連絡を取っておくと良いかもしれないですね。
「紡ぎの家 大島」は超豪農の古民家
ハルさんが今回訪れた「紡ぎの家 大島」さんの建物は築200年の大きな古民家でした。
まず外観です。
屋根がたいそう立派で、東日本に多いことから「東屋(あずまや)」とも呼ばれる4面に傾斜する屋根を持つ「寄せ棟造り(よせむねづくり)」です。
傾斜が急なことから、元々は「茅葺屋根」だろうとハルさんは推察していて、そのとおりでした。
茅葺屋根は雨が溜まらないように角度をつける必要があるから、でしたっけ。
基本は「八寸勾配(はっすんこうばい)」、およそ40度の傾斜角だそう。
そして、茅葺屋根の農家で、これだけの大きさの家を建てるとなると豪農であろうともハルさんは考えていました。
ベッドタウンの伊奈町にこれほどの立派な住宅が残っていることは稀みたいです。
たいていが区画整理に遭うから?
内部は、古民家カフェによくある部屋を仕切る壁の一部や襖、障子といったものが取り払われていて、広い家ということもあり開放的な空間でした。
見上げると天井が高いため圧迫感はなく、太い丸太の梁が何本も組まれていて、迫力があります。
広い家ならではということで、大黒柱は2本、強度を上げる目的の「大黒柱」と「女大黒(めだいこく)」がありました。
1本では強度的に不足するかもしれない、それくらい大きな屋根だということですね。
カフェスペースの他にも2間続きの座敷があったり、障子の一部が外せて夏場の風通しにしていたり、床の間も番組でも見たことのないレベルの大きく立派、明かり取りの「書院障子(しょいんしょうじ)」の模様も繊細です。
中でも200年前から存在しているであろう古い板戸には、消えかけの板絵が描かれていました。
消えかけている絵は、建物や植木、太鼓橋のようなアーチ状の橋、人などが描かれているようです。
200年前の伊奈町かもしれません。
「紡ぎの家 大島」の建物はオーナーさんのご実家でした。
お店の名前にもあるように、大島家の家で、現オーナーさんが大島家の19代目当主だそうです。
南北朝時代、足利尊氏との戦いに敗れた
新田義貞。その子万次郎と共に6人の武士が
落ち延び、現在の地武州小室郷の中荻村に
定住しました。これが大島家の先祖とされ
約600年の時が流れています。
お店のWebサイトの「ものがたり」ページにはこのように書かれています。
新田義貞の家来の子孫ということ。
建物が出来たのは江戸時代末期で、建築された当時は茅葺屋根です。
茅葺屋根時代の写真も残されていました。
1982年に東北・上越新幹線が開通し、伊奈町を南北に通ることになりました。
新幹線の高架橋を利用した「ニューシャトル」が開通し、大宮から伊奈町をつないで、都心へのアクセスが良くなったことで、人口が急増してベッドタウン化します。
元から調整区域にあった実家(カフェの建物など)は、ベッドタウン化した後もそのまま残った……という事情があったそうです。
現オーナーさんが19代目当主となってから後、老朽化し取り壊しの話も浮上した建物を3年の月日をかけて改修し、2014年に多目的スペースのあるカフェとしてオープンさせ、現在に至るとのこと。
「紡ぎの家 大島」のバラのソーダ
ハルさんは「紡ぎの家 大島」さんで「バラのソーダ」を頼んでいました。
バラのソーダは伊奈産バラの花弁とバラのゼリーが入っているそうです。
コラーゲン入り。
「爽やか」
「バラのゼリーはぷるんぷるんやないかーい」
「う〜ん、バラの香り広がるぅ〜」
とはハルさんの感想です。
バラのソーダの作り方
砂糖とゼラチンを煮溶かし、ドライローズを投入
→3分後、さらにザクロ酢を加える
→液を濾(こ)し、冷やし固めてゼリーにする
→カットしたゼリーにザクロ酢とソーダ水を注ぐ
→花びらを浮かべて出来上がり
バラのまち伊奈町
伊奈町は「バラ」が有名な場所だそうです。
バラが伊奈町の花になったのは、1970年に村から町になった記念にバラ園が作られたことがきっかけでした。
今では町野シンボルとなり、400種類5000株以上のバラが咲いている埼玉県最大級のバラ園になっていると。
のらぼう菜と伊奈
ハルさんは、多目的スペースで活動していたご婦人方にお呼ばれし、「のらぼう菜」を使った料理を食べていました。
お浸し(おひたし)や饅頭(まんじゅう)、カルボナーラ、テンプラです。
のらぼう菜(のらぼうな)は、東京都西多摩地方(あきる野市、青梅市等)及び埼玉県飯能市・比企郡小川町付近で多く栽培されるアブラナ科アブラナ属の野菜である
のらぼう菜のWikipediaにはこのように書かれています。
のらぼう菜は「伊奈忠宥(いな・ただおき)」が、稲の育たない山間部に栽培を奨励したことで定着したようです。
のらぼう菜は寒さに強く、生命力が高いのが特徴。
伊奈町は、忠宥から10代遡った「伊奈忠次(いな・ただつぐ)」が、この地で治水事業を指揮して新田開発を行い、伊奈だけでなく関東の米の生産量を倍近くにするなどの功績を残したことが町名の由来、と番組で説明されていました。
おわりに
伊奈町を紹介したい、のらぼう菜を紹介したい、その気持ちはわからなくはないです。
せっかく『ハルさんの休日』で、Eテレで、NHKで地元が紹介されるのですから、宣伝するには絶好の機会のはず。
しかしできれば「紡ぎの家 大島」さんで出される料理が見たかったかな、というのが個人的な感想です。
のらぼう菜を使った料理の数々は、私たち視聴者がカフェに行っても食べられないですよね。たぶん。
町の料理屋などに行けば食べられるのかもしれませんが……。
ちょっと欲張りすぎてしまって焦点がボケてしまった思いがなくもないです。