毎週水曜日23:00-23:30にEテレで放送されている『ふるカフェ系 ハルさんの休日』、2017年4月5日から新シリーズが始まりました。
2017年1月3日に『ふるカフェ系 ハルさんの休日SP』として「金沢・お茶屋・武家屋敷!」が放送されて以来の放送です。
新シリーズ第1回は「京都・西陣 織物の町に生まれた銭湯カフェ」です。
目次
ふるカフェ系 ハルさんの休日
今、地方では過疎化が進み、何代も受け継がれてきた古民家が廃屋として次々と取り壊されつつある。そんな古民家を惜しみ次世代に残そうとする試みが、リフォームカフェ。
一歩足を踏み入れば、懐かしい空間が広がる古民家カフェは、女性や若者達に新鮮なおしゃれスポットとして大人気。京都、奈良の町屋カフェや下北沢の古民家喫茶など全国的にブームとなっている。そんな古民家カフェを舞台に、記憶から失われつつあるかつての町の姿と記憶をドラマ形式で甦らせていく番組。カフェを訪れる住民たちとの出会いを通して、全国各地の意外な歴史を明らかにしていく。
こちらは以前のシリーズのイントロダクションです。
ドラマの冒頭に「古い建物を活かしたレトロなカフェがあると聞けば、全国どこへでも訪ねる」という、俳優「渡部豪太(わたべ・ごうた)」さん演じる、本作の主人公「真田ハル(さなだ・はる)」のセリフが入っています。
台詞の通り、ハルさんは古くから営業している喫茶店ではなく、あくまで古民家など古い建物をリフォームしたカフェが対象にしています。ハルさんは一部に熱狂的なファンを持つブロガーで、古カフェを取材する体で番組が進行します。
当番組は、カフェのオーナーさんがご本人で、お客さんも現地の方を起用しているため、渡部さんの他の出演者は演技の素人さんです。基本的に台詞が棒読みですし演技も上手ではありません。渡部さんの演技もほぼ全編に渡って滑っています。
ただこれは渡部さんが、というより脚本や演出が滑っている、と捉えたほうが良いでしょう。古カフェ好き、且つ演技面が気にならない方であるならば、この番組を大いに楽しめると思います。
金沢編のカフェは「さらさ西陣」さん
2017年4月5日放送された『ふるカフェ系 ハルさんの休日』の新シリーズ第1回「京都・西陣」編で舞台となった古カフェは「さらさ西陣」さんです。
1984年にオープンし、24年間皆様に愛されていただいてきた富小路三条の店舗から引越しして、この花遊小路にオープンしました。
上記カフェのWebサイトにはこのように書かれています。私は京都は学生時代の修学旅行でしか行ったことがないので「富小路三条」も「西陣」も全くと言っていい程知らない土地です。お店は富小路三条から花遊小路に引っ越したそう。
『ふるカフェ系 ハルさんの休日』はNHKの番組ですから、番組内で紹介されるお店の店名が作品の本編中に明かされることはまずありません。ところが、クレジットの中の「撮影協力」欄に店名が表示されていますので、そこでハルさんが今回どのお店を訪れたかがわかるようになっています。
「さらさ西陣」の場所と営業時間
「さらさ西陣」さんのお店は「京都市中京区新京極四条上がる中之町」にある「花遊小路商店街」の中ほどにあるとのこと。
営業時間は12:00‐23:30で、定休日は毎月最終水曜日とのこと。昼ごはん12:00-15:00、遅ごはん15:00-17:00、夜ごはん18:00-23:00と書かれていましたので、その時間帯に特別なメニューが出るのでしょう。夜ごはん時はお酒、ということでしょうか。
お店のブログにメニューがありましたので参考になさってください。オムライス美味しそう。
「さらさ西陣」さんは銭湯カフェ
銭湯カフェということで、「さらさ西陣」さんは築90年(昭和初期)に建てられた銭湯をリノベーションしてカフェにした場所でした。銭湯は平成11年に廃業。
番組では、国の「登録有形文化財」に指定されている建物だということでした。
店構えからして重厚感が溢れていました。「唐破風(からはふ)」という屋根飾りで、「日本で生まれた流線型が特徴の屋根 寺院や城に施されることが多い」と説明テキストがありました。確かに古く大きなお寺などで見かけるものに似ていました。
また、軒の下には「茨垂木(いばらだるき)」と呼ばれる「垂木の途中に突起を作り、見栄えをよくした意匠」が施されていました。「垂木(たるき)」とは屋根を支えるものだそう。
唐破風の下の梁(はり)は「虹梁(こうりょう)」が使われています。梁に絵柄を彫る化粧材で玄関を美しく見せています。こちらも寺院建築によく見られるそうです。登録有形文化財になる建物は手が込んでいますね。
内部も豪華でした。天上が「格天井(こうてんじょう)」でした。格天井は角材を格子に組んで板を貼ったもので、格式の高い和室に用いられることが多いとのこと。また、和製マジョリカタイルを全面に貼ってありました。銭湯ならでは。
「さらさ西陣」さんのブログでもこの「和製マジョリカタイル」について説明をしていました。「大正初期から昭和10年代にかけて日本で生産され、金型で花形や果物、たまに龍などをモチーフに色鮮やかに彩色された多彩色レリーフ・タイル」と書かれています。
「だいたいマジョリカってのは、イタリアやスペインの綺麗な陶器の名前で、それに似ているっていうんで名前がマジョリカになった……」とハルさんは言っていました。
ブログにはお店に貼られているタイルの画像が公開されていますので、ぜひご覧になってください。
そうそう、番組では「おまる」というワードが登場していました。カフェでおまる? ということで、ハルさんにもわからなかったその言葉も最終的には明らかになっていました。タイル張りの小さく丸い湯船のことのようです。昔の銭湯にはあった形なのでしょうか。可愛かったです。
タイル張りのお風呂や台所って凄く好きです。
銭湯といえばフルーツ牛乳
「さらさ西陣」さんは元銭湯ということで、お店では「フルーツ牛乳」を出していました。もちろん瓶(ビン)です。
ハルさんは立って、手を腰に当ててグビグビ飲んでいました。風呂あがりに飲みたいですね。ちなみに私はコーヒー牛乳派です。
番組で紹介されていたフルーツ牛乳の材料は「牛乳」「パイナップル」「モモ」「ミカン」「バナナ」「ハチミツ」「砂糖」でした。これらをミキサーに入れて、程よい食感を残すため混ぜすぎないように混ぜるだけのようでした。簡単。
ハルさんが食べていたのは日替わり定食だったでしょうか。
おわりに
ハルさんはカフェに来ていた京都の先染め織物「西陣織(にしじんおり)」の職人さんと話をして、西陣織の話に移行していました。
西陣の銭湯は西陣織の職人さんの憩いの場だったそうです。何でも「応仁の乱(おうにんのらん)」の後、西軍陣地の跡に織物職人が集まったことで「西陣織」と呼ばれるようになったのだとか。
応仁の乱といえば「人よ空しい」ですから1467年、室町時代です。西陣ですから「山名宗全(やまな・そうぜん)」側ですか。東は「細川(ほそかわ)」でしたよね。
いや、今回の銭湯の唐破風は格好良かったです。大人になってから一度も京都に行っていないので、写真を撮りに行きたいなぁと以前から思っていましたが、今回見てみたい場所が一つ増えました。
『ふるカフェ系 ハルさんの休日』の演技や演出は相変わらずのダダスベリでした。ずっとそうなので慣れていたつもりだったものの、数カ月ぶりに観るとちょっとキツかったです。一部飛ばしてしまいました……。
番組では建物と土地のことにフォーカスを当てていることが多いです。カフェとはコーヒーやコーヒーを飲ませるお店の意味と思いますので、もう少し飲み物、コーヒーに関しての情報も欲しいですね。コーヒーなどの情報を扱わない回は、そのお店がコーヒーにあまり自信がないのかな?と思ってしまいます。
番組の再放送は近々あると思いますので、見逃した方やもう一度観たい方は公式Webサイトや番組表のチェックを忘れずに。