ディスディスブログ

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『アカバネ』の洗濯機の問題点が続々と明らかになりました。安かろう悪かろうを地で行っています - 朝ドラ『とと姉ちゃん』141話の感想

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NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』、2016年9月14日放送の141話で、電気洗濯機のの公開試験が行われています。

 

 

電気洗濯機の「公開試験」の真っ最中

www.nhk.or.jp

 

ヒロインの小橋常子(高畑充希)が社長を務める『あなたの暮し出版』社の、主婦向け雑誌「あなたの暮し」の目玉企画「商品試験」は、全国紙の新聞社『大東京新聞』などから、その公正性・公平性を疑う声が出てきたため、偽装疑惑を晴らすべく公開試験の提案を飲んで、商品試験の対象になっている大手メーカーの担当を呼んで、「電気洗濯機」の公開試験を行うことになりました。

公開試験が開催された会場はおそらく『大東京新聞』の敷地で、司会進行役は『あなたの暮し出版』を追っていて記事を書いていた記者の国実恒一(石丸幹二)です。会場には各メーカーの担当と、「あなたの暮し」から常子と花山の2人が向き合っており、メーカーとは対面で座っています。出席したメーカーは『澄浦電機』と『広海電機工業』、『東築電機製作所』、『日本家庭電器』、『アカバネ電器製造』の5社。会場には『あなたの暮し出版』の社員や商品試験のテスターさん、アカバネの社長である「赤羽根憲宗 (古田新太)」もいます。

 

 

 

公開試験のやり取り

各メーカーの担当は、製品開発時に独自に行ってきた試験内容を披露しており、どのメーカーも専門的な方法で試験を進めてきたようです。「SJI規格」や「洗浄率」、「汚染布」といった、これまで「あなたの暮し」では聞かれなかった専門的な単語が幾つか登場しています。

各社自社の商品検査が正確に行われ、規格を十分にクリアした上で、他社にはない独自の特長をアピールしていきました。全社のアピールが終わったところで、次は「あなたの暮し」の番です。常子たちは自分たちが、汚染布だけでなく実際に生活に使ったシャツや靴下、シーツを洗濯してきたことをアピールしていました。しかし。洗浄率に関しては汚れの落ち具合を目視で確認していたと発言した時には、メーカー側は冷笑しています。これだから素人は……(笑)みたいな感じに。

しかし、常子たちの素人ではあるものの生活している人、特に主婦の立場に立った商品試験は、メーカーでは得られない発想のものが多くあったようです。例えば、洗濯後の生地の痛み方について、『澄浦』は洗濯槽の渦の稠度を強めることで洗濯時間わずか5分で規定の35%をクリアしたと言っていましたが、綿生地の汚染布では問題はなくても、ナイロンやミニヨン(と言っていたでしょうか)のような合成繊維では破れやほつれが生じていました。

また、シャツを洗った場合、選択後の脱水時は当時、脱水機ではなく付属のローラーで絞り落とすようにしていました。ローラーにシャツをかけると、大部分はボタンが途中で引っかかってしまい、なお強引にローラーを回すとボタンが欠けて壊れてしまう事例が後を絶たなかったそうです。これも汚染布だけではわからないことです。

ちなみに、「汚染布」とは炭やベビーオイル、牛脂、醤油、泥、コーヒー、口紅、ケチャップなど生活上想定し得る全ての汚れで故意に汚した、実験用の綿布のことです。

こうして、主婦の目線で行われた「あなたの暮し」の実践的な試験は、自分たちの試験が決して偽装ではないのだということを明らかにしていきました。メーカーはメーカーで、常子たちには気づかなかった視点から試験を行っていて、常子たちの今後の参考になる内容も少なからずあったようで、前向きなやり取りが交わされています。

 

 

『アカバネ』の洗濯機の問題点

ただし『アカバネ』を除いて。『アカバネ』の洗濯機は前回140話で、商品試験中にコンセントプラグがショートして煙が出るトラブルが発生していました。今回はそのことが指摘されました。『アカバネ』の大きな欠陥は「耐久性」です。耐久性に関して、花山はどのメーカーも満足のいく結果が出なかったと言っています。

特に大きかった点は、試験を行った「場所」です。というのは当時は排水施設が完備されていない家庭は多くあったため、そういった家庭では洗濯機を庭など屋外に設置していました。使用者の生活の立場から物事を考えている常子たち「あなたの暮し」では屋内だけでなく屋外でも試験を行い、試験期間は1年間にも及んでいます。一方、各メーカーは設備の整った屋内の試験場でしか試験を行っていなかったようです。

何より問題視されたのは前述の『アカバネ』の洗濯機でした。屋外で放置されている洗濯機は、日光の紫外線を受け続けます。材質が安物のプラスチックだと紫外線によって少しずつ溶けていき劣化します。『アカバネ』の洗濯機のダイヤルは激しい劣化から割れてしまい操作できなくなっていました。

また、元々洗濯機はその性質上、湿気が多くありますが、屋外に設置しているとなると湿気はさらに多くなります。設計として底が空いているタイプだと、内部に湿気が入り込みやすくなり部品が錆びてしまいます。屋外で試験を重ねたアカバネの洗濯機は裏返すと錆だらけになっていました。前回のショートも金属部分が錆びたことが原因だったのでしょう。

さらに洗濯槽にも問題はあり、アカバネの洗濯機の洗濯槽は水をいっぱいにすると3cmほどしか余裕がなくなり、動かしているときに常に様子を見ていないと水が溢れだしてしまうことがあるそうです。

 

 

おわりに

140話で主婦の方々にアンケートを取っていました。アンケート結果では、電気洗濯機だねでなく電気釜などの多くの電化製品のおかげで、主婦の家事に追われる時間が短縮されていることを証明していたようです。アンケート結果が私たち視聴者の目にわかるように描写されてはいませんでしたが、国実は1,000人から聞いたというアンケート調査の用紙の山を見て感心していました。

メーカーには志をもって製品づくりをしていただきたい、と訴える常子に対して、『アカバネ』の赤羽根社長は大いに反発していました。志を持っていなければやってられんよ、と。アカバネのモットーは「1円でも安く商品を消費者の元へ届ける」ことです。それは確かに達成されているようです。

しかし、花山もそうですし、朝ドラの後に放送されているNHKの生活情報番組『あさイチ』のNHK解説委員である柳澤秀夫さんも言っていましたが、「安かろう悪かろう」では消費者は堪ったものではないのです。安い商品を消費者の元へ届ける志自体は素晴らしいことかと思いますけど、それはやはり「安全の上」に立ったものでなければならないでしょう。安全も買えるなら、多少割高でもアカバネより高価な洗濯機を買います。

ただ、私はアカバネの洗濯機のデザイン、この場合は見てくれですが、は結構好きなんですよね。白地に赤のアクセントがポップで可愛いです。アカバネの洗濯機をデザインされた方を知りたいくらい。

公開試験は次回で終わりそうな雰囲気です。「あなたの暮し」の偽装疑惑は晴らされることになりそうですし、『アカバネ』は大いに叩かれることになりそうです。赤羽根が『ちとせ製作所』の田中利一(螢雪次朗)社長のように心を入れ替えてくれれば良いですが。

 

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