ディスディスブログ

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最終回で「とと」から「常子頑張ったね、ありがとう」と言われ、常子にかけられた呪いが解かれました - 朝ドラ『とと姉ちゃん』156話の感想

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NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』、2016年10月1日放送の156話、とうとう物語の最終回を迎えました。

 

 

「とと」と「とと姉ちゃん」の邂逅

www.nhk.or.jp

 

ヒロインの「小橋常子(高畑充希)」が社長を務める『あなたの暮し出版』の主婦向けの雑誌「あなたの暮し」、この編集長であった「花山伊三次(唐沢寿明)」が前回155話で亡くなりました。

最終回である156話は、常子と常子の「とと(父)」である「小橋竹蔵(西島秀俊)」が『あなたの暮し出版』社の編集部に突然現れました。先週土曜日に放送された次週予告にあったシーンですね。

数話前の本ブログの感想で、竹蔵が結核で亡くなる前に常子を読んで、襖越しに自分の代わりに家族を守ってくれないか(詳細は覚えていないので台詞が正しいかは不明です)と頼んで、常子はそれを引き受けたことにより彼女には竹蔵の呪いがかけられてしまったから、それを解く作業が必要になるのではないか、というようなことを書いています。

実際にそのようなことがドラマの中で行われていました。といっても何か儀式めいたことが行われた訳ではなく、竹蔵から常子に労いの言葉がかけられたり、竹蔵から苦労をかけたことへの謝罪の言葉があったり、そういうことです。

ととから「常子、頑張ったねえ……ありがとう」と頭を撫でられながら褒められることが、呪いが解く言葉や行動だったようです。

感謝を述べられたところで目が覚めた常子、やはりそれまでの編集部での「とと」とのやり取りは夢の話しで、常子は自宅のベッドで眠っていたようです。起き上がって部屋の机に向かい、机の上に乗せられていた「とと姉ちゃん」になったときに掲げた、常子の目標というか誓いが書かれた3枚の札を机の引き出しにしまいました。これによって解呪完了でしょうか。あるいは封印でしょうか。

3つの誓いは「一、家族を守る」「一、鞠子美子を嫁に出す」「一、家を建てる」です。その全てを守り抜けたと感じたのでしょう。家族を守ることは死ぬまで続くことでしょうけれども。

ラストシーンでは、時代が昭和50年(51年でしたっけ?)から昭和63年夏に飛んでいました。昭和63年を西暦にすると1988年ですか。そこでは1話冒頭に流れたシーンの繰り返しのようなことが行われて、もはや老人に足を踏み入れつつある常子や鞠子(相楽樹)や美子(杉咲花)の姿があり、歳を経た以外は変わらない三姉妹の様子が映し出されていました。

 

 

『とと姉ちゃん』全体の感想

『とと姉ちゃん』は、雑誌「暮しの手帖」の創刊者の一人である大橋鎭子さんの半生を描いたドラマでした。題材としてはとても面白そうだという印象を持ち、特に花森安治さんをモデルにした花山伊三次が登場してからは面白いと感じられることも多かったです。

しかし、「あなたの暮し」創刊辺りからの流れが面白かったことで、果たして浜松の子供時代と深川の学生時代はあれほどの期間を費やす必要があったのか、と思うことはあります。振り返るともっと短くてよかったような。

そして、何より問題は一つ一つのエピソードが薄いこと、一つのエピソードだけのため登場するキャラクターも少なからずいたことで、登場人物がいたずらに多くなったことを考えると、脚本や構成にやや難があったかなと思います。

例えば、常子が最初に務めた先輩タイピスト「早乙女朱美(真野恵里菜)」や「多田かをる(我妻三輪子)」、お竜さんこと「田所竜子(志田未来)」や最近でいえば「商品試験」のときのアカバネ電器製造社長「赤羽根憲宗(古田新太)」などのキャラクターは、ただそれだけのために登場していただけでした。特に多田は、常子を罠にはめて辞めさせるために登場させたかのような、何の救済もないキャラクターで終わってしまい、少々可愛そうです。

他にも、例えば常子の祖母「青柳滝子(大地真央)」や大番頭「隈井栄太郎(片岡鶴太郎)」、養子「青柳清(大野拓朗)」などは、東京深川から木曽へと旅立った後にももっと物語に絡めてもらいたかったです。ほんの一言台詞だけで滝子の死がわかったり、清の生存が確認されたりしただけだったと思います。

常子がタイピストを首になった後に務めていた出版社『甲東出版』の、社長兼編集長「谷誠治(山口智充)」や先輩記者「五反田一郎(及川光博)」は、常子の都合の良いときだけ利用されていて、要らなくなったらポイっとされてしまっていて、こちらも非常に可愛そうです。五反田は後に作家として有名になっていた様子が描かれましたが、谷はこれといった後日談はなかったように思います。見逃しでしょうか。

星野武蔵(坂口健太郎)のあれはねぇ……仕方ないですか。竹蔵より武蔵を最後に少し見たかったです。

朝ドラに限らずドラマでは、このような一つのエピソードのためだけに登場キャラクターというものは付き物かとも思いますけど、それでもやはり少々扱いが雑だと感じられました。

そして、最終回の物語の展開にも疑問があります。最終回に竹蔵との夢トークが果たして本当に必要だったのかどうか、です。最終回でなくても、例えば美子が嫁に行き家を建て替えたときに、竹蔵からの呪縛が解かれるエピソードが入っていれば良かったように感じられます。あの場面で常子的に大きな区切りができていたはずなので。でもまぁ、タイトルが『とと姉ちゃん』ですから、最終回に竹蔵を持ってきたい気持ちもわかりますけれども。

しかし、ドラマの終盤は花山の独壇場だった訳で、常子と花山のパートナーとしてのやり取りに視聴者は親子以上夫婦以上の何かを感じていたはずですから、前回155話の流れが最終回であって良かったように思えるのです。

具体的には、最終回の一話前に花山が亡くなり、最終回で常子が「日本出版文化賞」を受賞し、受賞した後に常子たち三姉妹が竹蔵と「君子(木村多江)」の墓前に手を合わせて報告をし、家に帰って誓いの札を机の引き出しにそっと仕舞う的な流れで物語が終わればスッキリと収まる気がします。草葉の陰から竹蔵と君子が仲良く並んで、笑顔で3人を見守っている……のような。

個人的には「あなたの暮し」パートをもっと見たいので、後に放送されると思われる『とと姉ちゃん』のスピンオフ作品で、常子と花山の「あなたの暮し」奮闘記のようなものをやっていただきたいです。

 

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