NHK総合で放送されている『プロフェッショナル 仕事の流儀』、普段は観ないことも多い番組なのですが、2021年12月7日の放送は観ました。
サブタイトル「17音、言葉の力を信じて〜俳人・夏井いつき〜」、俳句関連の内容だったからです。
視聴した感想を書きました。
ネタバレ要素がありますので、バレても大丈夫な方のみ下方スクロールをお願い致します。
目次
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』についてです。
番組説明
番組の説明です。
仕事の流儀には、その人の生き方が現れる。
「プロフェッショナル 仕事の流儀」は、超一流のプロフェッショナルに密着し、その仕事を徹底的に掘り下げるドキュメンタリー番組です。2006年1月の放送開始以来、イチローさん(メジャーリーガー)、吉永小百合さん(映画俳優)、新津春子さん(清掃員)、高倉健さん(映画俳優)、石川佳純さん(卓球選手)、宇多田ヒカルさん(シンガーソングライター)、くまモンさん(地方公務員)、羽生善治さん(棋士)など、時代の最先端で格闘する姿を見つめてきました。
番組の公式webサイトには上記引用部のように書かれていました。
公式ツイッターアカウントもありました。
放送時間
放送時間です。
毎週金曜日22時30分から23時15分までです。
放送局は『NHK総合』です。
出演者
出演者です。
ドキュメンタリーですので出演者は取材対象の、様々な業界の有名人の方ですね。
ナレーションは俳優「貫地谷しほり」さんが担当していらっしゃいます。
「17音、言葉の力を信じて〜俳人・夏井いつき〜」
『プロフェッショナル 仕事の流儀』の2021年12月7日の放送を、個人的に楽しみにしていました。
サブタイトル「17音、言葉の力を信じて〜俳人・夏井いつき〜」。
夏井いつき先生が取材対象だったからです。
人気番組の俳句コーナーで「辛口の先生」として知られる俳人・夏井いつき。堅苦しいイメージのあった俳句をお茶の間のエンターテインメントに押し上げ、空前の俳句ブームの立て役者となった。梅沢富美男や千原ジュニアも「最高の先生」「ライフスタイルを変えられた」と激賞する。これまで明かされてこなかったその素顔と俳句作りの現場に密着。世界で最も短い文芸と言われる5・7・5の俳句にかけ、俳句に救われてきた人生とは?
番組サイトには上記引用部のように書かれています。
引用部のような内容でした。
趣味の一つ:俳句
この1年くらいですけど、私は俳句を趣味の一つにしています。
テレビ番組のMBS『プレバト!!』や『NHK俳句』は近ごろは欠かさず視聴しています。
『NHK俳句』へは投句をしていますけど、一度も採用されていません。
ラジオも『文芸選評』などを聴いて、投句がいくつか採用されてもいます。
愛媛県松山市が運営しているwebサイト『俳都松山 俳句ポスト365』にも毎回投句しています。
こちらは中級者以上のクラスに投句していることもあり、なかなか採用されません。
俳句歴はたかだか1年ほどの若輩です。
そろそろ俳句が趣味と言えるかなと思えるくらいには好きなことなので、今回の放送を楽しみにしていました。
面白かった
感想は一言「面白かった」です。
夏井先生の創作現場を見られただけでも貴重でした。
考えてみると、夏井先生は鑑賞をしたり添削をしたりをする場面はよく見ますけど、作句をしている様子を見たことは今まで一度もなかったです。
3時間で70句でしたっけ、ものすごいスピードで短冊に書いていくのですよね。
私は1句作るにも何分も、場合によっては何十分もうんうん唸って何とか絞り出していますから、あれは信じられない光景でした。
それ以前から脳内やネタ帳にネタを仕込んでいらっしゃるのでしょうけど、それにしても70句も形にするだけのストックがある時点で、私にとっては驚きです。
ラジオ番組でしたっけ、1つ番組の投句に5,000ほどの俳句をチェックして、採用不採用を決めている様子も収められていました。
投句されるのは『俳句ポスト365』など他にもあるでしょう。
毎日のように投稿される山のようにたくさんの俳句を見て、一瞬で良い悪いを決めなくてはいけない。
仕事とはいえ、この作業だけでも大変でしょう。
これら作業が夏井先生の俳句力を高めてくれてもいるのでしょうけど。
また彼女の故郷も映し出されていて、その風景がまたよかったです。
漁村でしょうか、そのような雰囲気のある場所で、遊びに行って写真を撮りたいなぁと観ながら思っていましたね。
気になる言葉
今回、番組を観ていて気になる夏井先生の言葉がいくつかありました。
今後の私の俳句作成の糧になりそうな言葉が。
なんか頭の中で
ごちょこちょと作ったんじゃなくて
この人の生な心情がちゃんとここにあって
それが切実な言葉となっているという
こちらはおそらく『俳句ポスト365』に届いた皆さんの俳句を選考しているシーンでした。
私の投句もその中にあったことでしょう。
もちろん映っていませんでしたが。
引用部の言葉は、最優秀に選ばれた俳句が「空がきれい」の言葉が使われた句に対してでした。
直接的な表現で評価の分かれるとナレーションが入っていました。
確かに、「俳句とは綺麗などと言わずに綺麗を表現するものだ」などと言われそうな俳句でした。
私は頭でこちょこちょ考えていることが多いなと思えるから、この言葉はずんと来ました。
俳句とは何が大事か、そこを履き違えてはならんよと言われたようで。
俳句って「俳句らしくていい」とか
「俳句とは」こうあるべきだとか
そう言い出した瞬間から
本当に俳句は根腐れしていくの
皆一人ひとりが
私のために俳句を作ればいいわけであって
俳句のために自分を寄せる必要はないと
私は思っているのです
一つ上の引用からの続きの発言です。
この言葉も響きましたね。
先ほど書いたように、綺麗とは言わずに綺麗と表現するのが俳句というものだなどという、ありがちな意見に対してのカウンターになっています。
俳句らしい表現に囚われている節が私にはあります。
俳句に寄せてしまっているなと反省をしました。
もっと自分のために詠もうと。
自分のために俳句を書くんだから
俳句のために自分の思いをゆがめるのは違うと思う
頭で空想で作っていると
かっこいい言葉を見つけたから
じゃあ本当はこっちを表現したかったんだけど
でもかっこいい言葉を見つけたんだから
いやいいやそっちでもとかって
最初の想いを捨てて言葉の方に酔ってしまう
心がなかったら言葉を探してもしょうがないから
1つ前の引用と似ていると思います。
こちらはご自身の句集のための作品作りをしているシーンでのお言葉だったかと思います。
こちらも心に来ましたね。
やはり思い当たる節があったので。
あえかなる
私のごく最近の話を書きます。
先日「あえかなる」という言葉を見つけました。
あえかなるとは、危なっかしいとか弱々しいとかそういう意味の言葉です。
音の響きが好きなことと、音の響きと意味とが、秋冬の季節に合う言葉に感じられたのです。
このあえかなるを用いて俳句を作ろうとしました。
「あえかなる光残して落葉降る」
そのとき出来上がった俳句の1つです。
「枝についていたときは弱々しい光を透かしていた1枚の葉が、光だけをその場に残して散ってしまった」
そういうことを詠んでいます。
季語は「落葉」です。
詠んだ瞬間は出来上がりに満足していました。
一見すると綺麗な句になっていると記事を作成している今も思っています。
ところがあるとき句を見返すと、どうも違和感のある句に思えたのですよね。
一言でいうと「軽い句」と感じました。
後に番組を観て引用部の言葉を聞いて、「ああ、あの句の軽さの原因はここにあるのかもしれない」と得心しました。
番組を観て、あの句の軽さは頭だけで考えているところから来ているのだ、あえかなるの言葉ありきで考えたからだと。
生の心情が反映されていなかったり切実さが足りなかったりしたのだろうと。
感じたことは感覚的なことなので言語化しにくいです。
文章でうまく伝えられていないですけど、私の中では納得できるものがあったのです。
俳句は難しい。
だからこそ面白い。
おわりに
ということでNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』の「17音、言葉の力を信じて〜俳人・夏井いつき〜」を視聴した感想を書いた記事でした。