『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年9月2日の放送に俳句コーナーがありました。
お題は「宿題」。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2021年9月2日の放送でも扱われました。
今回のお題は「実家の柱」です。
テレビ画面には、柱に子どもを立たせ、お父さんが柱に子どもの背の高さにマジックで印をつけている様子の画像が映されていました。
実家の柱は季語ではないでしょう。
今回は作り手が自分で俳句に合った季語を探す必要があります。
この回は、歌手・タレントの「和田アキ子」さん、お笑いコンビ「かまいたち」の「山内健司」さんと「濱家隆一」さん、元フィギュアスケート選手「村上佳菜子」さん、モデルの「貴島明日香」さんが出演していました。
レギュラー陣では「東国原英夫」さんと、「村上健志」さん、「Kis-My-Ft2」の「横尾 渉」さんが出演していました。
「梅沢富美男」さんが珍しく出演していらっしゃいませんでした。
順位戦
まずは今回行われた俳句カテゴリの、順位戦の結果です。
5位が村上佳菜子さん(才能ナシ、15点)、4位が山内さん(才能ナシ、30点)、3位が和田さん(凡人、50点)、1位が濱家さん(凡人、67点)、1位が貴島さん(才能アリ、70点)でした。
1位貴島明日香さん
順位戦で個人的に気になった方は1位になった貴島さんです。
句は、秋になって母の枕香が薄れていっている様子が詠まれていました。
枕香とは「枕にしみ移った香りのこと」。
趣のある言葉ですね。
秋になると大気の湿度が下がってくるため、香りが薄くなるそうです。
子どもの頃、お母様のベッドに入ることが好きで、潜り込んでいましたが、秋になると枕から伝わるお母様の匂いが薄まって、寂しいと感じられたそうです。
季語は「秋の日」ですか。
秋の一日なのか、秋の日差しなのか。
どちらでもよいのかもしれません。
夏井先生は、その人のお母さんが既に亡くなられているか、施設などで暮らしている人が詠んだ句と思ったそうです。
そのくらいに落ち着いてしみじみとした空気を持つ句とお感じになったと。
生きているお母様の香りとして作っても、全然OKと。
下五「薄れゆく」としたことで、ある程度の時間の幅が表現できる。
その前の中七の終わりが「枕香」で、下五の冒頭「薄れ」と漢字で続いてしまうため、「うすれゆく」と平仮名にした方がよいかもしれない。
上五「秋の日に」の助詞「に」が散文的。
「に」を「や」にして切った方が、季語が立ってくる。
そういう添削になっていました。
私は好きな句でした。
今回のレベルの俳句を続けて詠めれば特待生を狙えるのではないでしょうか。
添削もなるほどと勉強になりました。
昇格試験
今回は横尾渉さんと村上健志さんの昇格試験がありました。
横尾さんは試験を迎えて「名人7段」でした。
1ランク昇格なさったら名人8段になるようです。
村上さんは試験を迎えて「名人10段☆2」でした。
1ランク昇格なさったら名人10段☆3になるようです。
横尾さんの名人10段を目指す試験
番組では横尾さんから試験が行われました。
句は、黄昏時にしていたキャッチボールの、父からの返球が身にしみたことを詠まれていました。
お父様とは人生で1回しかキャッチボールをしたことがなく、口数の多い方ではないそうなのですが、そのお父様からの返球が徐々に力が入ってきて、何かを感じ取れと語りかけているのかと感じられたみたいです。
季語は「身に入む」。
これで「みにしむ」と読みます。
秋の季語。
「秋の冷気やものさびしさが身に深くしみるように感じること」とのこと。
結果は「現状維持」。
理由は「もっと映像を描くべき」でした。
村上健志さんは、原句に「黄昏」とあることから、お父様とのキャッチボールで衰えを感じたと解釈していらっしゃいました。
先生も村上さんと同じ解釈をされたそうです。
そのように感じられた理由は黄昏の言葉と季語の「身に入む」があるからだと。
原句のままでも成立している。
もったいないと感じられたのは、「(父)から」の2音の助詞を選んだこと。
「父の返球」とするだけで、父から返るから「返球」になっている。
「から」を念押しのように使うことで、どれだけ得をするか。
先生は明言をなさいませんでしたが、あまり得をしていない判断だったのでしょう。
添削では「から」を外して「返球の」から始めて、「黄昏に父は」と下五をまとめていました。
村上さんの永世名人への道
次は村上さんの昇段試験です。
句は、自分が車庫入れをしていて、誘導は父がしている様子を詠まれていました。
夏休みに自動車の免許を取って、父親の自動車を借りて運転の練習をしている様子ですね。
父親に助手席に座ってもらい、車庫入れのときには父親に誘導をしてもらったという。
自分の年齢も上がってくると、父親との会話も少なくなるけれど、このときばかりは父親が「運転に関しては俺の方が先輩だ」と、昔の威厳を取り戻したかのように振る舞っている。
そういうことを詠まれているようです。
季語は「秋日和」。
結果は「現状維持」。
理由は「季語が印象に残らない!」。
先生は上五・中七が巧いですねと仰ります。
状況がすべてわかる。
ご本人が思っているとおりの映像を生き生きと書いている。
さすが10段。
そうなると「秋日和」という季語の評価になってくる。
秋日和は決して悪くない、可も不可もない。
マイナスはないけど主役になる季語としては少し弱い印象もある。
村上さんは10段だからやっていただくしかない。
添削はなかったです。
秋日和に代わる季語は村上さんが探すことになりますね。
いや、これはよい句と思います。
着眼する場面がよいです。
「ポンチならでは」でしたっけ、東国原さんが仰っていましたけど、本当にそのとおりと思います。
こういうところに気づけて、俳句の短い音数に表現する力は素晴らしいです。
ただやはり季語が弱いですかね。
いえ、私は最初、これは昇格できると句だと思いました。
ところが、次にご紹介する東国原さんの季語の選び方と比べると、村上さんの句は季語が立っていないです。
単体では決して悪くないのですけど物足りなく感じられます。
東国原さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である東国原さんの句です。
句集に入れる50の俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
句は、柱が饐(す)えた匂いがして、これは父の臭いだと詠まれていました。
ご実家は30〜40年の築年数が経っていて、柱からは酸っぱい臭いがするそうです。
加齢臭のような腐った臭いのような。
夏の暑さを越えると、その臭いが際立っくると。
それが父親の労働の後のような臭いに感じられ、30〜40年と家の大黒柱として家族を支えてきた父とシンクロさせた句ということでした。
季語は「秋暑し」。
立秋以降の暑い日ことでしょうか。
判定は「掲載決定」。
先生からの一言は「時候の季語を主役に立てている!」です。
感想を聞かれた村上さんは、本当は「父の臭いのような柱の臭い」なのに、父の臭いだと言い切れることが凄いと評価していらっしゃいました。
季語も効いていると。
先生も言い切っている点を褒めていました。
原句はどこにも実家とは書かれていないのだけれど、実家の柱だと否応なくわかる。
「饐えた」と強烈な言い方をして、柱の臭いを表現をして、それが老いていく父とイコールであると、この実感が非常に生々しい。
「父の臭いのようだ」と比喩に持っていくと弱くなるところだが、断定したことによって詩を発生させている。
東さんはわかっていてやっていると。
一番褒めなければいけないのは「秋暑し」の季語。
柱が饐えた臭いを放つのは秋の暑い頃だと、季語を立てられている。
横尾さんも村上さんも東さんも今回、実家の柱の画像から父親を素材に見出して、映像を持たない季語を取り合わせた。
その3人の中で、時候の季語を主役に立てることができていたのが、東さんだった。
さすが永世名人。
そういう評価でした。
これはお見事でしたね。
東さんの実感のこもった季語の扱いに比べると、横尾さんも村上さんも季語が主役にはなっていないことは、素人の私にも伝わりました。
貴島明日香さんの詠まれた句と好対照で、両者の句を見比べると「秋」に対する感じ方の違いをうかがえて面白いです。
2021年「金秋戦」の予選組み合わせ抽選
今回の放送では、2021年「金秋戦」の予選組み合わせ抽選が行われました。
予選があるのですね、今回は。
Aブロック
まずはAブロック。
- 中田喜子(名人5段)
- 森口瑤子(名人初段)
- 岩永徹也(特待生1級)
- パックン(特待生2級)
- 春風亭昇吉(特待生5級)
敬称略で失礼します。
段位を間違えていたら申し訳ありません。
なかなかの激戦区になりました。
岩永さんが名人2人の牙城を崩せるか、そこが個人的な見どころになりそうです。
Bブロック
Bブロック。
- 藤本敏史(名人10段)
- 立川志らく(名人4段)
- 三遊亭円楽(名人初段)
- 筒井真理子(特待生3級)
- 向井慧(特待生5級)
Aブロックより厳しいでしょうか。
名人が3人います。
ただ3人の中ではフジモンさんの実力が抜けている気がします。
それでも志らくさんは、先日詠まれた空蝉レベルの句を持ってこられれば、フジモンさんと戦える、あるいは勝てると私は思っています。
Cブロック
Cブロック。
- 千賀健永(名人4段)
- ミッツ・マングローブ(名人2段)
- 松岡充(特待生2級)
- 北山宏光(特待生3級)
- 馬場典子(特待生4級)
ABブロックよりはという。
Kis-My-Ft2のメンバー同士の戦いになりましたね。
久しぶりの予選が今から待ち遠しいです。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「実家の柱」回を視聴しての感想を書いた記事でした。
時候の季語を立てる。
これはやってみると難しいのですよね。
今回は個人的にとても勉強になりました。