『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年5月27日木曜日の放送に俳句コーナーがありました。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2021年5月27日の放送でも扱われました。
今回のお題は「コーラ」です。
画面は、グラスに入ったコーラの画像が使われていたでしょうか。
コーラは季語ではないでしょうか。
ならば何か季語を添えて詠む必要があります。
この回では俳優の「武田鉄矢」さん、俳優の「筒井真理子」さん、アイドルグループ「Kis-My-Ft2」の「北山宏光」さん、タレントの「篠田麻里子」さん、俳優の「岩永徹也」さんが出演していました。
レギュラー陣では「梅沢富美男」さんが出演していました。
俳句名人・特待生一斉査定
今回は通常の回のような順位戦を行うものではありませんでした。
「俳句名人・特待生一斉査定」として、全出演者が特待生以上の方々です。
おそらく出演者さんが偏っているためでしょう。
2021年夏のタイトル戦前のタイミングで一度、査定の機会を設けられない方をまとめて査定して、現在の力量を計っておきたいのではないかと想像します。
結果
今回は順位ではありません。
それぞれ詠まれた句を、夏井先生が昇格か現状維持か降格かの査定を下すのみです。
結果は武田さんのみ現状維持で、他は全員1ランク昇格でした。
梅沢さんが詠んだ句も50句でしたっけ、集まったところで出版される予定の句集に掲載決定されました。
ハイレベル
通常回は番宣のために出演している方たちもいらっしゃいます。
今回はそういう事情は一切なく、特待生以上の方の査定でした。
そのため詠まれた句が通常よりずっとハイレベルでした。
タイトル戦の予選レベルではあったでしょうか。
武田鉄矢さん
個人的に気になったのは、唯一現状維持査定を受けた武田さんの句でした。
今回は点数もなかったと思います。
句は、コークハイを飲んだその夜に夢にマリリン・モンローが出てきて、それは『真夏の夜の夢』であったことが詠まれました。
若い頃に飲んだコーラのビンは、モンローのスリーサイズがどうたらと仰っていました。
「真夏の夜の夢」と中八だったのですが、ご自身で「ここが深いところ」と自賛なさっていました。
梅沢さんは「詰め込みすぎ」と仰っていました。
夏井先生も「欲張りすぎ」と指摘しています。
梅沢さんも仰っていたとおり、「真夏の夜の夢」の「夢」がいらない。
ということで添削は「夢」の一字を削除されていました。
そして、原句では真夏の夜の夢につなげていた「モンローは」の助詞「は」を「や」にして切っています。
モンロー、真夏の夜の夢、コークハイ。
前回、夏井先生は季語ともう1つの要素だけでよいと仰られました。
武田さんは要素が3つ、しかも中八。
まぁ詰め込みすぎですよね。
う〜ん、特待生の実力があるのでしょうか。
特待生の地位を剥奪してもよかった気がします。
筒井真理子さん
個人的によい意味で気になった句は筒井真理子さんの句でした。
今回の放送で一番好きな句です。
句は、筒井さんの大学時代の先輩が亡くなって、お墓参りをしたときにタバコと缶コーラをお供えした、そのときに鳥が鳴いていたことを詠まれていました。
よい季語がないかと探したら「老鶯」があり、それを用いていっしゃいます。
老鶯とは老いたウグイスのこと、夏になっても鳴いているウグイスのことですか。
先生の添削はなし。
「聴覚の季語が効果的」とのこと。
鳴き声の季語なのに、夏の山や背景といった背景が一緒に立ち上がると。
本当にこの句は素晴らしいですね。
季語を除けば、「墓前の莨と缶コーラ」としか描写していません。
いわゆる取り合わせです。
取り合わせ、二物衝撃は一物仕立てに比べると深みにやや欠けると言われるみたいですけど、これは上手くいっているように私には思えます。
季語に託せる勇気といい、勉強になります。
岩永徹也さん
岩永徹也さんの句も気になりました。
句は、2020年の王位戦、藤井聡太さんが将棋界を駆け上がっていく姿を、青嵐という明るく力強い季語に託した詠まれた句だそうです。
先生からは「たくさんの情報をスッキリ入れている」と評価されました。
添削もなし。
基本の型、五七五の調子にきっちり入れてきています。
一見すると原句は「驀進」「棋士」「少年」「青嵐」と要素がたくさんあります。
要素は季語ともう1つの計2つでよいと言われましたが、4つもありますよね。
それでも岩永さんの句はすっきりしている。
すっきりしている理由は句が法則どおりに詠まれているからのようです。
季語の他の3つある要素も、そのうち2つは驀進しているしている棋士は少年である、と少年を修飾しています。
そのため実質、要素が季語と少年の2つになっています。
また、先生は「驀進」「棋士」「少年」「青嵐」のそれぞれに「し」の音が含まれていることで、韻が生まれている点にも触れていらっしゃいました。
いやいや、技巧のレベルが極めて高い句でした。
私にはそう感じられ、自分には永遠に詠むことができないだろうと思えます。
岩永さんは以前から気になっている出演者さんです。
他のどの出演者さんとも違うところで言葉選びをしていらっしゃるように思え、毎回のように感心させられます。
今回もそう。
他の出演者さんも頭のよい方が多いと思いますけど、岩永さんは次元が違う感じがします。
ただ、お題の「コーラ」とは関係ない俳句が詠まれた点が気になりました。
出演者のどなたも触れられていなかったと思いますけど。
岩永さんが、コーラからどうして藤井さんに発想をつなげたのか、その脳内のルートを知りたいです。
コーラから少年へと連想したのでしょうか。
梅沢さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である梅沢さんの句です。
梅沢さんの句集に入れる俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
今回の判定は「掲載決定」でした。
前回に引き続いての掲載決定。
少し前までややスランプのようでしたけど脱しつつあるかもしれないですね。
句は、野球のナイターを観戦していて、ビールなどの売り子さんを呼んだところ、その女性が一段飛ばしで来た様子を詠まれていました。
季語は「ナイター」ですか。
掲載決定の理由は「色々悩んだ結果と信じたい」です。
ナイターを上五冒頭に持ってきたことがまず褒められていました。
夜の野球場や、観客、歓声、フィールドを照らすライトのイメージが湧いてくるからです。
問題は「一段飛ばし来る」としたところ。
飛ばしと来るの間に小さな断絶があると指摘しています。
確かに小さな切れを感じますね。
「一段飛ばしで来る」とするのが正しい表現ですけど、「で」を入れてしまうと原句の勢いが削がれます。
また、文語で「一段飛ばしで来(く)」としても、それでは臨場感が削がれます。
梅沢さんはそこまで熟慮しての「一段飛ばし来る」としたと信じている、と夏井先生でした。
そこまでは考えていらっしゃらなかったような梅沢さんのリアクションでしたが。
結果オーライ。
しかし、この梅沢さんの句に対する夏井先生の鑑賞の深さですよ。
こんな風に鑑賞できるようになれたら俳句をもっと楽しめるだろうなぁと観ていて思いました。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「コーラ」を視聴しての感想を書いた記事でした。