これまでに「井上陽水」名義のスタジオアルバムを1st『断絶』から19th『魔力』まで、順番はバラバラですけど1作品ずつ聴いた感想を書いてきました。
今回の記事では、全てのフルアルバムを聴いた上で、私が個人的に好きと感じられたアルバムの「ベスト3」を挙げています。
目次
井上陽水にハマる
シンガーソングライターの「井上陽水(いのうえ・ようすい)」さんにハマっています。
井上陽水さんは説明不要、日本を代表するシンガーソングライターで、日本の音楽業界における重要人物の一人です。
私はこれまで、音楽番組などで観たり聴いたり、あるいはベスト盤を借りて聴いたりすることしかしていませんでした。
名前も知っているし、曲も有名なシングルであればたいていサビくらいは知っているけれど、ベスト盤ではないアルバムをきちんと聴いたことがなかったです。
『ザ・カセットテープ・ミュージック』
私が陽水さんにハマったきっかけは、tvk(テレビ神奈川)で再放送されているBSトゥエルビの音楽番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』です。
『ザ・カセットテープ・ミュージック』の第4回「深遠なる井上陽水の名曲特集」の放送を観て以来、初期のアルバムを一度聴いてみたいと思うようになりました。
『SONGS』
また、NHKで放送されている音楽番組『SONGS』、ここでも陽水さんの特集が組まれていました。
2019年4月6日と2019年4月13日の2回に分けて放送されたはずです。
この放送を観たことも想いをより強くした要因です。
こうして私は陽水さんのCD購入に踏み切りました。
それ以来、貧乏ミュージックカテゴリではファースト『断絶』から現時点で最新の19th『魔力』まで、全てのフルアルバムを聴いた感想記事を書いています。
もしよろしければ過去記事をご覧になってください。
私的「井上陽水」のアルバムベスト3
この記事では19作品の「私的『井上陽水』のアルバムベスト3」を挙げていきます。
取り上げる作品はフルアルバムのみです。
シングルやセルフカバー、他のミュージシャンとのコラボ作品は一切含まれません。
フルアルバムリスト
フルアルバム19作品を挙げておきましょう。
- 断絶(1972年5月25日)
- 陽水II センチメンタル(1972年12月10日)
- 氷の世界(1973年12月1日)
- 二色の独楽(1974年10月1日)
- 招待状のないショー(1976年3月25日)
- white(1978年7月25日)
- スニーカーダンサー(1979年9月21日)
- EVERY NIGHT(1980年12月5日)
- あやしい夜をまって(1981年11月21日)
- LION & PELICAN(1982年12月5日)
- バレリーナ(1983年12月5日)
- Negative(1987年12月16日)
- ハンサムボーイ(1990年10月21日)
- UNDER THE SUN(1993年9月15日)
- 永遠のシュール(1994年10月21日)
- 九段(1998年3月18日)
- カシス(2002年7月24日)
- LOVE COMPLEX(2006年6月28日)
- 魔力(2010年11月17日)
上記のようになります。
カッコ内はリリースされた年月日です。
この19作品の中からベスト3を挙げていきます。
3位
カウントダウン形式です。
まず3位から。
3位は「招待状のないショー」です。
1976年3月25日にリリースされた5枚目のアルバム。
3位は『スニーカーダンサー』と『あやしい夜をまって』と『UNDER THE SUN』と『カシス』とで悩みました。
画像が『招待状のないショー』のジャケット。
『招待状のないショー』の感想記事は上に貼った記事リンクからご覧いただけます。
自身が立ち上げに絡んだ『フォーライフ・レコード』に移籍してから初めてリリースしたアルバムだそう。
音楽的には、本作はメロディにフォークの香りを残しつつも、特にアレンジにロックやニューミュージックの色が強めに出始めている頃です。
一方で、歌詞は心情などが比較的ストレートに歌詞に表れていたり、ストレートな発声の具合を含めて初期の名残りがあって、両者のちょうど中間にいるかのような、折衷のバランスが心地よい作品です。
「傘がない」などの強烈なインパクトを残したシングル曲は本作にはありません。
そのためか世間的には影の薄い作品の一つと思います。
しかし、1曲1曲の作詞作曲のクオリティ、編曲の多彩さ、演奏技術、音像の立体感、どれもハイレベルにある作品に私には感じられます。
聴いたことのない方はぜひご一聴を。
「青空、ひとりきり」や「今年は」などはアレンジがカッコよすぎでオススメです。
2位
続いて2位です。
2位は『断絶』です。
言わずもがなのファーストアルバムですね。
画像が『断絶』のジャケット。
『断絶』の感想記事は上に貼った記事リンクからご覧いただけます。
本作はジャンルが「フォーク」です。
しかし私には、ご本人が意識してフォークソングを歌おうとしたのではない気がしています。
本作がリリースされた70年代初頭は、若者が音楽をすることはフォークを作ること・歌うことと同義なほどだったのかもしれないと思うからです。
それほどの商業的にフォーク全盛期であったのだろうと。
「陽水Ⅱセンチメンタル」だったかのCDに入っていたブックレットに書かれた陽水さんの文章の内容や、その後彼の音楽がニューミュージックやAORに転換していく様子を見ても、陽水さん自身がフォークにどっぷりハマっていた訳ではないように受け取れますし。
本当はビートルズのような曲を書きたかったのではないかと私は思っています。
本作の中では「傘がない」が最も有名な曲と思います。
私も好きです。
歌詞が謎めいていて、私小説的なものなのか何かを比喩しているのか社会を風刺しているのか、初期作品群では陽水さんの考えが読み取りにくい曲です。
ところが『断絶』を聴いていると「傘がない」は例外的な曲と受け取ることもできます。
本作は総じて、当時20代半ばだった陽水さんのそのときの心情やら心象やらが、比較的ストレートに表現されています。
「人生が二度あれば」なんて、心根の真っ直ぐな人なのだろうと思わせます。
「感謝知らずの女」みたいなコミカルな曲も初期にはあって、この頃の陽水さんはどちらかと言うと近年の陽水さんに近いユーモアを感じさせます。
この陽水さんが素に近い状態なのでしょうね。
また、「あこがれ」にしても「断絶」にしても「もしも明日が晴れなら」にしても、1970年代前後の昭和中期感が曲からにじみ出てきているようで、何だかとても好きなんですよね。
アルバムに時代の空気感が詰まっている感じ。
1位
井上陽水さんのアルバムで私的なベストです。
1位は『LION & PELICAN』です。
1982年12月5日リリースの10作品目。
画像が『LION & PELICAN』のジャケット。
1980年代感が表れていると感じられる、印象的なデザインです。
『LION & PELICAN』の感想記事は上に貼った記事リンクからご覧いただけます。
この頃になると、歌詞の抽象度が上がってくると言いますか、初期の私小説的な、あるいは叙情的な歌詞ではなくなってきます。
「あの一件」が境目なのでしょうか、陽水さんの歌詞からストレートな物言いは感じづらくなっています。
かすかな記憶をたどってみると、当時の陽水さんはメディアなどとの接し方にしても、斜に構えているような、あえて距離感を取っている感じがありました。
曲の退廃感とご自身のミステリアスなキャラクターをリンクさせようとする、ご自身や事務所、レーベルの販売戦略もあるでしょうか。
当時、素に近い陽水さんが見られたのはごく一部の人間、例えば「タモリ」さんのような方と接しているときくらいだった気がします。
アルバムの統一した世界感という意味では、前出の『招待状のないショー』だったり7th『スニーカーダンサー』だったりの方が、本作より色濃いかなと思います。
しかし、このアルバムはとにかく色気のある楽曲が多くて、陽水さんの中だけでなく、ニューミュージックやAORといったジャンルの括り、あるいはもっと大きな邦楽の括りの中でも頂点の一つにあるのではないかと思わせるくらい。
それくらいに魅力溢れるアルバムに仕上がっています。
私は「とまどうペリカン」と「カナリア」が特に好きです。
この2曲が収録されているというだけでも本作を購入する価値はあると感じられるほど気に入っています。
この2曲は、本作の中でも好きなだけでなく、陽水さんの楽曲の中でも好きな曲になりました。
アルバムを購入しなければ出会うことがなかった2曲と思うと、これもまた出会いだなとしみじみ思います。
両曲とももっと語られて然るべき名曲でしょう。
当時「金属のメタル問題」が話題になったとか話題にならなかったとかいう、「リバーサイドホテル」も収録されています。
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番外
他のミュージシャンとのコラボレートを含めると、奥田民生さんとの『ショッピング』は上位に入れたいです。
すごく好きな作品で、ブログで感想記事を書いてからもよく聴くアルバムです。
民生さんが歌う「意外な言葉」、陽水さんが歌う「手引きのようなもの」など味わいのある曲が多いので。
おわりに
ということで、井上陽水さんにハマっているので、私的「井上陽水」アルバムベスト3を決めましたの記事でした。
ベスト3だなんて人それぞれに変わってくるものでしょうから、他の方々の意見もうかがってみたいものです。
- アーティスト: 井上陽水,忌野清志郎,奥田民生,星勝,佐藤準,鈴木茂,久石譲,矢野誠,井上陽水奥田民生,川島裕二,高中正義
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