ディスディスブログ

気分変調症の男がテレビ番組の感想やカメラ、ファッションのことなどを書きます

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米米CLUBの「石井竜也」さんがEテレ『世界の哲学者に人生相談』で過去の壮絶な「孤独」体験を語っていました

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毎週木曜日23:00よりEテレにて『世界の哲学者に人生相談』の放送が開始されています。

2018年4月12日の放送は第2回「孤独を抜け出るには?」で、番組内で「石井竜也」さんが語った過去の孤独体験がなかなかに重かったです。

 

 

目次

 

 

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Eテレ『世界の哲学者に人生相談』

www4.nhk.or.jp

 

世にも珍しい、贅沢な人生相談が、今宵オープン!ニーチェ、カント、アラン、サルトル、孔子・・・スタジオ古今東西の哲学者の顔がズラリ。人生の悩みに答えてくれる。室長は、高田純次さん。

番組では、哲学者の残した珠玉の名言や思想そのものを分かりやすく『お考え』として紹介。悩み解決のヒントにどうつながるのか、熱く語り合います。

番組説明にはこのように書かれています。

 

人生の言い訳 (廣済堂文庫)

レギュラー出演者はお笑いタレントの「高田純次(たかだ・じゅんじ)」さん。

他、3名の芸能人・有名人の方がゲスト出演し、第2回では「石井竜也(いしい・たつや)」さんと「磯野貴理子(いその・きりこ)」さん、「池田美優(いけだ・みゆう)」さんがゲストでした。

そして山口大学准教授で哲学者の「小川仁志(おがわ・ひとし)」さんがコメンテーターとして出演しています。

以前もパイロット板なのでしょうか、それが放送されていたのを観て面白かったので、レギュラー放送も観続けています。

 

 

第2回「孤独を抜け出るには?」

レヴィナス入門 (ちくま新書)

第2回のテーマは「孤独」でした。

新年度が始まって、新たな環境に身を置くことになる人が多い時期、新しい環境では「孤独」を感じる機会もまた多いですよね。

そんな孤独を抜け出るために扱われた哲学者は、20世紀に活躍した「エマニュエル・レヴィナス」です。

同じEテレの『100分de名著』でもこのレヴィナスは扱ったことがあったようななかったような……。

レヴィナスは家族や友人をナチス・ドイツに殺されるという壮絶な体験をした方で、その体験から考えた「孤独の本質」とは何かと、孤独を抜け出すために「すべき行為」を教えてくれました。

 

 

石井竜也さんの過去の孤独体験

DIAMOND MEMORIES(通常盤)

番組の中で最も印象に残ったのは、石井竜也さんが語った自らの孤独体験です。

 

ちなみに石井竜也さんはバンド「米米CLUB」の「カールスモーキー石井」さんです。

昨年でしたっけ、NHK『SONGS』で米米CLUBの回がありましたね。

私は米米で一番好きな曲は「child's days memory」です。ポンキッキーズ。

「I・CAN・BE」と「sure dance」もすごく好き。

 

それはさておき、『世界の哲学者に人生相談』の番組内で石井さんが語った過去の孤独体験のことです。

 

前提として、レヴィナスの孤独の話をしなければなりません。

レヴィナスがこれまでにない孤独に襲われたとき、孤独の原因は単に一人ぼっちになったということではなく、彼自身の心の中にありました。

自分の側に家族や友人がいて何でも分かりあえる世界にいたけど、その世界の人たちはいなくなりました(虐殺で)。

見知らぬ人々だけが住む世界

そこは自分が悲しみに暮れているにも関わらず、まるで何事もなかったように平然と続く世界がありました。

自分の周りには人格や感情もなくただ立っている、顔すらもない居るだけの存在になった人々の姿がありました。

レヴィナスはその世界を「イリヤ (ilya) 」と名付けます。

イリヤとは自分とは関係なく、ただ存在するだけの世界のこと。

 

それを受けて、石井さんは「こういうところで言うのもあれなんですけど」と前置きしつつ、こう仰いました。

 

「ある程度の、多額の借金を抱えて、もうどうしようもなくなった時期があるんですよ」

「で、そんときにこれ(手首を切る動作)やろうかと思って」

「で、もうお風呂入ってもどこ……キッチンに居ても、刃物しか見ないんですよ」

「そういう時期があって、そんときに描いた絵があるんですよ」

「全部“顔”描いてないんですよ」

「それ、20枚くらいありますよ、そんときに描いたやつ」

「もう全部まんまるの顔がこう(横並び)……顔、描けないんですよ」

「描けない、描きたくない」

「何て言うんですかね、“人格”じゃないですか、人の顔って」

「(他の人に)それ(人格)があって欲しくないんですよ」

 「自分も放っておいて欲しいし」

「描こうとしてるんですよ。でも最後はバーって白で塗りつぶしちゃう」

 「それで、その状況で、1000人2000人の前で歌ってごらんなさい」

「“恐怖”ですよ」

「それで帰ってきて、何考えると思います?」

「死にたくなりますよ」

「だからそういう状況のときには、人ってちょっと人間が見えなくなる」

 

と仰っていました。

これね……私は気分変調性と診断されたことがあり、希死念慮もよく現れるのですが、酷いときは周囲のこととか後先とか全く考えずに今逃げたくなるんですよね。

逃げるという表現が適当かわからないですけど、終わらせたくなる、そんな気持ちになりますね……う〜ん。

 

 

石井竜也さんのお父さん

そんな強く孤独の中にいた石井さんの、立ち直るきっかけを与えてくれた人がいたそうです。

それは彼の父親(故人)でした。

 

「(父親が)ほぼ、本当に何も言わない人なんですよ、寡黙な人で」

「その親父が電話してきたんです」

「(石井さんから)7年電話しなくても電話してこない親父が、自分から電話をしてきたんですよ」

「そのときに何を言ったかと言うと、『お前は今何を考えているかわからないけど、お金っていうのは“心”がないんだよ。でもお前が今まで作ってきたものは全て“心”があるだろう。見てくれていた人も皆“心”があるだろう。そんなものを作れたってことはお前は幸せなんだよ』」

「それを寡黙な何も話さないような親父が言ったときに涙止まんなくて……」

「それまで僕は(ライブの観客が)『3000人』と思っていたんですよ」

「『3000人』っていうカーペットが広がっている。そこで歌っている」

「それ(父親の言葉)を聞いてから、一人一人に人生があって、一人一人が電車に乗ってここまで来てくれたんだなって……ちょっと涙が……」

「……そう思えるようになった瞬間に、絵も全て描けるようになった」

 

そう仰っていました。

 

 

1人が死んだ事件が2万件

www.news-postseven.com

 

「ビートたけし」こと「北野武(きたの・たけし)」さんが、2011年に起こった「東日本大震災」とそれに伴う大津波を受けて、語った言葉がありました。

 

人の命は、2万分の1でも8万分の1でもない。そうじゃなくて、そこには「1人が死んだ事件が2万件あった」ってことなんだよ。

これは慧眼だと思ったのですね、当時、私は。

たけしさんのような感覚を私も常に持っていたいと、話を聞いた時に思いました。

今回の石井竜也さんの話もどこか通ずるところがありますね。

どうしても社会なり企業なり行き交う人々なりを一つの塊のように受け取ってしまいがちですけど、そうではなく、社会にも会社にも群衆にも一人ひとりの人生があるのだと。

 

 

おわりに

レヴィナスは「孤独から抜け出るために『他者の顔』を見つめることから始めよ」と言っていました。

会社でも学校でも、ある一人を選んでその人の顔を見る。

見ると言っても、目や鼻や口といった一部分だけを「凝視」するのではなく、顔全体を「直視」すると良いそうです。

そうすることで、上司だとか先生だとかそういう「社会的属性(社会の役割)」が消えて、その人自身が浮かび上がってくる、とレヴィナスは言います。

見つめる対象は、家族や友人といった親しい人ではなく、外の世界に生きる人々です。

この外の世界の人を他者と認識し理解することで孤独から抜け出すことができる、と。

今、会社や学校などで孤独を感じている方がいらしたら、一度試してみてはいかがでしょう。

顔を見つめすぎて気持ち悪がられないように気をつけて。

 

再放送は日曜日00:00(土曜深夜)にあるので、興味のある方はぜひご覧になってください。

 

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