ディスディスブログ

気分変調症の男がテレビ番組の感想やカメラ、ファッションのことなどを書きます

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『浦沢直樹の漫勉』シーズン0第2回「山下和美」完全版で山下さんの飾らない自然体な様子がとても好きです

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2017年1月12日木曜日22:00からEテレのドキュメンタリー番組『浦沢直樹の漫勉』が放送されていました。

2017年1月12日の放送はいわゆる「シーズン0」の、パイロット版として2014年11月に放送されたシリーズの第2回「山下和美」さんの再放送+αの完全版でした。

 

 

漫勉とは?

www.nhk.or.jp

 

日本を代表する漫画家の制作現場にNHKのカメラが入り、漫画家さんの作業の様子を邪魔にならないように定点カメラで撮影して、記録した映像を取材したご本人と漫画家「浦沢直樹(うらさわ・なおき)」さんと2人で観ながら、どのような手法で、どのような道具を用いていて、どのようなことを考えながら漫画を描いているのか……といったことを話す番組です。

言わずもがな、浦沢直樹さんは「YAWARA!」「20世紀少年」「MONSTER」などを描いた漫画家さんです。

実は昨年に浦沢さんは不○報道があったので、もしかしたら『漫勉』の放送がなくなるのではないかと心配していましたが、今回シーズン0が放送されたということは続編の放送がなくなる心配は少なくなったかなと安堵しています。好きな番組なので。

 

 

『漫勉』シーズン0第2回は「山下和美」さん

ということで、『漫勉』シーズン0第2回の放送に登場した漫画家さんは「山下和美(やました・かずみ)」さんです。

実は2017年1月5日木曜日にはシーズン0第1回「かわぐちかいじ」さんの完全版が放送され、9日月曜日(日曜深夜)にその再放送も放送されていたのですが、私はそのいずれも見忘れていました。

 

山下 和美(やました かずみ、1959年8月15日[1] - )は、日本の漫画家。北海道小樽市[1]出身。女性。血液型はAB型。神奈川県立希望ヶ丘高等学校卒業。横浜国立大学[1]教育学部中退(本人によると持病のためにやむなく中退したとのこと)。

山下和美 - Wikipedia

山下和美さんのWikipediaにはこのように書かれています。勉強もできた方のようですね。4人姉妹の末っ子で姉2人も漫画家さんということでした。凄い姉妹ですね……。

代表作は『天才柳沢教授の生活』でしょうか。私は原作を1巻は読んだことがあるのですが、全て読んだことはないと思います。また、本作はテレビドラマにもなっていた記憶があります。調べたところ「松本幸四郎(まつもと・こうしろう)」さんが柳沢教授を演じていたのですね……ドラマを観た覚えはあるのですが内容などは忘れています。

 

 

山下和美さんの自然体な感じが好き

このTwitterは私が昨日投稿したものです。シーズン0の山下和美さん回が私は何故かとても好きで、何度も観返しています。

何度も観返すのは好きだからのはずで、好きな理由は何だろう、どこが好きだと思っているのだろうと考えたときに思い出したのが上記Twitterです。山下さんの、自分を大きく見せるでも小さく見せるでもない自然体なところが、とても好きなのだと思います。

アシスタントは30年来の友人だそうですが、アシスタントさんに対しても、編集者に対しても、浦沢さんに対しても、もちろんTPO的なものはあるにしても、基本的には山下さんは誰に対しても変わらずに対応しているように見えました。

これは案外できないことと思います。漫勉の中でも浦沢さんの言葉に下記のような物がありました。

「あの教授のおかしなところは、あの教授、学び続けている感じ。教授っていう人に物を教えるはずの人が、実は自分が世の中を見て驚いている、っていう方向にしているのが、上から目線にならない。非常に面白いなって思うんですけどね」

それに対して山下さんは自分がそうだからかな、と答えていましたが、柳沢教授はモデルが山下さんのお父様だそうですけど、実は自分のことも描いていたのかもしれないですね。あの柳沢教授の人間性というものは自分のことも写していた可能性がありそうです。

 

 

資料を見ないで想像で描くこと

2014年の『漫勉』シーズン0で山下さんは『ランド』という作品を連載中でした。完全版では現在の山下さんにも取材をしていて、やはり同じ『ランド』を描いていました。

シーズン0の山下さんで印象的なのは、ある一コマを和紙と墨で描いたところです。

当初は普通に1枚の原稿用紙に3コマ描く予定でした。しかし、急遽思いついて最後の1コマだけ和紙と墨にしようということになり、描き終えたところ、アシスタントさんから1コマで見せた方が良いのではと意見をもらって、最終的には和紙と墨の1枚絵に変わったという、「人生行き当たりばったり(山下さん談)」な展開が繰り広げられていました。

そのコマは謎の少女「アン」が「イノシシ(猪)」の毛皮を羽織るように被るシーンでして、私が最も印象に残っているのは和紙と墨を選んだこともそうなのですが、そこではなく、イノシシの絵を資料を何も見ずに下書きを描いていたことでした。

私の中の常識では、動物を描くときは、下書きの時点でもペン入れでも、普通は資料を見ながら描くものです。それが全く見ないで、用紙にシャーペンを入れて行く中で線を探すようにして描いていました。

あのような芸当ができるということは、山下さんがイノシシの骨格や筋肉、皮、毛の様子を把握しているからこそなのだろうと思われ、それが驚きでした。それまでのコマでもイノシシを描いてきたのかもしれないですが、なかなかできることではないのではないかと思います。素人の私には到底無理な芸当です。

山下さんは「見ることもあるんですけれど、想像して描くことが多いですね」と言っていて、浦沢さんは「資料写真って、スポーツのシーンなんかでも、その写真をそのまま描くとわりとこじんまりしちゃう。見ないで描くというのが漫画らしい感じがするんだよね」と言い、それを受けて「やっぱりその人の絵に一回にしてから」と山下さんは返していました。浦沢さんは「写実になり過ぎちゃうと、その漫画家さんの絵じゃなくてもいいじゃない」と

 

 

おわりに

山下さんは絵を探しながら描いている感じで、目を描くときも二重線のような少女漫画にありがちな、ほわほわしたものになっています。例えば「東村アキコ」さんのような絵の描き方とは、ある意味対局にあるような描き方だなぁ、と観ていて感じました。

ただ10人いれば10通りの描き方があるとは漫勉では言われているとおり、どちらが正しいということではないのでしょうね。

また、テクニック的に面白かったことは、固形墨を硯で擦って使うと、その上から薄墨を塗ってもボヤけない、ということです。硯で擦った墨には「ニカワ(膠)」が含まれそれが水を弾くようです。ニカワとはゼラチンのことですか。

今夜も明日も、時間が空いていたら山下和美さん回を見返します。何か中毒性のある回ですよ。山下さん回の『漫勉』の再放送は2017年1月16日01:10(日曜深夜)からあります。興味が出てきた方はぜひご覧になってください。

 

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