『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年6月10日木曜日の放送に俳句コーナーがありました。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2021年6月10日の放送でも扱われました。
今回のお題は「雨宿り」です。
雨宿りは季語ではないでしょうか。
調べたところでは季語ではなさそうです。
夏の季語っぽい言葉ですので自信なし。
季語でないならば何か季語を添えて詠む必要があります。
この回では俳優の「高島礼子」さん、タレントの「伊集院光」さん、お笑いコンビ「銀シャリ」の「橋本直」さん、タレントの「若槻千夏」さん、アイドルグループ「Kis-My-Ft2」の「二階堂 高嗣」さんが出演していました。
レギュラー陣では「梅沢富美男」さんと、「三遊亭円楽」さんが出演していました。
順位
まずは今回の出演者さんの順位戦の結果です。
5位が橋本さん(才能ナシ、35点)、4位が若槻さん(才能ナシ、37点)、3位が二階堂さん(凡人、50点)、2位が高島さん(凡人、60点)、1位が伊集院さん(才能アリ、70点)でした。
2位高島礼子さん
今回は全体的にやや低調だったでしょうか。
個人的に心に引っかかる俳句が少なかったです。
そんな中で気になった句の一つは高島礼子乃さんの句です。
2位、60点。
句は、ウォーキングをしていたら雨が降ってきた、でも夏の雨は気持ち良いのでこのまま歩いて行こうとしている様子が詠まれました。
夏井先生は、このタイプの句はよく詠まれるもので、発想が凡人レベルだと指摘していらっしゃいました。
かといって詠まれた句そのものに何か破綻がある訳でもないと。
特に句を凡作にしている原因は中七「ぬれて行こうか」です。
この7音を別の言葉に置き換えることで句は広がりをもたせることができるということを仰っていたかと思います。
今回、夏井先生は添削のほとんどが「句またがり」でした。
意図的に句またがりにしているように受け取れましたので、句またがりの俳句の作り方やコツのようなものを、番組でお示しになりたかったのではないかと思います。
添削は、原句の上五「夕立に」を「夕立も楽し」と8音にして句またがりにし。
あと9音には、原句にある「ウォーキング」に「歩幅」の語を加えていました。
歩幅とすることで映像化でき、どの程度の歩幅かを読者が自由に想像することができるようになさっています。
なるほど、確かに俳句が夕立から始まっていますから、映像は空からスタートしますけど、下五を歩幅で終わることで視点が足元に移されます。
上手い添削だなぁと毎回感心します。
1位は伊集院さん
1位は伊集院光さん。
点数は70点。
句は、グレーのスーツを着たサラリーマンの方が雨に打たれ、スーツが台無し最悪だと思うのだけれど、せめてこの雲が進んだ先のどこかで雨不足に苦しんでいらっしゃる方々にはこの雨が喜びの雨であってくれよ、と詠まれています。
伊集院さんが使用した季語は「喜雨」です。
読みは「きう」。
日照りが長く続いた際、ようやく降る恵みの雨のことだそう。
梅沢さんも上手だと、言葉の選び方を褒めていました。
夏井先生も褒めていました。
作者の心根の優しい方だと、気取らず正直に詠んでいる姿勢もよいと。
添削はなし。
原句の中七に「どこぞの」とあり、そこを添削しようと思ったそうですけど、伊集院さんご自身の解説を聞いて、これは添削をしない方がよかろうと判断なさったようでした。
個人的には中七の「せめて」が効いているように思います。
雨に降られたことを良しとは思っていないけど、「せめて」どこかの恵みの雨であってくれたら、自分にも少しは慰めになる。
そういう想いが「せめて」の3音に込められていると感じられるからです。
梅沢さんが仰ったとおり、言葉の選び方や使い方が巧みな句と思いました。
素人目ながら、今回の伊集院さんの句は特待生レベルにあると感じられます。
今回の順位戦では抜きん出た俳句でしたね。
昇格試験
今回は「三遊亭円楽」さんの昇格試験がありました。
円楽さんは試験を迎えて「特待生1級」でした。
昇格なさったら名人初段になるようです。
句は、江戸時代の雨が降ってきた中を皆が走っている夕立の風景、男たちは着物の裾の端を帯に織り込む「尻っぱしょり」していて、それを犬が追っている様子を詠まれていました。
結果は「1ランク昇格」。
晴れて名人初段です。
おめでとうございます。
昇格の理由は「肩の力が抜けている」でした。
上五「夕立や」と助詞「や」の詠嘆で切ったこと、「尻っぱしょりを」の助詞「を」で対象を明確にし、「犬が」の助詞「が」の3つの助詞の効果を先生は褒めていらっしゃいました。
また、下五の終わりを「追う」と動詞で終えたことで、男が走ったことで泥がはねる様子を想像でき、泥はねから降る雨を想像すると、また上五の季語「夕立」の映像が立ち上がってくるとも仰っていたでしょうか。
個人的にはあまり好みではありません。
他人事のようで実感が伝わらないからです。
江戸時代にタイムスリップしたとしても、自分が何かをしている実感は欲しいと思います。
テレビ画面右上には、円楽さんの句が紹介されている間「落語家らしい傑作」と表示されていました。
私の想像力や言葉への理解が足りていないのでしょう。
梅沢さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である梅沢さんの句です。
梅沢さんの句集に入れる俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
今回の判定は「ボツ」でした。
句は、夕立のような強い雨が降ってきて、そうすると紫陽花に雨粒がたくさん当たって、さも跳ねてるかのように動いている、そんな様子を詠まれていました。
季語は「紫陽花」でしょうね。
ボツの理由は「言葉がケンカしている」です。
夏井先生はまず、この句は感じ方がよい、また「はぜる」の言葉を見つけてきたことを褒めていらっしゃいました。
はぜるは「爆ぜる」と書きます。
しかし、その上で言葉がケンカをしてしまっているとのご指摘です。
何と何がケンカをしているかというと、「はぜる」と下五にもってきた「雨しとど」の「しとど」の語感です。
「しとど」とはびっしょり濡れている様子で、言葉が「重い」のだそう。
「はぜる」は勢いよく弾ける様子です。
この「紫陽花の蒼がはぜている」様子を一番に目立たせたいのに、最後に語感の重い「しとど」を持ってきたために、「はぜる」が狙い通りには目立たなくなってしまった。
そういうことのようでした。
添削はこちらも句またがり。
紫陽花の蒼きよ、とした後、最後に「はぜる蒼」と二度「蒼」を持ってきて、紫陽花の蒼色が弾けている様子を強調していました。
梅沢さんも「なるほど」と唸る添削です。
個人的には「紫陽花の蒼」の色に「蒼」を持ってくることは適していないと感じています。
素直に「青」がよかったのではないかと。
「鬱蒼とした」などと表現するように、本来の蒼はどちらかというと草や葉の青さを表現しています。
緑色の方の青なのですよね。
また「顔面蒼白」と表現するように、生気の失せた青色にも「蒼」は用いられます。
そのため今回の「紫陽花の青」と言いますか「紫陽花の装飾花の青」には合っていないのではないかと、個人的には感じています。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「雨宿り」を視聴しての感想を書いた記事でした。