『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年7月1日木曜日の放送に俳句コーナーがありました。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2021年7月1日の放送でも扱われました。
今回のお題は「寝坊」です。
ベッドで寝ていた女性が、目覚まし時計の上のボタンを押している様子の写真が画面にはありました。
寝坊は季語ではないです。
何か季語を添えて詠む必要があります。
この回では俳優の「風間トオル」さん、タレントの「渡辺満里奈」さん、アイドルグループ「A.B.C-Z」の「塚田僚一」さん、俳優の「中村ゆりか」さん、同じく「工藤美桜」さんが出演していました。
レギュラー陣では「梅沢富美男」さんと、「藤本敏史」さんが出演していました。
順位
まずは今回の出演者さんの順位戦の結果です。
5位が中村さん(才能ナシ、30点)、4位が風間さん(才能ナシ、35点)、3位が渡辺さん(凡人、50点)、2位が塚田さん(凡人、65点)、1位が工藤さん(才能アリ、70点)でした。
低調
今回は低調でしたね。
才能ありがお一人しかいらっしゃいませんでした。
視聴しても2位以下の句はう〜んという感想でした。
1位は工藤さん
1位は工藤美桜さん。
点数は70点。
今回の順位戦の中で唯一の才能あり。
才能ありなだけあって良い句でした。
句は、高校生の頃に担任教師からモーニングコールがかかっていたのに、起きたときは既に夕方になっていた、そんな様子を詠まれていました。
季語は「夕の虹」が使われています。
夏井先生からは、字余りのある俳句で難点はあるのだけれど、オリジナリティとリアリティのある句との評価を受けていました。
7・8・5音でしたか。
前回の梅沢さんと同じ音数です。
上五・中七からは朝の光景を思い浮かべます。
「担任」と「モーニングコール」の単語があるからです。
ところが下五で「夕の虹」を持ってくるところに意外性があります。
この主人公の子がどういう事情でどういう子で、どうして夕方まで起きられないでいるのか。
読者は色々な物語を想像し始めると夏井先生。
そして、夕方だけれども虹ですから、生徒の明るい未来も見えてくるようです。
添削はなしでした。
字余りはあるのだけど、下手にいじると持ち味が損なわれるとの評価でした。
私はこの俳句が好きです。
字余りですけど、物語があります。
私は近ごろ俳句を詠むようになったので、この上五・中七から下五への展開は勉強になりました。
季語の選び方と、物語の季語への託し方が上手です。
工藤さんがそこまで意図して詠まれたかは怪しいものの。
昇格試験
今回はフジモンこと「藤本敏史」さんの昇格試験がありました。
藤本さんは試験を迎えて「名人10段☆」でした。
昇格なさったら名人10段☆2になるようです。
句は、家で娘と昼寝をして、目が覚めたところ娘からのひらがなだけの置き手紙があった、そんな様子が詠まれていました。
お父さんを起こさないように、手紙を書いて出かけたのですね。
季語は「昼寝」ですか。
使われたのは「昼寝覚(ひるねざめ)」でした。
昼寝から目覚めることでしょう。
中七を「ひらがなだけの」と全て平仮名にしているところがニクい。
結果は「1つ後退」。
「名人10段☆」から「名人10段星なし」です。
昇格の理由は「もっと確かな情報を」でした。
先ほど書いたように、原句の中七は「ひらがなだけの」です。
このうち「だけ」がよくなかったみたいです。
平仮名だけですと、小さな子どもが書いた手紙か、色々な事情で幼少期に勉強できなかったご年配の方が書いた手紙か、読者にはわからないそう。
梅沢さんも同じ指摘をしていて、先生はおっちゃんの指摘は正しいと仰っていました。
指摘に対してフジモンさんは、それは読者の解釈に委ねる的なことを言っていました。
私はフジモンさんの仰ることに賛同します。
理由は、原句のままでも小さな子が書いた手紙と、多くの方が受け取ると思えることが1点です。
「ひらがなだけの手紙=ご年配」とは一般的には受け取らないでしょう。
幼い子だろうなと思う人が大多数のはず。
もう1点は、読者が子どもが書いた手紙だろうと、年配の方が書いた手紙だろうと、どちらでも俳句は成立していると思えることです。
2つの解釈の違いによる季語の揺れもないですし。
俳句を始めとした詩歌、ひいては文学というものは、必ずしも詠み手の言いたいことを詳細に述べなくてよいと私は思っています。
今回のことで言えば、子どもの手紙だろうとご年配の手紙だろうと、読者の解釈に委ねてしまってよいです。
そういう解釈の「ブレ」をなくしてしまうと文学は面白くないと思えるから。
以前もどこかで書いた気がしますけれども。
ただし、原句の中七が気になる点は私も同じでした。
「だけ」が手紙の説明をしてしまっていますし、ややくどい表現に感じられたので。
「だけ」を別の表現にした方が俳句の流れは良くなるだろうとは思います。
しかし残念ながら私にはよい添削は思い浮かびませんでした。
ここに私の俳句力の限界がありますね。
先生は俳句としてはひとまず出来ているとした上で添削をしていました。
添削は中七を「子のクレヨンの」と直しています。
なるほど。
より具体的に情報を入れることで映像は鮮明になりました。
梅沢さんもフジモンさんも大いに納得する添削だったようです。
私にとっても、原句と添削句のどちらがよい句かと言われれば、それはもちろん添削句です。
間違いなく。
子どもにもご年配にも受け取れることの是非に関しては、梅沢さんや先生に賛同できません。
添削前後の句に関しては先生の添削句の方がよいです。
それが私の素直な感想です。
添削があったとしても、段位を1つ後退させるほど駄目な俳句ではなかったと思います。
名人10段の詠む俳句としては物足りないのでしょうけれども。
それなら梅沢さんは永世名人名にふさわしい俳句ばかり詠んでいますか? となります。
もっと言ってしまうと、この件はフジモンさんが降格することが前提となっている可能性すら邪推しています。
降格する脚本が先にあり、そのために粗を探した可能性ですね。
だから私にとって指摘が乱暴に感じられるのではないかと。
梅沢さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である梅沢さんの句です。
梅沢さんの句集に入れる俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
句は、年を経て寝ていてもよく目が覚めるようになり、夏になり夜が短くなっても時間を持て余すようになってしまった、そんな様子を詠まれていました。
季語は「短夜」です。
意味はそのままですね。
意味合いに「儚さ」を含んでいることが季語を用いる際のポイントになりそう。
今回の判定は「ボツ」でした。
久しぶりのボツですね。
ボツの理由は「知らないじいさんが作った句だと思った」です。
上五「永らえて」がよくなかったみたいです。
添削は「巡業の」とか「逢いみての」とかにしていました。
梅沢さんご自身のことだとわかるようにせよという添削ですね。
私も原句の上五が要らないなぁと思いながら見ていました。
生きながらえた「から」短い夏の夜を持て余すようになったと、説明をしてしまっているからです。
言い換えますと原因と結果を詠んでしまっている。
自ら「生きながらえたことで」などと言わない方が情感は深まると思います。
添削の「逢いみての」は勉強になりました。
百人一首にありましたよね。
「逢ひ見てののちの心にくらぶれば昔はものを思はざりけり」
これですか。
上五を「逢いみての」とした添削句はよかったです。
あなたの存在を知ってしまってからは独りでいる夜が一層長く感じられる、と解釈できます。
それこそ先ほどご紹介した百人一首に通ずる内容になっています。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「寝坊」を視聴しての感想を書いた記事でした。