ディスディスブログ

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『ウルトラセブン』42話「ノンマルトの使者」が傑作でした。キリヤマ隊長が危険人物すぎます

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毎週日曜日22:30からtvk(テレビ神奈川)にて『ウルトラセブン』が放送されています。2017年11月5日の放送は第42話「ノンマルトの使者」でした。これが傑作でした。

 

 

tvk『ウルトラセブン』 

m-78.jp

 

『ウルトラセブン』は、1967-68年に全49話が放送された特撮ヒーローものです。50年前の作品。

『ウルトラセブン』の内容は、宇宙からの侵略者に対して、ウルトラセブンと「ウルトラ警備隊」とで退治する話です。ウルトラセブンも地球外生命体ですけど地球を助けてくれます。

 

今回42話で放送された「ノンマルトの使者」では、ウルトラセブンが地球を助けたのかどうなのか、わからない内容になっていました。ウルトラセブンは地球の味方なのか、地球人類の味方なのか、彼の正義はどこにあって何をすることが彼にとって正しい行いなのか、彼の価値観の根幹を揺るがしかねない回です。

 

 

42話「ノンマルトの使者」

休日に海水浴を楽しんでいたダンとアンヌの目前で、海洋開発センターの海上基地・シーホース号が爆沈した。直前に事件を予告してきた少年・真市は、地球の先住民ノンマルトが事件を起こしたと語る。現在の地球人はかつてノンマルトを海底に追いやって、地球を我がものにしたというのだが……。

という番組説明がありました。とてもわかり易いですね。

番組説明通りに、今回地球というか地球人類を襲ったのは「ノンマルト」という生命体(?)、そして怪獣「ガイロス」でした。

真市(しんいち)少年が語ったことには地球の先住民族はノンマルトで、私たち人類が後から地球にやって来て、ノンマルトを海底に追いやったのだそうです。しかも、ノンマルトの海底都市を発見した「キリヤマ隊長」は海底都市を攻撃してノンマルトを滅ぼしてしまいました。

確かに、ノンマルトが襲ったことでシーホース号は沈んでしまいましたが、そもそも人類が海底開発をしなければノンマルトは人類にシーホース号を襲うこともなく平穏に暮らしていた可能性が高かったのです。真市少年も事件が起こる前から開発を止めるよう度々警告をしていたようでした。でも誰も信じなかった。

しかも、人類とノンマルトの戦いの大勢が決しているように見えた状況でも、キリヤマ隊長が彼の独断で海底都市を攻撃し滅ぼしていました。キリヤマ隊長の独断で人類より先にいた可能性のある生命体を滅ぼして良いものなのか、ウルトラ警備隊は「宇宙からの侵略者」に対して戦うことが任務ではないのか、話し合いで彼らと共存する道はなかったのか。

セブンとしても、ノンマルトが先住民であるなら今回人類を助けのノンマルトとガイロスを倒すことが正しい行いだったのか、彼らを倒した後も悩むことになります。

さらに彼らを倒した後、ダンとアンヌは真市が2年前に既に死んでいたことを知ります。彼が現れる海岸で。ダンやアンヌが見た真市は彼の思念、幽霊だった……?

 

 

ダンとアンヌは付き合っている?

42話の冒頭で、ダンとアンヌが2人でビーチで遊んでいる様子が映し出されていました。親密そうな2人の雰囲気は、まるでデートをしているかのようです。41話までにダンとアンヌが付き合っているような描写はありましたっけ?ちょっと記憶にないです。

付き合っていない男女2人が友人を誘うことなく2人きりで海に遊びに行くというのは不自然ですよね。2017年現在でもハードルが高い行為でしょうし、本放送があった1968年当時ならハードルはもっともっと高いでしょう。ですから42話時点でダンとアンヌは付き合っていたと考えた方が自然です。

アンヌは、海に来て水着を晒したことで身も心も解放されたのか、口調がウルトラ警備隊の任務時のような堅苦しいものではなく砕けたものでした。例えば「宇宙開発センターのシーホース号が大変なことになるんだってさ」と言っています。付き合っているから彼氏(ダン)に対して砕けた口調だったのでしょう。

 

 

キリヤマ隊長が危険すぎる

先述しているように、キリヤマ隊長が彼一人の判断でノンマルトの海底都市を壊滅してしまったことは、私の心の大きなひっかかりになりました。

先住の可能性がある知的生命体が海底に都市を作って生活していたなんてことは、地球人類にとっての一大事レベルの出来事です。彼が何か事を起こす前に世界の国のトップ、日本のトップ、最低でも上司である地球防衛軍のタケナカ参謀やマナベ参謀に対して、状況を説明した上で自分たちがどのような行動を取るべきか、その指示を仰ぐ必要があると思います。結果的に世界によってノンマルトを滅ぼす決定が下されたとしても、一人の人間が勝手に決断・実行をして良い問題ではないはずです。

しかしキリヤマ隊長は「もし宇宙人が侵略してきたとしたら、放っておく訳にはいかん」「我々より先に地球人がいたなんて……いや、そんな馬鹿な、やっぱり攻撃だ」と自分に言い聞かせるような台詞を吐いた後、ミサイル発射の命令を下しました。

ミサイル攻撃が成功し海底都市を滅ぼした後には「ウルトラ警備隊に告ぐ! ノンマルトの海底都市は完全に粉砕した! 我々の勝利だ! 海底も我々人間のものだ!」と無線で叫ぶのです。最後の言葉は侵略行為を認めた発言にも受け取れますし、それを大喜びで宣言している様子からは狂気すら感じました。

 

 

おわりに

シーホース号のクルーの一人、カマタ隊員を演じていたのは『ウルトラマン』でイデ隊員を演じていた「二瓶正也(にへい・まさなり)」さんでした。あのコミカルな表情は独特で和みます。調べたところお父様がドイツ人だそうです。

いやいや、42話「ノンマルトの使者」はたいへん興味深い話でした。脚本は視聴者に大きな問題提起をしています。ノンマルトを地球の現存する先住民族の方々に置き換えて考えることができる訳で。

また、自らも地球外生命体であるはずのウルトラセブンに対して、正義とは何かを突きつけています。思い悩むダンを見て、恋人(?)のアンヌは彼がウルトラセブンであることに勘付くかもしれないですね。最終回はどうだったでしょうか? 忘れました。

子供の頃に観てもそういうことには気が付かなかったので、大人になって42話を観られて良かったです。皆さんも是非ご覧になってください。