NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』、2016年10月13日の放送は第10話、すみれが結婚をし子どもも妊娠しました……が。
すみれの結婚と妊娠
時代は昭和17年(1942年)、ヒロインの「坂東すみれ(芳根京子)」は初恋に気がついた直後に失恋をしました。相手は貴族院議員をしているすみれの父親「坂東五十八(生瀬勝久)」が経営している「坂東営業部」の社長を務める「野上正蔵(名倉潤)」の息子「野上潔(高良健吾)」でしたが、潔はすみれの姉「ゆり(蓮佛美沙子)」に惚れてしまい、2人は結婚してしまいました。
五十八と「坂東はな(菅野美穂)」の間には男の子はいませんから、ゆりが坂東家長子です。通常ならゆりが坂東家を継ぐ手はずとなっていたはずですけど、潔が野上の養子であることから、野上家としてはある意味で血のつながっている子ども以上に大切にしてきた潔を婿養子に出す訳にはいかないであろう、と五十八が野上に気を遣って、ゆりを野上へ嫁に出すことを決めています。
となると、代わりに坂東の家を継ぐのは次女のすみれになり、すみれも五十八のこと、坂東家のことを考えて、継ぐことを受け入れていました。正確にはすみれが継ぐということではなく、婿養子を迎えて彼に継いでもらうということです。
五十八によって選ばれたすみれの結婚相手は、幼少の頃から坂東の家にも遊びに来ていた派手な服を着ていた影の薄い男の子、五十八と同じ貴族院議員「田中五郎(堀内正美)」の息子「田中紀夫(永山絢斗)」です。
紀夫は、ゆりと潔の結婚式のときにも坂東家に招かれていました。その日、坂東の屋敷の中で紀夫は、すみれに対して「失恋ですか」「僕にはわかります」と言っていました。紀夫は幼少の頃からすみれに惚れていて、すみれのことを見てきたからこそ、彼女の気持ちがわかっていたようです。それまでのことは紀夫にとって辛い日々であったことでしょう。好きな人が誰かを好きなことを知っているけど何も言えない、という状況が辛くないはずがありません。
ちなみに、紀夫の失恋ですか発言は結婚式の写真撮影のときに「堪忍して下さい。あのときは言い過ぎました」と謝っていました。
昭和18年、西暦1943年春にすみれと紀夫は結婚しました。紀夫は口数も少なく、思っていることを表情に出さない男です。結納時には、すみれは紀夫が何を考えているのかわからないことを、靴屋「あさや」を営む靴職人の「麻田茂男(市村正親)」に話すと、麻田は「想いを表に出すのが下手なだけの人もいます」「すみれお嬢様かてよう出さんかったけど、心のなかでは強いもんを持ってましたやろ」「大丈夫。奥様が見守ってくださっています」と励まします。
麻田の言うことは正しかったです。紀夫はずっとすみれのことを好いていた(はず)の男ですから、すみれとの結婚が嫌な訳がありません。坂東の婿養子となりすみれと結婚することは念願が叶ったと言ってもいいでしょう。結婚後も口数は少なく、ほとんど表情を変えずというか常に気難しい表情を浮かべているような紀夫でしたが、すみれのお腹に子どもを授かったことがわかると、屋敷のベランダに出て外へ向かって大声で叫び声をあげ、2人の間に子どもができたことを目一杯表現していました。そんな初めてとも言える紀夫の喜んでいる姿を見たすみれもまた嬉しかったようで、優しく微笑んでいました。
おわりに
ところが、昭和19年西暦1944年3月、すみれの妊娠7ヶ月を迎えた頃に、紀夫に召集令状が届けられました。
毎回のように書いていますが、本作は本当に展開が早すぎて明日はどうなるのかが予想できないです。明日11話は、紀夫は戦地へ向かい、すみれには子どもが産まれていることは間違いないでしょうけれども。
気になることは、この『べっぴんさん』のドラマが始まる前によくNHKに流れていた番組の宣伝で、焼け野原になった瓦礫だらけのある場所に、子どもを抱きかかえたかおぶっていたか忘れましたけど、すみれが子どもと立ちすくんでいるシーンが流れていたことです。あのシーンも間もなくやって来そうです。今週中に見られるでしょう。
あの場所は神戸にある坂東の洋館だろうと思います。すみれの家。あの場所にすみれと子どもだけが立ちすくんでいるということは、五十八や女中たちは亡くなっているのかもしれません。いや、でも五十八は貴族院議員として神戸と東京を行ったり来たりしているみたいですから、免れている可能性もあるでしょうか。
紀夫は生還してくると思います。ゆりもおそらく生き残るでしょう。そうでないとさすがに物語が進まないと思いますから。メタいですね。尚、潔は……。
すみれの生まれてくる子どもは何という名前がつけられるのでしょうか? ゆりとすみれは、生まれた頃に咲いていた花からつけられたそうです。春に生まれそうですから……わかりやすい候補は一つありますね。