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清水玲子さんが下描きのデッサンを表・裏・表と3回も描いていることに驚愕しました - 『浦沢直樹の漫勉』シーズン4第1回

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2017年3月2日木曜日22:00からEテレのドキュメンタリー番組『浦沢直樹の漫勉』が放送されています。

2017年3月2日の放送は「シーズン4」の第1回「清水玲子(しみず・れいこ)」さんでした。こちらの番組はパイロット版の「シーズン0」があったため、実質「シーズン5」です。

 

目次

 

 

漫勉とは?

www.nhk.or.jp

 

日本を代表する漫画家の制作現場にNHKのカメラが入り、漫画家さんの作業の様子を邪魔にならないように定点カメラで撮影して、記録した映像を取材したご本人と漫画家「浦沢直樹(うらさわ・なおき)」さんと2人で観ながら、どのような手法で、どのような道具を用いていて、どのようなことを考えながら漫画を描いているのか……といったことを話す番組です。

私たち視聴者が漫画や漫画家のことを勉強するだけでなく、「漫画家・浦沢直樹」が漫画を勉強する番組にもなっているようです。

言わずもがな、浦沢直樹さんは「YAWARA!」「20世紀少年」「MONSTER」などを描いた漫画家さんです。

2016年、浦沢さんに不○報道があったので、最悪の場合『漫勉』の番組自体が終了してしまうのではないかと危惧していました。シーズン4が無事始まってよかったです。

とか言いながら、私はこの「シーズン4」の第1回の本放送を見逃しています。2017年3月5日日曜日深夜に再放送したものを観ました。民放ならまず再放送はないはずですから助かりました。

 

 

『漫勉』シーズン4第1回は「清水玲子」さん

『漫勉』シーズン4の初回を飾るのは「清水玲子(しみず・れいこ)」さんです。

 

清水 玲子(しみず れいこ、1963年3月26日 - )は、日本の漫画家。
(略)
東京都生まれ[1]、熊本県熊本市育ち。血液型はB型。
1982年、『フォクシー・フォックス』で「第9回ララまんがハイ・スクール(LMHS)」佳作受賞。1983年、『LaLa』(白泉社)掲載の『三叉路物語(ストーリー)』でデビュー。
2002年、『輝夜姫』で第47回小学館漫画賞受賞。
2011年、『秘密 ―トップ・シークレット―』で第15回文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞。
プライベートでは一児の母であり、2005年7月に女児を出産した[2]。

清水玲子 - Wikipedia

清水玲子さんのWikipediaにはこのように書かれています。

私は清水さんを今回初めて知りました。普段ほとんど漫画を読まないですから、そもそもが詳しくない上に、少女漫画ですから余計にエリア外です。

子供の頃は姉の持っていた少女漫画を借りて読んでいたため、少女漫画は多少読んでいます。私の少女漫画の守備範囲はほぼ姉の守備範囲と同じということです。昔付き合っていた彼女のものも読んだこともありますからそちらも加わりますね。

そんな私が清水さんを知らなかったのですから、姉も知らないか感心が薄かったか、なのでしょう。Wikipedia内の作品群を見ても私の記憶は全く動かなかったです。

番組では清水さんは「秘密 ―トップ・シークレット―」という作品を描いていらっしゃいました。ジャンルはSFサスペンスだそう。

 

 

清水玲子さんの下書きのこだわり

今回、個人的に最も衝撃を受けたところは「下描き」です。おそらく私だけでなく、観ていた方の多くが最も印象に残っているシーンに同じ下描き部分を挙げるのではないでしょうか。

元々清水さんは下描きをしっかりと描くタイプの方ですが、彼女はその下描きを「3回」も描いていたのです。原稿の表に1回描いて、裏返して1回描いて、裏を描き終えたら表の下描きを全て消して、さらに裏に描いた線を参考にして3度目の下描きを表に描く、と。

下描きの前には「ネーム」を描いていて、下描きが終われば「ペン入れ」が入る訳で、都合5回同じ絵を描いていらっしゃいます。場合によってはそれ以上になるのでしょう。

1枚1枚、1コマ1コマ、5回も同じ絵を描いている……。

浦沢さんも仰っていましたが、絵を描くことが本当に好きじゃないと、絵が上手くなりたいと心から思っていないと、できないことですね。本当に驚きました。

なぜ、清水さんは一度描いた下描きを再び裏面にも描くかというと、裏から見てデッサンの狂いがないかをチェックしているみたいです。裏面から見ても整っているデッサンである必要があると……。浦沢さんが言っていた「破綻のない線」はこうしてできあがるのですね。

「『変じゃん』って思われたら困るので(裏面にも描く)」と御本人は仰っています。

私はしっかりした漫画を描いたことはないです。子供の頃に友達とお遊びで、パラパラ漫画を少し発展させたようなものを描いたことはあると思いますけど、本格的な漫画は一度も描いたことがありません。絵の技術的にも構成の技術的にも描けないと思います。

イラスト・1枚絵も描いたことはほぼ無いです。遊びでデッサン的に鉛筆画を描いたことはありますけど、ペン入れとか色つけとか、そういうことは描いたことはないはずです。私の絵は図工や美術の授業でほぼ完結しています。

なので想像の域を出ないですけど、私ならまずやらないだろうなと確信しています。3回も下描きを描かないです。1回で自分を納得させます。

 

 

鉛筆とペンの線の太さの違いが絵の違いを生む?

それともう一点、現在描いている漫画の主人公「薪(まき)」の顔のアップを描いているときの会話で、印象に残るシーンがありました。

ペンを入れた後に消しゴムで下絵を消そうとしたところ、インクがまだ乾ききっておらず、消しゴムで伸ばされてしまいました。清水さんはホワイト入れて修正をしているときに……

「下絵のときは割りと気に入った顔が描けたんですけど、ちょっとペン入れで失敗しましたね」(略)「鼻のラインがやっぱりいつまでも決まらなくて、しつこく描いていますね」「本当にちょっと些細なラインですけど」

……と仰ると、浦沢さんが……

「おそらく鉛筆の線の太さがその表情を作って、さらに細い線(ペン)でそれを描いたら、どっちかの線が微妙に消えたことで、その表情が消えているんですよ」「消しゴムかけたら無くなっちゃうんですよね」「本当にそれはある」

……と仰ったんですね。

なるほど……下描きとペン入れとでは線の太さが同じとは限らないから、同じように引いた線のつもりでも結果そこに生まれる表情は異なってしまう場合がある、ということですか。繊細ですね……。

これは私も似た経験がありました。美術の自画像か何かを描いたときだったと思いますが、私の場合は人物のデッサン時に輪郭線を1本で描けないため何本もの線を使ってそれを形成していて、その後いざ絵の具で輪郭を描いてみると下描きで描いたものとは全く異なる線が生まれていたことがありました。

これはおそらく、デッサンで線をたくさん描いて形成された輪郭線を良しとした理由は、自分の脳内でたくさんの線の中から綺麗に見える(バランスの取れた)線を選択・変換して見ていたからなのだと、浦沢さんの言葉を聞いて気づくことができました。

たくさんの線を一本の線にまとめてしまったときに、それまで自分が無意識に脳内で選択・変換して見ていた線を消してしまった可能性ですね。

この気付きをもっと早い段階で得られていたら……学生時代に。

 

 

おわりに

鉛筆だけでコマを成立させていたシーンも大変そうでした……。鉛筆で描くということは、最後に消しゴムで無駄な線をバーっと消すことができないですから、線が全て本番になってしまうのですね……想像しただけで恐ろしい。

『漫勉』を観るまでの私は、漫画はGペンか丸ペンで描くものと決めつけていました。

それが『漫勉』に登場する漫画家さんたちは、ボールペンだったり、マッキーだったり、筆だったり、鉛筆だったり、本当に様々な道具を使って漫画を描いています。

紙に描けさえすれば、最終的に漫画となっていさえすれば、使う道具は何でもありなのですね。

そういえば、もう一点驚いたことがありました。それは職場が非常に綺麗に整えられていたことです。取材が入るから掃除をしたのかもしれないですけど、それにしても綺麗です。清水さんご自身が非常に身だしなみを整えていらっしゃる印象もあるので、彼女の性分なのだと思います。

浦沢さんも「清水さんの仕事場って感じがする」と言っていましたが、確かに少ない時間ながらも清水さんの作業の様子を見ていると、彼女らしい仕事場という意見に納得してしまいます。一度最後まで本編を観た後にもう一度彼女の仕事場を見ると納得できます。

次回第2回が「伊藤潤二」さんで、第3回が「山本直樹」さん、第4回(シーズン最終回)が「ながやす巧」さんだそうです。私はどなたもわかりません……。漫画家さんってたくさんいらっしゃるのだなぁと改めて思います。私の世界は狭いです。

 

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