2019年1月13日日曜日22:30から『tvk(テレビ神奈川)』にて放送されている音楽トーク番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』、2019年1月27日の放送では「松田聖子」さんを扱っていました。
目次
tvk『ザ・カセットテープ・ミュージック』
2019年1月13日日曜日22:30より『tvk(テレビ神奈川)』にて音楽番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』の放送が始まりました。
「カセットテープ」のリバイバルブームがきている昨今。
昔懐かしのカセットテープが流れる、珠玉の『80年代歌謡曲』を聴きながら、夜な夜なトークを繰り広げていく、夜更かし好きなオトナたちのための音楽トーク
録画データの番組説明にはこのように書かれていました。
tvkの放送時間は毎週日曜日22:30から23:00までです。
元々は2017年に『BS12 トゥエルビ』で放送されていた番組で、tvkが放送の権利を買って2019年現在に放送している、ということになるのでしょうか。
『ザ・カセットテープ・ミュージック』の番組MCは、俳優・ミュージシャン・お笑い芸人(?)の「マキタスポーツ」さんと、音楽評論家・野球評論家の「スージー鈴木」さんのお二人です。
第3回「松田聖子の80年代名曲特集」
2019年1月27日の放送は第3回「松田聖子の80年代名曲特集」でした。
待っていました、松田聖子特集。
ちなみに第1回は「A面に入れたいサザンの名曲」で、以前当ブログでも記事にしました。
第2回は「B面に入れたいサザンのツウな名曲」で、こちらは記事にしていません。
A面に入れる曲は「誰もが聴いたあの曲」を、B面に入れる曲は「こっそり教えたいウラ名曲」を紹介するそうです。
第2回のサザンのB面は、私のようなライト層にはちょっと攻めすぎているように感じられました。
スージーさんチョイスです。
今回の松田聖子さんは、「サザンオールスターズ」のときのように前後編的に2週(2回)に分けての放送ではなく、1週の中でA面に入れたい3曲とB面に入れたい3曲の計6曲を収めていました。
紹介された松田聖子の6曲
『ザ・カセットテープ・ミュージック』の第3回「松田聖子の80年代名曲特集」もスージーさんがチョイスした6曲が紹介されていました。
1. 青い珊瑚礁
1曲目は「青い珊瑚礁」です。
1980年7月リリースの2枚目のシングル。
のっけのサビ部分のパワーボイスと、正確なピッチを絶賛していました。
音高(おんこう)、ピッチとは、
音楽用語
音声学用語
における音の高さのこと。
音高のWikipediaにはこのように書かれています。
ピッチとは音の高さではありますが、この場合は「音程」のことも指しているでしょう。両方。
2. 小麦色のマーメイド
2曲目は「小麦色のマーメイド」です。
1982年7月リリースの10枚目のシングル。
作詞が「松本隆」さん、作曲が「呉田軽穂」名義の「松任谷由実」さん。
ニューミュージックの作家たちが、松田聖子というオリンピックの舞台に乗り込んできて、実験的にAOR的な大人っぽい曲を展開していった的なことをスージーさんは仰っていたでしょうか。
Adult-oriented Rock:アダルト・オリエンテッド・ロック
アダルト現代音楽、Adult-Oriented Rock
「AOR」は1980年代の日本で音楽用語として用いられた。ボビー・コールドウェルの「Heart of Mine」が1988年に紹介される際、「Adult-oriented Rock」を「大人向けのロック」と解釈された。
AORのWikipediaにはこのように書かれています。
AORはもう一つ「Album-Oriented Rock:アルバム・オリエンテッド・ロック」の意味もあるようです。
しかし、松田聖子さんの「小麦色のマーメイド」に関していえば引用部の方、「アダルト現代音楽」の意味が合っているでしょう。
確かにデビュー曲「裸足の季節」や「青い珊瑚礁」などと比べると、ずいぶんと歌詞もメロディも大人っぽいですね、小麦色のマーメイドは。
声も、「青い珊瑚礁」の頃のドーンと張り出す発声ではなく、いわゆる「キャンディボイス」に変わってきた頃で、曲調が発声にも合っているのでしょうか。
噂によると過密スケジュールで喉をやってしまったのだとか。
3. ガラスの林檎
3曲目は「ガラスの林檎」です。
1983年8月リリースの14枚目のシングル。
サントリーの「サントリーCANビール」のテレビCMで話題になった「SWEET MEMORIES」との両A面ですか。
ペンギンのアニメーションですよね、バーで飲んでいる様子を映した。
作詞が「松本隆」さん、作曲が「細野晴臣」という、「はっぴいえんど」のメンバーだった2人が作った曲です。
2人が好き勝手作ったとスージーさんたちは言っていましたか。
「クイーン (Queen) 」の「ブライアン・メイ (Brian May) 」のようなギターにも注目して聴いて欲しいとのこと。
マキタさんは「フレディー・マーキュリー (Freddie Mercury) 」に歌って欲しいと。
ギターを弾いている人は「白井良明」さんか「鈴木茂」さん、でもギターの音からしておそらく白井さんではないかと番組では言っていました。
音から白井さんとわかるって凄いなぁと驚きます。
私は上手い下手は多少わかっても、それが誰の演奏かまではわからないですね。
確かにこの頃のアイドルの曲、歌謡曲といっても良いかもしれませんけど、歌謡曲は曲全体としての評価が多くて、ギターがどうとか、ベースがどうドラムスがどうとかいう話にはなりにくいですよね。
その点をマキタスポーツさんやスージーさんが言及していて興味深かったです。
ここまでがA面の3曲でした。
4. 夏の扉(オリジナル・カラオケ)
ここからB面の4曲目から6曲目です。
4曲目、B面1曲目が「夏の扉」のオリジナル・カラオケです。
1981年4月リリースの5曲目のシングル。
チョッパーベースについて話していました。
チョッパーベースというのはスラップのことですか。
スラップ奏法(-そうほう)は、ベースの演奏方法のひとつ。スラッピング(slapping)、チョッパーとも言う。「Slap」とは英語で「(平手で)打つ」という意味の動詞である。
スラップ奏法のWikipediaにはこのように書かれています。
この頃の歌謡曲はサウンド重視には作られていないから、チョッパーベースなどが入っていても聴き逃していることが多いんだ、的なことをマキタさんが言っていました。
音楽にも妥協していないところも松田聖子さんの曲の特長であるとはスージーさん。
ということをカラオケ音源で聴くとわかりやすいよ、ということでの紹介です。
5. いちご畑でつかまえて
5曲目は「いちご畑でつかまえて」です。
1981年10月リリースの4枚目のアルバム『風立ちぬ』の1曲。
「大瀧詠一」さんが手がけた曲のようです。
番組では奇天烈なメロディなどと表現されていましたけど、私はこのとき初めて「いちご畑でつかまえて」を聴きました。
そして、これを歌い上げるのは相当難しいだろうなと思いましたし、見事に歌い上げていた松田聖子さんの技術と表現力に驚かされもしました。
松田聖子という歌手の見る目が変わる曲かも。
6. ピンクのモーツァルト
6曲目が「ピンクのモーツァルト」です。
1984年8月リリースの18枚目のシングル。
作詞「松本隆」さん、作曲「細野晴臣」さんですか。
細野さんが採用した分数コードは「早すぎた渋谷系」だったというスージーさんの主張でした。
言われてみると確かにつかみどころのないメロディですね。
でも渋谷系とつなげて考えたことがなかったので、なるほどと思いました。
大瀧詠一さんの影響も大きそうかなと。
ピンクのモーツァルトは歌詞がエ□いんですよね……。
表向きの歌詞ではなく、受け取り方によって裏の意味がエ□い。
スージーさんのまとめ
最後、スージーさんが「松田聖子の80年代名曲特集」6曲を紹介した後の総括をしたコメントが、この80年代の松田聖子現象について、作家へフォーカスを当てたものになっていて、個人的には目からウロコな意見でした。
「そういうちょっとヤンキーな子とかが、家に帰って(収録に使っている)こういうラジカセでね、松田聖子の曲で、メジャーセブンスとかメジャーナインスとか、エーマイナーセブン ベースディーとかですね、そういうユーミンが放つAOR的な複雑なコードっていうのを、こういう方々(額に剃り込みを入れているヤンキー)も聴いて」
「『おおー! 裸足のマーメイド最高だぜベイビー』って言ったっていうね」
「で、その高水準な歌詞とか音楽っていうのが、『はっぴぃえんどの復讐』って言いましょうかね」
「70年、71年、72年、『はっぴぃえんど』が不遇な時代があったんだけれども、10年経って、この『はっぴぃえんど』の連中が日本を席巻したっていう、これが戦国絵巻ですね」
という総括をしていらっしゃいました。
松田聖子さんの話になるとどうしても「山口百恵」さん「中森明菜」さん辺りの名前が出てくるか、あるいはスキャンダルとの絡みになることが多くなる印象です。
実際に中森明菜さんのことは『ザ・カセットテープ・ミュージック』内でもほんの少し触れられていました。
しかし、スージーさんのような作家方面からのアプローチで80年代の松田聖子を語られることは、私にとっては少ないように感じられ、新鮮に聞こえました。
スージーさんの発言内の「裸足のマーメイド」に関して補足しますと、これはスージーさんが「小麦色のマーメイド」と間違えていると思います。
小麦色のマーメイドの歌詞に「裸足のマーメイド」という言葉が入っているのですね。
スージーさんが番組でその話もしていて、総括のときに両者を混同してしまったのでしょう。
私が選ぶ松田聖子の6曲
私が松田聖子さんの曲で6曲を選ぶならどうしましょうか。
A面とB面でそれぞれ3曲。
これは非常に難しいですね……。
1983から1984年にリリースされた「ガラスの林檎」と「瞳はダイアモンド」と「Rock'n Rouge」の連続した3曲はとても好きです。
ガラスの林檎は松本隆・細野晴臣コンビ、瞳はダイアモンドとロックンルージュは松本隆・呉田軽穂(ユーミン)コンビです。
この3曲は入れるとして……
瞳は〜と両A面になった「蒼いフォトグラフ」も超いいですし……んんん。
「裸足の季節」など初期の作品群ももちろん好きです。
でも私はどちらかというと、「小麦色のマーメイド」や「野ばらのエチュード」から「ハートのイアリング」や「天使のウィンク」までの方がより好きです。
いや待てよ、「赤いスイートピー」のB面の「制服」も良いですよね……うわぁ迷う。
ここは素直に「ガラスの林檎」と「瞳はダイアモンド」と「Rock'n Rouge」がA面3曲で良いですかね。
B面3曲を「制服」と「蒼いフォトグラフ」と……「夏の扉」にします。
ん、でも夏の扉はA面が、ロックンルージュはB面の方が合う感じがしますね。
A面が「夏の扉」と「ガラスの林檎」と「瞳はダイアモンド」、B面が「Rock'n Rouge」と「制服」と「蒼いフォトグラフ」で良いでしょう。
裸足の季節も風は秋色も渚のバルコニーも、小麦色のマーメイドも野ばらのエチュードも入れたい……くぅ。
選んだ6曲に順位をつけるなら、ガラスの林檎が1位かもしれません。
メロディの展開がドラマティックで大好きなのです。
「細野晴臣というですね、クレイジーな才能が殴り込みをかけた」とスージーさんも仰っていましたけど、ガラスの林檎は細野さんの作曲が神がかっているように感じられます。
ガラスの林檎と瞳はダイアモンドはいずれも1983年の下半期に発売されたために、賞レースでの票が分散してしまったとか何とかいう意見を、どこかで読んだ記憶があります。
そういえば、松田聖子さんは『日本レコード大賞』を取っていなかったでしょうか?
6曲に夏の扉を入れた理由は、あの曲の初っ端からの解放感には格別なものがあると感じられるからということと、作詞の「三浦徳子」さんと作曲の「財津和夫」さんが「アイドル・松田聖子」を的確に表現できている曲と感じられるからです。
夏の扉で地位が決定づけられた感、あるいはアイドルではなく松田聖子というジャンルが確立した感が私にはあります。
ちなみに、「マツコ・デラックス」さんは「チェリーブラッサム」が松田聖子さんの曲では一番好きだそうです。
「やっぱり名曲ね」と、何年も前にある音楽番組で語っていました。
でも当時は狂信的な明菜派だったから「聖子を憎んでた」とも。
おわりに
ということで、『ザ・カセットテープ・ミュージック』の第3回「松田聖子の80年代名曲特集」についての記事でした。
松田聖子さんは、当時私が子どももこどもだったこともあって、テレビで観ていても何とも思っていなかったです。
でもおっさんになって改めて聴いてみると良い曲ばかりですし、松田聖子さん自身も可愛いのですよね。
松田聖子さん自身でいうと、最初期の腫れぼったいまぶたの頃が好き。かわいい。
本文中の青い珊瑚礁の画像がその頃ですね。