ディスディスブログ

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「芝浜」のごとく落語を辞めて真っ当に働く決意を固めた助六でしたが…!みよ吉の本名も判明です - アニメ『昭和元禄落語心中』12話の感想

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毎週土曜日01:05(金曜深夜25:05)より、TBS“アニメイズム”枠にてアニメ『昭和元禄落語心中』が放送されています。

 

rakugo-shinju-anime.jp

 

以下、ネタバレ要素がありますので注意してください。バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年3月26日の放送は第12話でした。サブタイトルがない作品です。

 

イントロダクション 

刑務所の落語慰問会で見た大名人・八雲の「死神」が忘れられず、
出所した与太郎が真っ先に向かった先は、寄席だった。
拝み倒して八雲の住み込みの弟子となった与太郎だが、
八雲の元では小夏という女性が暮らしていた。
八雲と小夏には他人が容易に触れられない因縁があるらしく…

 

というイントロダクションです。ABOUT/STORYページから抜粋しました。作者は雲田はるこさん。講談社の『ITAN』にて連載中、既刊8巻。私は本作を全く知りませんでした。完全な初見です。

 

『昭和元禄落語心中』12話

前回11話で、真打ちに昇進した後の「八代目・有楽亭八雲(ゆうらくてい・やくも)」が、七代目八雲に破門された彼の同門のライバルであった「二代目・遊楽亭助六(ゆうらくてい・すけろく)」と芸者のみよ吉の後を追って(おそらく)徳島の温泉街、祖谷(いや)に向かいました。そこにはみよ吉の姿はありませんでした。しかし、助六と二人の子供、小夏と出会い3人でしばらくの共同生活の後、菊比古と助六で「有楽亭二人会」なる落語会を温泉街で開く運びとなりました。

 

 

助六が演じた演目は「芝浜」

Aパートは「有楽亭二人会」です。松田さんも駆けつけ皆が助六を待っていると勇気づけていました。良い人。

二人会は菊比古が先陣を切り、助六が取りを務めました。今の落語界の立場的にいえば、八代目八雲を継ぐであろう菊比古が取りを務めることが当然の流れと思いますが、そうではありませんでした。

これまでの『昭和幻燈館』の作中でも、助六(初太郎)が先に演じて、袖で見つめる菊比古に対して己の落語を見せてやり、自信なさそうにしている菊比古を勇気づけてやる、というやり取りが何度もありました。

しかし、落語の世界から足を洗ってしばらく何もせずにいた助六と、助六がいなくなってからも落語の世界で生きてきた菊比古とで、当時とは立場が逆転している、そういう様子が見られ、演出の上手さを感じます。

 

『芝浜』(芝濱、しばはま)は古典落語の演目の一つ。三遊亭圓朝の作とされるが不確か。3代目桂三木助の改作が有名。三木助による名演以降、夫婦の愛情を暖かく描いた屈指の人情噺として知られるようになった。大晦日に演じられることが多い。また、5代目三遊亭圓楽が生前最後に演じた演目でも知られる。

芝浜 - Wikipedia

 

助六が演じた落語は「芝浜(しばはま)」、助六には珍しい人情噺です。酒ばかり飲んで仕事をしない夫を案じた妻の話です。「よそう。また夢になるといけねぇ」とオチがつきます。仕事(現実)と夢、今の助六にピッタリの噺で、そのチョイスが素晴らしかったです。

 

 

みよ吉の本名は「ゆりえ」

二人会の後、会場になった旅館に泊まることになった3人、夜に菊比古がある客から呼び出されました。菊比古を呼び出した客はみよ吉です。助六の妻、小夏の母……と、今書いていて気づいたのですが、助六とみよ吉は正式に結婚しているのでしょうか?していなさそうな気がします。

みよ吉は菊比古が迎えに来てくれることを信じて待ち続けていたと言います。もう助六はうんざりだから二人きりで行こうと。真っ先に会った人間が助六でも小夏でもなく菊比古であるところがみよ吉の悪女たる所ではあります。しかし、菊比古も菊比古でして、その誘惑に負けてしまうんですねぇ……。

「あなたのせいで狂った人間同士よ」というみよ吉の台詞が怖いです。いやいや、狂わせているのはみよ吉だと思いますが……いや、どっちもどっちですか。菊比古が完全に見捨ててしまうことが何よりみよ吉のためだと、私は思っていますけれども、関係を断ちきれない優しさというか弱さというか、そういうものが菊比古の中にはあります。

そうして菊比古に抱きついたみよ吉は、そこで「私たちタヒんじゃおっか」と心中を提案するんですねぇ。2人がいる旅館の部屋は高いところにあって、窓の下の随分低いところに川が流れています。落ちたら間違いなくただでは済まない高さです。菊比古を窓辺へと追いやるみよ吉、そこへやって来たのは助六でした。

助六はみよ吉とよりを戻そうと土下座をします。落語も辞めて真っ当に働くことを宣言していました。落語よりも大切なものを見つけたと言っていたでしょうか。落語より大切なもの、それはみよ吉であり小夏であります。家族ですね。

自分のため落語のために助六を取り戻しに来た菊比古にとっては、助六の落語を辞める宣言は、助六にフラれたようなものです。そして、本当はみよ吉も助六のそういう言葉を待っていたのかもしれません。菊比古を待つために家を出なかったとみよ吉は言っていましたけど、もちろんそれ自体本心ではあるのでしょうけれども、それだけではなかったはずです。菊比古はみよ吉にもフラれたと言えそうです。

最後、そのやり取りの最中にみよ吉が窓から不意に落ちてしまい、みよ吉を助けるために助六も一緒に窓から飛び降り、一時は菊比古が腕一本で2人を支えていましたけど、さすがに大人2人は重すぎて、菊比古は最後に手を離してしまいました……。大人の男女なら計100kgほどあるでしょうからねぇ、無理です。

みよ吉を助けるとき、助六は「ゆりえ!!」と叫びました。菊比古はそのとき初めてみよ吉の名前を知っています。菊比古とみよ吉はそういう間柄でしかなかったし、助六とみよ吉はそういう間柄なのだという、この2つの関係性の決定的な違いが興味深いものでした。

 

 

おわりに

「あたしはまた捨てられました。甘い夢を見過ぎた罰だったのでしょうか」と菊比古の台詞が入って12話が終わりました……。『昭和元禄落語心中』のタイトル回収という。

次回が最終回です。次回予告に懐かしい声が響いていましたね。1話の年代、昭和中期だと思いますが、そこに時間が戻って、与太郎が登場するようです。年老いた菊比古、八代目八雲と大人になった小夏も再登場です。

 

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