ディスディスブログ

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菊比古が助六をどう思っていたかではなく助六が菊比古をどう思っていたのかが初めて明かされました - アニメ『昭和元禄落語心中』9話の感想

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毎週土曜日01:05(金曜深夜25:05)より、TBS“アニメイズム”枠にてアニメ『昭和元禄落語心中』が放送されています。

 

rakugo-shinju-anime.jp

 

以下、ネタバレ要素がありますので注意してください。バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年3月5日の放送は第9話でした。サブタイトルがない作品です。

 

イントロダクション 

刑務所の落語慰問会で見た大名人・八雲の「死神」が忘れられず、
出所した与太郎が真っ先に向かった先は、寄席だった。
拝み倒して八雲の住み込みの弟子となった与太郎だが、
八雲の元では小夏という女性が暮らしていた。
八雲と小夏には他人が容易に触れられない因縁があるらしく…

 

というイントロダクションです。ABOUT/STORYページから抜粋しました。作者は雲田はるこさん。講談社の『ITAN』にて連載中、既刊8巻。私は本作を全く知りませんでした。完全な初見です。

 

『昭和元禄落語心中』9話

前回8話で、「八代目・有楽亭八雲(ゆうらくてい・やくも)」、まだ二つ目で「菊比古」ですが、彼が一緒に暮らす同門のライバルであり「二代目・遊楽亭助六(ゆうらくてい・すけろく)」と別れ、菊比古が助六を家から追い出しました。菊比古は付き合っていた芸者のみよ吉とも別れていて、別離&別離でした。

 

助六の破門

季節は巡って春になり、菊比古も助六も真打ちに昇進しています。

真打ち披露公演の中、助六は協会会長の十八番である「居残り佐平次」を演じたことで、師匠の七代目・有楽亭八雲に呼び出されます。師匠にお酒も入っていたこともあってか、会話は荒れてしまい、師匠は助六を破門にしてしまいました。

助六は時代の変化、それに伴う観客の変化を敏感に察しており、落語会の行く末を案じていました。特に家庭にテレビが普及してきたことを何より憂慮しています。「もう黙っていても人が寄席に来るじだいじゃなくなる」「このままじゃ消えちまう」と言っていましたか。

時代を読めていない七代目は助六の危機感に同調できません。旧来の価値観に浸ったままでいる七代目には到底理解できないことなのでしょう。理解されないことに憤りを覚えた助六は「そんなんだから師匠の落語は古臭くってまだるっこしいんだ!」と思わず言ってしまうんですね……思っていても言っちゃ駄目なやつです。

 

「居残り佐平次」とは?

右を向いても左を向いても貧乏人が集まったとある長屋。その輪にいた佐平次という男が「品川にある遊郭に繰り出そう」と言い出した。金もないのにどうやって?と思いながらも一同、品川へ。 一泊して後、佐平次は「実は結核に罹って医者から転地療養を勧められていた。だからここに残る」と言い出し、ほかの仲間を帰した。

居残り佐平次 - Wikipedia

 

「居残り佐平次(いのこりさへいじ)」は古典落語だそうです。居残り佐平次のWikipediaのあらすじから一部抜粋しました。私は落語がさっぱりな人間ですので、内容は知らないのですが「居残り佐平次」の言葉だけは知っていました。

検索をかけたところ動画があがっていましたけど見ていません。

 

助六とみよ吉

八雲を継ぐことに野心を燃やしていた助六は夢が絶たれて打ちひしがれ、そんなところに菊比古に捨てられ打ちひしがれるみよ吉が現れます。傷負ったもの同士が出会うと妙に惹きつけ合ってしまうものですねぇ……傷の舐め合いは……私の経験上長くは続かないですし、良い結果にはつながらないですが。

二人は一緒になり、みよ吉のお腹には子供も出来た様子。さらにみよ吉はお店のお金を持ちだして家を出て行ってしまいました……。

ある夜、菊比古の家の前にいた助六を菊比古が認め、家に引き入れ話をします。菊比古はまだ助六を見捨ててはおらず、落語界にもどるために師匠に頭を下げるように言っていましたが、助六は戻る気はないようで菊比古に別れを言っていました。みよ吉が菊比古にかけた呪いが助六を通じて現れているような。

 

おわりに

これまで菊比古が助六をどう思ってきたのか、つまり菊比古の視点で物事が語られることが多かったですけれども、9話では初めてと言っていいくらいに助六視点で演出されていました。

菊比古は出会った頃からずっと、今もなお助六の落語の才能に惚れ込んでいますし、大いに憧れ、嫉妬もしていました。到底叶わないと。ところがその一方で助六も菊比古に対する羨望や嫉妬はあったみたいです。師匠や周囲から可愛がられ、自分はいつも疎ましく思われてきた、と。

そんな風に思っていたのに、ずっと菊比古の側にいて一緒に暮らしてまでいたのはどういうことか、それは菊比古のこと嫌いでもあるけど好きでもある、ということなのでしょう。嫌いというとまた少し違うかもしれませんが。

菊比古は助六にただ憧れているだけではなく、悩み苦しむ中で自分の落語を見出すことができていて、助六は菊比古の境遇に憧れているだけで自分から落語界の慣習には取り入ろうとしませんでした。そこが現時点での2人にとっての人生の分水嶺があったのだろうと感じます。

前述しましたが、フラれた者同士がくっ付くことは色恋ではよくあることですし、そうやってくっ付いた二人が不幸に突き進むこともよくあることです。特に物語では。

 

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