ディスディスブログ

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海のコンクール予選の結果以上に、観客の前で演奏する悦びを知った意味は大きいと思います - アニメ『ピアノの森』4話の感想

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毎週月曜日00:10(日曜深夜)より、NHK総合にてアニメ『ピアノの森』が放送されています。

2018年4月30日の放送は4話「一番のピアノ」でした。

以下、最新話のネタバレ要素がありますので、バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。

 

 

目次

 

 

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アニメ『ピアノの森』

piano-anime.jp

 

2018年4月30日の放送は第4話「一番のピアノ」でした。

 

 

4話「一番のピアノ」

主人公「一ノ瀬海(いちのせ・かい)」は、音楽教師「阿字野壮介(あじの・そうすけ)」からの教えを受けて、ショパンの「子犬のワルツ」が弾けるようになった見返りに、お金のかからない願い事を一つ聞くことにしました。

阿字野は「『全日本学生ピアノコンクール』に出場してもらおう」と提案し、海はコンクールに出ることになります。

前回3話では、海を最大のライバルと思っている海と同じ小学校に転校してきた「雨宮修平(あまみや・しゅうへい)」が、『全日本学生ピアノコンクール』第56回中部南地区予選で課題曲のモーツァルト「ピアノ・ソナタ第2番 ヘ長調 K.280 ~第1楽章」を完璧に弾いてみせ、会場を魅了していました。

 

 

誉子の番

前回、コンクール会場で海が出会った女の子「丸山誉子(まるやま・たかこ)」の出番がやってきました。

誉子は極度のあがり症で、本番になるとまともに弾けた試しがないようです。

今回も、全国区の修平が同じ予選に参加することで戦意を失ったり周囲に対して敵意を剥き出しにしていたり、自分の出番になると婆やの側から離れて一人で泣いていたりと、精神的な不安定さを見せていました。

しかし、海を飼い犬のウェンディに見立てて、家でリラックスをしている状況を作ってげることで落ち着きを取り戻していました。

そこで海と誉子の仲は一気に縮まっています。

本番、ステージに現れるとやはり会場の雰囲気やコンクールの雰囲気に飲まれそうになってしまいます……が、改めてウェンディを近くに感じることで笑顔を取り戻し弾くことができました。

プレッシャーに押しつぶされそうになった自分に打ち勝ったのですね。

初めて人前であがらずに弾くことができたと涙を流して喜ぶ誉子。

会場に応援に駆けつけた家族も嬉しそうです。

舞台袖に戻ると、出番を待っている海が誉子に対して、親指を立てて「GOOD」のジェスチャーを見せ「やったじゃん、完璧な便所姫だったぜ!」と労をねぎらいます。

自分を便所姫などと言う海に、誉子は怒らずむしろ泣きそうになり、海に駆け寄って思い切り、「あなたって最高!」と言いながら抱きしめていました。

今日会ったのに好きすぎでしょう……と。でも恩人ですからね、人間のウェンディは。

 

 

自分のモーツァルトを弾け

そして海の出番がやってきました。

 

「さて、モーツァルトからの伝言だ」

「森に住む少年よ、お前はお前のK.280を弾け」

 

これは前回、阿字野がモーツァルトから海への伝言だと言っていた言葉です。

海も誉子と同じように、自分の敵はモーツァルトではない、自分の敵は自分だと言い聞かせながらステージへと上がります。

 

修平は自分に唯一迫れる(負けるとは考えていない?)ライバルの登場に息を呑み、修平の父「雨宮洋一郎(あまみや・よういちろう)」も阿字野が再びコンクールの世界に足を踏み入れた理由がわかると息を呑んでいます。

 

いよいよ海がK.280を弾き始めます。

非常に滑らかな滑り出しで、ノーミス、修平も。

審査員も無名の海がこれほどまでに上手な演奏をするとは思っておらず驚きつつ、一部の審査員はどこかで聴いたことのある演奏だと感じています。

雨宮父は海の演奏を聴いてすぐに阿字野の演奏そのものだと感じ取り、海は阿字野のコピーではないかとそのとき思ったようです。

雨宮父がどうしてすぐにわかったのかというと、彼自身がずっと阿字野のピアノを追い求めていたから、追い求めていたけど手に入れられなかった音を、小学生の子供が実現しているのですから驚きますよね。

 

しかし、肝心の海、そして阿字野は出だしを完全に失敗したと感じていました。

それはなぜか? それは「海のモーツァルト」ではないからです。

コピーはコピー、オリジナルではない、と。

海は自分に負けた、こんなの自分のピアノじゃないと感じ、とうとう演奏を途中で止めてしまいます。

事情を知らない人間からすれば、海がノーミスで演奏できていたのにいきなり止めてしまったとしか受け取れませんから、会場はどよめきます。

海は、首に巻いた慣れないネクタイを取っ払い、履いていたスニーカーも脱ぎ捨てて、観客はたまたま指に止まっていた蟻(あり)1匹でいい、毎晩弾いていた森の状況を自分の中で作りました。

そして、椅子に座らず立ったままの姿勢で演奏を再開。

すると、それまでの完成度の高い演奏とは全く別物の、自由な演奏に変わったのです。

海は人々を客席を木に変え、会場を森に変えていきました。

海も楽しそう、阿字野もそれこそが海のピアノだと満足気です。

いつの間にか海の周りで文句を垂れていたモーツァルトの亡霊たちも消えていきました。

 

 

観客の前で演奏する喜びを知る

海がK.280弾き終わると会場からはスタンディングオベーションが起こります。コンクールなのに。

海は、会場の人々から拍手を受けて、観客の前で演奏して拍手をもらう快感を知ったのです。

ココ重要。

 

雨宮父は「こんなK.280は聴いたことがない」と海のピアノに驚愕し、後に「あれは天性のピアノ弾きだな」と評しています。

息子の修平も「僕の負けだ。本当はわかっていたんだ。どんなに頑張ったって僕の負けだって。森で最初に君のピアノを聴いたときから、わかってたんだ」「海くんがいる限り自分は永久に一番にはなれないかもしれない」と負けを認めていました。

 

 

しかし……

しかし、海は予選を通過できませんでした。

 

審査員のうち海に満点を入れた人は4名、逆に0点を入れた人は6名、無効が2名、大きく割れたのです。

理由は「マナー」でした。

0点や無効とした人の言い分では、厳格なピアノのコンクールで、ネクタイを外して靴を脱いで裸足で、立って演奏することもでしょうか、この時点でアウトだったようです。

満点の人は、そういうマナーの部分を排除して演奏そのものを評価しています。

反対していた人は楽譜通りに弾いていない部分もダメみたいですね。

自由な演奏、しかも会場を魅了するような素晴らしい演奏をした子に評価を与えてあげないなんて、と満点をつけた審査員は思ったようです。

しかし、こればかりはマナーもルールなのでしょうから、守らないと他の子たちに示しがつかないのでしょう。

ルールは厳格なものなのでした。

こうやって才能のある子どもが潰されていく、量産型が生み出されていくのかなとも思いました。

難しい問題ですね、海は日本ではなく海外の方が向いているのかもしれません。

 

本戦は海の得意なショパンの「子犬のワルツ」が課題曲の一つと誉子から聞いて知り、海は本戦に行きたかったようです。

しかし先ほど書いたように張り出された予選通過者が書かれた張り紙に彼の名前はありませんでした。

修平も誉子は予選通過。

そんな誉子も海の演奏に感動し、自分より上手いと感じてもいたようなので、一緒に通過できると思っていました。

なのにどうして自分だけが通過できたのか、納得いっていません。

 

「それでもあなたが1番だった!」

「1番のピアノだったわ!!」

 

誉子は既に色々な意味で海に魅了されている一人ですね。ベタ惚れ。

 

 

おわりに

やはり予選通過できなかったですか。

しかしこれで『ピアノの森』の大きな流れはわかった気がします。

海はあくまで自分のピアノを目指す求道者で、ライバルは常に「自分」なのですね。

修平でも誉子でもない。

一方で修平は常に海をライバル視するのでしょう。

人(海)がいることで初めて自分の立ち位置を把握するみたいなことは、かなり危険かなと思いますが……。

そして、今回一つ大きな出来事が起こりました。

それは海が「観客の前で弾くことの悦び」を知ったことです。

今回までの海は自分だけが満足できればそれで良いと思っていた、言い換えると内に向かうピアノを弾いていました。

それが今回、観客から多くのスタンディングオベーションを受けたことで、彼のピアノが外へと向かうことになるはずです。

これは意義深い出来事のように感じられました。

 

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