「F1 (Formula 1、エフワン) 」の2017年プレシーズン・テストが行われています。記事作成時、スペインはバルセロナにある「Circuit de Catalunya(カタロニア・サーキット)」で第2回ウィンター・テストの2日目が終わりました。
バルセロナ・テストの期間は、第1回が2017年2月27日-2017年3月2日の4日間で、第2回は3月7日-2017年3月10日の4日間、計8日間の予定です。
第1回ウィンターテストの結果
第1回ウィンターテストの結果です。
初日の結果(ドライバー/チーム/ベストタイム/タイム差/周回数)
- Lewis Hamilton / Mercedes / 1:21.765 / - / 73
- Sebastian Vettel / Ferrari / 1:21.878/ +0.113/ 129
- Felipe Massa / Williams / 1:22.076 / +0.311 / 103
- Kevin Magnussen / Haas F1 / 1:22.894 / +1.129 / 51
- Daniel Ricciardo / Red Bull / Racing / 1:22.926 / +1.161 / 50
- Valtteri Bottas / Mercedes / 1:23.169 / +1.404 / 79
- Sergio Perez / Force India / 1:23.709 / +1.944 / 39
- Carlos Sainz jr / Toro Rosso / 1:24.494 / +2.729 / 52
- Nico Hülkenberg / Renault / 1:24.784 / +3.019 / 57
- Fernando Alonso / McLaren / 1:24.852 / +3.087 / 29
- Marcus Ericsson / Sauber / 1:26.841 / +5.076 / 73
2日目の結果(ドライバー/チーム/ベストタイム/タイム差/周回数)
- Kimi Räikkönen / Ferrari / 1:20.960 / - / 108
- Lewis Hamilton / Mercedes / 1:20.983 / +0.023 / 66
- Max Verstappen / Red Bull Racing / 1:22.200 / +1.240 / 89
- Kevin Magnussen / Haas F1 / 1:22.204 / +1.244 / 118
- Esteban Ocon / Force India / 1:22.509 / +1.549 / 86
- Daniil Kvyat / Toro Rosso / 1:22.956 / +1.996 / 68
- Valtteri Bottas / Mercedes / 1:22.986 / +2.026 / 102
- Jolyon Palmer / Renault / 1:24.139 / +3.179 / 53
- Antonio Giovinazzi / Sauber / 1:24.617 / +3.657 / 67
- Stoffel Vandoorne / McLaren / 1:25.600 / +4.640 / 40
- Lance Stroll / Williams / 1:26.040 / +5.080 / 12
3日目の結果(ドライバー/チーム/ベストタイム/タイム差/周回数)
- Valtteri Bottas / Mercedes / 1:19.705 / - / 75
- Sebastian Vettel / Ferrari / 1:19.952 / +0.247 / 139
- Daniel Ricciardo / Red Bull Racing / 1:21.153 / +1.448 / 70
- Jolyon Palmer / Renault / 1:21.396 / +1.691 / 51
- Nico Hülkenberg / Renault / 1:21.791 / +2.086 / 42
- Marcus Ericsson / Sauber / 1:21.824 / +2.119 / 126
- Lewis Hamilton / Mercedes / 1:22.090 / +2.385 / 95
- Romain Grosjean / Haas F1 / 1:22.118 / +2.413 / 56
- Lance Stroll / Williams / 1:22.351 / +2.646 / 98
- Fernando Alonso / McLaren / 1:22.598 / +2.893 / 72
- Carlos Sainz jr / Toro Rosso / 1:23.540 / +3.835 / 32
- Alfonso Celis jr / Force India / 1:23.568 / +3.863 / 71
- Daniil Kvyat / Toro Rosso / 1:23.952 / +4.247 / 31
4日目の結果(ドライバー/チーム/ベストタイム/タイム差/周回数)
- Kimi Räikkönen / Ferrari / 1:20.872 / - / 93
- Max Verstappen / Red Bull Racing / 1:21.769 / +0.897 / 85
- Jolyon Palmer / Renault / 1:21.778 / +0.906 / 39
- Romain Grosjean / Haas F1 / 1:22.309 / +1.437 / 118
- Antonio Giovinazzi / Sauber / 1:22.401 / +1.529 / 84
- Sergio Perez / Force India / 1:22.534 / +1.662 / 82
- Stoffel Vandoorne McLaren / 1:22.576 / +1.704 / 67
- Valtteri Bottas / Mercedes / 1:23.443 / +2.571 / 68
- Nico Hülkenberg / Renault / 1:24.974 / +4.102 / 51
- Daniil Kvyat / Toro Rosso / - / 1
- Carlos Sainz jr / Toro Rosso / - / 0
- Felipe Massa / Williams / - / 0
第2回ウィンターテストの結果
第2回ウィンターテストの結果です。記事作成時点2日目まで終了。
初日の結果(ドライバー/チーム/ベストタイム/タイム差/周回数)
- Felipe Massa / Williams / 1:19.726 / - / 168
- Daniel Ricciardo / Red Bull Racing / 1:19.900 / +0.174 / 89
- Sebastian Vettel / Ferrari / 1:19.906 / +0.180 / 168
- Lewis Hamilton / Mercedes / 1:20.456 / +0.730 / 49
- Valtteri Bottas / Mercedes / 1:20.924 / +1.198 / 86
- Esteban Ocon / Force India / 1:21.347 / +1.621 / 142
- Nico Hülkenberg / Renault / 1:21.589 / +1.863 / 58
- Kevin Magnussen / Haas F1 / 1:21.676 / +1.950 / 81
- Daniil Kvyat / Toro Rosso / 1:21.743 / +2.017 / 83
- Stoffel Vandoorne / McLaren / 1:22.537 / +2.811 / 80
- Pascal Wehrlein / Sauber / 1:23.336 / +3.610 / 47
- Marcus Ericsson / Sauber / 1:23.630 / +3.904 / 53
- Jolyon Palmer / Renault / 1:24.790 / +5.064 / 15
2日目の結果(ドライバー/チーム/ベストタイム/タイム差/周回数)
- Valtteri Bottas / Mercedes / 1:19.310 / - / 70
- Felipe Massa / Williams / 1:19.420 / +0.110 / 63
- Kimi Räikkönen / Ferrari / 1:20.406 / +1.096 / 53
- Max Verstappen / Red Bull Racing / 1:20.432 / +1.122 / 102
- Lance Stroll / Williams / 1:20.579 / +1.269 / 59
- Lewis Hamilton / Mercedes / 1:20.702 / +1.392 / 79
- Nico Hülkenberg / Renault / 1:21.213 / +1.903 / 61
- Sergio Perez / Force India / 1:21.297 / +1.987 / 100
- Carlos Sainz jr / Toro Rosso / 1:21.872 / +2.562 / 92
- Romain Grosjean / Haas F1 / 1:21.887 / +2.577 / 96
- Pascal Wehrlein / Sauber / 1:23.000 / +3.690 / 59
- Fernando Alonso / McLaren / 1:23.041 / +3.731 / 46
- Marcus Ericsson / Sauber / 1:23.384 / +4.074 / 47
- Jolyon Palmer / Renault / 1:24.774 / +5.464 / 29
ホンダが苦境に立たされる
TEST 2, DAY 2 = DONE
— Formula 1 (@F1) 2017年3月8日
Scorching laps for BOT and MAS 👀 😮
PER and VES pass 1⃣0⃣0⃣ 👏#F1Testing #F1 pic.twitter.com/AEMYkdPWzo
Verstappen is the strongest man today... but Red Bull must be worried about #RB13 failure... and Mercedes laps (149) #F1Testing pic.twitter.com/XZUtolKI0t
— Circuit BCN-CAT (@Circuitcat_eng) 2017年3月8日
SPEED TRAP 🚀
— Formula 1 (@F1) 2017年3月8日
MAS and STR = 👀
HUL and PER = 👀#F1Testing pic.twitter.com/8bgoLRKlpK
ということで、我らが「McLaren Honda(マクラーレン・ホンダ)」はかなり厳しい状況となっています。McLarenが、というよりHondaが、ですか。
ドライバーの「Fernando Alonso(フェルナンド・アロンソ)」も、パワーが出ていない、スピードがトップより30km/hも遅い、と嘆いているようです。
第2回2日目のスピードトラップは、「Mercedes AMG(メルセデスAMG)」の「Bottas(ボッタス)」が338.5km/hで最高速を出していました。対するMcLarenのAlonsoは312.1km/hが最高速です。338.5-312.1=26.4ですか。30kmも遅くはないですけど、しかし25km/h以上遅いことは事実で、この差は大きいです。ストレートで他車にバンバン抜かれていた数年前の鈴鹿のレースが脳裏に蘇ってきます。
気になる点は、このスピードが本気で出している数値なのかどうかです。PUを壊さないために設定で制限をかけているのかどうか。ドライバーがベタ踏みしているのかどうか。
McLaren Hondaはスピードが出ていないだけでなく、走行距離も少ないです。第2回2日目はブービーでしたし、それまでの5日間も下から数えた方が早いはずです。第2回2日目だけを見ても、「Red bull Racing(レッドブル・レーシング)」の「Max Verstappen(マックス・フェルスタッペン)」が475km(102周)走っているのに対して、Alonsoは214km(46周)しか走れていません。
しかも、トラブルは「水漏れ」だそうで……Alonsoが第1回初日に発生したオイルシステムの問題について「アマチュア」だと発言したようですけど、第2回2日目にも水漏れトラブルが出てしまっていることで、Alonsoのフラストレーションは更に溜まっていることでしょう。
他チームは新マシンのトラブルを洗い出しを終えて、成熟の段階に入っているように私には見えます。レースのシミュレーションをしている段階。McLarenとライバルとの差は縮まるどころかどんどん広がっていると捉えるのが自然です。
Hondaと他との温度差
「今日は一歩前進することができました。テストプログラムを一通り行い、大きな問題は発生しませんでした」とホンダF1プロジェクト総責任者である長谷川祐介さんは、取材に対してコメントしていたそうです。
大きな問題は発生していない、というのはHondaのパワーユニットやエンジンに関することを指していると思われ、McLaren Hondaとしてのことを指していないのではと私は捉えています。
というのも、前述したように周回数があれだけ少ないことはテスト作業の進捗が当初の予定通りに進んでいるとは思えないからです。Alonsoも「でも僕らは毎日40周ぐらいしか走っていないから、まだ他のチームの2日目の段階にいるようなものだ」と言っているようですから、進捗状況は予定より圧倒的に遅れているのでしょう。
長谷川さんはいつも落ち着いて話していらして、テスト期間中も今年のHondaは新しいトライ(エンジンの構造とレイアウト変更)をしたのだから、ある程度のトラブルは予想されているので周りの反応は過剰に感じられる、的なことを話してもいたと記憶しています(詳細は忘れましたがだいたいこのようなことを仰っていたと思います)。
しかし、F1はライバルチームとのレースをしてその結果を争うものですから、自分たちの中で進歩が見られたからといって、ライバルがそれ以上進歩していれば、相対的には後退していると捉えられる訳で、長谷川さんの言葉は悠長なものに感じられてしまいます。Hondaとその他(AlonsoやMcLaren、メディア、ファンなど)との温度差が非常に大きく開いていることを感じさせます。大丈夫なのかと。
おわりに
Hondaは新スペックのエンジンが現地に到着したとかしないとか噂を耳にしました。その新スペックは3日目から試されるのでしょうか。
その新スペックは開幕に合わせたレース仕様となる可能性が極めて高いと予想されますので、今日3日目と明日4日目の結果で開幕から数戦のMcLaren Hondaの立ち位置がある程度つかめそうです。
楽しみなような怖いような。この6日間を思うとあまり期待できないのが辛いところですね……。
追記
(3月7日に発生した)ストフェル(バンドーン)の電気系トラブルは、絶縁不良が発生して、地絡(電気が大地に接触して電流が流れること)が疑われる症状が発生したのです。現在のF1マシンは回生システムを搭載して高圧電流が流れているため、プラスもマイナスもクルマから完全に浮かせています。それがどちらかでも地面に接触すると地絡となるわけですが、いまのF1でそういうことはおきることはまずない。ただ高圧端子がゴムなどの絶縁物質で覆われていても、地面に接触すると地絡状態になってしまいます。今回のトラブルも完全にショートしていたわけではなく、絶縁抵抗があるレベルを下回ったために、警告が出ていただけです
と長谷川さんはコメントしています。どこで絶縁不良を起こしたのか、これを探ることが重要みたいです。
可能性が出てきたことは、この絶縁不良の問題を回避するために、エンジンをあまり回さない設定にしているのでは、ということです。エンジンから来る振動や熱が原因と考えて。
設定を低くしているにも関わらず22秒台(ウルトラソフト・タイヤだったと思います)は出ていることで、この問題を解決させられればトップグループに追いつける、と長谷川さんは思っているのかもしれません。あくまで私の想像・妄想の類ですが。