『マロナの幻想的な物語り』なる海外のアニメが、2022年1月30日にNHK Eテレで放送されました。
視聴した感想をあれこれ書いています。
記事を作成したのは数ヶ月前です。
投稿するタイミングを逸してしまいました。
情報が古い部分があるかもしれません。
その際は申し訳ありません。
以下、ネタバレ要素を含みますから、バレても構わない方のみ下にスクロールしてください。
目次
アニメ『マロナの幻想的な物語り』
『マロナの幻想的な物語り』というアニメがEテレで放送されました。
ハート型の鼻を持つミックス犬「マロナ」の数奇な生涯を、手描きをベースとした独特なアニメーション表現で描いた長編アニメ。同時に生まれた9匹の末っ子として生まれたミックス犬は「ナイン」と呼ばれるが、生まれてすぐ曲芸師の手に渡り「アナ」と名付けられる。その後も様々な人と出会い、そのたびに新しい名前をもらっていく。クライマックス、マロナの視点で描かれる2Dと3Dを融合させた映像は圧巻。
NHKの本作のwebページには上記引用部のように書かれています。
本作の公式webサイトもありました。
放送日時
放送日時は2022年1月30日の00:55から0:まで。
深夜に放送されていました。
ルーマニア・フランス・ベルギー合作
本作はルーマニアとフランスとベルギーの合作だそうです。
2019年制作ですか2020年かもしれません。
2020年東京アニメアワードフェスティバル コンペティション部門長編 グランプリ
2021年アヌシー国際アニメーション映画祭 アンドレ・マルタン賞
2021年第24回 文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 優秀賞
上記引用部のように、いくつかの賞を受賞している作品のようです。
日本でも賞を受賞していて、それが今回Eテレで放送されるきっかけになっているのかもしれませんね。
日本語吹き替え版
Eテレで放送されたのは「日本語吹き替え版」でした。
字幕ではなかったです。
主人公の「マロナ」は「のん」さんが演じていらっしゃいました。
他の各キャラクターの担当は上に貼ったNHKのリンク先に書かれています。
監督など
本作の監督について。
監督は「アンカ・ダミアン」さんです。
私は今回まで全く知りませんでした。
アンカ・ダミアンはルーマニアの映画監督、作家、プロデューサーです。
彼女は、2019年に公開され た映画「マロナの幻想物語」(元々は「マロナの幻想」)を監督しました[1] 。
ダミアンはまた、ワルシャワ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した映画「ムーンホテルカブール」を監督しました。
Anca DamianのWikipediaには上記引用部のように書かれています。
というのは半分嘘で、英語版のWikipediaを翻訳ソフトに任せた文章が引用部になります。
引用部内『Marona's Fantastic Tale』は本作のことと思います。
『Marona's Fantastic Tale』が原題で邦題が『マロナの幻想的な物語り』のようです。
他の脚本や作画監督、音楽担当などは、やはり先ほどリンクを貼ったNHKのwebページからご覧になってください。
原作はあるのか?
本作に原作の小説などはあるのでしょうか。
Wikipediaを軽く読んだ限り、アンカ・ダミアンさんのオリジナル作品のような感じがしますけどどうでしょう。
感想
アニメ『マロナの幻想的な物語り』を観た感想です。
一度しか観ていない
私は本放送を一度しか観ていません。
なのでセリフを聴き逃していたり、セリフや設定を忘れてしまったり理解を間違えていたりしている可能性があります。
その点ご留意ください。
面白くはなかったが良作
感想は一言「面白くはなかった」です。
面白くはなかったですが良い作品でした。
面白くはないとは、funnyの意味で面白いとは到底言えない、の意味です。
思いの外内容が重かったので。
ですが、現状を受け入れその中から小さな幸せを見つけていく、そんなマロナの生き方は、私の人生にも少なからず示唆を与えてくれました。
アートワークがとんでもない
アートワークがとんでもないです。
『ロング・ウェイ・ノース』とは違う意味で。
一言で言えば「アバンギャルド」なアートワークです。
ぶっ飛んでいます。
特に最初の飼い主でしたっけ、曲芸師の「マノーレ」のパートは物語の序盤なこともあり、観るこちらが慣れていないこともあり、度肝を抜かれます。
画像のように、平面的な手書き感のある絵柄です。
しかしCGも駆使された映像になっているようで、画像の絵が動きまくります。
構図もトリッキーで、他ではなかなか見られないものでした。
ご覧のとおり色使いも独特です。
幻想的であり独創的。
そのため簡素な絵柄とは全く感じません。
『ロング・ウェイ・ノース』は色使いがペールトーンで、角張った硬質な絵柄。
本作はそれとは方向性の全く異なる色使いと、曲線を多用した絵柄。
どちらも日本には見られない表現に感じられ、安易に「ヨーロッパ」と一括してはいけないなと反省しました。
最初はその前衛的なビジュアルに目が奪われてしまいます。
が、それもすぐに気にならなくなります。
絵柄に多少慣れたこともあるでしょうけど、内容がなかなかに重いからです。
マロナが今度どうなってしまうのだろうと物語に引き込まれていきます。
ビジュアルだけで見せるアニメ映画ではなく、内容も大いに考えさせられるものでした。
幸せとは何か?
先ほども少し書いたように、本作は考えさせられる作品でした。
何を考えさせられたかというと「幸せとは何か?」についてです。
「幸せは苦しみの束の間の休息に過ぎない」
この言葉はマロナの口から出たものです。
口から出たというより、脳内で独り言のように吐き出された言葉でしょうか。
この言葉が作者が本作で言いたかったことであろうと感じています。
達観でもあり諦観でもある
先ほどのセリフは、一見すると平穏な日常こそが幸せなのだと言っている「だけ」の作品のように聞こえます。
日常系の映画やアニメ、小説、漫画などの作品にあるような。
しかし実際には少し違いました。
作中、マロナの身には辛い出来事がたくさん降りかかります。
ですがマロナはそれらの辛い出来事を受け入れるのですよね。
飼い主に捨てられることも、暴力や放置といった虐待を受けることも。
不幸な出来事に抗って抗って、その中からごく小さな光明を見出し、歯を食いしばって這い上がって、最後には大きな成功や幸せを手にする。
本作はそういう物語ではありません。
マロナには辛いことばかりが起こりますし、大きく抗うこともせず、最後に大きな成功や幸せを手に入れることもなく物語は終わります。
一生には辛いことばかり起こるけど、それに対して大きく抗うことなく現状を受け入れて、不幸の中からごく小さな幸せを見出していきます。
例えば一皿のミルクだったり、昼寝であったり、大好きな人との時間だったり。
物語でマロナの飼い主は幾度か代わります。
年月の経過もあり、それとともに彼女がより「達観」していく様子も伝わります。
ですが彼女の達観は「諦観」でもあるでしょう。
観ているこちらはそれがわかってしまい、悲しいのです。
ラストシーンの受け止め方
先ほどは「大きく抗うこともせず」と書いていますけど、最後の最後は飼い主のソランジュでしたっけ、彼女に抗いましたね。
そのせいであれしてしまう訳ですが、彼女は最後の最後に抗ったことも、彼女が成長したからなのでしょうか。
それとも歳を経たからでしょうか。
彼女はそれまでの自分の殻を破った、殻を破ってでもソランジュを助けなければと感じた理由は一体何だったのか。
自分への興味を失いつつあるソランジュに対して。
ラストシーンのマロナの行動をどう受け止めればよいか、私はまだわかっていません。
ソランジュの母や祖父は、それまでのマロナの行動から、彼女を愛してくれるようになっていたみたいですから、マロナは彼らを悲しませたくないと感じたのでしょうか。
少々嫌なことがあっても、ここが自分の居場所と決めたからには、飼ってくれている家の人たちのためにと、身を挺したのでしょうか。
ペットを飼うということ
本作はペットを飼いたいとお考えのご家族は観た方がよいと思います。
特に小さな子どもさんがいらっしゃるご家庭は。
飼い主やその家族の身勝手な様子が、飼い犬の目線で描かれています。
皮肉がふんだんに込められています。
「ペットを飼う」とはどういうことか。
そのことを、ペットを飼う前に考えるよい機会になるのではないかと感じます。
おわりに
ということでEテレでアニメ『マロナの幻想的な物語り』が放送されたので、視聴した感想を書いた記事でした。
私の認識や理解が間違っていたら申し訳ありません。
Amazonでは本作のDVDとBlu-rayが発売されていました。
気になる方はぜひ。