『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』なる海外のアニメが、2022年1月29日にNHK Eテレで放送されました。
視聴した感想をあれこれ書いています。
以下、ネタバレ要素を含みますから、バレても構わない方のみ下にスクロールしてください。
目次
アニメ『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』
『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』というアニメがEテレで放送されました。
19世紀ロシア、貴族の子女サーシャの大好きだった祖父は1年前に北極航路の探検に出たきり行方不明となっていた。サーシャは失われた祖父の名誉を回復するため、数々の困難を乗り越えて北方行きの船に乗り込み、祖父の軌跡を追って“地球のてっぺん”を目指す大冒険に出る。
NHKの本作のwebページには上記引用部のように書かれています。
本作の公式webサイトもありました。
放送日時
放送日時です。
2022年1月29日の00:50から02:10まで。
深夜に放送されていました。
フランスとデンマーク合作
本作はフランスとデンマークの合作だそうです。
2015年制作。
2015年アヌシー国際アニメーション映画祭 観客賞
2016年東京アニメアワードフェスティバル コンペティション部門長編 グランプリ
2020年第23回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門 優秀賞
上記引用部のように、いくつかの賞を受賞している作品のようです。
日本でも賞を受賞していて、それが今回Eテレで放送されるきっかけになっているのかもしれませんね。
日本語吹き替え版
Eテレで放送されたのは「日本語吹き替え版」でした。
字幕ではなかったです。
ヒロインの「サーシャ」は「上原あかり」さんが演じていらっしゃいました。
他の各キャラクターの担当は上に貼ったNHKのリンク先に書かれています。
監督など
本作の監督について。
監督は「レミ・シャイエ」さんです。
私は今回まで全く知りませんでした。
1968年にフランスのポアティエで生まれたレミ・シャイエは、フランスの監督兼アニメーターです。
彼の最初の長編映画であるTouten haut du mondeは、アングレームフランス語圏映画祭とアヌシー国際アニメーション映画祭で3回ノミネートされました。彼はまた、このフェスティバルで観客賞を受賞しました。
Rémi ChayéのWikipediaには上記引用部のように書かれています。
というのは半分嘘で、フランス語版のWikipediaを翻訳ソフトに任せた文章が引用部になります。
引用部内『Touten haut du monde』は本作のことと思います。
『Touten haut du monde』が原題で邦題が『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』のようです。
他の脚本や作画監督、音楽担当などは、やはり先ほどリンクを貼ったNHKのwebページからご覧になってください。
原作はあるのか?
本作に原作の小説などはあるのでしょうか。
Wikipediaを軽く読んだ限りそういう言及はなさそうに見えます。
小説などが元になくとも、似たようなエピソードが実際に起こって、それを元に原案が作られたということはありそうですね。
感想
アニメ『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』を観た感想です。
一度しか観ていない
私は本放送を一度しか観ていません。
なのでセリフを聴き逃していたり、セリフや設定を忘れてしまったり理解を間違えていたりしている可能性があります。
その点ご留意ください。
面白い
感想は一言「面白い」です。
正直申し上げると、観る前はあまり期待していませんでした。
海外のアニメは、私にとってわかりにくいものであったり面白いと感じにくいものだったりすることがままあるので。
事前にあった私の予想を裏切る面白さは感じられました。
しかしジブリアニメのように、2年に1回放送されたら必ず観るか、中毒性があるかと言われるとそうではなく、一度見れば十分かなとも思います。
私にとってはスルメ的な要素がない・少ないです。
アートワークが美しい
アートワークが美しいです。
これに尽きると言ってもよいくらい。
大きな特徴として「輪郭線がない」ことがあるでしょう。
日本に見られるアニメとはこの点で大きく異なりました。
何と言えばよいでしょう、輪郭線がないことで、まるで折り紙を切り貼りした絵のような絵柄になっているのですよね。
ゲームの『風ノ旅ビト』や『Sky 星を紡ぐ子どもたち』のビジュアルに少し似ている気がしました。
どちらのゲームをプレイをしたことがないので、実際に似ているかは自信がないですけど、観ていて「ぽいな」と思ったのです。
色合いはトーンが弱い・淡いです。
ペールトーン辺りの色彩でしょうか。
こういった点も『風ノ旅ビト』や『SKY』を想起させたのかもしれません。
そういうアートデザインで描かれる空や雲、海などの表現が秀逸でした。
特に北極圏を航海しているときの描写は眼を見張るものがあります。
絵がシンプル故の力強さがあると言いますか。
日本ではなかなか見ることのできないものに感じられます。
日本の映像はそれはそれで素晴らしいですけど、こちらもこちらで素晴らしいです。
あれだけでも本作を観る価値があると思えるほど。
物語は普遍的
物語の内容は特別良いとは思いませんでした。
決して悪くはないのですが、特別良いとも思えなかったです。
物語のベースにあるものはいわゆる古典的、あるいは普遍的な冒険活劇でしょう。
そのために序盤から結末がある程度見えてしまいました。
予想し得る範囲から大きく逸脱するような、あるいは予想を大きく裏切るような展開はなかったです。
でもそれは逆に、子どもを含めどなたも安心して観られる物語とも言えるでしょうか。
また、ご都合主義と言いますか偶然に頼りすぎかなと思える場面がいくつかありました。
詳しくは自重しますけど、例えば物語終盤の○○○○を見つけるところや△△を見つけるところなんてそうだったでしょう。
とは言え、ロシアの貴族のご令嬢であるサーシャが一人で旅に出ることで、人として成長を遂げていく様子は観ていて楽しいものでした。
貴族故に世間知らず、頭がよく弁が立つが故に周りの大人たちから反感を買う、でも祖父譲りの信念の強さ(あるいは頑固さ)と行動力と聡明さで乗り切っていく様子が。
主人公の成長物語でもある、こちらも「冒険活劇あるある」な展開ではあるものの。
水戸黄門などのように、先がわかっていても観て楽しい作品はありますから。
サーシャとノルゲ号でしたっけ、船員の皆の旅路はまさに「死の行軍」でした。
結末はある程度予想できても、大自然が彼らの生命を飲み込もうとしている様子は、観ていてハラハラドキドキしました。
ジブリ的な要素
本作はジブリアニメ的な要素が含まれているかなとも思いました。
サーシャが女主人公であること。
彼女がロシアの名門貴族チェルネソフ家の一人娘であり、今回の冒険は家の名誉のためであること。
これらがナウシカ的でありラピュタ的であるかなと観ていて感じました。
酒場で仕事をしていたとき、ノルゲ号でのこともそう。
ラピュタでシータがドーラ一家に入って世話をしていたこと、魔女宅でキキが初めての街で仕事を始めたこと、千と千尋の千が湯屋に入ってからの仕事をする様子を想起させます。
勘違いしていただきたくないことは、だからと言って本作がジブリをパクってるなどと言っているのではないですよ、ということです。
単にジブリの幾つかの作品を思い出しただけの話。
主人公の成長物語というものは得てしてそういうものでしょうし、また成長物語は観ていて楽しいものです。
アムンセンとスコット
本作を観ていて思い出した話があります。
これは実話ですけど、「ロアール・アムンセン」と「ロバート・スコット」の南極点到達を競った話です。
この話は、10年以上前と思いますけど、『NATIONAL GEOGRAPHIC(ナショナル・ジオグラフィック)』誌の特集を偶然読んだことで知りました。
いえ、話の概要は以前から知っていたのですが、詳しいことはそこで初めて知りました。
Wikipediaで知りましたけど、アムンゼンではなくアムンセン表記なのですね。
子どもの頃覚えた名前はアムンゼンでした、確か。
Wikipedia内にも、日本ではアムンゼンとも呼ばれているようなことが書かれています。
話が逸れました。
アムンセンとスコットの話はアニメーションにできそうなくらい、興味深い意味で面白くドラマチックなのに、どうしてやらないのだろうと当時から思っていたものです。
本作は北極点の話ですけど、そんなことを考えていたことを、観ていて思い出しました。
私が知らないだけで、そういうアニメは既に存在しているかもしれません。
あるいはこの作品がそれかもしれないですね。
Wikipediaを観ていて驚いたことがあります。
アムンセンが後に飛行船で北極点を通過したことが書かれているのですが、その飛行船の名前が「ノルゲ号」だそうです。
本作の船と同じ名前。
当然偶然ではないでしょう。
おわりに
ということでEテレでアニメ『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』が放送されたので、視聴した感想を書いた記事でした。
私の認識や理解が間違っていたら申し訳ありません。
Amazonでは本作のDVDとBlu-rayが発売されていました。
気になる方はぜひ。