2021年10月12日、サッカー日本代表が『FIFAワールドカップ カタール2022』のアジア最終予選の第4戦オーストラリア戦を行いスコア2-1で勝利しました。
試合を観たので感想を書きました。
目次
サッカー日本代表がワールドカップ出場のピンチ?
サッカー日本代表が『FIFAワールドカップカタール2022』のアジア最終予選に3戦して1勝しかできていません。
本戦出場のピンチにあります。
各グループの2位までが自動的にワールドカップ本戦に出場でき、3位はプレーオフに回るのでしたっけ。
3試合を終えて、日本はグループBの3位、1勝2敗1得点2失点の得失点差-1、勝ち点3。
日本が3試合であげた得点がわずか「1」、しかも結果以上にサッカーの内容が酷いとのこと。
それによりサッカー日本代表の監督を務める「森保一(もりやす・はじめ)」さん、日本サッカー協会会長を務める「田嶋幸三(たしま・こうぞう)」さんの解任騒動まで発展しているようです。
ファンの怒りはそれ以前から溜まりに溜まっていたのですが、この3試合の体たらくでそれが一気に爆発したということでしょう。
観ていなかった
私はサッカーを観ることが好きで代表戦はずっと観てきました。
テレビの、しかも地上波しか観られない環境にあるので、サッカーというとほぼ代表戦しか観られないというのが実情ですが。
しかし、この数年はその代表戦すら観なくなっていました。
理由は単純、「つまらない」からです。
観ていて全然面白くないのですよね。
魅力がない。
勝っても負けても引き分けでも沸き立つものが一切ない。
こんな感覚は代表戦を観ていて初めてでした。
今まではどんなにつまらない試合でも最後まで観てきたので。
今回の代表は気がついたら試合を観なくなっていました。
理由
サッカー日本代表がつまらなく感じられる理由。
考えたことがなかったですけど、今考えてみますと1つ思い当たります。
それはもはや「俺たちの代表」ではなくなったと感じられることです。
あのお人が騒動と騒動の後も座に居座っていることで、代表があのお人の私物になっていると思えたのでしょう。
オーストラリア戦を視聴しての感想
2021年10月12日は、アジア最終予選第4戦オーストラリア戦が行われました。
日本のホーム戦でした。
久しぶりに代表戦を視聴しての感想です。
結果はホームの日本がスコア「2 - 1」でオーストラリアに勝利しました。
得点者は8分に田中碧、69分にフルスティッチ、86分にベヒッチ (OG) でした。
オーストラリア戦の日本のメンバー
オーストラリア戦の日本のメンバーです。
フォーメーションは433、あるいは4123でしたか。
ゴールキーパーが「権田修一」選手(以下継承略)。
ディフェンダーが右から「酒井宏樹」、「吉田麻也」、「冨安健洋」、「長友佑都」。
ディフェンシブハーフが「遠藤航」。
インサイドハーフというかセントラルハーフが「田中碧」と「守田英正」。
フォワードが右から「伊東純也」と「大迫勇也」と「南野拓実」。
交代は61分大迫→「古橋亨梧」、78分南野→「浅野拓磨」、85分守田→「柴崎岳」、85分長友→「中山雄太」です。
左サイドが穴
試合を観て最も強く感じられたことは、日本の左サイド、つまり長友のところが明確に穴になっていることです。
日本の失点シーンはペナルティアークからの直接フリーキックでした。
しかし、フリーキックを生んだファウルをするまでの流れは確か、長友がディフェンスラインを超えて前に出てプレスをかけて交わされたことで、がら空きになった日本の左サイドが使われ、ボールを中に入れられてという感じでした。
守田なり冨安なりが空いた左サイドをケアをしていれば、何とかなったのかもしれません。
でもその前に、あの時間帯はスコア1-0で日本が勝っていましたから、長友が守備陣形のバランスを崩してまでボールを奪いに行く必要はなかったと私は思いました。
守田がファウルをしてしまいフリーキック、それが直接入ったという。
守田や冨安のポジションを確認してから奪いに行っていれば、ああいうバランスの悪さにはならないはずです。
守田のファウルについては、彼は長友の尻拭いをしたのであって、結果的にゴールを決められはしたものの、身体を張って相手を止めた行動は責められないどころか、むしろ称賛されるべきです。
よく追いついて足を出したと。
長友は試合開始早々から、相手に入れ替わられてピンチを招いていましたし、オーストラリアは右サイド、つまり日本の左サイドから攻める回数が多い印象でした。
要するにサウジアラビアと同様、オーストラリアも長友が穴と認識していたということになるでしょう。
冨安も頻繁に高い位置を取る長友の、どこまでケアすればいいのか決めきれない様子をうかがえ、ディフェンシブハーフ・インサイドハーフとの連携もいまいちでした。
ただ長友が高めにポジションを取るのは、南野が中に入りたがるため、空き気味になっている左サイドを広く使うためでもありました。
長友が高く位置することで、攻撃面では戦略がある程度機能していました。
しかし、その攻撃面についても中山にできないことではないでしょうし、中山が入ってから冨安が動きやすそうにしていたこともあって、オリンピックなどから続く連携を考えても、ここは長友が中山に道を譲る段階に入っていると感じます。
道を譲ると言いますか、監督が引導を渡すと言いますか。
大迫の限界
長友と同様、大迫にも限界が見えた感がありました。
大迫は3トップのセンターに入っていました。
確かに大迫は抜群のキープ力があり、ボールを失わない強み、言い換えますとタメを作って周りに動く時間を作る強みがあります。
しかし、先ほど少し書いたように、南野は中に入りたがります。
大迫も開いてバランスを取ろうとしている様子をうかがえはしましたが、やはりポジションが被ってしまい、窮屈に見えるシーンが何度かありました。
大迫と南野の併用はバランスが悪いです。
大迫の代わりに古橋が入ってからの方が、南野が生き生きしていたように私には見えました。
それは古橋が飛び出す動きを頻繁に試みることで、中央にスペースが空くから入りやすいのでしょう。
古橋と南野のコンビの相性の良さを感じられ、2人とも得点力があることですし、それなら〜となるのは自然な思考の流れです。
そして深刻なことは得点力ですね。
今回もあそこで決めていればという場面で決められませんでした。
大迫は元から得点数の多いタイプではなかったですけど、近ごろはさらに得点力が下がっている印象を持ちます。
得点以前に「得点の臭い」や「怖さ」がないですよね。
相手からすれば得点できないフォワードほど簡単なものはないでしょう。
こちらもそろそろかなと感じられます。
中盤が機能
機能しないと言われる最近の森保ジャパンですが、今回奇跡的に中盤が機能していましたね。
遠藤、田中碧、守田の中盤が効きまくっていました。
攻撃面では、特に前半に田中が流動的に相手の間に位置を取ることと、大迫も加わったことで、パスが淀まなかったですね。
また、特に田中がタメを作れたことで、南野が中に入ったりサイドバックが高い位置に取ったりする時間を作ることもできていました。
田中はキックがよいので、セットプレイでのキックも蹴ってよいと思います。
守備面でも効いていました。
理由は2つあると考えられます。
1つは南野の「チェイス」です。
南野は相手のセンターバックから縦に素直に入れさせないようにサイドバックにパスを出させ、サイドバックにプレスをかけるときにもボールを縦へ入れさせるのではなく中へ、相手の中盤の選手へ送るようにしていました。
相手としては右から、長友のところを攻めたいのに縦に入れられない、仕方なく中に入れる。
そうして中に入ってきたボールが田中や守田の守備網に引っかかることが何度か見られたと思います。
もう1つはパスの起点を潰せたことです。
オーストラリアはプレイメイクの出発点がボランチいる両脇のスペースから始まることが多い印象でした。
ところが、そこにちょうど田中と守田が陣取っていたことで、オーストラリアとしてはパスの起点を抑えられてしまい、思うような展開ができなかったのではないでしょうか。
ポゼッションの数値的にはオーストラリアがやや優勢にありましたが、それは日本がボールを持たせていた意味合いも大きいでしょう。
前線や中盤でボールを奪ってからのショートレンジのカウンターを狙っていたと。
それが上手くハマったと私は感じています。
田中碧のことをもう少し書きます。
彼のポジショニングの妙は、ちょっと他にはないものがあります。
元スペイン代表のシャビ・エルナンデスに近いものがあるような、そんな感覚を持ちました。
具体的には相手選手同士の間、あるいは味方からのパスを受けやすい、味方にパスを出しやすい、そういうポジションを見つけること・使うことが非常に上手いですね。
守備でも身体を張れますし、結構なファイターにも見えます。
中盤のプレイメイカーとして、田中碧が他のメンバーの誰より優れていることは間違いなく、今後しばらくの間日本代表の新しい生命線になることは疑いようのないことに感じられます。
伊東純也の存在感
伊東純也には存在感がありました。
伊東は足が速くドリブルと決定力を持っていることから、相手の左サイド、日本から見ると右サイドはある種「安全地帯」になっていたように思います。
ベヒッチに対して完全と形容していいくらいの優位に立っていました。
後半、オーストラリアにやや押されていた時間帯も、日本は取りあえず伊東のところにボールを預けておけば何とかなる感覚を持っていたのではないでしょうか。
得点こそなかったものの、ボールをもらった伊東はベヒッチのイエローカードを誘発させるなど実際に何とかしていましたし、相手の脅威になっていましたね。
伊東の存在は最終盤の得点にも地味ながら効いていました。
問題は南野ほど戦術的な守備ができないことでしょう。
古橋の価値と南野の貢献度
今回の大きな発見の一つは古橋です。
古橋は現在スコットランドで大きな輝きを放っている選手。
11試合で8ゴールでしたっけ、高い得点力を誇ります。
こちらも伊東と同様、驚異的なスピードも持っていて、それだけでなく豊富な運動量、献身的なチェイスもできるため、岡崎慎司のようでもあります。
最終盤に浅野を投入してからは驚速3トップになり、相手が背後のスペースを警戒してディフェンスラインを下げ、ボールを奪うために安易に飛び込まなくなりました。
それが得点時に浅野がトラップを容易にし、シュートを撃てるわずかな時間を作れたのでしょう。
その意味でも伊東がい続けたことと古橋、浅野の投入は大きかったです。
浅野は今回のように相手が疲れてきた時間帯に投入する方が効果的でしょう。
また、先ほど申したとおり10番・南野との相性の良さも感じられました。
左サイドから中央に移動したがる南野は、古橋が幅広く動くことと飛び出しを頻繁に行うことで、その空いたスペースを使いやすくなっていました。
大迫がいるときよりもスムースにポジションを取れていたので、この効果は連携のよさと終盤の盛り返しにつながっていたように感じられます。
大迫とは役割が大きく異なるとは言え、衰えを見せる大迫の代わりに1トップに据える価値は十二分にあります。
南野は、こちらも先ほど書いた非常に巧みなチェイスを見せていましたし、田中のアシストをしていたことから、今の代表には欠かせない人員でしょう。
クロスは相手ディフェンダーに当たっていたようですから、記録上アシストはついていないかもしれません。
監督交代の是非
劇的な変化の生まれた日本代表ですが、今回のアイデアは森保さんのものではないと私は感じています。
選手側からのアプローチもあったかもしれませんが、コーチの横内さんのアイデアが相当大きかったのだろうと思っています。
劇的な変化は生まれつつ変わっていない部分がありました。
長友が穴であり続けているのに、失点してからようやく対処したこと。
得点の気配のない大迫、彼は軽い怪我をしたみたいですけど、彼が退場するまで古橋を投入しなかったこと。
この2点を見るだけでも森保監督は「見えていない」とわかります。
選手を大幅に変更したことで披露されたサッカー内容も大幅に変わったこと、守備の連携面での不安定さを見るに、森保監督に戦術はなく、選手個々の力と選手間で練られた連携で生み出されたサッカーであることは容易に想像されます。
色々と見えていないなら、今後も今回の路線が継続されるかは不透明ですし、再び柴崎をボランチに使う暴挙、あえてそう言いますけど、それが出ないとは限りません。
選手間で練られた連携であるなら、選手が変わるだけでチームのパフォーマンスが大きく変わる可能性があり、それが今回良い方向へ作用しましたが、悪い方向へ作用することも十分考えられます。
なので私は今回勝利したからといって、このまま監督を続投させることは少なくない危険をはらんでいると思っています。
おわりに
ということで、サッカー日本代表が『FIFAワールドカップ カタール2022』のアジア最終予選、オーストラリア戦を観ての感想を書いた記事でした。