2020年7月5日より『tvk(テレビ神奈川)』にてアニメ『銀河鉄道999』が放送されています。
2021年8月29日はいよいよ私が待ちに待った60話「大四畳半惑星の幻想(前編)」が放送されました。
目次
『銀河鉄道999』
『銀河鉄道999』についてです。
『銀河鉄道999』(ぎんがてつどうスリーナイン、Galaxy Express 999)は、松本零士作のSF漫画、およびそれを原作としたテレビアニメ番組、アニメ映画である。
銀河鉄道999のWikipediaには上記引用部のように書かれています。
アニメ『銀河鉄道999』
アニメ版『銀河鉄道999』についてです。
フジテレビ系列で、1978年9月14日 - 1981年3月26日に全113話 + テレビスペシャル3話が放送され、翌1982年に総集編が放送された[注 1]。東映動画製作。文化庁推薦作品。
銀河鉄道999 (アニメ) のWikipediaには上記引用部のように書かれています。
tvk『銀河鉄道999』再放送
2020年7月5日より『tvk(テレビ神奈川)』にて、アニメ版『銀河鉄道999』の再放送が始まりました。
放送日は毎週日曜日、放送時間は23:00から23:30です。
放送が開始されるときにも当ブログで記事にしています。
アニメ10話「トレーダー分岐点(後編)」と16話「螢の街」、48話「永久戦斗実験室(後編)」の感想も書いています。
60話「大四畳半惑星の幻想(前編)」
2021年8月29日、tvkでは60話「大四畳半惑星の幻想(前編)」が放送されました。
あらすじ
60話のあらすじです。
昔の地球と似ているが、999の存在を知らされていない星『明日の星』で、鉄郎たちは999に乗り込んで宇宙を旅することを夢見る少年、太郎にパスを盗まれる。鉄郎たちは、住むところを探すうちに、安い下宿を見つけ、漫画家志望の男・足立太と知り合う。
録画データの番組説明に上記引用部のように書かれています。
待望していた
私はアニメの『銀河鉄道999』を見始めてから、この「大四畳半惑星の幻想」の放送を楽しみにしていました。
私が読んだ999のエピソードの中で最も好きな内容だからです。
以前、当ブログではその「大四畳半惑星の幻想」が収録されている、漫画の単行本2巻を購入したことも書いています。
大好きな原作エピソードですけどアニメでは見たことがありませんでした。
いつか観てみたいとずっと思っていたところにtvkの再放送が始まり、今回の放送を心待ちにしていました。
感想
視聴しての感想です。
改編されている
内容がところどころ改編されていました。
原作漫画も前後編で分かれています。
しかし原作を忠実に再現していては、1話分の30分で収まるなり、中途半端な尺になるなりしてしまう。
2話分で終わらせるために、いくつかの設定や登場人物を加えないと収まらない事情があったのだろうと推察しています。
例えば、鉄郎が「明日の星」で999のパスを始め荷物のほとんどを盗まれるのですが、盗んだ少年に詳しい設定が加わえられていました。
あらすじにある「太郎」ですね。
太郎は、原作漫画では名前など一切ありませんでしたし、エピソードの最後の最後に登場するだけのキャラクターでした。
それが最序盤から登場していました。
原作では描かれなかった、太郎が鉄郎のパスや服を盗もうとしている様子も、アニメでは描かれていました。
また、アニメには太郎の仲間たちも登場しています。
原作では仲間など1人も登場しません。
話数も違います。
アニメは60話ですけど単行本では物語の序盤、2巻に登場するエピソードです。
話数の違いによって生まれた齟齬も調整されていました。
例えば、鉄郎たちが腹ごしらえをすべく、ラーメン屋でラーメンを食べているときです。
原作では、あの「幻のラーメン」を食べられるとわかった鉄郎は、麺をすすりながら大泣きをします。
感涙。
あまりに大げさに泣くものですから、周りの客に迷惑がかかると店主から店を追い出されてしまいます。
ところがアニメでは、ラーメンに対して鉄郎は原作ほどの感情を抱いていないように描写されていました。
これはアニメは話数が60話も進んでいるための調整でしょう。
鉄郎が60話までに何度もラーメンを食べてしまっているので、初めて食べた感を出せなくなってしまったという。
結果として情感が薄まっています。
下宿屋で出会う足立も少し違いがありました。
原作では特に何かをしている人ではなかったと思いますが、アニメでは売れない漫画家でした。
原作では貧乏学生さんなのでしょうか、今で言うフリーターかもしれません。
この足立は設定だけでなく、彼の雰囲気も原作とは異なるような、原作に見られる魅力がやや損なわれている気がしました。
私が思っている声とは違かったことが大きく影響していそう。
今回「明日の星」の滞在期間は、原作では確か2週間、アニメでは2日間になっていました。
大幅に短縮されています。
原作でしばらく滞在したからこそ生まれた足立との関係性もあったでしょう。
2週間で得られた足立たち星の住人との関係を、わずか2日間で築くには期間が短すぎます。
星そのものも、原作とアニメでは雰囲気がずいぶん異なります。
原作の「明日の星」は昭和30年代や40年代、これから高度成長を迎えようとしている、あるいは迎えて間もない頃の日本を感じさせる雰囲気なのですが、アニメはもっと陰鬱に描かれています。
原作は雑多なのだけれど活気がみなぎる様子が伝わる一方で、アニメは陰鬱な印象を持ちました。
陰鬱に見えた理由は、アニメ版は夜のシーンが多く描かれていたからかもしれません。
これも滞在期間が2日間しかないことが影響していそうですね。
私の印象でしかないので、皆さんが同じように感じられるかわからないですけど。
足立の器の大きさ
個人的に、今回登場する下宿屋の住人の足立がとても好きです。
おおらかで。
器が大きいと言いますか。
『元祖大四畳半大物語』の主人公なのでしたっけ?
読みたいと思いながら今まで読めていません。
Kindleで買ってしまおうか。
話が逸れたので戻しましょう。
パスが奪われ、この星でメーテルと2人で暮らすことになるかもしれない。
ひいては旅そのものが終わるかもしれない。
そんな大きな不安に襲われている鉄郎に対する、足立の態度がよいのですよね。
足立は鉄郎が銀河鉄道の乗客だと知りません。
この星の住人には銀河鉄道の存在は明らかにされていないからです。
と言っても、世間には都市伝説的な噂になっているようです。
足立も噂では知っているものの、存在を確認したことはありません。
鉄郎は、星の住人に999のことも機械の体を欲していることも話してはいけないと言われているため、足立に自分が999の乗客だと教えていません。
メーテルは鉄郎の姉ということになっています。
足立は鉄郎とメーテルに対して何か事情がある姉弟としか思っていない。
だからこそ「おおらか」でいられている可能性はあります。
しかしながら、アニメ60話ではそんな足立の器の大きさやおおらかさは、原作ほどは描けていない印象を持ちました。
太郎にフォーカスを当ててしまった一番の弊害かなと私は思っています。
期待薄か
私は前編を観て、後編に過度の期待をしないようにしようと思いました。
まだ前編だけしか視聴していないので何とも言えないですけど。
と言いますのも、上記の改編によって、少なくともアニメの前編では主役が太郎になっているからです。
原作でも前編は特に誰が主役ということなかったと記憶しています。
ですが、あそこまで太郎にフォーカスを当ててしまうと、後編で事の顛末を描かずにはいられないでしょう。
その結果、足立の影は相対的に薄まるだろうと危惧されます。
イメージを壊したくないので後編を観たいような観たくないような、今はそんな気持ちです。
観ますけど。
おわりに
ということでアニメ『銀河鉄道999』の60話「大四畳半惑星の幻想(前編)」の内容が改編されて原作の面白さが損なわれていそうなことを書いた記事でした。
今となってはどうしようもないことですけどね。
後編の61話は記事を投稿した2021年9月5日に放送されます。
tvkが映る地域にお住まいで、気になる方はご覧になってください。
本作アニメはAmazonでも観られるみたいです。
こちらもぜひ。