『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年8月12日木曜日の放送に俳句コーナーがありました。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2021年8月12日の放送でも扱われました。
今回のお題は「打ち揚げ花火」です。
番組では打ち上げ花火が3発同時に破裂し飛散している写真が用いられていました。
打ち揚げ花火は「夏」の季語です。
手花火でも揚げ花火でも線香花火でも鼠花火でもよいみたいでした。
この回では俳優の「中田喜子」さん、俳優の「森口瑤子」さん、歌手の「松岡充」さん、お笑い芸人の「千原ジュニア」さん、「A.B.C-Z」の「河合郁人」さんが出演していました。
レギュラー陣では「梅沢富美男」さんと「東国原英夫」さんの、永世名人お二方が出演していました。
名人・特待生昇格降格一斉査定SP
今回は「名人・特待生昇格降格一斉査定SP」でした。
先述した出演者さんは皆さん特待生や名人ランクの方々です。
順位
今回の出演者さんの順位戦の結果です。
査定スペシャルということで点数はなかったです。
昇格か現状維持か降格か。
河合さんは1ランク降格、特待生5級へ。
森口さんは1ランク昇格、名人初段へ。
松岡さんは1ランク降格、特待生2級へ。
中田さんは現状維持、名人5段のまま。
千原さんは1ランク昇格、名人7段へ。
順位は番組では特に言及されていません。
最終的な並び順は上から、ジュニアさん、森口さん、中田さん、松岡さん、河合さんでした。
森口瑤子さん
査定のコーナーにおいて個人的に気になった方は何人かいらっしゃいました。
そのお一人が「森口瑤子」さんでした。
森口さんは査定を迎えて「特待生1級」です。
昇格すれば名人ランクになります。
句は、花火大会を観に行った帰りに、人で混雑しているからと電車が空くまでの時間、「神谷バー」なる有名店に行き名物の「デンキブラン」を飲んで過ごした、そんな様子が詠まれていました。
季語は「花火」。
査定結果は「1ランク昇格」。
晴れて名人ランクになりました。
おめでとうございます。
先生からの一言は「時間感覚が絶妙!」とのこと。
17音しかない俳句で時間経過を表現することは難しい。
花火が終わった後の光景を詠む句はたくさんある。
花火大会が終わって電車が空くまでの間をと詠むともたつきがちになるもの。
ところが森口さんの句は、最後に「デンキブラン」という飲み物を持ってきたことで抑えが良い。
下手にいじってしまうと森口さんの言いたいことからニュアンスがズレてしまうから、原句のまま味わうのがよい。
上記のような評価でした。
私はこの句が今回の放送で一番好きでした。
東国原さんは森口さんの句を、無難に作ったと評価していらっしゃいました。
確かに無難かもしれませんけど、だからといって無理くりテクニックを入れる必要もなく、さり気ないけど味わいのある句と私には思えます。
そのさり気なさが、花火大会を見終えた後の寂しさや切なさにも通じているようで。
大人の雰囲気と先生が仰ったとおり、余裕ある大人の夏の夜感が出ています。
よいなぁ、さすがはタイトル戦の優勝経験者です。
千原ジュニアさん
個人的に気になった方はもうお一人いらっしゃいます。
千原ジュニアさんです。
ジュニアさんは査定を迎えて「名人6段」でした。
昇格すれば「名人7段」です。
10段が見えてきたでしょうか。
句は、家族3人で初めて花火をして、まず自分が花火に火をつけ、自分の花火の火花で奥様が花火に火をつけ、今度はお子さんがさらにその火花で花火に火をつけた、そんな様子が詠まれていました。
季語は「手花火」。
17音に手花火が3つあり、それぞれの手花火を助詞「の」「に」「と」「を」でつなげていました。
査定結果は「1ランク昇格」。
名人6段から7段へと一歩前進です。
夏井先生からは「助詞の集大成!」と評価されていました。
この句は完璧に助詞の効果を把握している。
手花火の火に手花火をくっつけて火を移す発想は俳句にはたくさんある。
ただ手花火を一句に3つ出す勇気はなかなかない。
手花火が2つだとデートの雰囲気があるが、3つ目が出ると家族かなという読みもできるようになる。
一番褒めるところは最後の「を」で、「を」で止めることによって「(手花火を)近づける」と動詞が続いていることを誰もが想像できる。
そのように評価していらっしゃいました。
よい句でした。
かねてから私はジュニアさんの俳句の力はすでに名人10段の力はあると思っていました。
藤本さんと同レベルにはいらっしゃるように、少なくとも私の目には見えます。
このブログでも何度か書いていると思います。
それは今回の句でも十分示されていましたね。
今回の句は私には少々技巧に走りすぎかなとも思えるのですけど、先生がこれだけ褒めていらっしゃるのですから、私の理解が追いついていないのでしょう。
梅沢さんと東国原さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である梅沢さんと東国原さんの句です。
梅沢さんの句集に入れる50の俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
東国原さん
まずは東国原さん。
句は、見えるのだけど音までは聞こえてこない遠花火、音はないけど音がないからこそ音が心に響いてくる、8月というと戦争・お盆と亡くなった人たちを思い返す時期、遠花火がまるでそういう人たちの御霊となって自分に語りかけているんじゃないかな、そんな様子を詠まれていました。
季語は「八月」
「遠花火」もあるので季重なりでしょうか。
判定は「掲載決定」でした。
掲載決定の理由は「8月という季語をよく理解している」です。
8月という季語は複雑。
8月は元々「お盆」があり、さらにそこへ原爆とか終戦のイメージも入ってくる。
上五「音なき音や」と詠嘆をしたこと。
どうして詠嘆したか。
それは、音は8月の亡くなった人の声とか叫び、魂の動きの寄ってくる音、それをあえて「や」で詠嘆したに違いない、と受け取ることは十分可能。
そう判断して掲載決定としたとのことです。
これもよい句でした。
こういう壮大な俳句は今の私にはとてもじゃないですけど詠めません。
私なら上っ面ばかりでよいことを詠んだ気になっている俳句が生まれるでしょう。
東さんの句はそういうことはなく、読んでしんみりとしてしまいました。
素晴らしかったです。
梅沢さん
次に梅沢さん。
句は、「遠州新居手筒花火」の様子で、遠州の男たちが手作りの手筒を手に持って火花が男たちに降り注いでいる、そんな様子を詠まれていました。
季語は「花火」でしょうか。
判定は「ボツ」でした。
理由は特に言われていなかったと思います。
中七下五が漢字のみで表記され、力強さや迫力を表現しようとする意図を感じられる。
語順もよい。
その一方で上五の「(火を)纏う」の動詞だけが問題だった。
纏うは、ドレスを身につけるとか、苔が纏うというように、対象がべったりとくっつくイメージがある。
となると「火を纏う」の言葉は迫力の点で損をしている。
全部迫力で押していってほしい。
添削が入りました。
当然上五に。
「火を纏う」から「火まみれ」へと添削されました。
なるほど。
言葉一つ一つの意味や、持つイメージを正確に選ぶこと。
これは個人的にはとても勉強になる俳句と添削でした。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「打ち揚げ花火」回を視聴しての感想を書いた記事でした。