『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年8月5日の放送に俳句コーナーがありました。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが2021年8月5日の放送でも扱われました。
今回のお題は「ソフトクリーム」です。
ソフトクリームは「氷菓」の傍題のようです。
氷菓や氷菓子、アイスクリームなどと詠んでも問題ないみたいでした。
兼題と傍題のことを実はよくわかっていません。
この回ではお笑いコンビ「ニューヨーク」の「嶋佐和也」さん、「Kis-My-Ft2」の「藤ヶ谷太輔」さんと「玉森裕太」さん、タレントの「朝日奈央」さんが出演していました。
近ごろ順位戦では出演者が4名のことが多いです。
以前は5名でした。
レギュラー陣では「梅沢富美男」さんと、Kis-My-Ft2の「横尾渉」さん、同じく「千賀健永」さんが出演していました。
出演者が少ない理由はレギュラー陣が3人出演されたことの調整と思われます。
またはその逆か。
順位戦
まずは今回行われた俳句カテゴリの、順位戦の結果です。
4位が嶋佐さん(才能ナシ、20点)、3位が藤ヶ谷さん(凡人、45点)、2位が玉森さん(凡人、50点)、1位が朝日さん(才能あり、70点)でした。
1位朝日さん
順位戦で1位と獲得した朝日奈央さんでした。
点数は70点。
句は、アイドル時代にリハーサルをした帰り、駅のプラットホームで一人、色々と反省をしながらアイスを食べていた、そんな様子を詠まれていました。
季語は「氷菓子」を選択していました。
先生からの添削はなしでした。
上五「リハ帰り」が経済効率のよい言葉だったこと。
中七で場所がわかる、電車を待っているのだろうなと、書かれてはいないけれど、当然想像できる。
リハが上手くいったのだろうと受け取った人は氷菓子がご褒美と思えただろうし、上手くいかなかっただろうと受け取った人は反省を含めた自分への励ましの氷菓子と思えただろう。
どちらにも読みとれることは季語「氷菓子」が支えている。
2つの読みがあることで、この句に奥行きができて豊かになっている。
そういう解説・評価がなされていました。
私もよい句と思いました。
先ほど上五を「リハ帰り」とご紹介しました。
実際は「リハ帰りの」で6音の字余りでした。
俳句は字余りをするより5・7・5の韻律で詠むことが望ましいとされています。
ところが、この句に関しては字余りにしたことで良い効果を生んでいるように、私には思えます。
6音目の助詞「の」がないと、三段切れになっていたからです。
上五・中七・下五のそれぞれに「切れ」が入ってしまう危険性ですね。
朝日さんが三段切れを避けるために、あえて助詞「の」を入れたかはわからないです。
朝日さんはある程度わかって入れたのだろうと私は思っています。
この調子で詠んでいけば、そう遠くない時期に特待生が見えてくるかもしれない。
そう思わせる良句でした。
昇格試験
今回は横尾さんと千賀さんの昇格試験がありました。
横尾さんは試験を迎えて「名人6段」でした。
昇格なさったら名人7段になるようです。
千賀さんは試験を迎えて「名人4段」でした。
昇格なさったら名人5段になるようです。
千賀さん
番組では千賀さんから試験が行われました。
句は、朝に仕事で牧場へ行くと、アイスクリームを作ってるのかバニラの香りが漂ってきた、バニラの香りをかいだで涼しさを覚えた、そんな様子が詠まれていました。
季語には「涼し」が使われていました。
「涼しさよ」としていましたか。
結果は「現状維持」。
理由は「朝からアイスを食べているのか?」でした。
夏井先生は、語順について指摘していました。
原句は上五を「バニラの香(か)」としています。
そのため読者はバニラアイスを食べている様子を想像しています。
しかし実際はバニラアイスを作っているところに遭遇したものでした。
添削では上五「朝の牧場」とすることで、読者に場面をしっかりと想像させることできます。
さらに添削では原句の下五「涼しさよ」を消していました。
それより、牧場ではアイスが作られていたのなら、その様子を描くべきだと先生は仰ります。
中七を「仕込むアイスの」とすることで、朝の牧場でアイスクリームが作られている様子を描いているのだと明確になりました。
私は原句のままでもよいかなと感じています。
理由は、俳句は必ずしも詠み手の説明どおりでなくてよいと思っているからです。
説明ではバニラの香りから涼しさを感じただけで、バニラアイスを食べてはいません。
添削では、説明どおりに詠めていないからと修正されました。
しかし、先ほど申したように、必ずしも狙いどおりに詠めていなくてもよいと思います。
俳句は作者のものでも読者のものでもある。
このことは『プレバト!!』の感想記事で何度も書いていることですけど、私はそう思っています。
それらと同じことを今回も思いました。
今回の千賀さんの句で言えば、バニラアイスを食べたことで涼しさを覚えたことを詠んだ句と受けとっても何ら問題はないのでは、ということですね。
横尾さん
次は横尾さんの昇段試験です。
句は、登山をして今日は8合目で休憩をし、ドラム缶風呂に入った、お風呂上がりにアイスを食べて、さあ明日は頂上へいくぞと思いを馳せている、そんな様子を詠まれていました。
季語は「シャーベット」でした。
結果は1ランク昇格で、名人7段になりました。
おめでとうございます。
先生による添削はなし。
上五を「八合目」としたことで、場所がわかるし、これまで頑張って登ってきたこともわかる。
中七で「ドラム缶風呂」が出てくる展開も鮮やか。
上五・中七だけで、山登りをして8合目で今日は一息ついて、明日頂上を目指すのだなとすべて伝わる。
そして下五に「シャーベット」を持ってきた切り返しが面白かった。
お風呂は熱い、シャーベットは冷たい、温度の対比がしっかりと効いているから、季語のシャーベットが気持ちよく出てくる。
そんなことを仰っていました。
いや、本当にお上手ですね。
「山」や「山登り」なんて一語も書かれていないのに、明確に山の光景を思い浮かべられます。
これが名人7段の実力、恐れ入りました。
梅沢さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である梅沢さんの句です。
句集に入れる50の俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
句は、ババヘラを器用に使って花を咲かせている、そんな様子を詠まれていました。
ババヘラとは、秋田県で中高年の女性が露天販売をしているアイスのことだそうです。
移動販売のようです。
販売員の方がヘラを上手く使ってバラの花弁のようにアイスを盛り付けてくれるとのこと。
そう言われるとテレビで見たことがある気がします。
季語は「砂日傘」。
ビーチパラソルのことでしょうね。
砂浜に立てて用いる大型の日傘。
判定は「ボツ」でした。
先生からの一言は「砂日傘でいいのか?」です。
先生が指摘していらしたのは「砂日傘」です。
ババヘラの女性たちはあちこちに移動して販売をするのに、どうしてビーチパラソルなのか。
仮にババヘラの女性たちがビーチパラソルを差して販売をしていたとしても、あくまでも季語の「砂日傘」はビーチにささっている日傘のことを指すのだから、この場合はただ「傘」と書けばいい。
砂日傘の「砂」の一字が読者を妙な場所に連れて行ってしまっている。
それと「ババヘラ」がアイスクリームだとわかるように書くこと。
ババヘラそのものは面白いリズムの言葉だから、これはよい。
添削は砂日傘をパラソルとし、それだ派手であることを書き、そして中高年の女性たちが販売をしていることもわかるように、「アイス婆」の言葉を下五に入れていました。
句材にババヘラを採用する着眼点に素晴らしさがある句と感じました。
その点はさすがに永世名人でいらっしゃいます。
しかし先生の仰るように、ババヘラがアイスとわかるようには詠んでいただきたかったです。
夏井先生はババヘラを知らなかったそうで、調べたと仰っていました。
私も説明を聞くまで何のことかわからなかったです。
説明を聞いたことでようやく「ああ、あれのことか」と合点がいきました。
原句では少々読者に解釈を委ねすぎている気がしました。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「ソフトクリーム」回を視聴しての感想を書いた記事でした。