『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年4月9日木曜日の放送に俳句コーナーがありました。
視聴した感想を書いています。
目次
MBS『プレバト!!』
テレビ番組『プレバト!!』についてです。
人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。
公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。
あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆などです。
中でも俳句がメインコンテンツと思われます。
放送時間
放送時間について。
放送は毎週木曜日の19時から20時までです。
出演者
出演者です。
メインの司会は「浜田雅功」さんです。
ダウンタウンの浜ちゃんですね。
アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。
ナレーションが「銀河万丈」さん。
俳句の査定員は「夏井いつき」さん。
俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。
俳句
『プレバト!!』の俳句カテゴリが、2021年4月9日の放送でも扱われました。
今回のお題は「あくび」です。
番組では季語かのようなナレーションがあった気がしますけど、調べた範囲内では欠伸は季語ではなさそうですね。
この回では俳優・歌手の「石野真子」さん、俳優の「勝村政信」さん、Kis-My-Ft2の「宮田俊哉」さん、お笑いコンビ「マヂカルラブリー」の「村上」さん、俳優の「早見あかり」さん。
レギュラー陣では「梅沢富美男」さんと「立川志らく」さんが出演していました。
マヂカルラブリー村上さん
今回は「才能なし」判定をされた方がいらっしゃらなかったと思います。
全員が凡人か才能あり、点数も最下位のマヂカルラブリー村上さんでも60点でしたから、総じて悪くない評価を得ていました。
では全員がまずまずの句だったかというと個人的にはそうではないと感じました。
特に最下位のマヂカルラブリー村上さんの句は才能なしでもおかしくなかったのではないかと。
村上さんの得点は「60」点。
句は、お昼に土手に手をつきゆっくりしていると眠たくなってきた様子を詠まれていました。
場所はご本人による句の説明で明らかになってはいたものの、句の中に「土手」の文言は含まれていませんでした。
なので夏井先生からは、土手と入れてあげればわかりやすくなることを指摘されていました。
スタジオの梅沢さんは何を言いたい句なのかわからないと仰っていて、私もどちらかというと梅沢さんに近い感想を持ちました。
語順が悪く、土手の場所の説明があってようやく言葉がつながった感じがしたので。
先生は句材そのものは梅沢さんが言われるほど悪くない的なことを仰っていたでしょうか。
1位は石野さん
俳句カテゴリで今回1位を獲得したのは「石野真子」さんでした。
得点は「71」点。
句は、渋谷ハチ公前でiPhoneを使っていたら桜の蘂(しべ)が降ってきた様子を詠まれていました。
先生による添削はなし。
iPhoneから始まって、桜蘂が降る、そしてハチ公前広場と、カメラが徐々に引きになっている見せ方をしている技があるようなことを仰っていましたか。
なるほど。
梅沢さんも大いにお褒めになっていました。
梅沢さんは下心といいますか贔屓が強く出ていた感もありましたが。
確かに、言葉が綺麗に七五調に収まっていて、詠んでも読んでも聴いても読後が心地良い良句と思います。
先生が仰っていたようなズームアウトする様子を、石野さんが狙ってなさったかどうか、そこにはかすかに疑問符がつくものの。
気になる点はもう1つ。
この句はお題の「あくび」についてを詠まれていません。
その点は評価に影響したのかしなかったのか。
番組内では特に触れられていなかったと思います。
それにしても「桜蘂降る」という季語があるのですね。
兎角、桜というと花が注目され、蘂が降る様子や葉桜へは興味を持たれにくいです。
この蘂が降るしとやかな様が季語になっているところ、こういう繊細さを持ちたいものです。
3位は早見さん
3位は「早見」さんでした。
67点。
句は、春の暁というと日が昇る前のほの暗い時間帯でしょうか、その時間帯に3枚目のオムツ交換をしたことを詠まれたものです。
昨年、お子様を出産なさったそうです。
おめでとうございます。
先生は、3枚目とあった原句を3回目としたことと、実家で交換していたことを削除していらしたでしょうか。
実家を削った分、原句にはなかった「あくび」の語を入れていました。
3枚目ですと、昔はオムツは自分でこしらえていたから、夜なべをして3枚目のオムツを縫っている様子とも受け取れると、梅沢さんは仰っていました。
それはそうかもしれませんけど、しかし、市販の紙オムツが一般に広まってからずいぶんと年数が経っているはずですので、引っかかるまではいかない気がします。
私は育児経験がないので経験の違い、実感があるかないかの違いかもしれません。
先生が「回目」と添削したことで、お母さんは一晩に3回もオムツを替えたのだなぁと、誤解なく伝えられます。
勉強になりました。
私は話を聞きながら「春暁やこれで三度のおむつ替え」という句が思い浮かびました。
「これで」と入れることで何度も起きたことの疲れが出るかと。
お粗末。
他、2位が勝村さん、4位が宮田さんでした。
昇格試験
今回は「志らく」さんの昇格試験がありました。
志らくさんは試験を迎えて「名人3段」のため、昇格なさったら名人4段になるようです。
句は、春眠と映画『カイロの紫のバラ』を取り合わせたものでした。
季語の春眠と、夢のようなファンタジーな映画とを合わせていらっしゃいます。
志らくさん得意の、季語と人物など固有名詞をぶつける俳句です。
結果は「現状維持」。
先生からは「読み手に寄り添ってあげて欲しい」とありました。
映画の内容を知らない人に『カイロの紫のバラ』ってどんな映画なんだろうと調べてみようと思わせる仕掛けがあったら良かったと。
添削は「春眠とは『映画タイトル』か」となさっていました。
先生はこの志らくさんのこういう挑戦は志らくさんの持ち味だから、挑戦を止めたら駄目だと仰っていました。
得意の破調の型を活かす努力を続けなさいと。
個人的には今回の句は評価が低かったです。
自分が先生の立場なら降格すらあり得ました。
『カイロの紫のバラ』ではなく、別の映画タイトルでも春眠とは色々合ってしまいそうだと感じられたからです。
また今回、志らくさんが詠まれた句は、季語と映画タイトルのそれぞれに切れ字をつけていらっしゃいました。
上五に「や」、結句に「よ」です。
ご本人は季語の春眠と映画の2つをそれぞれ強調することで、眠さを美しく強調したかったと。
狙って1句に切れ字を2つ入れたのだと。
夏井先生も志らくさんの挑戦を好意的に捉えていらっしゃいました。
しかし私には、中七下五をまたぐように使った映画タイトルが「1音余ってしまった」から、音の整えようと苦し紛れに最後に切れ字「よ」を入れたと受け取れました。
ご本人が仰った理由は後付のようで、さすがに苦しいです。
「ウディ・アレン」が監督の映画なのですね、『カイロの紫のバラ』は。
観たことがないので観てみたい映画の候補になりました。
教えてくださりありがとうございます。
梅沢さんの俳句史に残る句集作り
永世名人である梅沢さんの句です。
梅沢さんの句集に入れる俳句を、掲載決定かボツかを先生が判定します。
今回は「ボツ」でした。
近ごろはボツが多めでしょうか。
句は、春キャベツがあくびが出てくるような春の柔らかい日差しを浴びて、春キャベツが巻かれている、そんな様子を詠まれていました。
ほんわかした春の陽気を想わせる句です。
先生がボツとした理由は「そろそろ季語を信じて欲しい」だそう。
梅沢さんは上五を「やわやわと」としていて、先生はその点を指摘しています。
つまり、季語としての春キャベツには葉が柔らかいことが含まれている、だからあえて「やわやわ」などと説明しなくて良いと仰っているのですね。
そうですね、春キャベツは冬キャベツよりも、葉が柔らかく、ゆったりと巻かれていて、みずみずしさがありますものねぇ。
添削は「陽のあくび巻く」を「おひさまのあくびを巻いて」としていました。
なるほどです。
私は原句を最初に聞いたときに良い句だと感じました。
ところがご指摘を耳にした後では、確かに必要ないなと感じられます。
私はまだまだ読解の力が足りていません。
季語を信じる、その前に季語をより深く理解する、このことが俳句には大切なことであると、何度目かわかりませんけど改めて認識させられた回になりました。
おわりに
ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーのお題「あくび」を視聴しての感想を書いた記事でした。