ディスディスブログ

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MBS『プレバト!!』の俳句で1位のぼる塾「あんり」さんと梅沢さんの句が加湿器から離れすぎているように感じました

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『MBS(毎日放送)』で放送されている『プレバト!!』では、2021年2月5日木曜日の放送に俳句コーナーがありました。

兼題は「加湿器」。

番組を観た感想を書いています。

 

目次

 

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MBS『プレバト!!』

テレビ番組『プレバト!!』についてです。

 

www.mbs.jp

 

人気芸能人にはそもそも才能があるのか?あらゆるジャンルで抜き打ちテストを実施、その結果をランキング形式で発表する。

 

公式webサイトのディスクリプションには上記引用部のように書かれています。

あらゆるジャンルとは、今回紹介する俳句だったり、水彩画だったり、消しゴムはんこだったり、絵手紙、生花、スプレーアート、色鉛筆、などです。

中でも俳句がメインコンテンツと思われます。

 

放送時間

放送時間について。

放送は毎週木曜日の19時から20時までです。

 

出演者

出演者です。

メインの司会は「浜田雅功」さんです。

ダウンタウンの浜ちゃんですね。

 

アシスタントが毎日放送の「玉巻映美」アナウンサー。

ナレーションが「銀河万丈」さん。

 

俳句の査定員は「夏井いつき」さん。

俳句カテゴリの出演者は「梅沢富美男」さんを始め、「東国原英夫」さんや「立川志らく」さん、「中田喜子」さん、「千原ジュニア」さん、「藤本敏史」さん、「村上健志」さん、「横尾渉」さん、「千賀健永」さんなどがいます。

 

最近見始めた

実は私は『プレバト!!』を最近見始めています。

継続して観ているのは1年ほど前、2019年末くらいからでしょうか。

 

番組の存在は何年も前から知っていました。

しかし当時はどうも夏井先生の言葉の強さと荒さが受け付けないと感じてしまい、少し観ただけでそれから全く観ていませんでした。

その後、夏井先生が『NHK俳句』の選者に就任されてから、あああれはやはりエンターテインメントとして、役として演じている部分も大きいのかと思い至りました。

 

それからは夏井先生の印象が大きく変わって、ずいぶんと間が空きましたが、2019年末くらいからようやく継続して観るようになっています。

元から民放のバラエティ番組を好んでいないことも理由としては大きいでしょう。

 

俳句

『プレバト!!』の俳句カテゴリが、2020年2月5日の放送でも扱われました

今回のお題は「加湿器」です。

加湿器って季語なのですね。

 

この回では俳優の「高畑淳子」さんを始め、タレントの「勝俣州和」さん、芸人「ぼる塾」の「あんり」さん、モデルの「貴島明日香」さん、モデルの「生見愛瑠」さんが出場していました。

 

民放もバラエティもほとんど観ないので、お顔とお名前は知っていますけど、どういう方かは知らない方ばかりです。

 

レギュラー陣では「梅沢富美男」さんと「森口瑤子」さんが出演していました。

 

dysdis.hatenablog.com

 

森口さんは先日行われたプレバト!! 冬のタイトル戦「冬麗戦」の優勝者ですね。

今回タイトルを取ってからは初めてのご出演だったはず。

 

1位はあんりさん

俳句カテゴリで今回1位を獲得したのは「あんり」さんでした。

得点は「70」点でしたか。

 

句はお笑いの先輩だか何だか、気になる男性に「お疲れ様」と声をかけられた様子を詠まれていました。

 

季語には「寒明」を使っていました。

寒明けとは「寒」の時期が明けることですね。

「二十四節気」で「冬至」の次が「小寒」、その次が「大寒」、その次が「立春」です。

寒が終わって立春になること、それが「寒明」となりそうですね。

つまり寒さが底を抜けつつある、ちょっとした温かさを感じる時期となるでしょうか。

 

「加湿器」要素なし

「あんり」さんの詠んだ句には、兼題「加湿器」は使われていません。

加湿器を想起させる言葉もありません。

しかし1位でした。

 

dysdis.hatenablog.com

 

兼題の単語を一切使わないで1位を取ったことは、前回の「浅野ゆう子」さんもそうでしたね。

それ以外にも『プレバト!!』ではまま見られる光景と感じられます。

 

これは『プレバト!!』のオリジナルルールなのでしょうか。

他の番組、例えば『NHK俳句』などを観ていても、兼題から離れた句は採用されていないと思います。

『NHK俳句』では毎回募集する句は兼題または自由としています。

なので兼題から離れた句は自由題として扱われることはあるかもしれませんけど。

 

番組のナレーションによりますと、「あんり」さんの句はどうやら加湿器から発想を飛ばして「心を潤す存在」として詠まれたとのこと。

しかしどうなのでしょう、さすがに加湿器を兼題にした句会で全く兼題に触れない句が詠まれ、あまつさえ1位を取ってしまうことは、個人的には少々理解し難いです。

他の出演者さんは、梅沢さんを除けば、皆さん句に加湿器の単語を使って詠まれています。

私が選者だったなら加湿器を使って詠まれた句から1位を選びたいです。

 

そういう兼題などしがらみを排除して、純粋に句の出来不出来で判断すれば、「あんり」さんの句が1位なのは同意しますけど。

 

発想を飛ばすこと自体は悪いと思わない

兼題から発想を飛ばして詠む行為そのものは悪いと思いません。

むしろ飛ばせるほど発想が豊かなことは称賛したいくらい。

 

しかし発想を飛ばすにしても、今回であれば加湿器を匂わす言い回しが含まれていて欲しいかなとは思います。

今回の「あんり」さんや梅沢さんの句では、加湿器に「こじつけた」感すらあります。

何の情報もないところから、お二人の句が加湿器の兼題から詠まれた句と行き着ける方が、一体どれだけいらっしゃるでしょう?

 

番組を観ていると、映像やナレーションでどのように発想を飛ばしたかの説明がなされますから、私たち視聴者はイメージをつなげて感じ取ることができます。

そういった説明がなかったら、受け手の多くは二人の句を加湿器につなげて感じ取ることができないのではないでしょうか。

 

説明がないとつなげられないレベルでの発想飛ばしは、句が素晴らしかったとしても試みが成功しているかどうか怪しいです。

それならもはや兼題なんて必要ないのではないかとも思います。

 

勝俣さん

2位は勝俣さんでした。

55点。

 

個人的に勝俣さんの句は、加湿器の単語を入れて詠まれたことを加味すれば、個人的に今回の1位でした。

兼題を無視するならば、番組と同じく「あんり」さんに次いで2位ですね。

俳句の出来だけを見れば「あんり」さんが1番。

 

勝俣さんの句は、恋人が家を去った後に加湿器を見ると水が空になっていた、季節は春なのに寒い、そういうことを詠まれていました。

 

梅沢さんのご指摘は、加湿器と春とが「季重なり」になっていることでした。

夏井先生も同意されていて、それでも「空の加湿器」とひと括りにすることで、季語としては弱まり、春の季語感が強くなるので大きな問題にはならないであろうということを仰っていたかと思います。

勝俣さんは加湿器が季語と知らずに詠まれたそうで、夏井先生のちょっとした怒りを買っていましたが。

 

この季語の強弱については、観ていてなるほどと勉強させていただきました。

季重なりが絶対に駄目だということはないみたいで、この強弱を狙って詠めるようになると、また一段回上がった俳句づくりの面白さが出てくるかなと想像します。

 

季重なりのことの他には、内容を盛り込みすぎていることが指摘されていたでしょうか。

彼女が去ったこと、加湿器が空になっていること、春なのに寒いこと。

五七五のそれぞれに異なる出来事を入れ込んでいる、さすがにこれは要素を盛り込みすぎでしょう。

 

個人的には、彼女が去った→加湿器が空→春なのに寒いという「話の流れ」が出来すぎているように感じました。

話の流れが物語のようで、俳句的ではないかなと。

しかし、空の加湿器を観たことで独り身の寂しさをより強く覚えたこと、そのこと事象には詩心を感じますので、個人的には1位です。

そういうことに気がつける勝俣さんの感性が素晴らしい。

ロマンチストですね。

 

高畑さん

今回、個人的に気になった句が高畑淳子さんの句です。

4位で50点でした。

 

句は、楽屋で加湿器を見ていたら、加湿器から吹き出る水蒸気が靄(もや)がかかったようで、その向こうにある化粧前が見えたことを詠まれていました。

 

「化粧前」とは芸能界の、あるいはお芝居の業界用語で、俳優さんが楽屋でメイクをする場所のことだそう。

水から蒸気へと姿を変える加湿器と、化粧前で素の自分から架空の人物へと姿を変える役者。

この二者をリンクさせたことを詠まれた句のようです。

 

句は靄がかかる様子を「靄ぐ」と表現されていました。

梅沢さんはそれが不要だと仰っていたかと思います。

加湿器と詠めば水蒸気が出る・靄がかかることは受け手が想像できるから不要ですよと。

 

夏井先生は「靄ぐ」の言い方、それと「向こうに」と言わなくても物と場所を詠めば、加湿器の靄と化粧前との距離感を出せると指摘していらっしゃいました。

お二人とも中七が良くない点では共通していましたか。

 

添削は、化粧前では伝わらないかもしれないから「鏡」を入れること、加湿器の湯気を使うことで二者の距離感を生もうとしていました。

しかし、私はこの添削は添削前より良くない気がしてしまいました。

 

高畑さんの言いたいことからは離れてしまったからです。

高畑さんが仰っていた「自分→加湿器→化粧前」の物理的な位置関係は添削前の方が表せていると思えます。

添削では「加湿器の湯気よ」として「化粧前の鏡」へとつなげた破調にしていました。

しかも添削では「自分→加湿器→化粧前」の物理的な立ち位置は伝わらない気がします。

そうするくらいなら添削前のままで良かったような。

 

ただし、添削前では季語が主役になっていない感があります。

化粧前が主役になっているように受け取れる。

やはり添削のように加湿器に切れ字を使うか、 視点を入れ替えて下五に加湿器を持ってくるかしないと厳しいかもしれません。

そういう意味で先生の添削された句の方が良いのでしょう。

難しいですね。

 

おわりに

ということで、MBS『プレバト!!』の俳句コーナーで1位だった、ぼる塾「あんり」さんと梅沢富美男さんの句が兼題「加湿器」から離れすぎていることなどを書いた記事でした。

 

先生の鑑賞はプロの俳人のそれですから、本文に書いた私の鑑賞の方が見当違いである可能性が高いですけど、あくまでも私の感想は本文のようになりました。

 

2021年版 夏井いつきの365日季語手帖

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