NHK連続テレビ小説『エール』は2020年11月26日木曜日、本編が終わりました。
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、中断期間があったり、話数の短縮があったりしましたが、最終話までたどり着きました。
色々な意味で印象深い作品です。
2020年11月27日の最終回は特別編が放送されました。
内容に衝撃を受けたので、そのこととともに作品全体の感想を書きます。
目次
朝ドラ『エール』
朝の連続テレビ小説は2019年3月30日から『エール』が始まっています。
あらすじ
本作のあらすじです。
昭和を代表する作曲家となる古山裕一(窪田正孝)と、その妻・音(二階堂ふみ)。音楽とともに生きた夫婦の物語「エール」
昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う数々の曲を生み出した作曲家とその妻の物語。
録画データの番組内容、公式Twitterアカウントのプロフィール欄には上記引用部のように書かれています。
新型コロナウィルスの影響
2020年、新型コロナウィルスが世界中に猛威を振るっています。
『エール』もその影響を受け、4月1日以降、同年6月16日に再開されるまでの約2ヶ月半もの間、収録が休止されていたそうです。
当然ながら放送も中断していて、9月12日までの間、1話から再放送していました。
そして9月14日からようやく放送が再開され、2020年11月26日最終話を迎えました。
最終週「エール」
2020年11月23日月曜日からの『エール』は最終週「エール」が放送されています。
アキラ(宮沢氷魚)が華(古川琴音)との結婚の許しを得ようと古山家にやってくる。ぶ然とする裕一(窪田正孝)と心配する音(二階堂ふみ)。裕一と音は、アキラのロカビリー歌手という不安定な職業や、これまでの派手な生活から結婚に反対する。しかし、華を思って作ったアキラの歌を通して彼の本気を感じた裕一は、音との結婚も自分たちを信じる気持ちで親が許してくれたことを思い出す。
それから数年後、裕一の元に、東京オリンピックの開会式の入場行進曲の作曲依頼が舞い込む。裕一は、これまでの人生を振り返りながら、平和の祭典に向けてこん身の一曲を書き上げる…。
webサイトの「あらすじ」ページには上記引用部のように書かれています。
120話中119話で最終回
『エール』の全120話です。
記憶が正しければ、今までの朝ドラの中には155話ほどのシリーズもあったかと思いますので、ずいぶんと短い話数です。
先ほど書いたとおり、新型コロナウィルス感染症の問題が大きな理由の1つです。
それともう1つは、それまでは月曜日から土曜日まで週6回放送されていた朝ドラが、今作から月曜日から金曜日まで週5回の放送に変更されたこともあります。
ダブルの影響で120話という短い話数になりました。
あさイチとの関係
短縮されたから駄目ということではなく、その逆に週5回は、個人的には良い塩梅でした。
と言いますのも、朝ドラの次に放送される『NHKあさイチ』が月曜日から金曜日まで放送されるからです。
近ごろは扱わる機会が少なくなった感がありますけど、『あさイチ』ではオープニングトークで朝ドアの「受け」をすることが定番です。
朝ドラが土曜日まで放送されると、『あさイチ』が土曜日分の朝ドラ受けができなくなります。
どうしても受けたい場合は、週明けの月曜日に土曜日分と月曜日分をまとめて受ける格好です。
土曜日は週の最終回ということもあって、物語上重要なことが放送される可能性が少なからずありますし、物語の最終話は必ず土曜日です。
ですから肝心な放送回の受けをその日のうちにできない事態がしばしば発生していました。
そういうチグハグさが、これまでの『あさイチ』にはあったのですね。
週5回とすることでチグハグが解消されたことは、個人的には歓迎したい動きでした。
バランス感覚に優れる秀作
本作は内容的に好みなお話で、興味深く視聴させてもらいました。
全体的にコミカルさをまとった物語で進行しつつ、ところどころにシリアルさを挟んで、良いバランス感覚で全体が進んでいたように思います。
シリアルさに関しては本作は特徴的でしたね。
中でも戦争の描写はなかなかに重く、衝撃的で、「裕一」が戦地へ赴いた一週間は恐怖を覚えるくらいの迫力がありました。
新型コロナウィルスの影響がなければもっと壮絶なものであったかもしれないと思うと、もったいなかった気もしますし、あれ以上に深刻な描写は観たくない気もしますし複雑な想いです。
それくらい「窪田正孝」さんや「森山直太朗」さんたちの演技が光りました。
キャストも良かったです。
多くの歌を扱う物語のため、キャストが他で観られない方が多く新鮮でした。
また本作は主役の「裕一」と「音」だけでなく、周辺の登場人物の物語も丁寧に描かれていて、愛着が湧きやすい脚本になっていました。
脚本を担当された方のバランス感覚はこういう点でも優れていたと思います。
今回は脚本家という脚本家はいらっしゃらなかったのでしょうか、原作・原案の方は降板なさったとか何とか聞きましたが。
私は事情をよくわかっていません。
しかし、短縮された影響がそこかしこに見られたこともまた事実です。
終盤の駆け足感は否めませんでした。
特に気になるのは、中盤を盛り上げた「梅」と「五郎」のその後が描かれなかった点です。
話数的にカットされたのだろうと思います。
コロンブスレコードの「杉山あかね」と「鉄男」の恋路も気になる気配を醸しただけで終わっていますし。
「古田新太」さん演じる「廿日市誉」のその後もわからないままだったような。
そういった消化不良分はスピンオフで描かれるのでしょうか。
スピンオフ製作の予定があるかはわかりません。
120話は特別編
最終週の内容は「東京オリンピック」についてがメインでした。
1話で東京オリンピックシーンが描かれていましたから、最終週は東京オリンピックで終わるのだろうという予想はありました。
しかし、朝ドラの前に放送されているNHK『おはよう日本』で「高瀬耕造」アナウンサーも仰っていましたが、東京オリンピックの後の話もドラマで放送されるとは少々意外でした。
故「志村けん」さん演じる「小山田耕三」が、亡くなる直前に裕一に手紙を宛てていたことが判明し、それを手渡された裕一が読んで小山田に想いを馳せる。
それから時間が経ち、裕一は妻「音」の乳がんの療養のために、東京を離れ静かに過ごしていることなどが描かれました。
それが最終話の1話前、119話の話です。
では最終話120話は何が放送されたかと言いますと、皆さんご存知と思いますが、「特別編」が放送されました。
メインキャストが総出演で、裕一のモデルとなった「古関裕而」さんの手掛けた名曲の数々を、あそこは「NHKホール」でしょうか、そこで歌うというものです。
吉原光夫さんの「イヨマンテの夜」が凄まじい
その特別編では、特に「吉原光夫」さんが歌った「イヨマンテの夜」が素晴らしかったです。
凄まじい歌声と言って何ら言い過ぎでないほど。
感動で身震いしました。
吉原さんはミュージカルをメインに活躍されている俳優さんなのですね。
私はミュージカルなど演劇方面はてんで疎いです。
そのため吉原さんがどのような俳優さんかを全く知らずに、特別編の歌を聴きました。
吉原さんは本作においては「岩城新平」を演じていました。
岩城は「音」の実家、馬具製造を営む「関内家」の職人頭です。
戦争時に空襲に遭ったとき、音の妹の「梅」を助けたときに全身火傷を負い、以前から心臓が弱かったようで亡くなりました。
特別編で吉原さんの「イヨマンテの夜」を聴いた結果、まぁ驚きました。
声量が大きく、また通る声で、難しいあの「イヨマンテの夜」を朗々と歌い上げる様に。
こう言っては申し訳ないのですが、他の方々が霞んでしまうくらいの歌声でした。
今まで岩城が、というか吉原さんが歌を歌うシーンは無かったと思います。
ありましたっけ?
「イヨマンテの夜」は雄叫びのような「アーホイヨー」の歌詞から始まり、音程を取ることもリズムを取ることもとても難しい曲と思います。
そんな「イヨマンテの夜」を、吉原さんは難なく歌っているように見えました、素人目に。
今まで聴いた「イヨマンテの夜」でも最高峰と申し上げても、決して大げさなことではありません。
おわりに
ということで、朝ドラ『エール』の最終回120話が放送され、全体の感想と特別編で吉原光夫さんが歌う「イヨマンテの夜」が極めて良かったことを書いた記事でした。