小説『夜は短し歩けよ乙女(よるはみじかしあるけよおとめ)』をブックオフで購入し、読み終わりました。
本を読む前にアニメ映画を観ていて、あまり面白く感じていませんでした。
映画を楽しめなかった私が小説版を読んだ感想を書いています。
目次
『夜は短し歩けよ乙女』を購入
『夜は短し歩けよ乙女』を購入しました。
夜は短し歩けよ乙女
角川文庫
森見登美彦
画像が『夜は短し歩けよ乙女』の表紙です。
文庫版『四畳半神話大系』と同様、表紙のイラスト内に物語のあれこれが描きこまれています。
画像にあるとおり、劇場アニメの放映が決まってからの版のようで、劇場アニメの情報が表紙下部にもろもろ書き込まれていました。
個人的にはこういう情報は、本に帯をつけて、その帯に書いていただきたいです。
こちらはそのまま表示に印字されてしまっていました。
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。
けれど、先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性あふれる曲者たちと珍事件の数々だった。
山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!
解説:羽海野チカ
裏表紙です。
あらすじが書かれています。
『四畳半神話大系』のときも思いましたが、結構なネタバレ感がある気がします。
平成20年12月25日に初版が発行されています。
私が購入したのは平成29年3月10日の48版です。
森見登美彦さん
本書の著者は「森見登美彦」さんです。
京都大学農学部卒だそうです。
森見登美彦 - Wikipediaも参照なさってください。
森見さんは『はてなブログ』でブログを運営していらっしゃるようです。
ブログタイトルは『この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ』ですか。
アニメ映画『夜は短し歩けよ乙女』
今回紹介している『夜は短し歩けよ乙女』はアニメ映画化されている作品です。
2017年4月7日に上映されたそうです。
監督さんも脚本家さんもキャラクター原案も、アニメ『四畳半神話大系』のスタッフが担当しているとのことですから、アニメ『四畳半神話大系』を観ていたファンも安心して観られそうです。
実は2020年の年始だったと思いますが、Eテレでアニメ映画の『夜は短し歩けよ乙女』が放送されていました。
私はそこで初めて本作を観ています。
アニメ映画が先、原作小説が後なのですね。
登場人物
『夜は短し歩けよ乙女』の登場人物についてです。
先輩
主人公は「先輩」です。
大学の学生さん。
自分のことを「何の特徴も機転も才能もない」と感じています。
密かに「黒髪の乙女」に好意を寄せていて、彼女との距離を縮めるべく外堀を埋める「ナカメ作戦」を遂行中です。
『四畳半神話大系』の主人公「私」と似ているキャラクターですが、別人物と考えた方が良いでしょう。
黒髪の乙女
もう1人の主人公・ヒロインは「黒髪の乙女」です。
「先輩」と同じ大学、同じクラブの後輩。
「先輩」との偶然(!)の出会いを日々繰り返しているにも関わらず、彼からの好意に全く気がついていません。
好奇心と行動力が旺盛、奔放かつ無垢な性格故に様々な出来事に巻き込まれていきます。
黒髪の乙女は『四畳半神話大系』の「明石さん」と似た風貌を持ちます。
性格などは全く異なりますから、こちらも別人物と捉えた方が良いでしょう。
樋口師匠
「樋口師匠」です。
フルネームは「樋口清太郎」だそう。
浴衣を着ていて、古ぼけた下宿に住(棲)んでいます。
自らを「天狗」だと言っていて、実際に作中では空を飛んだり耳から達磨を取り出したり、奇妙な術を使います。
羽貫さんとともに「黒髪の乙女」や「先輩」と関わっていくことに。
樋口師匠は『四畳半神話大系』にも登場します。
こちらは同一人物ですね。
羽貫さん
「羽貫さん」です。
歯科衛生士。
大酒飲みで、タダ酒を飲む術に長けています。
樋口師匠と行動をともにし、このたび先斗町で「黒髪の乙女」と出会い、彼女にかかわっていきます。
こちらも『四畳半神話大系』に登場しています。
その他
その他の登場人物です。
「学園祭事務局長」や「パンツ総番長」、「李白」、「東堂さん」、「古本市の神様」などおかしなキャラクターばかりが出てきます。
「古本市の神様」は『四畳半神話大系』の小津のような見た目、キャラクターをしています。
別人物でしょう。
感想
小説『夜は短し歩けよ乙女』を読んだ感想を書きます。
一言で言えば「やや面白い」です。
アニメより小説
先ほど書いたとおり、私はアニメ映画を先に観ています。
そのため、どうしてもアニメ映画を基準にして小説を読んでしまいます。
アニメ映画と比較して、小説版の方が面白かったです。
アニメ映画は奇想天外なイベントが次から次へと展開されていき、イベントごとのつながりや盛り上がりを視聴者が飲み込む前に終わってしまう。
視聴者側からすると「置いてけぼり感」がありました。
一夜にして全てのことが起こっているかのように書かれていて、観ていてとても忙しないですし、章ごとの区切りをつけにくいのですね。
小説にあった間やテンポも失われている感。
区切りがつけられていないからでしょう、「乙女」がどういうきっかけや理由で「先輩」を好きになっていくのかが、アニメ版の方がわかりにくいように感じられます。
唐突に好きになっている感じがしました。
その点、小説版は小説では1話1話で季節が過ぎていくので、章ごとに時間の経過を感じ取れ、アニメ版よりは読んでいて流れをつかみやすかったです。
「乙女」の心の動きもアニメ版よりつかみやすかったように私には思えます。
アニメ映画を先に観て作品の予備知識があったから、小説の方がわかりやすかったのかもしれませんけど。
うる星やつら的
アニメ映画を観ていて感じたことがあります。
それは『うる星やつら』みたいな世界観だということです。
『うる星やつら』はドタバタなラブコメディですよね。
本作もあれに近い雰囲気を持ちます。
四畳半よりも本作の方がドタバタしています。
四畳半もそうですけど、うる星の「あの世界観」がお好きなら受け入れやすいかもしれません。
四畳半神話大系ありき
本作を単体で観たり読んだりするよりは、先に『四畳半神話大系』を観たり読んだりした後に本作に取り掛かった方が良いです。
登場人物が一部共通していますし、舞台設定や世界観、間も似た感じがありますからとっつきやすいはず。
気になることは、四畳半を読まずに本作を読んだらどうなのだろう、ということです。
何を書いているのかわからない方がいらっしゃるのではないかと感じられます。
私は四畳半を先に観たり読んだりしてしまっているので、本作から読み始めた方がどう感じられるのかはわからないですけど、わからない方は一定数いらっしゃるかなと。
ただでさえ言葉遣いが難しかったりドタバタな内容だったりで、「とっつきにくさ」のある作品ですから、本作から読むハードルは決して低くないでしょう。
ですので、できれば四畳半を先に読んで、文体や世界観がお好きなら本作に挑まれると良いかと思います。
ラストシーンがとても好き
私は『四畳半神話大系』の方が好きでした。
本作は少々ドタバタが過ぎてしまうことと、作者や編集側の狙いが透けて見えてしまう気もして、四畳半ほどの面白さは感じられませんでした。
しかし、殊ラストシーンにおいては四畳半よりも本作の方が好みでした。
本作は「先輩」と「乙女」が交互に視点を変え、同じ日に同じ場所に起きた事象を語られることで物語が展開されます。
ラストシーンは「乙女」の視点で、「先輩」との初デートの様子が描かれています。
待ち合わせをしていた喫茶店に「乙女」が店内に入ったときには「先輩」が既に来ていて、「乙女」視点で「先輩」の様子を語られるのです。
そのときの描写が、「乙女」は「先輩」を愛おしく思っているのだなぁと感じ取れる文章で、読んでいてとても幸せな気持ちになれたのですねぇ。
あれは良いものだ。
おわりに
ということで小説『夜は短し歩けよ乙女』をブックオフで購入して読んだ感想を書いた記事でした。
本作のアニメ映画はアマゾンプライムビデオで観られるみたいです。
アニメ映画の方が短時間で物語を知ることはできます。
でもできれば小説を読むことをオススメします。