「竹内まりや」さんのアルバム『Impressions (インプレッションズ)』を借りました。
CDジャケットの紹介や曲を聴いた感想を書いています。
目次
『ザ・カセットテープ・ミュージック』
今回、竹内まりやさんのCDを聴くきっかけは、tvk(テレビ神奈川)で再放送されているBSトゥエルビの音楽番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』です。
『ザ・カセットテープ・ミュージック』で扱われると聴きたくなる、毎度のことですが。
tvkでは2019年9月15日に第45回「暑中お見舞い申し上げナインス」という特集が組まれました。
そこで紹介された1曲が竹内さんの「SEPTEMBER」で、今回はその影響です。
『ザ・カセットテープ・ミュージック』では、以前も第11回「春の名曲フェア~スージーの春~」で「不思議なピーチパイ」が扱われていました。
tvkの再放送ではトータル2回、竹内さんの楽曲が登場しているでしょうか。
実はよく知らない
私は竹内まりやさんのことはほぼ知りません。
私が物心ついた頃には既にある程度の地位を確立されていたことと思います。
しかし、私にとって竹内さんはテレビに出演されないイメージもあって、縁遠いミュージシャンです。
ただ単に私が見逃してきただけかもしれませんが。
前出の「SEPTEMBER」や「不思議なピーチパイ」はもちろん聞いたことはありますし、フルは無理でもある程度歌うこともできます。
「駅」が彼女を代表する1曲であることも知っています。
でも彼女がテレビで歌っているところはまず観たことがない気がします。
少し前にNHKで竹内さんの特集が組まれていて、そこでじっくり観たことが「初まりや」じゃないかというくらい。
プロフィールの概要もぼんやりと知っています。
「山下達郎」さんが夫であることも。
竹内まりや『Impressions(インプレッションズ)』
今回紹介するCDは『Impressions(インプレッションズ)』です。
画像がブックレットの表紙とジャケットの裏。
良い写真ですね、色っぽい。
私のイメージにある竹内さんとは少し印象が異なる気もしますが。
ブックレットに印字されたアルバムタイトルは『Impressions』です。
他も、場所によってカタカナと英語を書き分けています。
ブックレットの裏表紙とCD。
こちらも英語ですね。
今回は兄弟から借りました。
当時兄弟が買っていて、それを借りて聴いたり、聴いているところを一緒に聴いていたりしていましたね。
それ以来に聴きましたから、四半世紀ぶりに聴いたことになりそうです。
説明
簡単な説明です。
本作は竹内さん2作目のベストアルバムです。
1994年7月25日リリース。
『ムーン・レーベル』に移籍してからの10年間にリリースされたアルバム3作からピックされたものだそう。
具体的には1984年4月25日にリリースされた6th『VARIETY』と1987年8月12日にリリースされた7th『REQUEST』、1992年10月22日にリリースされた8th『Quiet Life』の3作品になるでしょうか。
未確認。
CDの帯に「初心者必携!マニア垂涎!」とあるとおり、私のような初心者が入るにはうってつけのアルバムだろうな、と聴いた後で思いました。
ジャンルはWikipediaによると「J-POP」とあります。
大人の恋愛が書かれている曲が多そうなので「シティポップ」と言えるのかもしれません。
曲リスト
『Impressions』の曲リストです。
- けんかをやめて
- 明日の私
- マージービートに唄わせて
- Forever Friends
- 恋の嵐
- シングル・アゲイン
- もう一度
- マンハッタン・キス
- 元気を出して
- 本気でオンリーユー (Let's Get Married)
- 告白
- 純愛ラプソディ
- リンダ
- 家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)
- 駅
曲のリストは上記のようになっています。
全15曲、トータル67分28秒。
作詞作曲は全曲、竹内さんご本人が担当しています。
演奏は山下達郎さんを中心に様々な方が参加されているようです。
山下さんはコーラスもしていますか。
アレンジも山下さんでしょう。
聴いた感想
竹内まりやさんのアルバム『Impressions(インプレッションズ)』を聴いた感想です。
これから書くことは、あくまでも私の感想です。
絶対的な評価ではないことをご了承ください。
見当違いなことを書いていたり、認識に誤りがあったりしたら申し訳ありません。
感想は「とても良い」です。
25年ぶりに聴いても名曲ばかりでした。
「駅」目当て
本作を聴く前に何を目当てにしていたかというと「駅」です。
動画サイトなどで検索をかければ、竹内さんが歌っている「駅」も視聴することはできますけど……う〜ん。
久しぶりに聴いた「駅」も変わらず名曲でしたね。
素晴らしい。
切なすぎるマイナー系の曲です。
マイナー・メロの歌謡曲みたいなアプローチの曲だから竹内さん(が歌うこと?)は難色を示したと、ブックレットの解説には書かれていました。
山下さんがアレンジを加えて世に出したようです。
「駅」のどこに名曲感があるかというと、詞の内容も曲も竹内さんの声ももちろんですが、個人的には「描画力」が一番と思っています。
詞と曲ががっちりリンクしているからでしょうか、「駅」を聴いていると歌詞の情景が目の前に広がるのですよね。
一人称から展開されるドラマが見えてくる。
仕事帰りでしょうか、夕方に電車に乗っている「私」がふと隣りの車両を見ると、昔付き合っていた人が偶然に乗っていた。
何度も見てきたその横顔は変わらず、見ていると懐かしさがこみ上げてきて、声をかけたい気持ちにもなったけれど、その気持ちをぐっと抑えて家に帰っていくという物語です。
おそらくお互いに新しい相手がいるのですよね。
う〜ん、切ない。
ブックレットの解説
上に書いたように、ブックレットには各曲の解説が書かれています。
解説は竹内さんの夫である山下達郎さんによるものです。
山下さんは竹内さんに一番近いところにいる人の意見ですから、山下さんの解説は竹内さんの人間性を知る上でも価値のある文章と思います。
価値はあるのですが……ところが、どうなのでしょう。
特に「駅」についての山下さんの解説は、少々要らないことを書きすぎているように感じられました。
詳しいことを書くのはあれですけど、「駅」はある有名アイドルに提供するために書かれた曲だそうです。
そのアイドルさんの詞の解釈がひどくて(山下さんが?)憤慨した……みたいなことが書かれています。
アイドルさんや、アイドルのファンの方の気持ちを考えると……そこまで書く必要があったのだろうかと思わずにいられません。
「駅」は、曲調はめちゃくちゃ切ないですけど、サビの詞からはポジティブな要素を感じられる曲です。
「私」は過去に捕らわれそうになったけど、それを振り払って前に進んでいます。
そのアイドルさんはその手前の、哀しさや淋しさの部分だけを受け取ってしまったのかもしれないですね。
そんなアイドルさんの解釈を聞いて、竹内さんらは「全然理解できていないじゃないか」と憤慨したのではなかろうかと想像される文章でした。
しかし、(私の予想が当たってれば)当時のそのアイドルさんはどの曲でも歌うとしっとりしがちでしたから、提供する側もそれをわかって提供するものと思いますけどね……。
解説からは歌謡曲を揶揄しているようにも受け取れる箇所も見受けられます。
94年当時の感覚では歌謡曲=ダサいということなのでしょうか。
時代は関係なく、山下さんや竹内さんにとっては……かもしれません。
歌謡曲を好きな竹内・山下ファンだっているかもしれず、もう少し違った文章の書き方があるような気がしないでもないです。
私もブログで書きすぎてしまったなと反省することは多々あるので、人のことは言えないですか……。
「シングル・アゲイン」
今回、およそ25年ぶりに本作を聴いて思ったことは、「駅」よりも「シングル・アゲイン」の方が好きかもしれないということです。
本曲は、当時「火曜サスペンス劇場」のテーマソングだったそうで、当時最も売れている竹内さんのシングル曲でもあったようです。
私は火サスを見ていなかったため、その辺の事情は知りませんで、音楽番組で聴いたり、それこそ当時本作を聴いたりして知った曲だと思います。
山下さんの解説では、山下さんは「駅」よりも歌謡曲的に感じられてアレンジに苦労したということです。
今聴くと「シングル・アゲイン」は「駅」と近いところにある曲に感じられます。
歌謡曲っぽく感じられるのは確かにそうですね。
私は音楽的なことは知りませんが、同じマイナー調の曲ということもあって、コード進行的にも似ているのではないでしょうか。
歌詞を見てもこの2作品は特別に、大人の恋愛、不倫、別れ(離婚)にフォーカスを当てている曲で、そこにも私の中で共通項を見出しているかもしれません。
詞にははっきりと書かれていないと思いますけど、「シングル・アゲイン」はほぼ確実に不倫・浮気関係を歌っていますよね。
火サスのテーマに沿った歌詞ということでもあるでしょう。
「駅」ほどではないにしても、「シングル・アゲイン」も描画力のある曲です。
家のリビングで一人、テーブルを前にして床に座わり、上半身をテーブルに投げ出しながら、テーブルの上に置かれた電話を眺めて鳴るのを待っている、そんなシーンが聴いていると目の前に描写されます。
「駅」よりも、「シングル・アゲイン」の方がドロッと・ジトッとした感情が出てくる、陰湿さを感じさせる曲ではありますが、こちらも一応は前を向こうとしています。
でも、こちらの「私」は自分で決められない弱さもあるようにも思われ、男性からの電話なら気持ちを割り切れても、男性が再び「私」の前に現れたら流されてしまうのではないかと予感させます。
危うい。
「告白」
「告白」も良い曲ですね。
私の中では前出2曲ほどではないですけど、それでもトップ3かなと思えるくらいです。
「シングル・アゲイン」と同様、こちらも火サスのテーマソングに起用された楽曲だそう。
だからでしょうけど、「告白」もやはり不倫・浮気を歌っています。
私は竹内さんの曲では、マイナー調で、歌謡曲感を感じさせる曲が好みのようです。
一言で言えば暗い曲が好き。
竹内さんの声と詞と曲とが絡み合って、切なさが迫ってくる名曲でしょう。
告白をしているのは、あの日別れた「彼」からです。
「駅」や「シングル・アゲイン」とは異なって、2人の間に既に事が起こっているか、起ころうとしているシーンを描いているのですね。
ドロッドロです。
「もう一度」
マイナー調の曲ばかりではなく、爽やかで明るい「もう一度」も好きです。
「告白」とは毛色の異なる楽曲なのに、こちらも竹内さんの声の質と合っているようで、彼女の声と響き合って冒頭の「よごとーー」がスコーン! と突き抜けています。
1960年代のアメリカンポップを感じさせる山下さんのアレンジに、竹内さんの声がきれいに乗って、聴いていて気持ちの良い曲です。
歌詞は、ある一定の年数を連れ添った中年(以上の)夫婦の、妻目線の感情を描いています。
山下さんの解説には、こういう切り口の歌詞は今まで日本にはなかったのではないか的なことが書かれていました。
確かにそうかもしれませんね。
夫(山下さん)としてはどういう受け止め方をしたのでしょうか。
お互いの曲を通じて夫妻のキャッチボールをしているのかもしれないな、と聴きながら思いました。
「けんかをやめて」
今回、四半世紀ぶりに『Impressions』を聴いて、当時は受ける感覚が全く異なる曲が1曲ありました。
それが1曲目に収録されている「けんかをやめて」です。
受ける感覚が変わったと言いますか、以前は本曲を聴いても特別なことは何も感じなかったのですが、今聴くと嫌悪が湧いてきます。
「私」が身勝手すぎて。
「けんかをやめて」は「私」が2人の男性と二股をかけている様子を描いた曲です。
付き合っていたかどうかはわからないですけど、同時に2人の男性を好きになりどちらにも思わせぶりな態度や言葉を発したのでしょう、そそのかします。
結果として2人にバレて、2人は「私」を巡って喧嘩を始めているシーンが、「けんかをやめて」なのですね。
二股をかけた時点でアウトなのですけど、「私」の喧嘩に対する対処がより最悪に思えます。
それは、2人の喧嘩を止めてくれ、と誰かに訴えている部分があるから。
この期に及んで第三者を巻き込もうとしているのですよ、この人は!
自分で蒔いた種ですから、自分で刈り取るしかないでしょうと。
これ以上当事者を増やしてどうするのだと。
この言動から、「私」は心からの反省をしていないだろうなと私には思えます。
絶対にまたやりますよ、この人。
本曲は「河合奈保子」さんが歌っていましたよね。
私は河合さんのイメージの方が強い強でした。
曲の印象が変わった原因はそこにもあるかも。
10代の女の子がしたことと受け取るか、大人の女性がしたことと受け取るかで、印象は大きく異なるでしょうから。
おわりに
ということで、竹内まりやさんの『Impressions(インプレッションズ)』を借りたので、聴いた感想を書いた記事でした。
紹介した曲の他も良曲ばかりです。
竹内まりやさんの曲をあまり知らないけど、何か聴いたら良いかわからない方は、まずこちらから入ると良いと思います。
ベスト版ではなく、オリジナルアルバムも聴いてみたくなりました。