コーヒーに関する本でこれを買っとけ的な『コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』を購入しました。
一部難しい内容もありますけど、飽きっぽい私でも最後まで面白く読むことができました。
感想のような紹介のような記事を書きます。
目次
コーヒーの科学
今回購入した本は、講談社BLUEBACKSから出ている『コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか』です。
お金がないので古本屋で購入しました。価格は700円ほどだったと思います。
Amazonでは新書(紙)もKindle(電子書籍)も1,166円で販売されているようですから、少しだけ安く買うことができたようです。
N.D.C.596.7 317p 18cm
ブルーバックス B-1956
コーヒーの科学
「おいしさ」はどこで生まれるのか
2016年2月20日 第1版発行
2016年3月7日 第2版発行
著者 旦部幸博
2016年2月に初版が発行されているのですね。記事作成現在から3年弱前、比較的最近出た本です。
全317ページあります。
今では、我々の生活に欠かすことのできない嗜好品となったコーヒー。
その独特の香味はどのように生まれるのだろうか。
自家焙煎店で培われた職人の技術と知恵を、科学の視点で徹底分析。味をコントロールし、自分好みのコーヒーを淹れる秘訣が見えてくる。
科学論文に基づく知見を踏まえて、コーヒーのさまざまな謎に迫る!
Amazonの本書の紹介文はこのように書かれています。
講談社ブルーバックスとは?
講談社のBLUEBACKS(ブルーバックス)とは何でしょうか。無知な私は全く知りません。
講談社ブルーバックスのWebサイトがありましたのでリンクを貼りましょう。
ディスクリプションを拝見すると「科学をあなたのポケットに。『ブルーバックス』は、子供から大人まで楽しめる、一般向け科学シリーズです」と書かれています。
なるほど、面白そうなシリーズですね。
Webサイトを見てみると『日本列島の下では何が起きているのか』とか『「こころ」はいかにして生まれるのか』とか『地球46億年 気候大変動』とか、個人的に興味をひかれるタイトルが並んでいました。
図書館にでも行って探してみましょうか。
旦部幸博さん
『コーヒーの科学』の著者である「旦部幸博(たんべ・ゆきひろ)」さんとはどのような方なのでしょうか?
1969年長崎県生まれ。
京都大学大学院薬学研究科修了後、博士課程在籍中に滋賀医科大学助手へ。現在、同学内講師。専門は、がんに関する遺伝子学、微生物学。
人気コーヒーサイト『百珈苑』主宰。
自家焙煎店や企業向けのセミナーで、コーヒーの香味や健康に関する講師を務める。
著書に『コーヒーのおいしさの方程式』(共著、NHK出版)。
本著の著者紹介の欄にはこのように書かれています。
『researchmap』というWebサイトにも旦部さん御本人のことが書かれていると思われるページがありました。
『珈琲の世界史』という本も出していらっしゃるのですね。いや、こちらも読んでみたいです。
『コーヒーの科学』の中でも、コーヒー豆がアフリカから世界へ広まった歴史に関して書かれている箇所があるのですが、それをもっと深く広く掘った本だと想像します。
基本的に豆を盗んで広がっているのですよね……。
百珈苑
旦部さんが主宰をしているというWebサイト『百珈苑』はどのようなサイトさんなのでしょう。
テキストサイトのようです。
画像は見た感じではありませんでしたが、テキストには画像がある前提で書かれている箇所が見受けられるので、何度か移転していくうちに画像まで転載できなかったのでしょうか。それとも私環でしょうか。
一通り拝見したところでは『コーヒーの科学』と重複する内容もあるようです。そのまんまということではないと思いますが。
Webサイト内のリンクにもあるように、『百珈苑BLOG』というブログも運営されていて、こちらは『はてなブログ』で運営されているようです。親近感。
ブログの1ページ目は書籍の誤字の訂正ばかりでした。
コーヒーの科学で面白かったところ
『コーヒーの科学』の感想を一言で言うと「面白かった」です。
ただ私の頭では難解で理解が追いつかなかったところもありました。特に第4章の「コーヒーの『おいしさ』」と第5章「おいしさを生み出すコーヒーの成分」のところ。
面白さを感じた箇所は、先ほども少し書いていますが第3章「コーヒーの歴史」の、コーヒー豆が世界中に伝播する様子が書かれているところです。
二大原種の一つ「ティピカ種」という豆は特にイエメンを支配していたオスマン帝国が独占したいがために持ち出しを禁止し、その後のラシード家が支配してからも持ち出しを禁じたにもかかわらず、盗み出された種子が「海のシルクロード」を通って広がっていった……みたいな話が興味深かったです。
現在、ヨーロッパやアメリカ、そして私たちの住む日本で親しまれているコーヒーが盗み出されたものから広まっていたという事実が、初めて知ったということもあって個人的にはとても面白く読むことができました。
二大原種のもう一つ「ブルボン種」は、ティピカ種とは異なり正当な手続きを踏んで国外に持ち出されたものだそう。ラシードの国王が病気にかかったときに、フランスの使節団にいた医師が治したことで、国王が感謝の意を表したのか60本もの苗木をプレゼントしたということでした。
しかも、その60本はマダガスカル島へ届けられたようですが、長い航海でほとんどが駄目になってしまい、最終的に生き残った苗木は1本のみだったそうです。
最後の1本が現在のブルボンへと繋がっていると。映画を作れそうな……。
もっと詳しく知りたいので、先ほど紹介した旦部さんの『珈琲の世界史』も読んでみたいのです。この辺りのこともより掘り下げて書かれていそうですものね。
それと、難しいと書いた第4章「コーヒーのおいしさ」の箇所にも興味深い内容がありました。いや、第4章も第5章も私には難しいだけで興味深い内容はたくさんあります。
画像がそれ。『カフェ・バッハ』の「田口護」さんが提唱した「おいしいコーヒーはよいコーヒー」という考え方について書かれた箇所です。
「おいしい・まずい」という主観と「良い・悪い」という客観を混同してはならない、ということ。
よいコーヒーは「欠点豆を除いた良質な生豆を適正に焙煎し、新鮮なうちに正しく抽出されたコーヒー」と定義できるが、おいしいコーヒーは人それぞれで定義できない。
よいコーヒーであっても必ずしもおいしいコーヒーとはならないが、悪いコーヒーは必ずまずいコーヒーになる。
という感じに書かれています。
何を当たり前なことと思われる方もいらっしゃるかもしれませんけど、簡潔で明確にこうだと定義していただいたことで、私には「よいコーヒーとおいしいコーヒー」、「悪いコーヒーとまずいコーヒー」の違いが頭でスッキリ整理できたのですね。
また、この定義付けは何もコーヒーだけに言えることではなく、料理や音楽、ファッション、アートなど色々なことにも通じることかもしれない、と感じられます。
良い生地良い縫製、高級なブランドのものであっても、それがオシャレかどうかは見る人の主観や嗜好によるでしょうし。
音楽の趣味に関しても、世界的に評価される音楽であっても聴く人によっては良いかどうかはわからない、という意味で。
それとこれとは少し違いますか……私はつなげて受け取ることができました。
もっと知りたかったところ
第4章「コーヒーのおいしさ」の「コーヒーのコク」も面白かったです。面白かったですが、もう少し突っ込んだ内容であって欲しい気持ちもありました。
「苦味」は基本的に良い意味で使われない言葉ですけど、ビールなどもそうですが、コーヒーの場合は苦味も「コク」に関与している点が興味深いです。
私がコーヒーに関して気になっていることは、コーヒーの使われる「body(ボディ)」とコクは同じ意味か違うのかについて、です。
英語では「Body(胴体)」が味全体のベースの部分を指し、「rich body(ボディが豊か)」という表現は、その濃度感が持続するという、「コクがある」と近い意味合いを含みます。
と本書には書かれていました。
ボディとコクとが完全に同じ意味とは言い切れない、という含みを持った表現に受け取れます。
残念ながら私が望むほどは詳しく書かれていなかったので、その点でもう少し踏み込んだ言及が欲しかったかなと思いました(他の箇所で言及しているけど私が忘れていたり見落としていたりする可能性もあります)。
味の総和をどう受け取るかは、最終的には個人の感覚によるでしょうから、明確には言えないところがあるのでしょうけれども。
ネットで「(コーヒーの)ボディとは」と調べると「コクのことです」と断言しているところが結構あるのですよね。
イコールだと決めて良いことなのかどうかが気になるところ。
私はニアリーイコールだとは思えるのですが……「ボディはコクのこと」ではあるかもしれないけど、「コクはボディのこと」であるかは微妙ですから。
言い換えると、ボディはコクに内包される要素かもしれないけど、コクはボディそのものとは言えないのではないか、という気がするのです。
おわりに
ということで旦部幸博著『コーヒーの科学』を買って読んだ記事でした。
皆さんの参考になる感想になっていれば良いですが……どうでしょうか。
本書にはコーヒーの焙煎や抽出、健康についても当然書かれています。
読んでいて焙煎に興味が湧きました。集合住宅なので煙や匂い問題が気になりますが。
抽出に関しては私は粕谷哲さん提唱の「4:6式」でいいかなと思っています。