毎週木曜日18:55よりNHK Eテレにて放送されている『思考実験バラエティー! もしもの世界』が面白いです。
2018年7月26日木曜日は第2回「死なない薬が作れた?」でした。
目次
- Eテレ『思考実験バラエティー! もしもの世界』
- 「死なない薬を作れたら?」
- 不老不死は理論上あり得る?
- 小学生たちの意見
- 不老不死の定義は?
- 人間は何歳まで生きられる?
- 死なない薬が作れたら世界はどうなる?
- 死なない人生はそもそも楽しい?
- おわりに
Eテレ『思考実験バラエティー! もしもの世界』
昭和の伝説SF本「もしもの世界」。当時の怪しい絵から想像と思考を展開、楽しく学ぶ。
この伝説のSF本『もしもの世界』は、「ジュニア・チャンピオン・コース」、「日下実夫」著と書かれていました。
子どもたちを夢中にさせた伝説のSF本に描かれた怪しい絵をもとに「もしもそうなったら?」と思考実験を繰り広げる「もしもの世界」。
第2回のテーマは「死なない薬が作れたら?」。
ずっと生き続けられたら何がしたい? そして不老不死の人が増えたら世の中はいったいどうなる?
意外な小学生の発言に大人もビックリ!
話は思ってもみなかった方向へ展開。
あなたならどうする?
きっとあした誰かと話したくなる、科学バラエティ。
番組説明にはこのように書かれています。
ちなみに第1回「人間より頭のよい動物が現れたら?」でした。
司会は「劇団ひとり」さん。
ゲストは「IKKO」さんと芥川賞作家「羽田圭介」さん、「厚切りジェイソン」さん、「柳原可奈子」さん、「滝沢カレン」さんです。
第2回の解説を担当されたのは、生物学者で青山学院大学教授の「福岡伸一」さんでした。
ナレーターは「若本規夫」さん。
私は福岡先生のお話が大好きなので、今回楽しみにしていました。
「死なない薬を作れたら?」
『もしもの世界』の第2回の放送は「死なない薬を作れたら?」です。
ジェットコースターが勢いよく走る。
愉快な遊園地だ。
ところが、これらの乗り物に乗って遊んでいるのは子どもではない。
全て老人なのだ。
150歳200歳になるる老人が、子どものようにはしゃぎまわっているではないか。
見よ、あのツヤツヤした若々しい顔色を。
100年前にはとても想像できなかった光景である。
という解説が書かれた一枚のイラストを元にして思考実験がスタートしました。
老化しないということは、顔などが重力に負けてたるまない、色々な物を食べることができる、仕事を休んでたびに出たい、知識が溢れ出す人になる、古典小説を全て読みたい。
ゲスト出演者たちからはこのようなことが言われていました。
この言葉だけでも、だいたいゲストのうち誰が言っていたかを想像できるところが面白いですね。
不老不死は理論上あり得る?
「細胞は自分を壊して、また作り変えるを繰り返しているので、これが完璧にできれば永遠に生きていくことはできます。(不老不死は)理論的にはあり得ます」
と福岡先生は仰っていました。
小学生たちの意見
不老不死の薬ができたとして、どこから飲むか、どの時点から不老不死になるかが問題だそうです。
確かに、赤ちゃんのときに飲んでそこで成長が止まってしまっても、寝たきりの状態になってから不老不死になっても困りますよね。
同じ質問を、杉並区立西田小学校という小学校のあるクラスにもしています。
子どもたちからは、マリアナ海溝の凄い深いところに行って未知の深海生物を見てみたい、宇宙を宇宙服なしで行ってみたい、ヒモ無しのバンジージャンプをしたい、漫画をたくさん読みたい(全部読んだら自分で描く)、医者になりたい(患者が絶対死なないから安心)、(世の役に立つ)薬の実験台になりたい、などの意見が挙がりました。
大人たちより面白い意見が出ています。
滝沢カレンさんは宇宙服なしで宇宙へ行くに共感していて、自分も宇宙に行ってみたいし、ブラックホールの近くまで行きたい、吸い込まれてみたいと言っていました。
死なないなら吸い込まれても大丈夫でしょうと。
不老不死の定義は?
この辺りで、それぞれ異なる不老不死の定義を持ってしまい、議論が定まらない様子が窺えました。
不老不死なら首だけになっても生きていけるのか、つまり不死身と不老不死の境界があやふやになっていました。
不老不死とはどういう状態を指すのか?
福岡先生はこのように不老不死を定義しています。
「不死身ということと、死なない、つまり老いて自然死しないということはちょっと切り分けて考えた方が良いと思うんですよね」
「生身の人間ですから、出血多量になれば死ぬ」
「ただ、病気にならない、あるいは寿命が来ないという意味の不老不死、という風に考えた方が議論が整理されるんじゃないでしょうか」
素晴らしい誘導。
わかりやすく言葉を選んでいる様子を窺えて、やはり福岡先生は良いなぁ。
無敵ではないよと。
食事を断てば餓死をするし、自動車などに轢かれれば最悪死んでしまうし、首だけになれば死んでしまうよということです。
不老不死の薬は「体が老化する原因を全て取り除く薬」ということになります。
人間は何歳まで生きられる?
ちなみに現在の人間の寿命は120歳くらいが限界ではないかと言われているそう。
最近、それまでの世界最高齢の日本人の方が亡くなりましたが、その方も117歳とかそのくらいでしたよね。
寿命を延ばす方法は幾つか考えられると先生はおっしゃいます。
例えば、代謝のスピードを遅くすると寿命が延びると言われています。
「ニシオンデンザメ」というサメがいて、今確認されている中で一番の長寿は何と推定512歳です。
冷たい水の中で、泳ぐのも遅く、代謝も成長も遅いため、長生きできると考えられています。
死なない薬が作れたら世界はどうなる?
その後は、不老不死の薬が作れたらあなたはいくらで買いますか? 死なない薬が作れたら世界はどうなる?などをスタジオで話したりしていました。
特に後者については、人口は増えていくけど資源は限らているから争いが起こるかもしれない、食糧の奪い合いで暴力的な世界になるかもしれない。
だから寿命で死は訪れないけど、もっと暴力的な死が訪れるかもしれない。
人口が今よりもっと増えれば食糧難になる、そうすれば餓死する人が出てきますし、奪い合いの中で戦争が起こって戦闘で死ぬかもしれない。
死なない人生はそもそも楽しい?
小学生からはこんな意見が出ていました。
「飲んでも100年後は何もかも気だるくなって、全部ほったらかしにして寝てる」
「どんどんやることがなくなって、つまらなくなっていくから、今度は死ぬ薬を作る」
死なない薬があっても楽しくない?
そう質問されて、クラスの全員の子どもが手を挙げていました。
子どもたちは死ぬことなんて考えていないから、ある意味不老不死の薬を飲んでいる状況と一緒だと劇団ひとりさんは言いました。
子供の頃は楽しいことなんか永遠に続くものだって思っていた。
そういう感覚を持つ子どもたちだから、しなないなんて嫌だと思えたのかもしれないですね。
「有限性があるから人間は何かをする」
「明日死ぬかもしれないから今日する訳ですから、そういう有限性の価値があるんじゃないかなって思いました」
と福岡先生は仰っています。
おわりに
こういうことに普遍的な正解はないですね。
皆それぞれの価値観や答えがあって良いものと思います。
劇団ひとりさんは、不老不死になると死なないから暇になる、暇というのは忙しいより苦痛を伴う(充実していない?)から、アメリカの刑務所の囚人に飲ませたりするのではないか、ということを言っていました。
あちらの刑期は積算されるため何百年の懲役刑がありますから、懲役500年なら500年を全うさせるために、あえて不老不死にさせるのではないかと。
罰を与えるためにあえて長生きさせる、それはとても恐ろしいことですね……。
不老不死の薬というと、IKKOさんたちが言っていたような自分のベストの状態を永遠に保てるとか好きなものを食べ続けられるとか、良いものとして捉えがちです。
けど、話を進めていくういちに、いやいや楽しいことではなくなる可能性の方が高そうだぞ、という感じで終わっていました。
ちなみに福岡先生は不老不死の薬があったら飲むそうです。
研究者の方は、自分の持つ仮説や研究の終わりを見たいでしょうからね。
無限の時間があると、どこかで死ぬことを選ぶ、とも言っていましたね。
死なないなんて私は嫌です。
苦しまず恐怖もなく死ねるなら今死んでいいとすら思っているのに。
実は記事を書いた2018年8月1日の09:00から再放送がありました。
記事を書くのが遅かったですね……。
次回は第3回「地球の自転が止まったら?」です。
明日2018年8月2日09:00からEテレで放送されるので、気になった方は是非ご覧になってください。
自転が止まったら、灼熱と凍土とでハッキリ分かれそうですし、これまでのように重力がかかなくなりそうですし、そもそも公転をするのかも怪しいですよね。