ディスディスブログ

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北村有起哉さん演じる団真の「崇徳院」が素晴らしかったです。波岡一喜さん演じる団吾が嬉しそうでした - 朝ドラ『わろてんか』65,66話の感想

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NHK連続テレビ小説『わろてんか』、2017年12月16日放送の66話は団真と団吾とお夕の三角関係が元に収まった回でした。

以下、最新話のネタバレ要素がありますので、バレても構わない方のみ下方スクロールをお願いします。

 

 

 

 

 

目次

 

 

『わろてんか』第11週「われても末に」

www.nhk.or.jp

 

2017年12月11日月曜日から朝ドラ『わろてんか』は第11週「われても末に」の放送が始まっています。

『わろてんか』の時代設定は大正5年(1916年)に移っています。本作のヒロイン「藤岡てん(ふじおか・てん、演:葵わかな)」は、「北村藤吉(きたむら・とうきち、演:松坂桃李)」と結婚をして北村姓「北村てん」となり、「隼也(しゅんや)」という名前の男の子もいます。

「てん」は大阪・天神にある寄席小屋「風鳥亭(ふうちょうてい)」を2店舗経営する「北村笑店(きたむら・しょうてん)」の御寮人さん(ごりょんさん)として家事と育児と仕事で忙しい毎日を送っています。

現在は夫婦と、「てん」の実家「藤岡屋」の女中であった「トキ(演:徳永えり)」、元席主の「亀井庄助(かめい・しょうすけ、演:内場勝則)」、藤吉の芸人時代からの仲間「キース(演:大野拓朗)」や「万丈目吉蔵(まんじょうめ・きちぞう、演:藤井隆)」、「岩さん(がん・さん、演:岡大介)」、「アサリ(演:前野朋哉)」は芸人として舞台に出つつも小屋での仕事もこなしてくれています。

先週は、風鳥亭前のお稲荷さんでしたか、その前で行き倒れた女性「お夕(お・ゆう、演:中村ゆり)」が「月の井団真(つきのい・だんしん、演:北村有起哉)」という噺家で、団真は現在、藤吉が専属契約をしようとしている落語界の風雲児「月の井団吾(つきのい・だんご、波岡一喜)」の兄弟弟子でした。

団吾は2万円の借金の返済と月500円の契約、それと団真を高座に上げないことを条件に出して、これを飲めたら風鳥亭で落語をしてやると言っています。

 

 

団真の失踪

団真が失踪しましたが、夜には亀井が見つけ出して風鳥亭へと連れてきています。川を眺めていたようです。「てん」に知らされ心配になったお夕も風鳥亭に来ていて、戻ってきた夫の団真に死ぬ気なんてなかったんだ、私へのあてつけだったのだと厳しい口調で叱責していました。この期に及んで人様に迷惑をかけていて、そんなことをする前にすることがあるだろうと。

しかし、団真が風鳥亭を去ると、お夕は力が抜けたように腰から床に落ちて、生きてたぁ〜と安堵の様子を見せました。

戻ってきた団真に対して優しく接してしまっては、団真の元を離れて団吾のところへ走った自分の試みが元の木阿弥だということを示している言動です。本当は団真のことが今でも好きですし、心配で心配で仕方がない、成功もして欲しいけど自分が優しくしてはこの人は一向に前に進まない、と心を鬼にして冷たく接しているのでしょう。

団真としても、自分が芸人として半人前どころか偽団吾として食いつなぐことしか出来ない現状を苦々しく思っているはずで、しかし団吾という本物の天才を目の当たりにすると、えぐられるような思いになるようです。凡才である自分(と自身は思っている?)との決定的な差を見せつけられて絶望してしまっていたのでしょうか。

 

 

団真を高座へ

元芸人、しかも芸人としての才能がまるでなく、廃業して寄席小屋の席主となった藤吉は、そんな団真の気持ちがよくわかるようで、何とか彼を高座にあげてやろうという気持ちになっているようでした。

「てん」としても、お夕はまだ団真のことが好きで、お互いが好き合っているはずだから、何とか団真に再生する機会を風鳥亭で設けられないかと藤吉に相談します。興行には口を挟むなと言われていた「てん」ですが我慢ができなかったようです。しかし藤吉も思いは同じでして、2人で何とか団真を高座へ上げることにします。

「てん」はまずお夕に話し、次に団吾の元へ赴いて団真が高座をする旨を伝えました。

話を聞いた団吾は目を輝かせています。本当は嬉しいのにその気持ちを悟られまいと「あかんあかん。危うくおなごの色香に惑わされるとこだったわ」などと冗談を言っていましたがモロバレです。

以前、団吾は風鳥亭が団真を使うなら自分は契約しないとまで言っていたのに……やはり団吾も団真のことをまだ慕っているし実力も認めていて、お夕と同様に彼の落語を観たいと思っているようでした。

「てん」は追い打ちをかけるように「残念やわぁ、団真さんには『崇徳院』を演じてもらうつもりやったのに」という追撃もあって、嬉しさを全く抑えることができていません。

トドメは団真の高座はお夕も見に来るという言葉です。お夕まで来ると知った団吾、これはもう行かない訳にはいかなくなりました。観たくて観たくて、一緒に高座に上がりたくて上がりたくて仕方がないのです。

 

 

団真の「崇徳院」

団真が高座に上がる当日、客の入りはぼちぼちです。団真がいよいよ噺を始めようとすると寄席小屋の店先が騒々しくなりました。団吾が人力車でやって来たのです。団吾が風鳥亭に入ると、団吾に続いてどんどんと客が小屋に集まりました。一瞬で大入りです。

団吾が高座に上がるので、てっきり団真を押しのけて落語を始めてしまうのかと思われました。実際に団真は楽屋へ下がろうとします。しかし団吾は兄弟子・団真のために前座の余興を始めてくれ、場を盛り上げてから楽屋へと去っていきます。

去り際に団吾は扇子で団真の背を叩きました。これはかつて2人がまだ仲が良かった頃に、団真が団吾に落語が上手くいく呪いだとやっていたことです。笑わせられるもんならやってみろ下手糞、と発破をかけます。

それと団男吾は団真のことを「恋敵」だとも客に向かって言っていましたね。これまでの言動からしてそれはわかり易すぎるくらいにわかっていたことですが、お夕のことを好きだったことが本人の口から初めて述べられたシーンになりました。

こうして団真の噺が始まりました。演目はもちろん「崇徳院」です。団男吾は色恋や永遠の愛など信じていないから演じられない、これなら天才・団吾にも負けない兄弟子による崇徳院です。

会場は笑いにあふれていて、お夕も目に涙を浮かべて聞いています。楽屋でも団吾が笑顔になっていました。やはり彼も団真の復活を望んでいたのですね。崇徳院が終わる頃には団吾の姿は風鳥亭からなくなっています。

高座の後、お夕は再び団真の元へ帰っていきました。「せをはやみ いわにせかるる たきがわの われてもすえに あわんとぞおもう」崇徳院の歌のとおりに。

 

 

男吾が風鳥亭と契約へ

その晩、風鳥亭で2人で経理でしょうか、仕事をしていた「てん」と藤吉の元に団吾が慌ただしく入ってきました。借金の取り立てから逃げているようです。藤吉たちが団吾を匿って借金取りを守ります。

借金取りが去ると団吾は藤吉たちに感謝を述べ、あんた等とだったら面白いことができそうだと言って、風鳥亭と契約を結んでくれました。藤吉と「てん」が自分の願い(のはず)を叶えてくれたのですから、その恩を返そうということかもしれません。

団吾はその場で契約金1万円を要求、さらに先ほどの借金取りたちを呼び戻して、今すぐ支払っといてくれと言っていました。嵌めたのですね。契約そのものに嘘はないので問題ないのでしょう。

団吾はこれまでいくつか条件を出していました。契約料2万円とか団真を上げるなとか。でもそういうことは大事ではなかったのです。もちろんお金も大事なのは確かでしょうけど、いくらお金を積まれても団吾は契約をしなかったかもしれません。

団吾にとって重要だったのことは、藤吉と「てん」の人間がどうなのか、だったのでしょう。人間が面白い、こいつと組んだらもっと客を笑わせられる、そういう部分を感じ取れるかどうかが大事だったのです。

現に藤吉たちと敵対している太夫元「寺ギン(てら・ぎん、演:兵動大樹)」はすぐにお金を用意できる的なことを言っていたと思いますけど、団吾は奴とは契約をしていないはずですので。お金が一番だったら契約していてもおかしくないですからねぇ。

 

 

おわりに

65話の、団吾が「てん」から団真が高座に上がる話を聞いたときのワクワクが止まらないといった表情が、私はとても楽しく観られました。無邪気で、純粋に団真の高座、崇徳院を観たい、面白そうと思う気持ちが現れていて、波岡一喜さんの演技が良かったです。

また、団真の北村有起哉さんの「崇徳院」も素晴らしかったと思います。ドラマ内では完全に観られはしませんでしたが、それでも雰囲気が出ていたので良い俳優さんだなぁと思いながら観られました。

今週は私には面白く感じられました。ただし、団吾が団真を嫌っているような描写があったのに、結局は認めていて彼の高座を観たがっているというところは、観ていて少しわかりにくかったですね。また、藤吉が「団真を高座に上げる=団吾と契約できない」とわかっているのに団真を上げる決断をしたところも、何で?と思った視聴者は少なからずいらっしゃったのではないかと思います。その辺をもう少し丁寧に描写できれば、という気持ちもあります。でも個人的には楽しめました。

次週は第12週「お笑い大阪 春の陣」です。おそらく藤吉と寺ギンの全面戦争になるのでしょう。寺ギンは団吾を藤吉に取られたことに腹を立てて、自分のところの芸人を風鳥亭に派遣することを止めたのでしょう。どうする?どうなる?